先にお伝えしておきます。巻紙さん(オータム)の出番は今回ないです。
(原作でも一夏に接触してますから、オリ主とは接点なしです)
学園祭当日。一般開放されていないものの、各クラスや部活動の出し物の準備で、校舎内は慌しくなっているはずだ。
さて、なんで学園生である俺が『はず』なんて言ってるかといえば……
「り、陸? そろそろ起きて、クラスの手伝いをした方がいいと思うんだけど……?」
「もう働きたくないでゴザル!」
部屋のベッドで、簪を抱き枕にして登校拒否しているからだ。いつもとは真逆の立ち位置に、簪も困惑している。
どうして俺が簪相手にオギャっているか。それは昨日の放課後にさかのぼる。
(回想開始)
「とうとう明日が学園祭本番だね!」
「いやぁ、宮下君と更識さんが準備してくれたから、私達は当日まで楽させてもらったわぁ」
「その代わり、当日は任せたからな?」
「だいじょーぶ!」
というクラスメイト達とのやり取りをしている最中、俺はふと思った。
「なぁ、IS学園の学園祭って、一般参加は不可なんだよな?」
「そうだよ。私達生徒に配布された入場チケットを持った人以外はね」
1学年が30×4で120人、2,3年も含めると120×3で360人。その生徒1人に1枚チケットが配られるから、当日の来客数は倍の720人になる……と、さっきまでは思ってた。だが、
「それって来賓、"各国政府関係者やIS関連企業の人間"は含むのか?」
「「「え……っ?」」」
先日作った10(+予備3)個のゴーグル、それは生徒外の360人(ISに乗ったことがない人)を想定した数字だ。IS体験プログラムが現実世界で1回10分だから、仮に360人全員が来たとしても10台使って360分、つまり6時間だから閉会までには捌き切れると考えていた。だが、そこがズレていたとなれば……
「「「宮下君! 追加発注プリーズ!!」」」
「やっぱそうなるよなチクショウメェ!!」
そういうやり取りがあって、納期間近での追加発注に対応するため、俺は昨晩、豚のような悲鳴を上げそうになりながらゴーグルを30台追加作成したわけだ。
(回想終わり)
これが作ろうと思ったもんだったらまったく苦もなくやるんだが、もう終わったと思ったもんを、しかも時間制限付きで作るのは非常に精神が疲弊する。
「だから俺には直前まで簪とゴロゴロする権利がある!」
「い、いいのかなぁ……? 私としては、こういう積極的な陸もいいけど……」
簪も満更じゃなさそうなので、もうしばらくはこうしていよう、そうしよう。
作ったゴーグル? 今朝登校するクラスメイトに引き渡したから無問題だ。2度寝サイコー。
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陸の抱き枕にされて、ちょっと嬉し(ゴホンッ!)遅れちゃったけど、4組の教室に着くと、もう準備は終わっていた。
「おはよう。二人とも、準備は万端だよ」
「手伝えなくて、ごめんなさい」
「いいっていいって。更識さんにもプログラム丸投げしてたし、当日は全部私達に任せるって話だったしね」
「そうだよ。それに準備って言っても、イスとテーブル、それにゴーグルの電源供給用にケーブル這わすだけだし」
見回せば、他のクラスに比べて内装も小道具もない。悪く言えば殺風景かも。
「まぁ殺風景でもいいさ。仮想世界に入ればそれどころじゃなくなる」
「だよねー。呼び込みの子にも、その辺りを強調してもらう予定だよ」
「おう。そんじゃあとは頼んだぞ」
「「「りょーかい!」」」
4組を離れた私達は、そのまま廊下を通って1組の方に……
「なにこれ……?」
「これが織斑効果か」
陸が関心する先には、1組の教室から延びる長い行列が。
「織斑効果?」
すると行列のそこかしこから
「あの織斑君の接客が受けられるんでしょ!?」
「しかも執事服姿で!」
「それだけじゃなくて、ゲームもあるらしいよ?」
「しかも勝ったら写真も撮ってくれるんだって! ツーショットよ! これは並ぶしかないわ!」
という声が。
「のほほんも言ってたろ、『執事服おりむーに、ご奉仕してもらう喫茶店』って」
「あれ、ホントにそのままだったんだ……」
「あれ? 二人とも、どうしたの?」
声の方に振り向くと、メイド服姿のデュノアさんが。
「今日はメイド服姿なんだな」
「今日はって……もしかして、似合ってない?」
「別にそんなことはないが……ってそれは一夏に聞いとけ」
「あう……」
あ、デュノアさん赤くなった。確かに『似合ってる』ってセリフは、織斑君に言ってもらうべきだと思う。陸がデュノアさんに言うのは……あれ、なんかイラッとしてきた。
「シャルロット、客引きはもういいから、ホールの方、を……」
教室から出て来たボーデヴィッヒさんが、私達と目が合って固まる。ああそうか、どこかで見たことあると思ったら、@クルーズの制服と同じなんだ。……もしかして、借りて来たの?
「お、おお、お前達……」
「ラ、ラウラ?」
「ボーデヴィッヒさんも、グッジョブ
とりあえず、以前も言ったセリフを繰り返してみた。
「゚。。゚ヽ(゚`Д´゚)ノ゚。ウワァァァン!!」
ボーデヴィッヒさん、泣きながら教室に逃げて行っちゃった……。
「更識さん、今のは……」
「簪、やり過ぎだ」
陸とデュノアさん、二人からダメ出しを受けちゃった。解せぬ。
1組から離れた後は、陸とあちこち見て回っていた。
「ところで簪、4組の方はいいんだろうが、マンガ研究会の出し物とか大丈夫なのか?」
「大丈夫。プラモを飾るだけでお茶を濁してる」
「それでいいのかマンガ研究会……」
「問題ない」
最初から特別補助金は諦めてるから、『出すものは出したよー』という証拠さえあればいいのだ。活動実績さえあれば、最低限の部費は付くから。
「それにしても、凰のチャイナドレスはすごかったな」
「陸ぅ……?」
「いやいや、簪だって思っただろ?」
「それは、確かに……」
私も陸も朝食を食べ損ねてたから、2組の中華喫茶でブランチにしようって話になった時、チャイナドレス姿の凰さんと出くわしたのだ。
スカートタイプの、すごい大胆なスリットが入った……同性の私でも、ドキドキしちゃうような……。
「というか、あれを着れるぐらい度胸があるなら、一夏に対してもっと攻勢に出れ……ないか」
「それとこれとは別だと思うよ?」
「やっぱそういうもんだよなぁ……ちなみに簪は、ああいうチャイナドレスは――」
「着ないから!///」
あんなチャイナドレスを着るとか、ハレンチすぎる……! あれ? そうなると、あれを着れる凰さんはハレンチ……?
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簪と学祭を回ってるが、色々イベントやアクシデントが満載だった。
例えば校門前で屋台物を食ってたら
『ついに女の園、IS学園に来たぁぁぁぁぁ!!』
と大声上げてる怪しさ満点の奴を制圧したところ、
『いや、怪しいものじゃないんだ。信じてくれ……』
と言って入場チケットを見せて来たから、近場にいた生徒会の虚先輩に引き渡したところ、そのチケットの出処が一夏だったり。
(聞くと、五反田弾っていう一夏の中学からのダチらしい。制圧したのはスマンかったが、あんな職質されそうな行為はやめておけ)
美術部の爆弾解体ゲームで
『は……くしゅんっ!』
パチンッ
『あ』
――ドガァァァァンッ!
――GAME OVER
俺がたまたまくしゃみした所為で、切るコードを間違えて爆発したり。
「さて、4組の客の入りを確認しに行くか」
「うん。みんなに任せてるけど、どうなってるか気になる」
「じゃじゃーん! 楯無お姉さんの登場でーす!」
「「……」」
突然目の前に現れた学園最強(笑)に、俺と簪が目を合わせる。そしてコクリと頷く。
回れ右してBダッシュ!!
「え? ちょっと二人とも!?」
まさか開幕逃げられるとは思ってなかったのか、パイセンの困惑した声が聞こえてきた気がしたが、気のせいだろう。
「知らなかったのか? 大魔王からは逃げられない」
と思ったら、また目の前にパイセンが……!
「マジかよ……」
「ほほほほっ! 伊達に学園最強を名乗ってはいないわ!」
扇子で口元押さえながらお嬢様笑いすんなよ! それっぽいじゃねぇかチクショウ!
「それだけの身体能力があるのに、どうして陸のアームロックは防げないの?」
「はぐぅ!」
あ、簪の素朴な疑問で撃墜された。
「そ、それはそれとして……宮下君に手伝ってほしいことがあるのよ……」
「手伝い?」
「一応聞くだけ聞きますけど……大丈夫です?」
「だ、大丈夫よ……」
生まれたての小鹿のように足を震わせながらとか、ホントに大丈夫か?
「これから生徒会の出し物で、演劇をするの」
「演劇?」
「そう、観客参加型演劇」
「観客参加型ぁ!?」
おいおい、なんだその確実に収拾がつかなくなること請け合いな演劇は。
「ちなみに、演目は?」
簪の問いに、パイセンは新しい扇子をバッと広げた。そこには『迫撃』の二文字。
「シンデレラよ!」
その後、パイセンの泣き落とし等を経て、俺と簪は演劇会場である第4アリーナに連れていかれるのであった。
あれ? このまま演劇手伝ったら、大して学祭回れずに終わるのでは……?
ヒロインが簪だけの所為か、やっぱり原作よりネタ不足を感じますね……。
その分、オリ話の部分で味付けを激甘にしてますが。