俺と契約して、ブリュンヒルデになってよ!   作:シシカバブP

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キャノンボール・ファスト編(原作6巻)開幕……と言いつつ、今回話題にも出てきません。もうしばらくお待ちください。
さらに、エムが簪にボコられたため、福音襲撃イベントは無くなりました。ナターシャ好きの方、申し訳ない。(だが後悔はしていない)


キャノンボール・ファスト
第62話 今後の課題


学園祭の熱が収まり始めた頃、俺は陸を相手に、第二形態移行(セカンド・シフト)を果たした白式に乗っての模擬戦を行った。

そして陸から一言。

 

「結論、欠陥品」

 

「酷くね!?」

 

開幕一言目がそれかよ!

すると、陸は大きく息を吸って

 

「まず大型化したウイングスラスターだが、第一形態より燃費が悪化してて、前みたいに瞬時加速を繰り返してたらあっという間にエネルギー切れを起こすぞ。次に多機能武装腕の『雪羅(せつら)』。こいつが酷すぎる。荷電粒子砲? 今まで射撃用センサーリンクシステムも搭載してないブレオン機で、一夏は射撃経験なんてさっぱりなんだぞ? そこに突然これまた大飯食らいの大出力砲とか、馬鹿なの? しかも格闘用のエネルギー爪とエネルギーシールドは零落白夜仕様? 白式よ、お前はそんなに一夏にSE切れを強要したいのか?」

 

ここまでの酷評を一息で言い切った。

 

「陸の言い過ぎ、なら良かったんだけど……」

 

「宮下が言ってることが、ほぼほぼ正しいのがな……」

 

更識さんとラウラの反応に、他のみんなも反論出来ない。ぶっちゃけ、俺も出来ねぇ……。

 

「とにかく、一夏は今までやってた訓練を大幅変更する必要があるよ」

 

「というと?」

 

シャルが上げた、俺の課題は以下の通り。

 

・近距離戦闘と遠距離戦闘の即時切替

・射撃訓練

・新装備の慣熟訓練

 

「課題が山積みじゃないか……」

 

「なにせ、荷電粒子砲っていう遠距離武装が出て来たからね。どうしても今までのブレード1本の時とは戦略自体が変わっちゃうよ」

 

「むしろ、雪片だけの時の方が良かったのでは?」

 

「あはは……」

 

否定しないのな……。

 

「なぁ陸、これ何とかならね?」

 

「何とかって……とりあえずリミッターでも付けるか? 荷電粒子砲の出力を落として、必要な時だけリミッターを外す形にして」

 

「それだけか?」

 

「爪とシールドは零落白夜仕様だから、出力絞るとかは無理だな。スラスターもやれなくはないが、飛んだ時の感覚がリミッターの有無で変わるから、却って飛びづらくなるぞ」

 

「マジかぁ……だけどやらないよりはマシか。陸、頼めるか?」

 

「いいぞ」

 

そう言って陰流を待機状態に戻した陸は、どっからか端末を出すとケーブルを白式に繋いで、スラスラと何かを入力していく。

 

「よし、荷電粒子砲の出力設定、完了したぞ」

 

「早っ!」

 

え、もう終わったのか?

 

「一夏、設定が適用されてるか確認したいから一度撃ってみてくれ」

 

「お、おう」

 

陸に言われるがままに、左腕の雪羅を構える。

 

――ドォン!

 

「さっきより威力が落ちてる」

 

「よしよし。設定通りなら、威力は3割減で燃費は3割改善されてるはずだ。大体そのスラスターなら5分は長く飛んでられるぞ」

 

「5分か……10分でエネルギー切れ起こしたさっきの模擬戦から考えれば、劇的ビフォーアフターだな。陸、サンキューな」

 

あとは俺が、この荷電粒子砲とスラスターのエネルギー配分とかを考えなきゃならないのか……前途多難だ。

 

 

「(ねぇセシリア、武装の設定ってあんなにすぐ出来るもんだっけ?)」

 

「(いいえ、本来はもっと時間がかかるはずですわ……)」

 

「(そこはほら、『宮下君だから』で済んじゃうんだよ……)」

 

「(それで納得していいものなのか?)」

 

「(もうこの程度では驚かんぞ、でないと体が持たん)」

 

 

なんかみんながコソコソ話してるが、聞かなかったことにしよう……。

 

ーーーーーーーーー

 

模擬戦をした後はお開きになり、全員そのまま寮に……とはならなかった。

 

「織斑君と宮下君、ちょっと生徒会室まで、ね?」

 

と、アリーナの入口で張っていたっぽいパイセンに連れられて、俺と一夏は生徒会室のソファに座っていた。

 

「二人とも連れ出してゴメンね。だけど内容が内容だから、あの場で話すわけにもいかなくて」

 

「みんなに聞かせられない話ってことですか?」

 

「そうよ。織斑君は覚えてる? 学園祭で君を襲った相手のこと」

 

その問いに、一夏の顔が一瞬強張る。

 

「オータムって名乗ってた……逃げられましたけど」

 

「そう。その女なんだけど、実はあの後宮下君が捕まえてくれたのよ」

 

捕まえた、か。パイセンに止められなければ、俺はあの時女の首をへし折る気だったんだがな。

 

「で、その後色々尋問してみたけど、暖簾に腕押し状態でね。今朝、身柄を国際IS委員会に引き渡す予定だったんだけど……」

 

そこで区切ると、パイセンは俺達の前に1枚の写真を置いた。その写真には、横転して炎上しているワンボックスカーが写っていた。

 

「話の流れから、護送車か何かですか?」

 

「正解よ宮下君。学園から委員会へ移送中に襲撃を受けて、まんまと女を奪還されちゃったのよ」

 

「護衛は何やってたんですか。せっかく謎の組織の構成員を捕まえたってのに」

 

「秘密裏に事を運ぼうとしたのが裏目に出たそうよ。護衛にISを配置してなかった所為で、相手の金色のISに襲われて壊滅ですって」

 

パイセンがやれやれと首を振る。俺も振りたくなるわ、杜撰すぎんだろ。

 

「その、楯無さんがそんな情報を教えるのは、俺と陸がその女と関わったから、ですか?」

 

「ええ。二人とも、一応頭の片隅に入れておいてね。あの組織の規模が分からない以上、新しい襲撃者がいないとも限らないから」

 

「分かりました」

 

一夏が返事をする一方、俺は黙って写真を見続けていた。

 

「宮下君?」

 

「どうした陸?」

 

「パイセン、あの女のISコアも一緒に持ってかれたんですか?」

 

確か、コアだけ抜いたISを一夏に対して自爆特攻させて、その隙に逃げたって話だったよな? なら、その時一緒に手に入れたコアは?

 

「いいえ、コアはまだ学園にあるわ。というより、委員会に渡すに渡せない事情があるのよ」

 

「事情?」

 

「あの女が乗っていたIS、『アラクネ』って名前なんだけど、以前アメリカの施設から強奪されたものなの」

 

「強奪……それなら、アメリカに返すのが筋なんじゃないんですか?」

 

「一夏、それは無理だ」

 

「無理?」

 

俺の回答に、一夏は首を傾げる。

 

「それを答える前に、パイセンに質問。アメリカから委員会に『ISが奪われた』って報告はありましたか?」

 

「……ないわ。というか、どの国もそんな報告をしたことはないわ」

 

「え? だって実際にアメリカはアラクネを……」

 

「一夏、そんな報告したら『我が国はテロリストに軍施設を襲撃された挙げ句、最重要機密であるISを奪われた』って世間に公表することになるんだぞ? そんなの国の面子丸潰れだ。だからアメリカを含め、どの国も奪われた事実を公表しないし出来ないんだ」

 

「そういうこと。だからアメリカは『返してくれ』と言えず、かといって委員会にも渡せず、アラクネのISコアは学園預かりになったわけ。今は秘密の部屋に保管中」

 

「国の面子とか、面倒くさいなぁ……」

 

納得がいかない顔の一夏。うんうん、お前はそのままでいてくれ。権謀術数に長けた一夏とか、気持ち悪くて仕方ない。

しかし、ISコアがここにあるとすると……

 

「亡国機業、実はそんなに規模は大きくないんじゃ?」

 

「どういうこと?」

 

「もしパイセンが悪の組織側だったら、ただの構成員を救出したりしますか?」

 

「それは……」

 

「何言ってんだよ陸、助けるに決まってるだろ」

 

はいはい、一夏ならそうするよなー。

 

「……なんか馬鹿にしてね?」

 

「気のせいだ気のせい。で、パイセンならどうです?」

 

「……助けない、わね」

 

「ええっ!? どうしてですか!?」

 

ここで本気で驚くところが一夏クオリティだな。根っこが善人すぎる。……何も考えてないただの馬鹿の可能性もあるが。

 

「これがISコアとセットなら考えるけど、構成員1人を助けるためだけだと、リスクが高すぎるわ」

 

「けれど助けた。となると、一構成員を助けなきゃいけないぐらい、亡国機業って組織は――少なくとも実働部隊は――人手が足りないんじゃ?」

 

「なるほど。確かに一理あるわね」

 

パイセンが扇子を開く。書かれているのは『考慮』の二文字。

 

「おまけにもう1機も簪が返り討ちにしたから、しばらくはあっちも動けないんじゃないかなぁと」

 

「もう1機って……まだいたのか!?」

 

「ああ。お前がアラクネと対峙してる時に、上空で簪が敵増援を迎撃していた」

 

パイセンのPONがなければ、さらに1機減らせてたかもしれなかったんだがな。そこは黙っておくのが情けって奴か。

 

「マジか……でもそれなら、亡国機業側は今回2機のISが戦闘不能になったってことですよね?」

 

「ええ。だから宮下君の言う通り、向こうが体勢を立て直すまで猶予があるかもしれないわ」

 

「つまり……」

 

「つまり、その間にお前は白式・雪羅を乗りこなせるようになれってことだ」

 

「やっぱそうなるよなぁ……」

 

結局やることは変わらないと再認識したようで、ガックリ肩を落とす一夏だった。




他の2次創作でも話題になってますが、どうして白式はあんなピーキーな進化の仕方をしたのやら……。
君、操縦者が千冬と勘違いしてないかい?
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