俺と契約して、ブリュンヒルデになってよ!   作:シシカバブP

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サブタイがあれですが、本編にディスり要素はないです。


第6話 翔んで簪

生徒会室からアリーナに戻ってくると、打鉄弐式を纏った簪とのほほんが待っていた。

 

「りったんおかえり~」

 

「おう、ただいま。準備は万端みたいだな」

 

「うん。……ところで陸、どこ行ってたの?」

 

「ああ、生徒会室にな」

 

「生徒会室……お姉ちゃんに会ったの?」

 

「お前との決闘についてとか、まぁ色々話があってな」

 

俺は簪とのほほんに、生徒会室であったことを話した。

 

「そう……来週以降になるんだ……」

 

「かんちゃん、おりむーについては……」

 

「大丈夫、本音。彼に当たっても仕方ないことは、分かってるから」

 

不安顔ののほほんにそう返しているが、あまりいい感情は持ってないな。やっぱ理性と感情は別物か。

 

「今はそれより、飛行テストをやっちまおうぜ。アリーナの予約時間も有限なんだしな」

 

「そうだね……」

 

「う、うん。それじゃあ準備始めるね~」

 

場を紛らわそうと俺が話を変えると、二人もそれに乗ってそそくさと準備を始めた。さて、俺も測定器とか準備するか。

 

 

――5分後

 

「それじゃあかんちゃん、今回が打鉄弐式の初飛行だから、最初はゆっくりね~」

 

「うん、分かってる」

 

そう言って頷いた簪は、PIC制御で中空に浮かぶと、ゆっくりと上空に加速していった。

ここまでは順調、だな。

俺は通信装置(ISのプライベート・チャネルにも繋がるらしい)を手に掴むと、打鉄弐式に繋いだ。

 

「簪、聞こえるか?」

 

『うん、聞こえてる』

 

「打鉄弐式に何か変なところは無いか? 異音とか振動とか」

 

『問題ない。普通の打鉄より、スムーズに飛んでくれてる』

 

「そうか。なら、さらに少しずつ加速してみてくれ」

 

『分かった』

 

通信が切れると、打鉄弐式はカスタム・ウィングの出力を上げて、アリーナの内側を回るようにさらに加速を始めた。

 

「さらに速度上昇……今、打鉄の最大速度を超えた」

 

「お~! やった~!」

 

俺の計測結果を聞いて、隣で双眼鏡を持ったのほほんがピョンピョン飛び跳ねていた。

おいおい……喜ぶのはいいが、ちゃんと打鉄弐式からの信号は確認しててくれよ?

 

「簪、一度戻っていてくれ」

 

『分かった……一つだけ、試してみたい事があるんだけど、いい?』

 

「試してみたい事? 危ない事じゃねぇよな?」

 

『大丈夫、弐式を壊すような真似はしない』

 

「……まぁいいか」

 

そう俺が了承すると、簪はこちらに戻って来て――待て、どうして減速しない?

どんどん俺達と簪の距離が近づいて……って、おいおい待て待て待て!

 

「ちょ、おま!」

 

――ブワッ

 

簪が急減速で停止したのは、俺との距離50cmやそこらだった。

 

「おま! 危ねぇじゃねぇか!」

 

危ない事じゃないって言ったよな!?

 

「陸を驚かせたかった。それに『弐式を壊すような真似はしない』とは言ったけど、危なくないとは言ってない」

 

「確かに、りったんの驚く顔はレアだよ~」

 

「お、お前らなぁ……」

 

「急減速の試験も出来たし、万事問題なし」

 

「そうだね~。フレーム負荷も許容範囲内だったし、飛行テストは大成功だよ~」

 

ダメだ、こりゃ何言っても多勢に無勢だ。

 

「分かった分かった。それじゃあ今日のテストはここまでにして、後日武装のテストをするか」

 

「武装……春雷はともかく、山嵐はさすがに……」

 

「う~ん、訓練機も借りられないから、夢現のテストも難しいかな~……」

 

対戦相手がいないと、薙刀の素振りぐらいしか出来ないもんなぁ。

 

「仕方ない、当分は春雷の動作確認を兼ねた射撃訓練を重点的にやるか」

 

「それしかない、かも」

 

「そだね~」

 

俺達3人は頷くと、計測機材等を片付けてアリーナから撤収した。

 

ーーーーーーーーー

 

「すごかったですね……」

 

「ええ、予想以上だったわ」

 

管制室からこっそり覗き見してたけど、簪ちゃんの真剣な顔、良かったわ~……じゃなくて!

 

「打鉄弐式。たった1日で組んだとは思えない出来だったわ」

 

「はい……本音も参加しているはずですが、それだけであれだけのものが出来上がるとは思えません」

 

「あら、姉としての贔屓目はないの?」

 

「贔屓目を勘定に入れても、です」

 

「つまり、宮下君の影響が大きいと」

 

「私はそう考えます」

 

「そうなるわよねぇ……」

 

私が知ってる中でも、本音は学園内で虚に次ぐメカニックだ。それを超える能力を持ち、希少な男性操縦者、か。

 

「お嬢様、彼を更識の家に取り込もうなどと、変な気を起こしませんよう」

 

「分かってるわよ。そんなことしたら――」

 

「アームロックですね」

 

 

「いい加減それから離れてくれない!?」

 

 

何!? 私ってもう宮下君にアームロックされるキャラで固定なの!? 実際まだ2回しかされてないわよ!

 

「ですが、あの打鉄弐式でも……」

 

「ええ、私の霧纏の淑女(ミステリアス・レイディ)には届かないでしょうね」

 

残酷だけど、それが現実だ。虚から聞いている打鉄弐式の武装の内、警戒するべきは山嵐だけ。しかも、今の24本じゃない、48本フルスペックの場合だ。

現状では、ミステリアス・レイディを墜とすには、まだ足りない。

 

「まだ1週間以上あるんだし、何か手を打つんじゃないかしら」

 

「そう、ですね」

 

「とりあえず見るもの見たし、私達も引き揚げましょう」

 

「はい」

 

ーーーーーーーーー

 

――整備室

 

「それでは、打鉄弐式の強化を行いたいと思いまーす」

 

「お~」

 

「なんで!?」

 

簪、ナイスツッコミ。

 

「飛行テストも成功したのに、どうしていきなり強化って話になるの!?」

 

なんか最初の頃に比べて、簪の根暗っぽさが無くなってる気がするな。良い事だ。

 

「いやぁ、お前の姉ちゃんのISについて調べたんだが、ありゃエグいわ」

 

「たっちゃんのIS、そんなになの~?」

 

「ああ、エグいもエグい」

 

というかのほほんよ、パイセンってお前ら布仏の主家なんだろ? その呼び方でいいのか? ってそれを言ったら簪もなんだが。

 

「ナノマシンで水を操って防御フィールドを常時展開、しかもその水を水蒸気爆発させてリアクティブアーマー化。これだけでもエグい。さらに水を高周波振動させて武器に纏わせることで、切断力や貫通力をアップ。さらにエグい」

 

学園内で調べられる範囲でもとんでもない。今の打鉄弐式じゃ勝ち目が薄い。……やる前から『勝ち目は無い』なんて言うつもりはないぞ。

 

「うわ~……」

 

「……」

 

俺の話を聞いた二人も若干引いている。気持ちはわかる。

 

「とはいえ、今からゴテゴテと新装備をつけても簪の負担が増えるだけだ。だから出力配分やスラスターの調整による機動力強化だけに留めようと思う」

 

「そうだね~、かんちゃんには予定通り、春雷や夢現の訓練に集中してもらった方が良いかも~」

 

「うん。私もそう思う」

 

意見が一致したところで、俺とのほほんが機体の調整、簪が動作を確認する作業を、整備室が閉まる時間ギリギリまで続けた。

 

「出来れば春雷は、早めに射撃試験してぇなぁ……」

 

「どうして~?」

 

「いやぁ、データの収集元(ミノフスキー粒子)打鉄弐式(ISの動力)じゃ規格が違うから、早めに動作確認しておきたいんだよなぁ」

 

「りったん……それって、最悪春雷無しでたっちゃんと戦うことになるんじゃ~……」

 

「陸ぅ……?(ギロリ)」

 

いやいや簪さん! 怖いから! その睨み方は怖すぎるから!

 

「だ、大丈夫だって! もし動作確認時に動かなかったとしても、決闘当日までには間に合わせるから!」

 

「安請け合いは、いけないと思う……」

 

まーだ簪はジト目で見てくるが、問題ない。何故なら

 

 

「(授業全部)サボりも、(夜中整備室に不法侵入して)徹夜も、あるんだよ」

 

「危ない発言しかない!?」

 

「クラスのみんなには、内緒だぞ☆」

 

「こんなの絶対おかしいよ!」

 

 

「二人とも、仲がいいね~」

 

 

 

なお後日、春雷の試射をしたところ

 

――ドォンッ!

 

「問題無かったね~」

 

「ああ、そうだな(チラリ)」

 

「私悪くない……」

 

簪の膨れっ面が印象的だった。

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