俺と契約して、ブリュンヒルデになってよ!   作:シシカバブP

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_(:3」∠)_

3/23追記
誤字修正。気を抜くとすーぐ『赤椿』になってしまう……。


第68話 キャノンボール・ファスト~専用機の部~

「ねぇお兄、これってレースなんだよね……?」

 

「お、おう……俺もそう聞いてたんだが……」

 

隣の席の蘭に聞かれたからそう答えたが、俺も正直自信がねぇ。

いやだって、妨害アリとは聞いてたけどよ、相手選手を全滅させるレースって何だよ?

 

「ま、まぁいいじゃねぇか。次のレースだろ重要なのは。一夏も参加するんだし」

 

「そうだった! 次のレースに一夏さんが!」

 

ちょっと一夏の話題を振れば、すぐに興味がそっちに移動していった。我が妹ながら、何と分かりやすい……。

 

「あっ! 一夏さんだ!」

 

そう言って蘭が指さす先には、真っ白いISに乗った一夏の姿があった。へぇ、あれが一夏のISか。

 

「それにしても、やっぱり専用機持ちとやらも女子ばっかだな」

 

鈴は知ってるとして、黒髪ポニーテールに金髪縦ロール、先日会ったブロンドっ娘に銀髪眼帯と、これが国際色豊かってやつか。

 

「当たり前でしょ。一夏さんと陸さん以外、男性操縦者はいないんだから」

 

「そうだったな」

 

何分どちらも知ってる奴であんまり特別感を持ってなかったんだが、世間的には数少ない希少存在なんだよな、あいつら。

 

「ほらほら、始まるわ!」

 

一夏達7人がスタートラインに立つと、さっきのレースと同じようにシグナルランプが点灯する。そしてランプの色が変わった瞬間、さっきのレースと同じように、7機が一斉にスタートダッシュを――

 

「あれ? 1機だけ出遅れてる?」

 

蘭が言うように、6機がダンゴ状態になってる中、1機だけその後ろを付いていく形になっていた。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

スタートダッシュこそみんなと一緒だったけど、第一コーナーを過ぎた辺りから、シャルとセシリアを先頭に列が出来始めていた。ちなみに陸は俺より後方を飛んでいる。やっぱり1世代違うだけで、ここまで有利・不利が出てくるのか。

 

「もらったわよ、セシリア!」

 

衝撃砲を連射しながら、鈴が前を行くセシリアに肉薄していく。その弾丸を横ロールで回避したセシリアの横を、加速した鈴が追い抜いていく。

 

「やりますわね!」

 

「へへーん! 追いつけるかしらぁ?」

 

「甘いな」

 

「!?」

 

鈴の背後から、突如ラウラが前に出てくる。あいつ、鈴の後ろにぴったりくっ付いて機を窺ってたのか。

 

「それにしても……」

 

セシリア、鈴、ラウラでダンゴ状態になってるが、そこが先頭集団ってわけじゃない。本当の先頭は――

 

「あの時言っていた通り、わたくしの攻撃を曲げますのね」

 

「ああもう! 衝撃砲まで防ぐの!?」

 

セシリアのレーザーライフルも、鈴の衝撃砲も、先頭を飛ぶシャルに当たらない。いや、攻撃が逸らされている。

 

「そのための『花びらの装い』だからね」

 

あの、あらゆる攻撃を逸らす結界によって、シャルへの妨害はほとんど意味を成していない。さらに『ISの前面のみ』という弱点も、こちら側に結界を向けることで解消していた。そう、シャルは()()()()()飛んでいるんだ。なんであんな体勢で、しかも高機動モードで飛べるんだよ……。

 

そんなことを考えていたからか、後ろから飛んできた赤いレーザーが脚部装甲を掠った。これは……!

 

「箒か!」

 

「悪いが先に行かせてもらうぞ!」

 

「そうはいくか!」

 

紅椿の刀から放たれるレーザーと、俺の雪羅から放たれる荷電粒子砲が、お互い回避した先の緩衝壁に当たって爆ぜる。

 

「くぅ! このままシャルロットの独壇場になんかさせないわよ!」

 

「そうですわ! 勝負はまだまだ」

 

「これからだ!」

 

そして最終コーナーに差し掛かったところで、白式が突然アラートを出して来た。

 

(後方に、高エネルギー反応?)

 

「……っ!?」

 

さらに、前を飛んでるシャルの顔が青褪めるのが、ハイパーセンサーによって視認できた。

 

「何が……」

 

後方を確認した俺の顔は、シャルと同じように青くなったと思う。

 

 

 

最後尾で飛んでいたはずの陸が、何かを構えているのが見えた――

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

第3世代機ばっかの中、俺だけ第2世代機だからなぁ。陰流には悪いが、最初からまともな勝負にならないって。そう、()()()()勝負、ならな。

先頭のデュノアが最終コーナーに入る手前で、俺は飛行を止める。どうせここからじゃ追いつけやしないんだ。

 

「それならそれで、やりようはある」

 

拡張領域から、このために準備したものを展開する。先日、簪のコレクションに混じっていたアニメを参考に作った、お遊び感溢れるこいつを。

展開したものは、杖。ただし、よくご老人が持っている杖じゃない。アニメで出てくる"魔法使いの杖"だが、微妙に違う。槍のような先端に、赤い宝珠がはまっていて、途中には自動小銃のマガジンのようなものが刺さっている、日常ではまずお目にかからない形状をしている。

 

「さーて、訓練機部門で4組が完勝したんだ。専用機部門の俺が、何もせずに最下位取ってどうすんだってよ。だから――」

 

思いっきり、引っ掻き回してやろうじゃねぇか……!

 

「ブラスター、スリー!」

 

マガジン内に装填されていたカートリッジ――打鉄弐式から都合してもらったGN粒子を充填した、小型GNコンデンサー――が排出される度に、桃色の圧縮粒子が杖の前方で球体状に収束していく。そしてカートリッジを全て排出した時には、圧縮粒子の球は俺を覆い隠すほどの大きさになっていた。

 

 

「ディ○イン、○スタァァァァァァァ!!」

 

 

放たれた圧縮粒子の砲撃は、こちらに気付いた一夏とデュノアを除く、篠ノ之、オルコット、凰、ボーデヴィッヒの4人を飲み込んだ――

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

「……」

 

声が出なかった。

宮下君が何かを展開したと思ったら、急に光の粒子が集まって、気付いたら桃色のビーム?が飛んできたんだから。

気付いた僕と一夏以外全員がビームに巻き込まれて、エジプトの壁画みたいに最終コーナーの緩衝壁にめり込んでいた。や、やり過ぎだよぉ……。

 

「って、呆けてる場合じゃない!」

 

すぐに宮下君が追いかけてくるだろう。急いでゴールしちゃわないと!

 

「一夏、お先に!」

 

「……はっ、シャ、シャル!?」

 

再起動した一夏と追いかけてくる宮下君から逃げるように、僕もゴールを目指してスラスターを全開にした。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

1年専用機部門は、1位がデュノアちゃん、2位が織斑君、3位が陸君という結果になった。

というか、それ以外の選手が陸君によって復帰不可能にされたっていうのが正しいわね……。

 

「ぬおぉぉぉぉぉ……! 宮下、貴様まだそんな隠し玉をぉぉぉぉぉ……!」

 

「織斑先生、胃薬です」

 

あまりの胃痛にピットの床をのたうち回っている織斑先生と、その先生の口に胃薬を放り込む簪ちゃん。私? 私はもう悟ったわ。"宮下陸はそういう存在"なんだって。

同じピットにいる2年生(同級生)のみんなも、敢えて先生を見ないようにしている。これが情けってやつよ。

 

「それにしても、魔砲少女は陸には似合わない」

 

「簪ちゃん? 論点はそこじゃないからね?」

 

「たぶんこれも、『俺を暇にしたのが悪い』とか言い出すと思う」

 

「あ~……陸君なら言うわね」

 

そして、また織斑先生の胃がやられて、山田先生がとばっちりを受けるところまで鉄板化してるわぁ……。

 

「それにしても、GNコンデンサーってあんな使い方も出来るんだ……。なら、春雷の砲弾もGNコンデンサーにして圧縮粒子を――」

 

「簪ちゃんストップ!」

 

止めて簪ちゃん! 貴女まで陸君みたいになったら、お姉ちゃん泣いちゃうから!

 

『これより、2年生の部を開始します。参加者はスタートラインまで移動してください』

 

放送が入って、各クラスの選抜メンバーがピットから移動を始める。

 

「次、お姉ちゃんの番だね」

 

「ええ、簪ちゃんのために、お姉さん頑張っちゃうんだから!」

 

次の2年生の部では、専用機持ちである私も出場することになっている。2年と3年は専用機持ちが少ないから仕方ないわね。というか、今の1年が多すぎるのよ。

2年生は私の霧纏の淑女(ミステリアス・レイディ)以外だと、ギリシャ代表候補生、フォルテ・サファイアの『コールド・ブラッド』の2機だけになるのかしら。

 

「それじゃあ簪ちゃん、行ってくるわね」

 

「うん、頑張ってね」

 

私もミステリアス・レイディを展開すると、簪ちゃんに見送られながらピットと後にした。それと簪ちゃん、押し付けるようで悪いんだけど、織斑先生の看病よろしく。




あらすじ部分に「後半がシリアス」と書いていたな、あれは嘘だ。もう嘘しかないやん……。

あの砲撃、当初はガンダムヴァーチェのGNバズーカの予定でしたが、「どうせならこのままギャグで突っ走っちまえ!」と心の中のロキが囁いたので、リリカルでマジカルな方を採用しました。シリアスさん? 今頃ベガスでカジノでも楽しんでるんじゃね?
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