俺と契約して、ブリュンヒルデになってよ!   作:シシカバブP

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説明回っぽいのです。オリ主も簪も出てきませんのでご了承ください。


第72話 それぞれの思惑

私に話があると更識姉が職員室にやってきたのは放課後、奴の妹に国家代表の証書を渡したことをIS委員会に報告した直後だった。

 

「それで、一体何の用だ?」

 

「織斑先生に、折り入ってご相談が」

 

「相談?」

 

なんか嫌な予感がしたが、聞かずに帰すわけにもいかんか……。

 

「実は、先ほど3年生のダリル・ケイシーと会っていまして……」

 

 

そう切り出して、更識姉が話し始めた内容に、私は頭を抱えたくなっていた。

亡国機業のスパイが、まさか学生として堂々と学園に入り込んでいたとは……。更識妹を恐れて組織を抜けたのは英断だがな。(きっぱり)

それもそうだが、宮下の件で追放された元・女権団共が亡国機業に流れ着いていたというのも、頭の痛い問題だ。正直に報告しても、女権団の主流派共に握り潰されるのが関の山か。

 

「それでですね、学園祭の時のような襲撃がまた起こることも考えられるので、専用機持ちの能力強化を図りたいと思いまして」

 

「強化なぁ……言っておくが、宮下に他の専用機を弄らせるのはNGだぞ」

 

「ダ、ダメですか?」

 

「まぁ、あいつらの生命を第一に考えるならアリなんだろうが、専用機の所属国やIS委員会がな……」

 

連中、宮下個人に国家が負けたことで相当頭に来てるのか、あれやこれやで奴を妨害することばかり考えているようだ。直近では『GNドライブの使用禁止』なんかがそうだ。素直に『永久機関禁止』としておけばいいものを、ピンポイントで妨害してきている。というか、そこそもお前達は束という『個人』に大敗してるだろう。何を今更。

とはいえ、そんな頭悪い連中が決定権を持っているのも事実。宮下と比較的親交のあるデュノア社も、最近では周囲の圧力があるらしい。そんな中で、専用機を奴に強化させる案は飲めんだろう。

 

「それなら、専用機持ちで実戦的な模擬戦は出来ませんか?」

 

「模擬戦か……それぐらいなら」

 

「以前、VTSの件で流れてしまった学年別トーナメントのようなタッグ戦にして、それを他の生徒も見学できるようにすれば……」

 

「なるほど、それなら授業の一環として上に説明できるな」

 

むしろキャノンボール・ファストで宮下によって壁画にされた国からしたら、自国のISを再度アピールする、名誉挽回のチャンスだ。首を横には振るまい。

 

「いいだろう。この後学園長に報告して、了承が得られれば今月末にでも実施するぞ」

 

「はい。出来れば早い方がいいですから」

 

そう、更識姉の話した予想が当たりなら、タイムリミットは亡国機業の内ゲバが収束まで。それまでに自分達のISが狙われても応戦できるようにしておきたい。

 

「おおまかな準備はこちらでしておく。お前は()()()()()、生徒達への襲撃を警戒していてくれ」

 

「分かっています。それが生徒会長の本分ですから」

 

そう言って更識姉が職員室を出て行くと、私も学園長室に向かいながら、説明する順序や内容を頭の中で推敲していた。

 

 

 

その後、学園長への説明自体は滞りなく終わり、学園上層部――国際IS委員会の委員達――からも了承され、全学年合同タッグマッチが開催されることとなった。

 

ーーーーーーーーー

 

――国際IS委員会 会議室

 

千冬は、IS委員会が陸憎しで『GNドライブの使用禁止』をルールに加えたと考えていたが、実際は異なっていた。

 

「やはり、レギュレーション自体の見直しが必要ではないか? このGNドライブだったか、これだけを名指しで禁止にしても、また別の永久機関を出されては意味がない」

 

委員の一人が提案すると、他の委員達も賛同するように頷く。

 

「いいえ! その必要はありません!」

 

ただ一人、委員()でありながら出席している女性だけが、異を唱える。

 

「しかしミズ・ヤマザキ、これはあまりにも……」

 

「そうだ、これではミスタ・ミヤシタに対する私怨と思われかねない」

 

「お黙りなさい! 神聖なISを穢すゴミを浄化しようと動いて何が悪いと!? むしろ私達はあのゴミを研究所に送って切り刻み、ホルマリンにでも沈めるよう言っていたはずなのに、どうしてまだ実行していないのですか!?」

 

「言い過ぎですぞ。いくら貴女が、かの団体のトップとはいえ」

 

そう窘められた通り、この女、山崎敏美(ヤマザキトシミ)は女性権利団体のトップであり、団体の創設者でもあった。

10年前、うだつが上がらない事務員だった彼女を変えたのが、白騎士事件と『ISは女性しか乗れない』という事実だった。そこから彼女はISの能力を後ろ盾に、女性の権利拡大を声高に唱え、数年後には一大勢力のトップになったのだ。そんな彼女からしてみれば、宮下陸という存在は邪魔でしかない。なぜなら、女性権利団体の権勢は『ISは女性しか乗れない』ことだけで保っており、男がISに乗れてしまえば、その権勢が失われてしまう。また、うだつが上がらないちっぽけな存在に成り下がってしまうから。

 

「とにかく! あのゴミが作ったものを排除している間に、さっさと代わりになるものを作させなさい! むしろ、そんな永久機関を作ったなら、私達に献上するのが道理でしょう!? 情報を吐かせなさい!」

 

自分の言いたい事だけをヒステリックに喚き散らすと、山崎は会議室を足早に出て行った。

 

「困ったものですな」

 

「ええ。こちらが下手に出ていれば、頭の悪いことばかり」

 

「しかし、あれが国際的に大きな権力を持っているのも事実……」

 

「本当に、困ったものですな」

 

委員全員――中には女性も含まれていたが、彼女達は女尊男卑主義ではない――が大きなため息をつく。

 

「それにしても、ミスタ・ミヤシタに情報を吐かせろとは」

 

「それをやった自分の配下達が、日本政府の中枢から排除されたことをもう忘れたのか」

 

「いいえ。聞いた話では、それを実行したのはかの団体の中でも反主流派だったそうですぞ」

 

「ほう、それは初耳ですな」

 

「ミズ・ヤマザキ率いる主流派は、ミズ・オリムラの弟(織斑一夏)すら排除することを望んでいるそうですからな。ミスタ・ミヤシタだけを排除しようとしていた反主流派を切り捨てる絶好の機会だったのでは?」

 

「怖い話ですな」

 

「そのくせ、ミスタが各国の専用機に関与できないよう働きかけているという話も聞きます」

 

「やれやれだ。ミスタに専用機の強化を依頼して、その機体を解析することで技術を取り込むのが手っ取り早いというのに」

 

それぞれが芝居がかったように頭を振ると、話の議題を切り替える。

 

「女性権利団体の横槍が予想される以上、レギュレーション自体の改定は先送りにするしかありませんな」

 

「致し方あるまい」

 

「ですが、機会が来たらすぐに改定できるよう、せめて草案だけは作っておきましょう」

 

「そうですな。第3回大会に間に合えばいいですが……」

 

 

(((それまでに、女性権利団体が消滅でもしない限り無理か……)))

 

 

諦観染みたため息を各々つきつつ、永久機関の全面禁止や外付けや後付けを含めた武装数の制限など、新しいレギュレーションの草案について、委員達は話し合いを続けるのだった。

 

ーーーーーーーーー

 

「う~ん、どうする……」

 

更識姉が発案した全学年合同タッグマッチ。その開催が決まったのはいいが、申込用紙の原紙を作っていて、一つ困ったことが起こった。

 

「1人、あぶれるな……」

 

今年は専用機持ちの、特に1年生の数が異常だ。1年生が8人、2年生が2人、3年生が1人の、計11人。2人1組のタッグを組んだら、1人余ってしまう。

 

(どうする? 山田先生や教師部隊の誰かを混ぜるという手もあるが……)

 

机に置いてあるカップを持って、中のコーヒーを一口。うむ、温い。後で山田先生に新しいのを淹れてもらおう。

だが、そこで私に妙案が思いついた。

 

「……これだな」

 

今回のタッグマッチは『専用機持ちの能力向上』が目的だ。これなら、ペアをピッタリ5()()作れる。

 

「これをコピーして、専用機持ちのいるクラスに配布して……」

 

掲示板にも貼り出さねばならないが……そこは山田先生に頼むか。




オリ主が打鉄弐式以外の専用機を弄らせるのは無しです。ネタが尽きて、最後にはステイシスに乗ったラウラや、ノブリス・オブリージュを駆るセシリアが出て来かねないので……。

女性権利団体のトップはオリキャラです。原作では出てきません。
亡国機業の面々がボコられてるので、ヘイトを集められそうなキャラを勝手に作っちゃいました。

IS委員会も馬鹿ばっかじゃないです。お局様さえ消えればあるいは……?
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