タッグマッチで楯無さんと組むことに決まった翌日、アリーナで楯無さんとの連携練習を始めたわけだが……
「陸君、貴方も参加する必要、ある?」
と開幕首を傾げられてしまった。解せぬ。
「だってこの前の砲撃とか、当たったらほぼ一撃じゃないのよ」
「逆に当たらなかったら、長船とハンドガンしか無いんですがね」
GNコンデンサーのカートリッジが尽きたら、あとは第2世代相当の武装しか無いわけで。そう考えると、レ○ジング○ート(sts仕様)は簪専用にした方が良さそうだな。
「というか、あれは織斑先生からNGが出ました」
「あ、やっぱり?」
おい。
「分かったわ。それじゃあ、対遠距離機体の訓練をしましょうか」
「ええ、お願いします」
ミステリアス・レイディを纏った楯無さんと一緒に上空に飛び上がると、アリーナの両端に移動する。
「弾幕を避けながら私のところまでたどり着いたら合格よ」
「マジっすか……」
ミステリアス・レイディの弾幕か……簪との決闘時のことを思い出すと……無理じゃね?
「まぁ、ダメで元々だ!」
覚悟を決めてスラスターを点火したと同時に、前方から蒼流旋についた4門のガトリングガンが火を噴く。
「くっ、このっ!」
何とかガトリングの弾幕を避けてるものの、そちらに必死で距離を縮められない。
「ほらほら! 避けてばかりで距離が縮まってないわよ!」
「さっき
「私、教える時はスパルタなの♪」
「ダニィ!?」
鬼や、鬼がおる。ただでさえシューター・フローに神経使ってるのに、さらにここから距離を縮めなきゃならないとなると……。
「こうするしかねぇか!」
シューター・フローを途切れさせないギリギリのラインで瞬時加速に移行。前面を突っ切る!
「おおっと!」
俺の意図を読んだのか、楯無さんがガトリングの掃射を止めて回避行動を取る。
瞬時加速で距離を詰めたものの、回避した楯無さんの横を通り過ぎた……ところがぎっちょん!
「もういっちょぉぉ!」
「ええ!?」
方向を変えてもう1回瞬時加速だ!
「捕まえ、た!」
「きゃっ!」
楯無さんも再度回避しようとするが、すんでのところで腕を掴むことに成功。なんとかなったぁ……。
「まさか、連続して瞬時加速するとは思わなかったわ……」
「また成功させる自信は無いですがね」
「タッグマッチで再現出来なきゃ意味ないじゃない」
「そこは要練習ってことで」
正直無我夢中でやった連続瞬時加速だからな、これを本番も出来るようにするのが次の目標だな。
なお、その後は全く成功することなく、俺はアリーナの壁に激突し続けたのだった……。
ーーーーーーーーー
陸とお姉ちゃんが連携練習をしてる頃、私は何をしてるかというと……
――ガィィィンッ! ガィィィンッ!
「はははははっ! まさかIS学園の教師になって、こんなに心躍る戦いができるとはな!」
「お、織斑先生、どうして打鉄でそんな動き出来るの……?」
先生の刀と私の夢現がぶつかっては離れ、離れてはまた鍔迫り合いになる。こっちも武装は夢現だけでGNドライブ無しとはいえ、第3世代の弐式とやり合えるなんて……
とにかく先生の反射神経が半端じゃない。機体性能はこっちが上なのに、完璧に夢現の軌道に合わせて刀を振って来る。
「ああ楽しい、楽しいぞ! こうやって体を動かしてる間は、IS委員会からの下らない話や、日本政府からの訳分らん要請のことを忘れられる!」
「うわ~……」
そんな、涙を流しながら笑顔で語られても……。
「さあ更識妹! もっと私を楽しませてくれ!」
「あ、あの、私の練習相手って話は……」
確か先生が
『少しだけ相手をしてやる。もっとも、私が使うのは打鉄だから、まともな相手になるかは怪しいがな』
って話だったのに……。
「さぁもっと、もっとだ!」
「先生怖いです!!」
その後も1時間近くチャンバラが続き、山田先生が現れてようやっと
「もっと、もっと戦うんだぁ……」
「織斑先生、これからIS委員会の方々との会議がありますからね~」
「いやだ~~~~~!!」
まるで駄々をこねる子供のように、織斑先生が山田先生に引きずられていった。
もしかして、明日もこんな感じなのかなぁ……。
ーーーーーーーーー
そうして練習が終わって少しして、俺と簪はある人物に呼び出されていた。
「で、一体何の用なんだ?」
「う、うむ。実は、だな……」
食堂のテーブル席で、向かいに篠ノ之が座っている。そしてその周りには、他の一夏ハーレムもいた。一夏抜きでお前達が揃ってるなんて珍しい。
「一夏のことなのだ……」
「一夏の?」
「ああ。最近、あいつも強くなるために努力している」
「そうらしいな」
剣道部に強制入部になってからも、より一層訓練に力を入れるようになったとか。情報源はのほほん。
「ただ、な。その分私達と一緒にいる時間が減ったというか……」
「つまり?」
「もっと一夏とイチャイチャしたい。何かアドバイスをくれ!」
「「は?」」
ハーレムの面々が頷く中、俺も簪も開いた口が塞がらない。
「わたくし達、もう限界ですの……!」
「もっと一夏と……!」
「嫁と……!」
「もっとイチャイチャしたいのよぉ……!」
見事に本音ダダ漏れである。う~む……
「でも、凰さんは……」
「ん?」
簪、凰がどうしたって?
「学園祭の夜、織斑君と「わぁぁぁぁぁ!!」
「鈴さん……?」
「一夏と、どうしたって……?」
途端に凰に視線が集中する。
「べ、別に何も――」
「織斑君に告白されて、キスしてた」
「何で知ってるのよぉぉぉぉ!?」
「り、鈴さんが……」
「一夏に、告白された、だと……」
驚きの新情報に、凰以外の一夏ハーレムが崩れ落ちる。その凰も、顔を真っ赤にして蹲ってしまった。
「というか、どうして簪がそんなこと知ってんだ?」
「本音から聞いた。生徒会で見回りしてる時に偶然見掛けたって」
「凰も、一番見られちゃいけない奴に見つかっちまったのか……憐れな」
そうなると、正妻戦争・織斑杯は凰の勝ちか。
「ま、まぁ、鈴の話は後で聞くとして」
「忘れていいわよ!」
一番先に正気を取り戻したデュノアが話を進める。
「何かいいアイディアないかなぁ?」
「いいアイディアなぁ……おっそうだ」
そういえば、
拡張領域から目当てのものを出して、テーブルの上に置く。
「これ、香炉?」
テーブルの上に置いたのは、10cm四方ほどの大きさの香炉だ。
「この中に入ってるお香を焚くんだ。一夏と一緒にいる時にな」
「そうすると、どうなるの?」
「それはやってみてのお楽しみだ。少なくとも毒じゃない、それは保証する」
「ええ……でも、今は藁にも縋ってみるよ」
若干不安そうな顔をしつつも、最後には香炉を手に取るデュノア。
「使用上の注意としては、一夏とお前達だけの時に使うこと。それと、香が外に漏れないように窓とかちゃんと閉めておくこと。そんぐらいか」
「分かったよ」
頷くと、デュノアは他のハーレム達を連れて食堂を出て行った。
「陸、あのお香って何なの?」
「ああ、あれは麝香って言ってな」
「じゃこう?」
「雄のジャコウジカの腹部から取れる分泌物から作った香料なんだが……」
「なんだが?」
「要は媚薬だ」
「び、媚薬?」
いやもう、いっそのこと全員一夏に
「そ、そんなことして、もし間違いが起こっちゃったらどうするの?」
「間違い? ……ああ、妊し「言わせないよ?」それなら大丈夫だ」
「え?」
「この前の一夏の誕生日にプレゼント送っただろ?」
「う、うん……私と陸の2人分を、篠ノ之さんに渡したけど……」
「俺からは『近藤さん』を渡しておいた」
「り、陸?」
『家族計画』『近藤さん』つまりゴムだな。
頑張れ一夏。5人相手は大変だろうが、いつかは通る道だ。(他人事)
ーーーーーーーーー
「陸……」
夜、いつものように簪がベッドの中でハグしてくる。
「どうした?」
「私、決めた」
「決めたって、何を?」
「陸に"抱いて"欲しい」
「ぶっ! ゲホッ! ゲホッ! な、何言い出すんだ馬鹿野郎!?」
突然何を言い出すんだよ!? 一夏ハーレムと張り合う必要はねぇんだぞ!?
「私はずっと、
「簪?」
「もっと陸に求めて欲しかった。心身共に繋がりたかった」
ぐぅっ! そ、そんな目で見るな!
「だけど今日の話を聞いて、もう待つのは止めた」
――ぐいっ
「ちょ!?」
なんで俺の寝間着の下に手ぇかけてんだよ!?
「陸が草食系なのが悪い。今日から私が肉食系になる」
「簪!? ちょっと待て落ち着け! そういうのはんぐっ!」
「んっ、ちゅっ……」
簪の舌が、口の中に……
「陸の愛、ちょうだい」
簪のそのセリフと、どこからともなく出して来たもの――『近藤さん』――に、俺の中の理性、最終防衛ラインが突破された。
なんでお前が『近藤さん』持ってんだよ……。俺だって男なんだ。我慢の限界ってもんがあるんだぞ?
「……本当に、いいんだな?」
「うん……///」
頬を赤く染めながら頷く簪の上着に手をかけて――
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
その後については割愛させてもらう。ただ言えるのは、翌朝足腰が立たなくなった簪に
「陸の、ムッツリ肉食獣……」
との言葉をもらったということだ。簪のご両親に顔向けできねぇ……。責任取る気はあるけど。
そうして、足腰の立たない簪をおんぶして登校するという恥ずかしい真似をしつつ、教室に入った俺は
「「「昨晩はお楽しみでしたね?」」」
ものの見事に、クラス中から揶揄われたのだった。
だが、その後のほほんからのメールで、俺と簪は戦慄することになる。
『今日の1組、おりむー以外専用機持ちが欠席だって~。何かあったのかな~?』
一夏以外が欠席? それってつまり、一夏は5人相手にして……
「「一夏(織斑君)はバケモノか……!?」」
どうやら肉食獣の称号は、俺より一夏が相応しいようだ。……一人の男として負けた感じするのは、気のせいだと思いたい。
ちょっと遅めの卒業シーズンです。(下品)
ハーレムするなら、行くとこまで行っちまえよという作者の考えからこうなりました。
う~む、評価とかお気に入り数が減りそう……。でもやりたかったからやった。後悔はちょっとしかしていない。