俺と契約して、ブリュンヒルデになってよ!   作:シシカバブP

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簪をハブる言ったな、あれは嘘だ。



第76話 九尾の熾天使

篠ノ之博士に時結晶をもらってから、陸の様子がおかしい。そして私は腰が痛い。

早朝に素振りをしに行ったと思ったら、木刀を持っていってなかったり、夜は夜で、私がお風呂に入りに行って戻ってくると部屋にいなかったり。

何をしているんだろうと思ってたら、すぐに本人から解答がやってきた。

 

ーーーーーーーーー

 

「新しい専用機を紹介する」

 

「「「「「は?」」」」」

 

放課後のアリーナで陸の爆弾発言に、私やお姉ちゃん、織斑先生はもちろん、織斑君とハーレムのみんなも固まった。

 

「り、陸? 新しい専用機って……」

 

「この前束からもらった材料でコア作ったから、勢いで機体も作ってみた」

 

「作ってみた、じゃなぁぁぁぁい!!」

 

織斑先生が陸の肩を掴んで、ガックンガックン揺さぶる。目が血走ってます先生。

 

「そ~れ~じゃ~あ~、き~て~い~い~ぞ~」

 

先生にシェイクされながら、陸が手を挙げて誰かに合図を出す。

 

陸に呼ばれて上空から降りて来たのは、訓練機とは違うISだった。

大型のカスタム・ウィングが2基に、尻尾のようなブレードが1,2,3……9本、さらに背部にも砲塔が6門付いた、紅白の機体に乗っていたのは……

 

 

「じゃじゃ~ん!!」

 

 

「ほ、本音!?」

 

私の幼なじみ兼従者の本音だった。私、何も聞いてないんだけど……。

 

「改めて紹介するぞ。のほほんの専用機、『九尾の熾天使(ナインテール・セラフ)』だ」

 

「ナインテール……」

 

「セラフ……」

 

織斑君を筆頭に、本音の専用機に目が釘付けになってる。

 

「武装は機体名にもなってる9本のテールブレードに、背部6門の速射型荷電粒子砲。遠近どちらでも戦える万能型だ。一応大型スラスターが付いてるが、どちらかといえば固定砲台型だな」

 

「陸君、なんてものを……」

 

「ちなみに、今回のISコアは劣化版じゃないから、製造禁止令に引っかからないって束に教えてもらった」

 

「束ぇぇぇぇぇぇ!!」

 

握り拳で呪詛を叫ぶ織斑先生が、某国の総統閣下と被る。

 

「さて織斑先生、専用機が1機増えたんで、タッグマッチが1人あぶれちゃいますねぇ」

 

「み、宮下……お前まさか……」

 

()()1()()いれば、もう1組作れるんですけどねぇ?」

 

「陸……」

 

もしかして、そのために……?

 

「ぐぐぐ……はぁ、分かった。更識妹も参加しろ」

 

「それじゃあ……」

 

「ただし! お前は布仏と組むように!」

 

「そうですよね~……」

 

さすがに、今から陸と組み直しは出来ないよね……。

 

「かんちゃん、よろしくね~」

 

「うん、頑張ろうね本音」

 

「更識さんも参加されるんですの……?」

 

「まずいわね……」

 

「布仏とペアならまだ何とかなるか?」

 

「いや、無理だろう……」

 

ニコニコ笑顔の本音に対して、一夏ハーレムの面々は顔真っ青。そんなに私怖い……?

っていうか陸、私の記憶違いじゃ無ければ、篠ノ之博士に時結晶もらってから2日しか経ってないはずなんだけど……。しかも新しい専用機の資材、どこから……?

 

「もちろん、GNドライブを使用禁止にさせてもらうぞ」

 

「分かりました」

 

実戦形式とはいえ、GNドライブを、弐式の全力を出す必要はないと思ってるから、無条件に頷いた。全力を出すのは返り血を浴びる時……陸を守る時って決めているから。

 

ーーーーーーーーー

 

ノリと勢いで作ったのほほんの専用機だったが、動作確認も兼ねた模擬戦をやってみたものの

 

「や~ら~れ~た~」

 

何となく分かってはいたが、まさか一夏にすら負けるとは……。

 

「のほほんさんの荷電粒子砲、余裕で躱せたんだが……」

 

「1発として当たりませんでしたわね」

 

「というか、掠りすらしなかったね」

 

そう、6門の荷電粒子砲を、のほほんは尽く外していた。テールブレードには自動防衛モードを付けてたから、操縦者は砲撃だけに専念できる仕様にしてたんだが……。

最後には弾切れを起こしたところで、一夏がテールブレードの防衛網を掻い潜って零落白夜で勝ちを拾ったわけだ。

 

「のほほんは一夏と一緒に、射撃の訓練が必要だな」

 

「うん、頑張る~」

 

「俺も頑張るかぁ……」

 

さっきのを見てたから分かるが、こいつ全然自分の荷電粒子砲撃って無かったからな。本番はさておき、せめて模擬戦では試すぐらいしろよ。以前ボロクソに言ったの俺だけど。

 

「僕とセシリアが教えるね」

 

デュノアとオルコットに先導されて、のほほんは一夏と一緒にアリーナの端の方へ。

次の試合は……

 

「宮下のバカヤロォォォォ!!」

 

「お、織斑先生! 私に当たらないでぇ!」

 

織斑先生が半泣きで刀を振り回して、それを簪が夢現で頑張って受け流す構図になっていた。ていうか先生、未改修打鉄でよく弐式の機動について来れるな。

 

「簪ちゃんが参加かぁ……。お姉さんとしては嬉しい誤算ね」

 

「ただ、ケイシー先輩でしたっけ? キャノンボール・ファストで簪とやり合った3年の。あの人にとってはトラウマが強化されそうですね、知らんけど」

 

「何言ってるの陸君? あんな天使な簪ちゃんでトラウマになるわけないでしょ?」

 

「アッハイ」

 

笑顔の圧が凄いです楯無さん。顔近い近い怖い。

 

「もう嫌だぁぁぁ! 今日はこの後真耶と酒飲んで寝るぅぅぅ!!」

 

「ならもう止めましょう!?」

 

八つ当たりからただの愚痴にクラスチェンジした織斑先生が、徐々に簪を押し始めた。いくらGNドライブ未起動の状態とはいえ、マジかよ。

 

「織斑先生~、調子はどうですか~?」

 

「あ、山田先生」

 

「ほら織斑先生、お迎えが来ましたよ!」

 

弐式を解除した簪に促されて、織斑先生もしぶしぶ刀を仕舞うと、打鉄から降りて

 

「真耶~! これから飲むぞ! さあ飲むぞ!」

 

「お、織斑先生!?」

 

あ~あ、山田先生を拉致って行っちまった。せめて打鉄を元の場所に戻してからにして欲しかったんだが……。

さて、次は俺なんだが、対戦相手は

 

「そういえば最後に模擬戦したのは臨海学校の前か」

 

「そうなるわね。言っとくけど、手加減はしないわよ」

 

最近の模擬戦じゃ、大抵相手は一夏かオルコットだったからな。凰と戦うのはホント久々だ。

 

「それじゃ、いっくわよぉぉ!」

 

そう言って、開幕凰がぶん投げて来た青龍刀を横移動で回避する。あっぶな!

 

「次ぃ!」

 

「うわっ! マジかよ!?」

 

青龍刀がもう1本あるのは知ってたが、そっちも投げるのかよ! で、最初に投げたのが弧を描いて戻って来るとかアリか!?

そうして後ろから迫って来た青龍刀を回避すると、凰はそいつをキャッチした勢いで独楽のように1回転して、その勢いでまた投擲。

しかもそれだけじゃなく

 

――ドォォォンッ!

 

「いってぇ!」

 

「ほらほら! 双天牙月にばかり気を取られてると、ぶっ飛ばすわよ!」

 

衝撃砲も追加で飛んできて、凰に近付けたもんじゃねぇ。ぶっちゃけ、一夏ハーレムの中じゃボーデヴィッヒの次に強いのでは?

そんなことをやってる内に、SEがゴリゴリ削られて

 

「とどめぇ!」

 

「ぐあっ!」

 

最後は衝撃砲と青龍刀の挟み撃ちにあって敢え無く負けたのだった。臨海学校前よりは保ったほうだが、やっぱ手数に押される負け方になっちまったか。

 

「あたしは中国の代表候補生なのよ? 相手が男だからって理由で負けてやるわけにはいかないわ」

 

「ベッドの上では一夏にボロ負けだったんだろうに(ボソッ)」

 

「にゃ、にゃに言ってんにょよ!?」

 

途端に顔を真っ赤にして、凰はアリーナの壁に向かって走り出して

 

「この馬鹿ぁぁぁぁ!」

 

壁を蹴った反動で、俺に向かって鷹爪三角脚(とびげり)だとぉ!?

だが躱す。

 

「な、ぎゃあぁぁぁぁ……!」

 

目標を失った凰は着地に失敗して、勢いそのままにアリーナの地面をゴロゴロ転がっていった。

さて、次の試合を見るか。

 

「くっ、やはり強い……!」

 

「こちらはラウラと2人掛かりなのに……!」

 

「ウフフ、簪ちゃんには一度後れを取ったけど、これでも学園最強だからね♪」

 

篠ノ之・ボーデヴィッヒと楯無さんという2対1にも関わらず、篠ノ之達が押されている。

 

「箒! 誘いこまれているぞ!」

 

「な、ぐっ!」

 

そしてやはりというか、楯無さんは実戦経験の少ない篠ノ之を、時にガトリングで、時に体さばきで誘導することで、ボーデヴィッヒにフレンドリーファイアを誘発させようとしている。もちろんボーデヴィッヒも馬鹿じゃないから、そうそうフレンドリーファイアなどしない。だが、そうなると篠ノ之を避けて攻撃することを強要されることになる。精神的負担を負わせる作戦なんだろう。

 

「これまでか……」

 

「無念だ……」

 

そして一瞬集中力の切れたボーデヴィッヒが先にやられ、残った篠ノ之もジリ貧になり投了となった。

 

「ふぅ、これで学園最強の看板も守れたって(ガンッ)いったぁ!?」

 

「「えぇ!?」」

 

明後日の方向から飛んできた攻撃を頭から受けて、楯無さんが前のめりに倒れそうになる。待機状態にする前で良かったが……。

その場にいた全員が飛んできた方向を向くと、

 

「ご、ごめんなさい~……」

 

のほほんが、手のひらをすり合わせながら小さくなっていた。

 

「まさか、流れ弾がそっちに行くとは思わなくて……」

 

「ええ、アリーナの壁に向かって撃っていたはずなのですが、どうして……?」

 

のほほんに教えていたはずのデュノアとオルコットも謝りつつ、どうしてこうなったという顔をしていた。壁に向かってって……まったく逆方向に誤射したってことか? まさに、どうしてこうなった。

 

「ほ~ん~ね~……」

 

「うわぁぁぁぁ! ごめんなさい~!」

 

「待ちなさーい!」

 

どうやら楯無さん的には許すのは難しかったらしい。のほほんとの追いかけっこが始まった。お、のほほんのやつ、逃げるのに必死でうまく空中で鬼ごっこ出来てるじゃん。

と思ってたが、3分ほどで楯無さんに捕まり、憐れのほほんは両頬を引っ張られるお仕置きを受けたのだった。簪、まさか味方ののほほんに倒されるなんてことはねぇよな……?




というわけで、のほほんの専用機登場です。
原作(ISAB)では『九尾ノ魂』でしたが、本作ではカスタマイズしています。
某最終兵器に名前が似てる? (ヾノ・∀・`)キニシナイ

それに伴い、簪もタッグマッチに復帰です。やったねダリルん! トラウマが、増えるよ!(サイコパス笑顔)
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