俺と契約して、ブリュンヒルデになってよ!   作:シシカバブP

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第7話 休みの日ほど、なぜか忙しい

春雷の試射をした翌日。今日は打鉄弐式の調整や動作確認は無しにしようということになり、俺は放課後、一人食堂でコーヒーをすすっていた。

 

「よう陸」

 

するとそこに、一夏が一人でやってきた。

 

「珍しいな、いつも昼の食堂以外で見かけたことなかったのに」

 

「かもな。朝は大体俺の方が早いみたいだし、放課後は整備室に居るからな」

 

「へぇ」

 

というやり取りをしつつ、一夏は俺の向かい側に座ると、手に持っていたペットボトルのスポーツドリンクを飲み始めた。

 

「それより聞いたぞ。イギリスの代表候補生と決闘になったんだって?」

 

「ああ、それな……」

 

話を振ると、一夏はゲンナリした顔をした。

 

「しかもお前、『世界一料理が不味い国』って言ったんだろ」

 

「いやだって、実際そうだろ?」

 

そうかそうか、つまりお前はそういう奴なんだな。

 

「一夏、ちょっと立ってくれ」

 

「え? あ、ああ……」

 

そう言って席を立った俺につられて、一夏も椅子から立ち上がる。

 

――バッ! ギュッ!

 

 

「いだだだだだだ!」

 

 

お仕置きアームロックである。

 

「お前なぁ。どうせテレビやネットの情報だけで言ってるんだろ?」

 

「いだだだ! だってそうだろ! フィッシュ&チップスは油ギドギドでぇぇぇ! 魚の頭を載せたパイとかおかしいだろぉぉぉぉ!」

 

「あのなぁ、それって『日本食? 納豆とかイナゴの佃煮とかだろ? きっもーい』って言ってるのと変わらんぞ。一部のゲテモノを挙げて全体を貶すな」

 

「に、日本にはそれ以外にもぉぉぉぉ! うまいもんがあるだぁぁぁぁぁろぉぉぉぉ!」

 

「はぁ……」

 

一旦アームロックから解放した。

 

「なぁ一夏、お前ローストビーフは好きか?」

 

「え、なんだよ突然。好きだけど」

 

「あれ、イギリス料理だぞ」

 

「はぁ!? う、嘘だろ!?」

 

「ホントだホント。それとお前が油ギドギドって言ってたフィッシュ&チップスだって、店によっては美味いらしいぞ。縁日の屋台で売ってるたこ焼きみたいなもんじゃねぇかな」

 

あれはホント当たり外れがでけぇんだよなぁ。生地が真っ黒焦げでも、ソースが塗ってあると外れかどうか食うまで分からん時あるし。

 

「マジか……」

 

「ちゃんと調べたわけでもない知識で批判や反論しても、碌なことにならないぞ」

 

「今度から気を付ける……」

 

自分のやらかした事を理解したのか、一夏はしょんぼりした顔で頷いた。

 

「件の代表候補生、確か……オルコット、だったか? 決闘後にでも謝っておけ」

 

「でも、あいつだって『文化としても後進的な国』って……」

 

「だから自分から先には謝らないって? 男らしくないぞ」

 

「うぐっ!」

 

どうやら『男らしくない』は一夏にとってクリティカルだったらしい。そのまま膝から崩れ落ちた。

 

「わ、分かった。明後日の代表決定戦が終わったら謝るよ」

 

「そうしとけ」

 

それにしても明後日か……どっちがクラス代表になるかは興味ないが、イギリスの第3世代機は見てみたい気もするな……。

 

ーーーーーーーーー

 

「そっか~、もう明後日なんだね~」

 

一夏が居なくなった後、入れ替わりのようなタイミングでのほほんが現れ、そのまま向かい席に座ったのだった。

 

「のほほんは1組だから、当日はアリーナで見学できるんだろ?」

 

「そだよ~。りったんも興味あった~?」

 

「イギリスの第3世代機とやらは、実際に目にしてみたかったな」

 

一応、打鉄弐式も第3世代機らしいが、レーザーとかエネルギー弾とか、もっとそれっぽいのが見たいんだよなぁ。

 

「りったんは相変わらずだね~」

 

「おう。機械馬鹿上等だ」

 

のほほんが苦笑しているが、それで傷つくような性格はしてないもんでな。

 

「それにしてもりったん、たっちゃんだけじゃなくて、おりむーにもアームロックしたんだね~」

 

「ああ。あれはちゃんと周りが注意してやらんと、その内とんでもない事になりそうだったからな」

 

先入観だけで突っ走るのも高校生にはありがちではあるんだが、こと『IS学園』で、しかも"数少ない男性操縦者"というネームバリュー持ちでそれをやると、後々やばい事になりそうなんだよなぁ。

 

「りったん、何だかんだで面倒見いいよね~」

 

「そうか?」

 

「うん。かんちゃんの事だって、ISを弄りたいだけなら、他にも方法はあったはずなのに~」

 

「そりゃあ、まぁ」

 

言われてみれば、確かに無理して簪の専用機に拘らなくても良かったはずだよな。いくらあの段ボールの中身を見て、ISを弄りたくなったとはいえ。

だが俺はあの日、簪に組み上げの手伝いを提案した。それは多分……

 

「見ちまったから、だな」

 

「見たって、何を~?」

 

「整備室に鎮座してた未完成の打鉄弐式。あれを見た時思ったんだよ。あれを組み上げてみたい。完成した姿を見てみたいって」

 

「へぇ~」

 

のほほんがニヤニヤしてこっちを見てくる。何だよ。

 

「りったんも、男の子だね~」

 

ーーーーーーーーー

 

――その夜、学生寮1032号室

 

「という事があった」

 

「陸、何もない日の方がイベント多い?」

 

「それは俺も思った……」

 

おかげで休んでたはずなのに、休んだ気が全然しないんだよなぁ……。

 

「ところで簪は何してたんだ?」

 

「アニメ鑑賞。ニチアサ物をじっくりと」

 

キランと簪の眼鏡が光った気がした。

 

「ニチアサかぁ、昔はよく見てたなぁ」

 

「そうなの?」

 

「見てた当時は、○○レンジャーとか△△マンとかだったな」

 

「○○レンジャーは伝説……!」

 

お、おう。ガッツポーズするぐらいなんだな。

 

「DVDBOXがある。今から見よう」

 

「今から……今から!?」

 

おいおい、あと1時間もしないうちに消灯時間だぞ。

 

「大丈夫、いい方法がある」

 

「いい方法って……」

 

 

さて、簪の言う"いい方法"だが……

 

「○イン・コ○ギ、やっぱこの頃は若っけぇなぁ」

 

「○流満月斬りは至高……」

 

仕切りのあった場所にサイドテーブルを持ってきて、DVDプレイヤーとポータブルテレビを設置。そこからワイヤレスイヤホンをそれぞれの耳にIN。

さらに元々あった仕切りをドア側に持ってきて、テレビの光が極力漏れないようにする配慮っぷり。簪、貴様慣れているな!?

 

当然DVDBOX全巻を見れるわけもなく、俺も簪も途中で寝落ち。翌日二人揃って目に隈を付けた状態で登校する羽目になった。

 

「二人とも、昨晩はお楽しみだった?」

 

「うん、(○○レンジャー)楽しかった……」

 

「「「「キャー!!」」」」

 

「おーい簪ー。誤解生むような事言うなー」

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