俺と契約して、ブリュンヒルデになってよ!   作:シシカバブP

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まーた長くなってしまいましたが、タッグマッチ編、最終回です。


第80話 全学年合同タッグマッチ~決勝戦~

タッグマッチ決勝戦。俺と楯無さんの前には、簪とのほほんの姿。

 

「簪ちゃん、今回は勝たせてもらうわよ」

 

「そう簡単に、負けてはあげられない」

 

二人にはそれで十分なのか、お互い蒼流旋と夢現を構える。

 

「二人とも、私達そっちのけだよ~……」

 

「仕方ないな、こっちはこっちでよろしくやるか」

 

「え、遠慮したいな~……」

 

「まぁそういうなって」

 

俺が長船を構えると、のほほんも渋々テールブレードの自動防衛モードをONにする。

 

そして――試合開始のブザーが鳴った。

 

ーーーーーーーーー

 

――ドォン!

 

――ドドドドッ!

 

試合開始と同時に、私が春雷、お姉ちゃんが蒼流旋のガトリングガンによる撃ち合いが始まる。奇しくも、かつての決闘と同じ始まり方だ。

 

「言い訳に聞こえるかもしれないけど、あの時とは違う。今回は、最初から本気で行くわ」

 

そう言うと、ミステリアス・レイディのアクア・クリスタル――ナノマシンを含んだ水を生み出す、製造プラント――の色が赤に変わっていく。

 

「麗しきクリースナヤ、接続完了」

 

クリスタルだけじゃない、周囲に展開されている水のヴェールも、赤色に染まっていく。

 

「さあ、行くわよ!」

 

「っ!」

 

蒼流旋からの突き……ううん、違う!

 

 

「ミストルテインの槍!」

 

 

――ドゴォォォォォンッ!!

 

「くぅっ!」

 

咄嗟に回避行動したそばから爆風に吹き飛ばされ、私はアリーナの壁に背中から激突した。

 

「そんな……その技はチャージ時間があるはずなのに……」

 

「これがミステリアス・レイディの高出力モード『麗しきクリースナヤ』、私の切り札よ」

 

説明しながらも、蒼流旋にまた水のヴェールが集中し始める。嘘、ミストルテインの槍を連発できるの……!?

 

「くっ! ファング!」

 

慌てて10基のビットを射出、ミステリアス・レイディを狙って――

 

「ふふっ、そう簡単にはいかないわよ?」

 

その瞬間、ミステリアス・レイディの周囲が爆ぜて、ビットが爆風に煽られてあらぬ方向に飛んでいく。

 

(清き激情(クリア・パッション)……!)

 

どうして気付かなかったのか。ミストルテインの槍を連発できるぐらい瞬間的にアクア・ナノマシンを製造できるなら、水蒸気爆発を起こす分ぐらい瞬時に生み出せることに……!

 

「言ったでしょ、今回は最初から本気だって」

 

笑いながらも真剣な眼差しのお姉ちゃんを見て、痛感した。

私は、慢心していた。以前勝ったことがあるからと、心のどこかで気を抜いてたんだ。だから、こんな簡単に押し込まれる。

あの時に比べて、弐式は格段に強くなった。それなのに、それを操縦する私は気を抜いて、慢心して……無様にも程がある。

 

「ふぅ……」

 

――パァァンッ!

 

「か、簪ちゃん!?」

 

思いっきり叩いた頬は痛いけど、これで目が覚めた。

 

「お姉ちゃん。ここからは、私も本気を出すよ」

 

夢現を展開して、GNファングはバインダーに戻す。GN粒子はスラスターに全振り。

 

――ヒュンッ!

 

「っ!」

 

「まだまだぁ!」

 

――ヒュンッ! ヒュンッ!

 

高速移動からの斬撃を繰り返して、ミストルテインの槍を撃たせないように立ち回る。そして、斬撃からの突きが

 

――ザンッ!

 

当たった!?……でも、手応えが、ない?

 

「ざ~んねん」

 

「なっ……!」

 

目の前のお姉ちゃんが、霧になって消える。まさか、水で作った分身!?

そんな風に驚いている私を嘲笑うように、残った霧が大爆発を引き起こす。

 

「うぐ……」

 

何とか凌いだけど、ミストルテインの槍の分も含めて、かなりSEを削られた。

 

(お姉ちゃん、やっぱり強い……)

 

春の決闘で勝てたのは奇跡だったんだって、改めて思う。

 

「これだけやってまだSEが半分もあるなんて、陸君もずいぶん頑丈に作ってるわねぇ……」

 

爆発した分身から離れたところにいたお姉ちゃんが、呆れたような顔をしていた。たぶん、私の斬撃を躱してるどこかのタイミングで入れ替わって、その後は私の視界に入らないように立ち回っていたんだろう。

 

「GNドライブを積む時、いっぱい補強したから」

 

「なるほど」

 

私の回答に頷くと、再度槍を構え直す。

 

「そろそろ決めさせてもらうわ。『麗しきクリースナヤ』も、そろそろ時間切れが近いみたいだし」

 

「そうみたいだね」

 

私から見ても分かるように、さっきまで赤かったミステリアス・レイディが、少しずつ元の青色に戻っていく。

だからその前に、お姉ちゃんはミストルテインの槍を放つ気だろう。

 

「なら、私もこの一撃に全てを掛ける」

 

今まで推力に回していたGN粒子を右腕、メメントモリに集中させる。

 

 

「ミストルテインの槍!」「メメントモリ、起動!」

 

 

お互いの全力がぶつかろうとしたところで――お姉ちゃんが、消えた。

そして次の瞬間、私の意識も消えた。

 

ーーーーーーーーー

 

「たっちゃんもかんちゃんも、ドンパチやってるね~」

 

「どっちかって言うと、楯無さんが爆発させまくってるな」

 

試合開始のブザーが鳴ってからこっち、俺とのほほんは蚊帳の外になっていた。

というか、楯無さんあんな強かったのか。マジで春の決闘は勝てたのが奇跡だったんだな。

 

「さて、俺達もいい加減戦うとするか」

 

「ええ~、私は別にいいかなって~」

 

「いやいや、一応これも授業の一環らしいからな。サボりはいかんだろ」

 

「そんなこと「そんじゃいくぞ~」話を聞いてよ~!」

 

――ガキィィンッ!

 

のほほんの話を遮るように長船を振り下ろす。うん、テールブレードの自動防衛モードに遮られるな。

 

「も~! りったんのばか~!」

 

――ドドドッ!

 

怒ったのほほんが荷電粒子砲を放つが……やっぱり当たらんやん。俺、動いてないんだぜ?

 

「のほほん、せめて固定目標にぐらい当てようぜ……?」

 

「う~! こうなったら、数撃てば当たる作戦! ファイヤー! ファイヤー!」

 

――ドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!

 

うわっ、のほほんお前、全弾打ち尽くす気か!? けど、そんな明後日の方向に飛んでく弾、当たるわけが――

 

 

「ぬるぽっ!」「がっ!」

 

 

「「え?」」

 

意味不明なセリフだが、聞き覚えがある声のする方に振り返ると……

 

 

「た、楯無さん!?」「か、かんちゃーん!?」

 

 

さっきまで真剣勝負をしていた二人が、揃って目を回して倒れていた。SEは……両方とも空っぽ。まさか、これって……

 

『宮下、布仏、落ち着いてよく聞け』

 

俺達が戸惑っていると、オープン・チャネルで織斑先生が通信を入れてきた。

 

 

 

『更識姉妹だが……布仏が撃った荷電粒子砲の流れ弾を食らってダブルK.O.だ』

 

 

 

「う、うわぁぁぁぁ! マジかぁぁぁぁ!」

 

「や、やっちゃった~っ!」

 

俺ものほほんも、これには頭を抱えるしかない。なんでこんな時に限って、百発百中なんだよバカヤロー! しかもフレンドリーファイアも百発百中だし!

 

『しかも、流れ弾の全てが頭部と胴体という、装甲外に当たったようだ。……布仏、確認だが、本当に狙ってやったんじゃないんだな?』

 

「ち、違います~!」

 

織斑先生が疑いたくなるのも分かる。普通あり得ないだろ。全弾装甲外とか、きっちり仕留めにかかってるやん。

 

「えっと、これからどうすれば~……」

 

『宮下と布仏で戦って、さっさと勝負をつけてくれ』

 

「デスヨネー」

 

二人が戦闘不能になった以上、それしかないよな。

 

「りったん……」

 

「のほほん、こうなったら仕方ない……」

 

俺は長船を地面に突き刺して手を離すと、

 

 

「学園最強姉妹を倒すような奴に勝てるわけねぇだろ! 俺は降参するぞ~~!!」

 

 

両手を挙げた。

 

『宮下選手のサレンダーにより、勝者、布仏本音、更識簪ペア』

 

「え? ええ!?」

 

「今日から布仏本音が学園最強! つまり新しい生徒会長だ~~!!」

 

「り、りった~ん!?」

 

学園最強の楯無さんを倒したんだから、のほほんが次の生徒会長だろ?

混乱するのほほんの腕を掴んで思い切り上げさせる。すると

 

 

「「「「生徒会長就任おめでと~~~~!!」」」」

 

 

ほーら、みんなのほほんを祝福してくれてるぞー(棒)。

 

「こ、こんなの……」

 

歓声の中、のほほんが俯いてプルプル震えだした。どうした? あまりの嬉しさに震えてきたか?

 

 

「こんなの絶対おかしいよ!」

 

・・・・・・

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

こうして全学年合同タッグマッチは、最後にのほほんが全てを掻っ攫う形で終了した。

ちなみに『優勝ペア予想応援・食券争奪戦(トトカルチョ)』だが、簪・のほほんペアに張ってた連中はそれなりに儲けたらしい。まぁ倍率はさほど高くなかったから、大儲けした奴はいなかったみたいだが。

 

それと、のほほんは生徒会長就任を辞退した。

 

「嫌だよ~! 生徒会長になったら、お昼寝も満足に出来なくなっちゃうよ~!」

 

と、涙を鼻水を垂れ流しながら全力拒否。ある意味女を捨ててるんだが、そこまでしてやりたくないか、生徒会長。

 

「簪ちゃんとの真剣勝負だったのにぃ……」

 

「本音の馬鹿ぁ……」

 

その後、保健室で目を覚ました楯無さんと簪は、事の顛末を聞いて落ち込んだ。

 

 

「宮下君、どうしてあそこで降参したのぉ!?」

 

「そうだよぉ、あのまま戦えば勝てたかもしれないのに!」

 

俺は俺で、のほほん相手に降参したことを責められていた。主に俺と楯無さんのペアに賭けてた連中から。

うん、今回に関しては俺もちょっとお遊びが過ぎたと思ってる。だから正座は許してくださいません? そろそろ足が……。 あっこら突くな! マジでヤバいん――あふんっ




キャノンボール・ファストに続いて、今回もギャグエンドになっちゃいました。最初は更識姉妹のガチバトルになるはずだったんですがねぇ……のほほん、やってくれたぜ。

さて、次回から新章になります。原作通りだとワールド・パージ編ですが、現状束が仕掛ける意味が……どうしましょうね?
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