俺と契約して、ブリュンヒルデになってよ!   作:シシカバブP

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ここでオリチャー発動!
インターミッション的な感じで本編足踏み状態になりますが、お付き合いいただければと思います。


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第81話 似てるようで、違う世界


「なぜそこで諦めるのですか!?」

 

「なしたのシギュン?」

 

何もない空間で突然嫁が怒鳴っていたら、僕じゃなくても疑問に思うだろう。

 

「あの男、一夏様を英雄にするという崇高な使命をなんだと思っているのですか!」

 

「いや、全然崇高じゃないから」

 

最近、自分の嫁が何言ってるのか分からない。助けてアングルボザ(もう一人の嫁)

と、怒りで我を忘れてるシギュンを止めずに放っておいたのがまずかったんだろう。

 

「あっ」

 

シギュンが振り上げた拳が近くの水球――外史――にぶつかり、その反動で水球が別の水球に――

 

「ちょぉぉぉ!?」

 

慌てて動いたけど、時すでに遅し。水球同士がぶつかり、ほんの一時とはいえ、二つの外史がくっついてしまったのだ。

 

「私、やっちゃいました?」

 

「なろう系なんか目じゃないくらいやっちゃいましたよ馬鹿ぁぁぁ!」

 

シギュンはやべって顔してるけど、それどころじゃないくらいヤバいよ!

 

「二つの外史がくっついちゃったら、片方の世界にもう片方の世界のものが流入しちゃうんだよぉ!」

 

「なんだその程度ですか。それなら今回だってやってるではないですか」

 

「意図的にやるのと偶然やるのとじゃ、全然意味合いが違うんだって! 最悪、主神から今までにないくらい大目玉……」

 

リクが外史・ISに持ち込んだ諸々だって、機械が優越する世界だから許可されたんであって、これが魔法だの魔術だのを持ってくとか言ったら一発アウトになってたはずだ。つまり、今回くっついた世界が機械と魔術、性質が全く違う世界同士だったら……。

 

「ま、まずいですわ……」

 

ようやっと事の重大さに気付いたのか、シギュンの顔も青褪めた。って、今はそれどころじゃなくて!

 

「急いで影響確認しないと!」

 

「そ、そうですわ!」

 

シギュンと手分けして、さっきくっついた水球を確認する。……良かった、機械と魔術の融合とか訳分らん事態だけは避けられた。けど、これは……。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

「んん……」

 

何故かいつもと違う感じがして目が覚めた。あれ? 私、制服着たまま寝ちゃってた?

 

「昨日は……」

 

眠気眼で寝る前のことを思い出す。確か昨日はタッグマッチが終わって、お姉ちゃんと一緒に本音を恨みつつ保健室を出て、それから……

 

「ダメ、思い出せない」

 

とにかく起きようと立ち上がると、起きた時の違和感がさらに強くなった。

……なんか、部屋のレイアウトが微妙に違う?

二つくっ付いていたはずのベッドは分かれていて、陸が使ってる机の上には、最近まで弄ってたはずの機材類が何もない。

 

「んん……」

 

と、もう一つのベッドから声がして、私は視線を向けると同時に

 

「……えっ?」

 

固まった。そうしてる間に、向こうも欠伸をしながらこちらを向いて

 

「ふわぁぁ……へっ?」

 

固まった。そして

 

 

「「ええぇぇぇぇぇぇっ!?」」

 

 

私と、()()()()()()がお互い指さしながら叫びあっていた。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

「……」

 

「……」

 

「どういうことなの……?」

 

私達を前に、お姉ちゃんが鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていた。

 

 

大声を上げた後、寮監の織斑先生がやってきて絶句。その後お姉ちゃんが呼び出され、そしてさっきのお姉ちゃんである。

 

「簪ちゃんが二人って、一体全体どういうこと?」

 

「それは私が聞きたい」

 

「Me too」

 

「そこは息ぴったりなんだな」

 

横で織斑先生が呆れているが、ぴったりになるしかない。だって私も向こうも、どうしてこうなったら知らないだろうから。いや、もしかしたらだけど……

 

「あの、質問いいですか?」

 

「何かしら?」

 

「今このIS学園に、男性操縦者は"何人"いますか?」

 

「はい?」

 

質問されたお姉ちゃんが呆けた声を上げる。けど、この回答如何によっては……

 

「そんなの、()()()()()()()()()に決まってるじゃない」

 

「ああ、やっぱり……」

 

その回答で、私は納得した。出来てしまった。

 

「お姉ちゃん、いえ、楯無生徒会長。貴女の妹はそっちの更識簪です」

 

「え?」

 

名指しされた向こうの、もう一人の私が驚いた顔をしてこっちを見る。

 

「えっと、それじゃあ貴女は……?」

 

「信じてもらえるか分かりませんが……」

 

 

 

「私は、平行世界の更識簪のようです」

 

 

 

そうなるだろう。なにせこの世界は、"陸がいない世界"なんだから。

 

「平行、世界?」

 

「本気で言ってるの?」

 

もう一人の私と楯無さん――この世界では私のお姉ちゃんじゃないから、この呼び方にする――が信じられないって顔をしてる。けど、そうじゃないとおかしい。

 

「本気ですよ。だって私のいた世界では、()()()()()()()()いるはずですから」

 

「なんですって!?」「なんだと!?」「一夏、以外にも?」

 

私の発言に、三者三様に驚く。やっぱり、ここは私の世界じゃないんだ。

 

 

――♪

 

 

そんな中、私のスマホから着信音が鳴りだした。

 

「……出てもいいですか?」

 

「え、ええ……」

 

一応許可をもらって、ディスプレイを確認。登録なしの番号だけど、この番号、見覚えがある。

 

「もしもし?」

 

『ごめんちゃ~い!』

 

聞こえてきたのは、文言こそふざけてるものの、声質はすごく切羽詰まってる謝罪だった。そしてこの声にも聞き覚えがある。陸を私のいる世界に送り込んできた神様(ロキさん)だ。

 

「やっぱり今回の件、そちらが原因でしたか」

 

『ホンットごめん! シギュンが外史同士を誤ってぶつけじゃって、カンザシだけが別の外史、平行世界に移動しちゃったんだよ!』

 

「ええ~……」

 

そんな簡単に平行世界を渡る事故が起こるとか、管理体制どうなってるの?

 

「それで、私はいつ元の世界に戻れるんです?」

 

『今再調整してる真っ最中。そっちの世界時間で、2,3日ぐらいで戻れる計算だよ』

 

「つまり、2,3日はこのままと……」

 

一応ちゃんと戻れる目途が立ってるからいいけど、2,3日は陸と離れ離れかぁ……。

 

「分かりました。出来るだけ急いでくださいね?」

 

『分かってるよ! 僕らも主神に怒られたくないからね! それじゃあ!』

 

よほど急いでるのか、こちらの応答を聞く前に通話が切れた。神様ってこんななのかぁ……。

 

「誰からだ?」

 

「今回の件を起こしたヒトからです」

 

「はぁ!?」

 

今度は織斑先生が、豆鉄砲を食った顔になった。

 

「まさか、相手は束か!?」

 

「いいえ、篠ノ之博士じゃないですよ」

 

「なっ! なら、あいつ以外にもこんなことを起こせる奴がいるのか……!?」

 

「そうなりますね」

 

まぁ織斑先生視点なら、こんなトンデモ事態を引き起こせるのは篠ノ之博士ぐらいだろう。正直私も、ロキさん達じゃなかったら次点で疑ってたくらいだし。ちなみに3番目が陸のやらかしによるGNコンデンサーの暴走事故。

 

「それで、元の世界に戻れるまで2,3日掛かるらしいので、それまで学園に置いてもらうことは可能でしょうか?」

 

別世界である以上、私の居場所はどこにもない。なら、事情を知ってる学園にいる方が安全だと思って織斑先生に聞いてみた。ダメなら、その時考えよう。

 

「2,3日? その日数の根拠は?」

 

「さっき話した、今回の件を起こしたヒトからの申告です」

 

「う~む……どうしたものか。お前は更識妹であって、更識妹ではない。だが……」

 

「いいんじゃないですか?」

 

「更識姉?」「お、お姉ちゃん?」

 

織斑先生ともう一人の私が、驚いた顔で楯無さんの方を向く。

 

「ここで追い出したら、簪ちゃんと同じ顔の人が学園外をうろつくことになります。それはあまり良いとは言えません」

 

「確かにそうだが……仕方ないか」

 

楯無さんの説明に納得したのか、織斑先生はため息を一つついて

 

「お前の身柄は学園が預かろう。ただし、更識妹と同じ顔のお前が学内を動き回ると混乱が起こるだろうから、どこかに行く際は更識姉の同行を必須にさせてもらうぞ」

 

「分かりました。それで十分です」

 

監視の意味合いもあるんだろう。その程度は仕方ないと割り切れる。

 

「お手数おかけしますが、よろしくお願いします、楯無さん」

 

「うぐっ! 違うって分かってるのに、簪ちゃんと同じ顔で他人行儀な呼び方されるとダメージが……」

 

「お、お姉ちゃん……」

 

どうやら私の言葉の矢が刺さったらしく、胸を押さえる苦しむ楯無さん。それを微妙な顔で見るもう一人の私。

 

「うぅ……それで、貴女のことは何て呼ぼうかしら? 貴女も名前は"簪"なんでしょう?」

 

「そうですね……」

 

少し考えて、いい呼び方を思いついた。

 

 

「私のことは『宮下簪』って呼んでください」

 

 

元の世界で呼ばれるのはまだまだ先だろうけど、予行練習にはちょうどいいかも。




はい、2次創作でよくあるネタ、平行世界転移です。ただ、今回は簪だけに行ってもらいます。だって本作のオリ主が行っても新鮮味なんてないですし。

とはいえ、オリ話を長々と書いてもあれなので、他章よりは短めで終わる予定です。(ただし予定は未定)
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