どうしてこうなったんだろう……?
別世界でも全く構造が同じIS学園の第4アリーナで、私は打鉄弐式を展開していた。目の前には、1年の専用機持ちが7人。壁際には、織斑先生と楯無さんもいる。
「それじゃ、アンタの実力を見せてもらうわ!」
「簡単に倒れてくれるなよ?」
こっちの世界の凰さんとボーデヴィッヒさんが、すごい好戦的なセリフを言いながら武装を展開して砲口をこちらに向けてくる。
もう一回言う、どうしてこうなったんだろう……?
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事の起こりは、生徒指導室で織斑君に私のことがバレたからだ。
「ち、千冬姉! これって一体「織斑先生だ(バシィンッ!)」ぐあっ!」
狼狽する織斑君の頭に、容赦なく出席簿が落ちた。織斑先生の主武装は、平行世界共通なんだろうか。
「仕方あるまい……更識姉、他の1年の専用機持ちを呼んでくれ」
「他の子達にも教えるんですか?」
「ああ。織斑に知られた以上、情報が漏れるのも時間の問題だからな。なら、最初から教えて口止めしておく」
「ああ、なるほど……」
その説明で納得した楯無さんが、ISの通信機能を使って他の専用機持ちを呼び出してから大した時間もかからずに、一夏ハーレムの5人とカンザシさんがやってきた。
「か、簪が二人!?」
「双子だったなんて話は聞いておりませんが……」
「ドッペルゲンガーとかじゃないよね……?」
生徒指導室に入ってきた瞬間、驚いた表情で私とカンザシさんを見比べるハーレムの面々。そしてデュノアさん、ドッペルゲンガーは酷いと思う。
そんなみんなに、織斑先生が寮の部屋で話した内容の一部を簡潔に説明する。
「平行世界の簪か……」
「織斑先生の説明を聞いても、まだ信じられないわ……」
「だが実際に目の前にいる以上、信じざるを得ないな」
「ところで宮下、でいいのか」
みんな頭の整理が追い付いてない中、ボーデヴィッヒさんだけがこちらを見ていた。
「お前も専用機を持ってるのだったな。なら、一つ勝負を挑みたい」
「ラ、ラウラ? どうしたんだ突然」
「平行世界のISとやらの性能が気になってな。是非とも勝負してみたくなった」
「それ、あたしも参加したい!」
「僕も、ちょっと気になるかも」
「え、ええ?」
何この一夏ハーレム、血の気が多くない? 気づけば、織斑君以外の全員がやる気になってるし。
「いやみんな、いきなり勝負「いいだろう、許可する」織斑先生!?」
「私も気にはなっているからな。宮下、悪いが付き合ってもらうぞ」
「ええ……」
織斑先生……その言い方、拒否権がないですよね……。
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という流れで、半ば強制的に模擬戦をやる羽目になったわけで。
「大体は、私の打鉄弐式と同じっぽいけど……」
「ミサイルポッドと右腕部に、装甲が追加されてるわね」
凰さん、それ装甲じゃなくて、GNファングとメメントモリ。わざわざ教えたりしないけど。
「では、宮下にはヒヨッコ共と順番に戦ってもらう」
「あ、やっぱりそうなりますか」
「なんだ。7人全員と一度に戦いたかったか」
「それはちょっと……」
今の打鉄弐式はGNドライブを外したままで、代わりのGNコンデンサーもお姉ちゃんと戦ったからGN粒子の貯蔵量が半分以下になっている。さすがにこの状態で1対7はしたくない。
「なら、最初は――」
「私が出ます」
そう言って一歩前に出てきたのはボーデヴィッヒさんだった。
「シュヴァルツェア・レーゲン相手でどれだけ保つか、見せてもらおうか」
「はぁ」
ニヤリと笑うボーデヴィッヒさんに対して、私は微妙な顔で夢現を構える。どうやら向こうは、私を簡単に御せると思ってるらしい。
なら、教育してあげよう。陸が生み出した、この打鉄弐式で。
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「そ、そんな馬鹿な……」
「強い……」
「何よあのIS、反則過ぎるわよ……」
「ベースは同じ打鉄弐式のはずなのに……」
「おかしいですわ。何ですのあの機動は」
「僕もセシリアも、全然弾が当たらなかったもんね」
「俺なんか、1回も雪片弐型を振る前に落とされたぞ……?」
みんな各々言ってるけど、私を倒すには、まだまだ足りない。
織斑君は直線機動ばかりで、突進癖が抜けてない。
篠ノ之さんは相変わらず、機体性能に振り回されてる。
オルコットさんは並列思考ができてないから、ビット操作中は動けない弱点がそのまま。
凰さんは安定した強さだけど、攻撃パターンが単調になりがち。
デュノアさんは単純に、機体性能の差。
ボーデヴィッヒさんが一番強かったけど、1対1だからってAICを過信し過ぎ。
カンザシさんは、山嵐が未完成なせいで総合的に火力不足。
そんな感じだから、ヒット&アウェイ戦法でGNファング抜きでも完封出来てしまった。
おかしいな。こっちの世界の方が亡国機業や無人機の襲来が多くて、実戦経験も豊富なはずなのに。元の世界の織斑君達の方が強い気がする。
ちなみに今思ったことを各々に伝えたら、全員崩れ落ちた。そ、そこまで打ち拉がれるような事言ったかな……?
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「まさか、ここまでとはな……」
「一夏君達も特訓を積んでるはずなんですけど……」
私が作った訓練メニューに取り組んで、みんな強くなっている。それでも……
「だが結果は、あの薙刀とミサイルだけで圧倒されたわけだ。平行世界のISは恐ろしいな」
「あの打鉄弐式が別格なんだと思いたいですけど」
各国が心血を注ぐ第3世代機……箒ちゃんに関しては第4世代機だけど、それを完封する機体をほぼ個人で作るとか、頭おかしいでしょ。
「それで? お前も戦ってみるか?」
「そのつもりです」
「ほう?」
織斑先生に言われるまでもない。あの子はまだ、全力を出していない。なら、私が出させて見せようじゃないの。
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専用機持ち7人抜きをして終わったと思ったら、ラスボスが現れた。なして?
「そんなわけで、最後の私と戦ってもらうわ」
「何が『そんなわけで』なんですか……」
やっぱり平行世界だろうと、お姉ちゃんはお姉ちゃんらしい。
そうして全く説明がないまま、世界は跨げど日はほとんど跨がずにミステリアス・レイディと対峙している。
「さあ、全力でかかってらっしゃい」
「全力で、ですか?」
「ええ。貴女の全力を出したデータが欲しいのよ。だから協力して?」
「はぁ」
全力かぁ……確かにさっきの模擬戦は、全力とは言い難かったけど……。
「なーんて、嫌でも出してもらうわよ」
「……分かりました。全力ですね」
そこまで言われたら仕方ない。私はため息をつきつつ、開始の合図とともに
「メメントモリ、起動」
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
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「お、お姉ちゃ~ん!!」
カンザシさんが、ヤムチャになった楯無さんに走り寄る。大丈夫、開幕メメントモリを受けて気絶しただけだから。
「これは酷い……」
「ああ……」
「もしかして、一夏より保たなかったんじゃないの?」
「うん。試合時間、8秒だって」
「うわぁ……」
頼まれた通り模擬戦したら、みんなにドン引きされたんだけど……。解せぬ。
「それで、模擬戦はこれで終了でいいですか?」
「あ、ああ……協力感謝する」
織斑先生がそう言って、模擬戦(織斑君達は蹂躙とかコソコソ言ってる、解せぬ)は終了した。
その後はオルコットさんとデュノアさんが、ヤムチャしてる楯無さんを保健室に運んだんだけど、ここで私はふと気付いた。
「私、この後どうすれば?」
確か寮の空き部屋に移動するはずだったけど……楯無さんが動けなくなったら、誰が案内するの?
結局、保健室送りになった楯無さんの代わりに、カンザシさんに案内してもらうことになった。
そして案内された部屋なんだけど……
「ここが、貴女にいてもらう部屋……」
「……」
「どうか、した?」
「ううん。まさかこの部屋だとは思ってなかったから」
「?」
案内された部屋は1032号室。奇しくも、元の世界で陸と過ごした部屋だった。
原作世界にチート機をぶち込むとこうなります。本作世界では宮下製相手に模擬戦を続けた結果、一夏達も(特に精神面が)強くなってます。大体こんな感じ。
簪(全力)>楯無≒簪(モンド・グロッソ仕様)>本作ハーレム達≧本作一夏≧原作ヒロイン達≧オリ主、原作一夏
実はそんなに強くないオリ主。ただし、キャノンボール・ファストの時のように不意打ち上等の場合を除く。
本作一夏が原作より強いのは、フェイントとかを使い始めたから(という設定)。
というかですね、原作だと一夏がヒロイン勢にISで勝ってるシーンが少ない気が……。機体相性でセシリアぐらい?