「珍しい奴がまた来たもんだ。いやほんと、ヘルメスの奴からはワシなんも聞いとらんのだが?」
そこはオラリオからそう遠くなく。
しかしてわざわざ人が訪れるとは思えない辺鄙でなんの特徴もないありふれた村落に少女はいた。
「人の生活がある場所なのに静かで良いところね」
肩には旅の途中で手に入れた木製のトランクを。頭を覆う白い広帽子は真上から降り注ぐ強い日差しは視線を遮り影を作っている。
全体的に華奢な少女に汚れは見えず、世界を回り歩く旅の者というよりは住み慣れた地を離れ逃避行をする名も知らぬ位の高い出身者と評した方が納得できる。
どうやらそんな他とは違った存在感をその場に立っているだけで感じさせるのは、少女と話をする老人を始め、日々農作業に励み簡易な装いが目立つ農村の何処でパーティにでも招かれたのか、場違いに洋服を身に付けているだけでは無さそうだ。
視界にぽつぽつとまばらに建つ家屋。
立派な麦畑をはじめとした畑群。
家屋の真ん中に作られた井戸。
人の営みを感じられるが、風景には人影はない。
「ヘラにバレるとまずいからの」
「また何かやったの?」
「心外だの。共犯者同士じゃろうに」
ああ、そっちの方かと少女は一瞬だけ意識を言葉の主に向けるがまた麦畑に戻す。肌を撫でる感覚、なびく彼ら、その双方で気ままな風の居場所を知覚する方が大事だと言わんばかりに。
放っておけばそのまま風につられいつの間にか消えてしまいそうに。病的ともとれるシミひとつない白き肌と生への執着を感じさせない冷めた眼。そんな見るものたちを儚く思わせる希薄さ。人によっては彼女は人間離れしていると取るのだろうか。
「せっかくきたんじゃ。会ってきなさい」
老人の態度は変わらない。
まるで昔から知ってるかの様に。何事もないと淡々とした口調だった。
他から見ればおじいちゃんと評される年老いた農夫の後をついてゆく。
村の中に入れば人が目についた。
どれも老人と同じ様な服装を身につけ畑仕事に勤しみ家畜の世話をしたり時々コチラに声をかけてくると老人が手を振り返す。
珍しくもない。人の集団生活ではよく見られる光景だ。何を言うわけでもなく自然と行われる所作は老人と村の人々が良い関係を築けている事はわかる。
「あの子達はアナタの眷属?」
「いんや、儂がここに来てから知り合った連中じゃ」
途端に興味が薄れたのか人に合わせていた視線を逸らす。老人も察してかそんな態度な少女を咎める様に諭す。
少女は聞き流すだけ、
関心がないから。
会話の最中も歩みは止まることはない。
腰くらいの柵へと飛び乗り、前へ前へと飛び移る。次々と柵上を進み進んで軽やかな足はある柵でピタリと止まる。
地上から遥か彼方に広がる青を見上げて
「世界は英雄を共めてるわ」
少女の口調はいつも通りに淡々としていた。
感情と表情に色は見えず。
空にただポツリ、空いた顔の隙間からそんな音を漏らす。
空は広い。
少女の言葉は直ぐに飲み込みかき消える。
老人は何も言わない。
いや言えなかったのだろうか。
もはや抱えていた英雄達は居らず。先の大規模な討伐クエストでこの世を去ったものは多い。もはや再び三大クエストに挑む力を老神は持ち合わせていない。
そしてこうして人気の無い農村で老後じみた営みを送っている老神を表すとするならばそれはなにか?敗者か先駆者かなどという言葉はオラリオの惨状を見れば想像する事は難しいことではない。
まぁ、それは片翼を務めていた少女の派閥もそうであるが、そんな人の
少女の声は老神を鑑みれば辛辣な音だっただろう。
ただなまじ本人も乗り気になっていただけにアテが外れガッカリしたかもしれない。それは少女のみが知る事だ。
「んでどうじゃった?」
「どうって?」
「ヘラの所に寄ったのではないのか?」
要領を得ない顔つきで返答していた顔が晴れた。そうして老人の問いを理解すると少女は同時に頷く。
「凄いね。神様というのはそんな事も分かるものなの?いや、人もそうか...たまに私の考えを先回りして読んでくることがあるし」
決して呆けているわけではない。
これが彼女の平常運転。
知ってる事を隠している訳ではない。
聞かれなかったから話さなかっただけで特にそれ以外の感情を基本的に持ち合わせてない。ならもしそんな彼女から突拍子もなく自発的に話題を持ち出す事があるとすれば...それは彼女にとって大事な事なのかもしれない。
「んな事はない。現に儂にはお主を覗くことは出来ておらん。本当に不思議な子だとも。人の子だと言うのに他の連中を相手しているようじゃ」
「ならどうして分かったの?」
疑念のない澄んだ純粋さは大いなる真理に近づける。日常生活で何気なくやり取りされる動作や思考。目の前で起こる現象。何度も訪れ繰り返される行為を受け入れ考えを放棄する事は珍しくない。
いい機会得た老人も思考してみる。
考えをまとめるその間が一呼吸を置き、老人は答える。
「こういう事は改めて聞かれると困るの。まぁ言うなれば感じゃろうな」
その解は少女を納得させるには赤点だったらしい。また少女の頭に疑問が生まれた。そしてこれ以上会話しても益を得ないと理解した少女はこの話題に直ちに蓋をした。
老人の背後を少女は歩いていた。
先程とは反対。
あれから少女がもう喋る事はなかった。
背後で口を閉ざした少女を見て老神は彼女とは別の感想を抱いていた。それどころかもはや期待しないとばかりのオーラを漂わせているではないか。
答えを急ぎすぎるのは若さからか。
でも人生にはそんな時もあるものだ。
揺れ動き己自身に振り回されている少女をみて微笑ましいと笑みを作ったが、すぐさま顔を振ってその跡を消す。少女がそんな表情を見ればさらに機嫌を損ねるのは火を見るよりも明らかだったからだ。
「ヘラは元気にしてたか?」
「・・・あれからも相変わらず君を探してるみたい。でも彼女達の最期を見届けるまで、ヘラはあの場所からは動けないだろうね」
「ふむ。ありがとうな」
「なんで?」
いきなりお礼を言われて少女は頭をコテンと傾ける。
「お主が黙ってくれているおかげで儂はこうしてここに居られるじゃろ?」
「アナタの為ではないわ」
ピタリと止まった前に釣られて少女の足もまた止まる。2人の足が止まる頃、一軒の家にたどり着いた。
「人の成長は早いね」
村についてから一週間が経つ頃、少女は草むらの上に無造作に置かれた大きな石に座って動き回る人影を見ていた。熱は下から少女を温める。それは日差しによって適度な温度に温められて心地よく、このまま体を倒せばよく眠れそうだと思った。
生い茂る緑とは違った白い物体は視界の中を右往左往。その特異色は嫌というほどに目立っていた。
「はい。お姉さん」
返事を待たずして手に押し付けられる。そうやってたまにこちらにやってきては物を置いてまた元居た場所に戻っていく。
今日何度目だろうか?ずっとその繰り返しだ。
でも頑張りもあって何もなかった石の上にはどんどんにぎやかになる。が、そのどれもがおおよそ人にガラクタと呼ばれる類であるのは少女でもわかった。
変な形の石。丸く整った石。
赤い野花に黄色の野花。
手の中で動き回る虫。
半分まで閉じられた手を眺め終えると完全に開く。
蝶々はそそくさと手から離れ空へと向かう。
その姿をまた眺めてはふとあくびが漏れた。
子供の姿はもう見えなくなっていた。
あと少しすれば日が暮れるだろう。
今日もまた書き留める事もない変化の無い日々だとも。
「ヒィーー!!」
子供特有の高い声に閉じた目を開く。
声の方に起き上がればあの去ったはずの子供が走ってこちらに向かってくる。背後に草花や土を巻き上げながら走者みたく手が綺麗なフォームを描きながら全速力でこちらに向かってくる。
何かを見つけたのだろうか?
あんなに急いで。よほど良いものでもあったのか。
否、見つかったのは子供の方。
土煙は子供が起こしているのではなかった。
近づくにつれて明らかになるフォルム。
正体は野生のイノシシ。だが、侮る事はできない。そいつは通常より何倍も大きく子供を丸呑みするくらいは容易かろうと想像できたからだ。
遥か昔にモンスターだったものが外で弱体化。いくつかの代を重ね多少の原種帰りを果たし本来の姿形を取り戻したとみえた。
「お姉さん!!逃げて!!」
その場から離れる事を勧告してくる子。
少女は立ち上がる。
逃げるためではない。
振り返る事なくむしろ前に歩き出す。
「連れてきてくれてありがとう。ちょうど今日は肉が食べたかった所よ」
日が暮れると自分の寝床である家を目指して帰路につく。
なんでも子供は夜に出歩いてはいけないらしい。
人の世の常識というやつだと隣の子供に教えられた。
だから少女は子供と共に家を目指してゆく。
子供との会話には既視感があった。
頭の中の引っかかりは気分的にあまり良くないもの。
____もうミラさんまでこんな暗くまで出歩くと危ないんだからね。
__危険?ふっ...1級冒険者なんだぞ。気にする事か?
__お姉ちゃん!!そう言う事じゃないの!!
既視感を覚えたのは無理もない。
現に確かに少女は過去において近い経験をしていた。
少女の中では比較的新しい記憶。
それは住み慣れた場所。
その場所に居たはずの親しみ深い顔達。
一緒に自分は席に座り机を囲い食事を摂る。少女にとってはそれこそ短時間に何度も繰り返されてきたはずの当たり前だったはずの光景。
少女の頭には引っ掛かりはなくなっていた。
歯車が互いに噛み合い負荷なくスムーズに回るみたく先程までより軽いまである。疑念が晴れ、つられて表情が和らぐのは自然の事だろう。少女の顔色は無表情ながらもその口元は少しばかり弧を描いている気がした。
家に近づいてくるといい匂いがする。
入ればその匂いが一段と強くなった。
「おお、帰ってきたか。夕飯はまだ少しかかるから先に風呂に入りなさい。いや、今日は儂も一緒に入ろうかな?」
土のついた手先をみて老人は告げる。
これも何度目かのやりとりだ。
「ヘラから話は聞いているわ。女なら見境の無い変態だって」
「・・・おじいちゃん」
「ええい!!2人してそんな目で見るんじゃない!!
ベルよ。いつも言っておるであろう。男とは積極的でなければいかんと!!」
鍋をかき混ぜながら熱弁する姿は一種の狂気。
「変な事されたらヘラに必ず言う様にって言われてるのだけれど...これは変な事かしら?」
「うん。変な事だと思うよ」
「ベルや!?さーせん調子に乗りましたマジで勘弁してください」
その部屋の広さはそこまで広くはないかと言って狭いわけでもなく、でも流石に大人二人では狭いだろうくらいのそんな広さの部屋。
どうして一緒に入ったのかはわからない。
老人に勧められたから?いや老人の気遣いがなくとも少女は特段と気する事なくいつかは一緒に入っただろう。
幼子の扱いは慣れたものだ。
自分ではまだ乱雑で洗い残しがある髪を背後から手伝ってやり、1人で洗う事のできない背中もそのついでに綺麗にする。石鹸なんてものがこんな田舎の家にもあるものなんだと、旅では水浴びが基本だった己の旅路と今を照らし合わせる。
宿に泊まっても場所によっては石鹸はなく。
むしろあるという事が珍しい方で。
そうした場所というのは決まって建物は大きく個室で浴室がついた快適な部屋。しかし払うものが出さなければ途端に手ぬぐいと水桶のみとくれば人の世界とは過酷である。少女はそうしてお金の大切さを少しずつだが学んでいた。
まぁ寝ようと思えば大地に突き出る岩肌でも寝られる少女にとって宿の内装はそこまで重要ではない。フカフカのベットか岩かどちらかを選べと言われたらそれはベットであるが、そのベットや浴室を町中から探してまで泊まろうとは思わない。彼女がわざわざ寝床を指定するならば___その決め手はもっと別の所にある。
少女よりも小さな身体を洗い終えれば少女の番が回ってくる。最初は自分で洗っていたが子供がやりたいとせがむので任せることにした。
子供は一生懸命に洗う。
己に行ってくれた様に丁寧に。
村には自分以外の子供はおらず、共に住むおっさんの身体を洗うことはあっても大人と比べるとまだ自分に近しい子供相手となると経験はなかった。いつも見る背丈よりもだいぶ小柄でありながら流石に自分よりかは倍くらいある大きな身体。だとしてもその変化など些細なものだろう人間の背中であることには変わりないのだから。
しかしその肌や髪はまるで違う。
例えるならば湖に均一に広がる水面を連想させた。
傷一つない身体。
これに爪傷を付けて仕舞えば誰かに怒られてしまいそうですらある。神でさえもしかすると触れるのを躊躇してしまう程の美は子供特有の行動力で突破したものの、後々になって子供は経験の無さも相まって不安覚えていた。
できる限り先ほど自身にやってくれた優しさを思い返しながら同じ様にと努力していると、ふといつもは無愛想なのにその手付きは反面穏やかであったと思い返す。少女の洗い方は自然と身を任せてしまう程に相手に不快感を感じさせないむしろ落ち着かせる慣れた一連の動作。
髪は根本から先端まで引っかかることなくサッと通る。
己の癖ついた髪とはまるで根本から違う。
腰まで伸びるそれは自分の何倍か?
白い髪色はより自分と重ね意識させてしまうが、その量に比べて時間はさほどかからなかった。
次は頭から下にいって身体。
背中を洗っているとソレは嫌でも目を引いた。
普段は衣服に隠れた素肌。何も身につけていない今でさえ伸びる長髪によって気が付かなかったが髪が分かれ露わになる背に刻まれたナニカは子供の視線を釘付けにした。
それを見て子供はただカッコいいと思ったのだ。
理由は分からないし考える素振りもない。
小さな背中にびっしりと書かれた文字の様なナニカをその羅刹にカッコいいと思ったただそれだけ。
絵を描いたことはある。
魚や人間やドラゴンを思うままに描いた。紙だけに収まらず壁や床にも描いたこともある。それが原因でお爺ちゃんに怒られたこともあるし、逆に褒められたこともある。
曰く、英雄は大きな夢を持つものだと。
英雄がなんだと子供にはよく分からないが、お爺ちゃんの語る人物はきっとそれは物語に出てくるドラゴンを倒す勇者みたいにカッコいいものだと子供はなんとなく伝わった。
背中のこれはその絵を描いている時に近しい感覚だった。
思わず手を触れてゴシゴシと擦ってみるが消えることも掠れることもない。まるで有るのが当然みたく当たり前の様に背中に居座っている。
「ん?どうしたの?」
少女は異変に気がつきその元凶が自分の背の存在だとすぐに分かった。子供のまるで憧れる様な視線を向けられれば嫌でも理解できた。
「これがそんなにいい?」
「凄い!!凄くカッコいい!!僕も欲しい!!」
「そう。もしアナタがずっと望むならいつかはその身体に刻んでもらえると思うわ」
なにがそんなに嬉しいのか。
キラキラした目ではしゃぐ子供を見やる。
不思議なものだ。
幼い子が元気に振る舞うのをみると心が安らぐ。本来であれば騒がしい場所はどちらかというと苦手なのだが、近くで騒がれても心は落ち着いている。むしろ今よりも落ち着かせてくれる気さえする。
少し前は子供が居る環境だったからだろう。
ファミリアの大浴場で2人を毎日洗わされて。幼体の世話などした事はなかったが習慣とは慣れとは我ながらも凄いものだと思う。
子育てなどと眠りを起こされ起こして自分の好きに生きてきた当初は窮屈な世界だと思ったが、隣で食事を食べれば側に誰かが居て共に在るのは意外にも悪くない。料理やら洗濯やらも学ばされて結果として現在で己に役立っているのだから人生学んでなにが役立つかとは分からないものだ。
身体を洗い終えれば浴槽に浸かる。
本来なら1人で入ったほうが浴槽も広く使える。子供2人分とはいえ元が大人1人分の浴槽だから余裕はあまり無い。せっかく溜めた湯も2人が入ると溢れ出す。
そんな不自由なの事を不快に思わないのはなんなのだろうか。
この感情が母が子に抱く母性などと安易に形容はしない。
その言葉と意味は己にとって正反対であり極端。
その後も考え続けてみるも少女には分からなかった。
静かな夜に火が弾ける音がする。
世界は今日が終わったと告げるが少女の今日はまだ終わらない。
起こした火の上で己の身体程の肉をゆっくりと回す。木で作られた即席の肉焼き機に肉を上から下まで貫く串を掛け焦げないように丁寧に慎重に満遍なく回す。少女の表情と行動は淡々として無表情。しかし瞳だけは火に負けない熱が帯びていた。
一瞬の早さも遅れも許されない。
食材にはベストなタイミングが存在すると言わんばかりの集中力。隣に座って興味深そうに眺めていた子供は儀式が始まってからすぐに眠ってしまって現在は家のベットの上に送り届けられた。
少女の今日はまだ続いている。
「で?あれからレベルは上がったのか?」
子供を送り届け終えた老人が代わりに隣に腰掛けると尋ねる。
「いや、最近はダンジョンに潜ってないから上がってないと思うよ。忙しそうだったから更新も結局やらなかったし」
興味なさそうに少女は本命の片手間に答える。
冒険者ならば一喜一憂する話題にさえこの反応。本当に冒険者をやっているのかと疑いたくもなるが、これでも一応は最強ファミリアの幹部を担っていたのだから人は見た目では判断できないとはよく言ったもの。それは村人の老人Aにしか見えないこの神にも言えることではあるのだが・・・しかしダンジョンにすら潜ってないとくると重症ではなかろうか。
ならば次は残存するオラリオの最高戦力の内の1人であろう人物の動向に興味が移る。
「私?そうね。貴方達が居なくなってからはフレイヤの所だったりオラリオから出る前はアストレアの所にも呼ばれていたわね」
ヘルメスからフレイヤや主要なファミリアの情報は得ていたがこうも手が早いとは。主人が遠く離れフリーで活動する状況をあの女神が放って置くとは考えられなかったがあれだけ苦渋を飲まされて懲りないのか。いやそれよりもだ。
「・・・それヘラには言ったか?」
当たり前の事だと平気そうな顔でホイホイとついていく平和ボケしたエルフに白い目を向けるのは仕方がない。
「??聞かれなかったし、言ってないけど?心配しないでフレイヤはいい子よ。美味しい食べ物だって好きなだけ食べていいって言ってくれるし、ベットもふかふか。この服も旅に出る前にフレイヤがくれたのよ」
着やすくて気に入ってるのと服の袖口つまみパタパタと扇ぎ自慢する少女になんとも言えない顔となる老人。
「あぁ確か会った時に興奮して抱きしめられてなかなか離してくれなかったんだよね。途中から服の匂いずっと嗅がれたし、、、ヘラのアレなんだったんだろう?」
その後すぐに風呂に入る様に言われ一緒に入ったそうだ。
「旅してた訳だし臭かったんじゃろ」
適当に理由をつけて少女に道を作り己は視線を外し目についた肉をみる。
老人はこの話題について早々に切り上げることにしたのだ。日頃ヘラから追われ続けていた老人だ。なにかそこに女達の値の知れない触れてはならないナニカを感じ取ったのだろう。
「まあなんだ、お主も苦労しとるんじゃな...」
不思議そうに頭を傾ける純粋な少女に老人はどうかこのままでいてくれと心の中で祈る。偶然にもその日は星が満開の晴れた夜空だった。
オレたちの戦いはこれからだ。