英雄の夜明け、古き時代の終焉   作:シャッチトムソン

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こっそり投稿してもバレへんか


女神の眷属

 

辺りにコツンコツンと足音が反響する。

辛うじて光が差し込む薄暗い洞穴は外と比べるとヒンヤリとしており、むき出しの岩やゴツゴツとした地面に目をつむれば外で過ごすより快適かもしれない。

 

洞穴には足音の主。

1人のエルフが奥へ奥へと向かう。

 

洞穴を進むと開けた空間が広がり、洞穴の最深部だろうか?もう奥へと続く道は無く、壁が立ち塞がる。

 

広々とした奥行きのある空間。

奥深くには黒いシルエット。

全貌は定かではない。が、呼吸をする様な規則的な動きが生き物である事はわかる。巨体は立ち上がれば天井に届くだろうか?エルフなど簡単に踏み潰されてしまいそうだ。

 

エルフは息を吐き決心を固め、真剣な顔つきで黒い影に向かって一度止めた足を動かす。暗がりに慣れていく目、縮まる距離は僅かな光を拾って黒い影の全貌を明らかにしていく。その存在は黒とは真反対、翼をたたむ白い鱗を纏った竜種。

 

しかしその龍は他の飛竜種とは骨格も何もかもが全く違っていた。その中でも大きな違い、特徴はなんといっても胴体から伸びる長い首。それは童話や本に出てくるおとぎ話の存在、伝説に登場するドラゴン。

 

龍も自らの空間に入ろうとするエルフの存在に気づいたのだろう。丸めていた長い首を足音のする方に向け、閉じていた目蓋を開くと暗がり中に赤い点が二つ。その赤はエルフの姿をじっと捉える。

 

龍の行動は敵か味方か、侵入者であるエルフが自分の害となるかを見極めるかの様だった。

 

エルフの命運は出会ってしまったその時から龍に掴まれた。その気になればあの大きな口で呑み込まれてしまうだろう。

しかしエルフは目的の為に歩みを止めない、止めるわけにはいかない。

 

出会いは決して不運などではない。

エルフの目的は白き龍に会うことだった。洞穴を訪れたのもその為、エルフはここに龍が居ることを知っていたのだ。

 

そんなエルフを認めたのか、それとも単に興味を失ったのか、龍は再度眠りにつこうと首を丸める。

 

 

それを許さない者がいた。

エルフだ。

 

 

エルフの制止の声が洞穴に反響し2重3重に鳴り響く。

エルフの言葉を理解しているのだろうか?龍もまた眠りにつくのを中断すると今度は丸めた体を完全に解き、たたんだ翼を広げ、立ち上がる。それだけの行動で洞穴は揺れ、土埃と砕けた小さな土塊がエルフに降り注ぐ。エルフは頭に服に降り注ぐ土汚れを気にすること無く龍を見つめ続ける。

 

頭の中に過ぎる様々な感情エルフの顔がいっそう強張る。

しかしここで止まる訳にはいかないそれは生き残った同胞と共に死を選ぶことと同義だ。

 

「小さき者よ。我に何用か?」

 

龍の問いにエルフは頷くと口を開く。

エルフは種を束ねる者として何とか保っていた威厳ある態度を崩し、地に膝をつくと龍に頭を垂れ背中を晒す。

 

「かの伝説の龍よ。眠りを妨げたこと、ここに謝罪いたします。

私はエルフを束ねる者として一つ頼みがあって参りました。

・・・飛躍した人種による他種に対しての無差別な侵略戦争、そして此度の竜大戦・・・現存するエルフも残り僅か、エルフは今、存亡の危機に立たされております。

どうか...どうかその偉大なるお力でエルフをお救い下さい」

 

エルフは途切れそうになる声を必死に紡ぎながら最後まで言い切る。姿勢はそのまま地面を見つめ続けたまま動くとこはない。

 

「エルフが滅ぶ、それもまた自然の形、我に止める道理はない。我は理、誰の味方でもなく敵でもない自然の意思。

だがお前は理にすがり、死するを生かし、運命を無理矢理にでも曲げると言うのだ。

・・・エルフの子、汝は我に何を差し出す?」

 

必然を変えようと言うのだ。簡単に納得してもらえるわけがない事など承知の上である。しかし認めてもらえなければ、エルフの明日は無い。

 

エルフは唾を飲み込み意を決する。

 

 

その小さき存在は龍がこれまでみたどの存在よりも気高く、そして儚さを覚えた。だからだろうか龍はそれを美しいと感じた。

 

 

 

 

 

 

懐かしい夢を見た

 

永遠を生きる自らにはない

限られた者が放つ命の輝き

 

 

心地よいふかふかのベットに身体を沈ませながら、目を開けば目に入る知らない天井を見続ける。上半身を起こし辺りをキョロキョロするが見覚えはない。此処は一体何処なのだろうか?と次にはクンクンと鼻を動かせばごく最近にあった見知った匂いがした。

 

 

こちらに近づいてくる足音がして少しすると扉が開きそこにはヘラが立っていた。

 

「あっ!!やっと起きたのね!!いきなり倒れるからビックリしたんだから」

 

ヘラはそう言いながらミラに近寄ると頭をよしよしと撫でる。

 

あんな出来事があり、尚且つお互い気が合ったとはいっても共有した時間はあまりにも少ないはず、、なのだがミラに対してのヘラの距離感はあまりにも近かった。そのヘラの馴れ馴れしい態度にはミラも若干の鬱陶しさと戸惑いを内心に感じた。

 

「ねぇヘラ。ここはどこかしら?」

 

戸惑いはだんだんと子供扱いされている様に思えてきてムッとなるが、頭を撫でられるという経験がなかったミラには不思議な感覚で、次に不思議な感覚は癖になりそうな心地よさに代わり、自然とその行為を受け入れつつ頭を撫でる手をそのままにミラは自分の置かれた状況をヘラに尋ねた。

 

ヘラが言うにはどうやら力を使いすぎ、疲労で倒れたミラをヘラはファミリアという自らの家の自室に運び込み看病してくれたらしい。

 

ミラはその善意にありがとうと感謝の意を示すと長居しても悪いと思い。撫で続ける手を他所に立ち上がる。

 

「待ちなさい」

 

それはミラの行動に対しての否定の言葉。

 

「貴女、冒険者じゃないでしょ?・・・その顔は冒険者の意味もいまいちわかってなさそうね」

 

「バカにしないでヘラ。冒険者くらい私も知ってる。ダンジョンに潜ってる人たちのことでしょ?」

 

「ふ〜んそう。まぁそこは重要なことではないからいいとして、ミラ貴女は私の所にヘラ・ファミリアに入りなさいな」

 

引き留めた理由はこれかと納得した。

ファミリアというモノはわからないがヘラが運営している組織みたいなものだろう。そこでミラは神は地上の者に力を与えるという話を思い出した。しかしその力は力無い者には必要かもしれないが自分には無縁のモノだろう。

 

「提案はありがたいけど、拒否するわ」

 

「なんでよ!!!」

 

拒否られる事を微塵も考えず、自信満々の顔をしたヘラはその顔を歪ませて叫んだ。

 

 

 

 

今は何時だろうか?ミラはヘラの言葉を拒否しつつそんな事を頭で考えていた。

迫るヘラと拒むミラ彼女達の話し合いはどちらも折れる事なく、ミラもなまじ介護してもらった恩を感じ、無理やり出ていく事もできず、目の前のこの女に至っては辞書には諦めの言葉は存在しないみたいで勧誘は数時間に渡って未だに続いていた。

 

 

不意にはぁ〜とヘラがため息をついた。

その反応にミラはようやく諦めてくれたかと内心ホッとしていると、今までの態度とは別、ヘラの顔には悲壮感が浮かんでいた。

 

 

やっぱりこいつは我儘でただただ図太いだけバカなのではないのだろうか?さっきまでのやり取りからそう思い始めていたミラはヘラの初めてみるその表情に興味が向いた。

 

 

「これはミラの為でもあるのよ。ミラのその力は強大すぎる。それこそ神が行使する力と同等、、いえそれ以上。事実、地上でそんな力を振るえることが何よりも証明しているわ。でもそんな過ぎた力を地上の子であるエルフの身が耐えられると思う?当然耐えられるわけがないのよ。それが貴方が倒れた原因。

貴方がどうやってそんな過ぎた力を手に入れたのか私には見当もつかないけれど、でもその力を使い続けた結末はわかる」

 

それは意外にも悲壮感を表した顔だった。

そしてその気持ちの矛先はミラ。

 

自分に対して憐れむモノがいる。その様な感情をまさか自分に向けてくるなど、それこそ思ったことも考えたこともなかった。

 

「それに私と貴方って結構似てるからなんとなく分かるわ」

 

「何を言い出すかと思えば、、勧誘の為だかなんだか知らないけど、少し気合っただけで今日初めて会った人を理解しただなんて言葉は選ぶことね。

はっきり言ってそれは不快」

 

自身に向けられた初めての感情。次々と自分の想像を上回って飽きさせることのない目の前の女に好感を抱いていたミラはここで初めて彼女に対して不快感を露わにした。でもそんなミラを気にすることなくヘラは分かるわよと言葉を続けた。

 

「だって貴女。私と一緒でどうしようもないくらい人類が好きでしょ?」

 

ミラはそれにどう思ったのだろうか。

ヘラをじっと見つめるだけで口から言葉が出ることはなかった。

 

それはそれとしてとコロコロと表情と話題を変えるヘラ

 

「まぁそれはそれとして一件では世話になったわ。勧誘より礼を言うのが先だったわ。一人でも対処できたことだから忘れ__じゃなくて、コホンっっンンン...よし。

 

経緯はどうあれ貴女は私の命の恩人であることは変わりありません。礼には礼を、ですから今度は私の番、貴方には私の眷属になり私に尽くす行いを許しましょう」

 

今度は慈悲深い絵に描いた女神の雰囲気と表情を浮かべると諭す様に語りかけてきた。普段から今みたいに慎ましい態度を取っていれば貫禄もあるのだろうが、素の彼女を目の当たりにした後だとどうもインチキ臭く写ってくる。

 

「だからならないっていってるでしょ」

 

しかしミラの口から出る言葉は入らないという否定。

それを聞いたヘラもようやく諦めがついたのかそれからはもう何も言わなかった。

 

部屋を出て行こうと扉を開けようとしていた時、ミラのお腹からグゥーと音が鳴った。

 

ドアに近づくと不意に何処からか嗅いだことのない良い匂いが漂ってきたのだ。

 

ミラはドアノブに手をかけたままガチりと固まる。

顔が急速に火照るのを帯びるのを感じる。

 

人前で堂々と裸を晒しても気にしないミラではあるが、身だしなみを気にしたりなど自分が女性としての自覚はあったりする。当然今の生理現象がとても恥ずかしい事だというのも承知済みである。むしろ腹がなるという事はミラにとって裸を晒すよりもはるかに恥ずかしい事だった。

 

案の定オイルの切れたロボットがギイギイと振り返ればヘラが笑いを堪えるように口に手を当てて頬を膨らませてはニヤニヤしていた。

 

「そういえば、貴方の歓迎会の準備をしていたんだったわ。でも貴方は帰っちゃうみたいだし、せっかくのお料理も片付けないといけないわよね?」

 

「・・・話だけでも聞かせてもらおうかしら」

 

 

否定はしたけど、ヘラの言葉は興味深いのは確か。

受けるかは否かは置いておいて話を聞くだけでも損はないだろう。断じて食欲に負けたわけではない。

 

ミラ言葉を聞いたヘラの顔にはパーと花が咲いたみたいに光がさす。

 

「否定された時はもしかして聞き間違いかと思ってたけど、あらあらやっぱりそうだったのね!!もう女神の私としたことが焦っちゃったじゃない。それじゃあ契約に入りましょう。今すぐに背中を見せなさい!!」

 

「・・・ファミリアに入るとは一言も言ってない。それに何故に背中?」

 

 

 

 

 

 

 

 

ヘラは手に持ったナイフとフォークを宙に浮かせたまま唖然と目の前で次々と食べ物が無くなってはその分増える空の皿を眺めていた。何十人と座れる広い机に所狭しと置かれていたはずの料理や果実。あの小さな身体の一体何処にあれだけの量が入っていくのかとヘラは人体の神秘に直面したのだ。

 

宴の席。名目は新メンバー加入。であればそこにいるのは何もヘラだけというわけではない。緊急の呼び出しだというのにヘラファミリアに属するメンバー全員がその場に集結し宴に臨んだ。そして一部の種族以外はヘラと同じように宴の席だというのに隣の者同士で話を咲かせることなくただヘラの横に座ってひたすら食らい続ける新顔のエルフとその囲いにドン引きしていた。

 

 

「流石は尊いお方だ。食事まで神々しい」

「私はもうこの世に未練はない」

「一生の不覚!!急いで捧げ物を調達せねば!!」

「みんな早くしろ。妖精神様が満足するまで料理を絶対に絶やすな」

 

 

部屋に入りその相貌が見えた時エルフは自分の席に着くことも、誰に言われるわけもなく白い髪のエルフを標として集結した。それは一人も例外なく。それこそ主神であるヘラに対して以上の献身を見せた。

それも他種族という理由で蔑視し、素肌に触れることすら許さない様な普段はお高く止まったプライドの塊。潔癖症を拗らせたあのエルフがである。

 

走り回っては食材を両手に列をなして順番待ちする様子はある極東の文化の参拝を思い出させる。いやそれはまだマシな方、中にはただひたすら祈りを捧げ続ける者もいる。

 

これには結構な年月を共にしてきたはずの他種族の団員達もエルフ達の新たな一面に誰だお前は、と正気を疑った。

 

 

「ねえこれどういう状況なのかしら」

 

神の名は伊達じゃないらしい。一足早く復帰を果たしたヘラは引いた目でミラに問う。

 

「これには正直私も予想外だわ。オラリオにこんなにエルフがいるとは思わなかったもの」

 

「答えになってないわよ」

 

ミラはヘラに食事と並行して自らがエルフにどう思われているか説明した。

 

「ふーん。エルフの癖に神気取りってわけ?貴方って生意気なのね」

 

「ヘラ様、訂正をお願いします」

「たとえ主神と言えど見過ごすことは出来ません」

「今のがヘラ様でなければ魔法で灰にしていた所です」

 

「えぇ...いつもの子供達じゃない」

 

豹変した子供達を前にヘラは戸惑いを覚えるが、まだ知らない一面を見れた事は親としては嬉しく思えた。だがしかし、ヘラとエルフ達のやり取りを見ていたミラがヘラは友達だから気にして無いと言えば、「やはり神同士気が合うのですね」と先程までの刺すような視線は鳴りを潜め、先ほどからミラの全肯定マシーンとなってしまった子供に親としてミラになんとかしろと言いたげだ。

 

これにはミラもどうしようもないと言うしかない。今の今まで変わることのなかったエルフの魂に刻まれた鋼の意志にミラもお手上げ状態。むしろこっちが聞きたいくらいだとヘラに訴えた。

 

 

 

 

 

 

宴がお開きになり、集まっていたのが嘘みたいに各々がバラバラに自分の場所へと戻っていった。

 

ミラはヘラに手を引かれまたヘラの自室へと返り咲きヘラと向かい合って話した。最初はファミリアに入る事を頑なに拒否していたミラ。しかしヘラの眷属になることで得られるメリットが提示され、話し合いの末にミラは納得、ヘラの眷属になる事を決めたのだった。

 

「それじゃあ背中を出しなさいな」

 

ヘラに指示される通りにワンピースの肩紐を外すとワンピースは重力に負けて落下する。

 

「上半身だけでいいって意味だったんたけど、、、というか最初会った時もそうだけどなんでミラは下着姿で堂々としてるよ。貴方には恥じらいはないの恥じらいは」

 

「あら?別に裸だからって恥じらう必要はないでしょ?産まれてくるものはみんな裸。ならこの状態が自然体と思わない」

 

わかるようでまるでわからない理論を突きつけられるヘラ。

 

「貴方ってもしかして露出狂なの?」

 

「失礼ね。私も時と場合は考えるわ」

 

もしや新しく増える子供が変態なのでは。と不安が出てきていたヘラは彼女が手遅れではなく、心ばかりの常識は持ち合わせているみたいで安心した。

 

「ならその状態でもういいわ。ベットにうつ伏せで寝なさい」

 

ヘラの言われるままにミラは顔からフカフカのベットに沈み込む。

 

ヘラはミラの背中に馬乗りになると自らの指に少しナイフで切り傷をつけ、傷口から馴染んできた血をミラに垂らすと血は身体へと浸透していくように消えていった。

かと思えば次にはミラの背中に突如文字が浮かび上がる。

 

その浮かんだ文字ははっきり見ても何が書いてあるか読むことができない見たこともない文字。いや読めなくて普通なのだ。それは神聖文字と呼ばれる地上には元々は存在しない文字。故に扱う種族が存在しない神の世で生まれた言語。この場で読むことが出来るのは当然神であるヘラだけだ。

 

 

文字は身体の何処に刻まれるかわからないことは事前に聞いてはいた。

 

ミラはそれがどんなものなのか見てみたいと思っていたのだが、あいにく背中に浮かんでしまった文字をミラが直接見ることは物理的に不可能だった。

 

しかし背中に浮かぶと同時に身体がおもりが付いたみたいに急に重くなったのを感じ、話で聞いた通りの神の恩恵を実感した。

 

 

「はいこれで入信は完了よ。貴方は私のファミリアの一員。後は・・・これは一体どういうことなの」

 

ヘラは無事入信の手続きが終わり、ふぅ〜と一仕事終えて満足したような顔をする。しかしそんな顔も不意にミラの背中に刻まれた文字を見て驚愕に変わる。

 

 

 

Level 1

 

力: I0

 

耐久:I0

 

器用:I0

 

敏捷:I0

 

魔力:I0

 

 

魔法

 

・サンダー

 

 

スキル

 

・妖精神話

 

・煌雷神化

 

・英雄憧憬

 

 

 

それはステイタスと呼ばれる神の眷属になった際に恩恵と共に可視化される己の能力値。ミラのステイタスがオール0のI評価は冒険者としてダンジョンに潜ったこともモンスターと戦ったことすら無いのだから当然。レベルも1なのだから発展アビリティもあるはずがない。

 

 

魔法は先天性だったようだ。

ステイタスからは雷系等の魔法を一つ発現していることが読み取れる。

 

魔法に関しては冒険者全体の総数で考えれば魔法を扱える者自体が少ない為、珍しいといえば珍しい。が魔法の才がある者ならミラみたいに先天的に身に付けていることがほとんど。扱える者からすれば魔法なんて当たり前の代物、ヘラファミリアでは魔法を扱えない者の方が少ない。

 

その一部、魔法が発現していない眷属達についても魔法をそもそも必要としない興味がないと魔法不要を掲げ、剣や拳で相手と直接的なぶつかり合いを好む層で、なにも魔法が無いだから劣っていると言う訳ではない。それは今も最前線組のメンバーいわゆる攻略組としてまだ見ぬダンジョンの未踏に足を踏み入れ、鍛え上げた技のみで道を切り開く彼等の存在が何よりの証。魔法などなくともオラリオで最も進んだ場所に立つことの出来るこの世で一握りの自慢の子供達だ。

 

 

まあしかしそうやって全体の冒険者の割合で比較するとなると、そもそもオラリオの冒険者の内レベル1が半数を占める冒険者の実情は避けては通れない。

ならばレベル2が珍しいのかと言えばそういう簡単な話ではなく、現に都市最強を謳うここの冒険者はレベル5以上が半数を占める。そんな選ばれた者達が集うのがヘラファミリア。ここではレベル1や2の眷属を探す方が大変なのだ。

 

それにヘラはミラが神の権能とも言える程の大規模魔法で闇派閥の構成員を撃退する様子を間近で見ている。種族的にも魔法の扱いに長けるとされるエルフ。ならば魔法の一つや二つ覚えていた所で不思議でもなんでもないだろう。これも想定内。

 

 

 

問題はスキルだ。

 

Level1の時点で既に発現されている3つのスキル。

 

スキルはレベルが上ろうとも発現するか分からない貴重なもの。その一つをとっても戦闘に多大な影響を及ぼし、冒険者なら喉から手が出る程に欲しい恩恵。発現した時の効力は発現した本人に影響を受けるらしいが、レベル4程度の冒険者で一つもスキルを持っていないことなんてザラ。どうしても身に付けたければ、大金を積んで魔法書さえ手に入れれば後天的に任意で習得が可能な魔法。そんな抜け道みたいな方法は残念ながらスキルには存在しない。

 

ただ身につくか身につかないか。

だからこそスキルは習得することは難しいはず。なのだが

 

 

それなのにミラはどうだ。

レベル1にして既に3つ。明らかに異常である。これには最強と名高い精鋭を束ねる大派閥の主神ヘラも驚愕した。

 

スキル自体もどれも初めて聞いたスキルばかり。

その中でも特に英雄情景。

スキルの効果は英雄(好敵手)にバフと早熟。

 

スキル名が違えど似たスキル効果はあるものだが、早熟なんて効果は初めて見た。類似するものすら聞いたことがない。一体早熟という形がどの様にしてどの程度の影響を及ぼすのかも不明。だがこれはスキルの中でも特に珍しいレアスキルで間違い無いだろう。

 

残りの二つに関してはミラの生き方や才能に大きく左右されたと言ったところだろう。内容もスキルとしてはよくある自身や周りに影響を与えるバフ・デバフ系だ。

 

 

 

(これだから地上は面白い)

 

 

ヘラはこの規格外の子供がこれからどんな英雄に成るのかワクワクが止まらなかった。

 




続くのか?
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