クリスマスの日。私は、いつも通りの日常を過ごしています。タキオンさんと、ファントムさん。お2人と旧理科準備室で過ごす、なんてことはない日です。ただ、いつもと違うのは……。
「……ふふふ~んふんふんふふ~ん」
ファントムさんが、とても上機嫌だということぐらいでしょうか。ファントムさん、そんなにクリスマスがお好きなんでしょうか?
「えらく上機嫌だねぇファントム君。そんなにクリスマスが楽しみだったのかい?」
「……もち。とても、楽しみにしてた」
まぁ、クリスマスでどことなく気分が高揚するのは、分かります。特別な日ですし。私も、少しだけ気分が高揚していますから。
「……楽しみ。今年はサンタさんからどんなプレゼントが届くかな?」
……え?
「ちょっと待ちたまえファントム君。今、なんて言ったんだい?」
「……?サンタさんから、どんなプレゼントが届くかなって」
「……本気で言ってるのかい?」
「……本気だけど?素晴らしいですよね、サンタさん。全国の子供たちのために無償の愛を届ける、素晴らしい人です」
ファントムさんは、大真面目な口調でそう言いました。……嘘でしょう?
「あー……ファントム君?サンタクロースがいるって、本気で思ってるのかい?」
「……?本気も何も、実際にいる。だって、私はちゃんと貰ってた。去年も、その前も」
ファントムさん、本気でサンタクロースが実在していると思ってるんですか……!?
「……それに、テレビでもクリスマスプレゼントを貰って嬉しそうな子供の笑顔が見えた。だから、サンタさんはいる。間違いない」
「えぇ……」
タキオンさんは、信じられないものを見る目でファントムさんを見ています。多分、私も同じような目をしているでしょう。
”この子、完全に信じてるよ……。サンタクロースがいるって”
「そう、なんですか?」
お友だちがそう言いました。私の言葉に、お友だちは頷きます。
……!そうです、もう一人のファントムさんです……!もう一人のファントムさんなら……!そちらの方へと視線を向けると……。
”……ッ!”
余計なことは言うんじゃねぇ。そう言わんばかりのプレッシャーを私たちに向けて放ってきました。えぇ……。
「あー……、ちなみになんだが、去年はなにを貰ったんだい?」
「……新しいパーカー。今のお気に入り」
「その前は、なにを?」
「……ヘッドホン。休みの日に使ってる。私が欲しい物を、くれるんだ」
ファントムさんは、とても嬉しそうな声でプレゼントのエピソードを語っています。微笑ましいと思う反面、サンタクロースが実在していると信じていることに、驚きを隠せません。
私はもう一度、もう一人のファントムさんに目線を向けます。もう一人のファントムさんは、身体ごと背けました。まるで、その話題に触れるな、とばかりに。……まさか。
(もう一人のファントムさんが、ファントムさんにプレゼントを毎年贈ってる?)
嘘でしょう……?ですが、あの反応を見る限り、それに近しいことはやってそうです。ただ、どうやって?もう一人のファントムさんだけではできないはずですが……。
「……今年は、何がもらえるかな?楽しみ」
「あー……その、だね。ファントム君。非常に言いにくいんだが……」
「……ッ!ダメです!タキオンさん!」
「ムグッ!?」
私はタキオンさんの口を急いで塞ぎます!ヤバいです、もう一人のファントムさんがとんでもない殺意を向けています!?もう一人のファントムさん個人ではタキオンさんに干渉できないとはいえ、これはまずいです!
私はタキオンさんに黙っておくようにジェスチャーします。私の只事ではない雰囲気を察したのでしょう。タキオンさんは、頷きました。私はタキオンさんの口を解放します。
「……どうしたの?タキオン」
「なぁに。サンタさんは不思議な人だからねぇ。早めに寝た方がサンタさんもありがたいんじゃないかという忠告さ」
「……そうだね。早寝を、心がける」
ファントムさんは意気揚々とそう言いました。それと同時に、もう一人のファントムさんのプレッシャーも沈静化します。よ、良かった……。落ち着きましたね。
ただ、ファントムさんの意外な一面、見れた気がします。
さて、今日は素敵なクリスマス。わくわくです。楽しみです。今年はどんなプレゼントが届くんでしょう?ヤバいですね、テンション上がりすぎて目が覚めてますよ。
サンタさん。世界中の子供にプレゼントを配っているすごい人です。私は会ったことがありません。会ってみたいですね、サンタさん。
……余計眠れなくなってきました。
”早めに寝とけ。マッド野郎も言ってただろ?サンタさんのためにも早めに寝たほうがいいって”
「……そうだけど、今年はどんなプレゼントが貰えるかなって思ったら、楽しみで眠れない」
”ハイハイ。楽しみなのはわかったからはよ寝とけ。サンタの奴が困るぞ”
「……それはいけない。おやすみ」
私はすぐさま布団をかぶって寝ます。ふふふ、どんなプレゼントが貰えるか楽しみです。
明けた次の日の旧理科準備室。私はウキウキ気分で扉を開けます。中にはカフェさんとタキオンがすでにいました。
「……おはよう。2人とも」
「おはよう、ございます。ファントムさん」
「おはようファントム君。……その様子だと、無事にプレゼントは貰えたみたいだねぇ?」
タキオンの言葉に私はすぐさま反応をします。よくぞ聞いてくれました。
「……今年は、新作のシューズを貰った。最新モデル」
「良かった、ですね。ファントムさん」
「良かったじゃないかファントム君。そのシューズは使うのかい?」
「……まだ、使わない。今のもまだ使えるから」
ですが、使う時が楽しみです。ふふふ、やっぱり素敵な日でした。
そんな私の様子をカフェさんとタキオンは微笑ましいものを見る目で見ていました。そういえば……。
「……2人は、プレゼント貰えた?」
「「え?」」
なんか、2人ともハトが豆鉄砲を食ったような顔してますけど貰えてもおかしくないはずです。
「あ、あー……そうだねぇ……。私は新しい薬を海外の通販サイト……いや、サンタさんから貰ったねぇ!」
「……わ、私は、前から気になっていたコーヒー豆を。セットで新しいマグカップを買っ……貰いました」
どうやら2人ともプレゼントは貰えたようです。私も嬉しいです!
「……ほら、サンタさんはいるでしょ?」
「そ、そうだねぇ」
「そ、そうですね……」
なんか2人とも苦笑いをしていますが……。多分聞いてもはぐらかされますねこれ。
その後は、3人でまったりと過ごしました。いつかは会ってみたいですね、サンタさん。
ファントムの秘密②
実は、サンタクロースの存在を信じている。