「「「メガドリームサポーター?」」」
「はい!サトノグループの技術力を結集して作ったものを、是非スピカのみなさんに体験してほしいと思いまして!」
「はえ~なんかすごそ~」
キタちゃんのお友達であるサトノダイヤモンドちゃん。そしてそのダイヤちゃんと同じサトノ家であるサトノクラウンちゃん。お2人に呼ばれた我らがスピカ。その理由はメガドリームサポーターを体験してみないか?というものらしい。
VRウマレーターを触りながら感嘆の息を漏らす。
「しっかしまぁ、最近の技術力は進んでんなぁ。こんな機械でトレーニングのサポートができるなんてよ」
「だよねぇ。技術力様様だよ」
「それではファントムさん!お願いしても良いですか?」
「あれ?私が最初でいいの?」
「大丈夫です!機械はたくさんあるので!向こうのヴァーチャル世界でポップする場所は違いますけど、すぐに合流できると思いますから!」
「そう!VR世界のトレセン学園にポップできるように設定してあるからね!善は急げ、早速やってみましょう!」
スピカのみんなにVRウマレーター用の機械が渡される。しっかし、向こうの世界でも現実世界と同じようなトレーニングができるのかぁ……。
「案外VR世界だと無制限にトレーニングできたりするのかな?エっちゃん」
「だとしてもだ。疲労は蓄積する。あんまり無茶するんじゃねぇぞ」
「はーい。それじゃあ装着して……と」
みんなで機械を装着して座る。よーし!
「行くぞ!!全速前進DA!!」
「なんじゃその掛け声」
「某カードゲームの社長の台詞だよ!この状況にぴったりだからね!」
そんなコントをしていると、目の前の風景が変わり出した。なんと、実際にゲームの世界に潜り込んでいるような感覚が襲って──
《Welcome to the Mega Dream Suppoter……Get Ready!》
そんな機械音声とともに、目の前にトレセン学園が現れた。
「お、おぉ~!凄い凄い!現実のトレセン学園と全然変わらない!」
私のテンションは興奮しっぱなし!だってこれ本当に凄いもん!草木の匂いなんかもまさに現実!って感じがする!
「凄いよね?エっちゃん!……エっちゃん?」
ただ、おかしいことにエっちゃんの気配を感じない。どういうことだろう?いつもだったらどんな状況でも私が呼びかければすぐに反応するのに。急に不安になってきた。
「……ファントム?」
不安になっていると、後ろから声を掛けられた。でも、この声は……凄く聞いたことがある。でも、そんなことがあり得るのだろうか?そんなこと、あり得ない。だけど、聞き間違えるはずなんてない。小さい時から、ずっと聞いてきた声だから。
私は……困惑しながらも名前を呼ぶ。
「……エっちゃん?」
後ろを振り向くと、私と瓜二つの姿をしたウマ娘……エっちゃんが、そこに立っていた。髪色は赤黒くて、目の色は金色だ。ということはもしかして……私も!?
「そうだファントム。お前も姿が今とちょっと違っている。青白い髪に銀色の瞳だ」
「どどどど、どうなってるのこれ!?」
「俺様に分かるわけねぇだろ。俺様だって、こんなことになって驚いてんだからよ」
エっちゃんは悪態をついている……というよりは、不思議がっている。でも、私からしたら関係ない!だって……。
「わーい!エっちゃーーん!」
「ん?……うおっ!?な、なんだお前急に抱き着いてきやがって!?」
「え~、だって嬉しいもん!それにしてもエっちゃんにも触れるとは……恐るべしVR!」
「……なんだそりゃ」
エっちゃんの呆れたような声が聞こえる。むっふっふ~、こうしてエっちゃんと触れ会えるとは……まさに棚から牡丹餅!
ひとしきりエっちゃんと抱き合って堪能した後、みんなを探すことにした。
「それにしてもみんなはどこにいるんだろうね?」
「出る場所はランダムだってダイヤ娘と王冠娘は言ってたからな。とは言っても、学園外にはいねぇはずだ。しらみつぶしに探すぞ」
「おー!」
エっちゃんと2人で探すことに。そんな時だった。
「え、エクリ……プス……?」
「あり?誰?」
「……チッ」
誰かの声が聞こえる。でも、その声には聞き覚えがなかった。ただ、エっちゃんはこの声が聞こえた瞬間……思いっきり顔をしかめた。嫌な相手を見た時のような、まるで会いたくなかったとばかりに顔をゆがめている。後ろを振り向いて、声の主を確認すると……そこには3人のウマ娘さんが立っていた。
ただ、誰も見覚えがない。海を想起させるような青く長い髪のウマ娘さん、鹿毛のショートカットの軍人のようなウマ娘さん、赤い髪のセミロングのウマ娘さん。ただ、赤い髪のウマ娘さんだけは……不思議な感覚が襲った。
(なんだろう……?エっちゃんに、似てる?)
それに、他のお2人もエっちゃんの過去で見たマッチェムさんとヘロドさんにどことなく似ていた。どういうことなんだろうか?
「結構すぐ合流出来て良かったよダイヤちゃん!」
「そうだねキタちゃん!」
「これで残すのはファントムだけだね~」
ボク達は難なく合流することができた。トレセン学園ってかなり広いし、合流するの時間がかかるかな~?って思ってたけど、結構すんなり合流することができた。後はファントム達だけだろう。
「しっかしすっげぇな!本物のトレセン学園そっくりだぜ!」
「そうね!ゲームの世界だって言われないと分からないかも!」
「よっしゃあマックイーン!ウロの大樹に入り込んでみようぜ!」
「せっかくのVR空間に来てやることがそれですの?もうちょっと他にあるでしょう?」
「しっかし、俺達でよかったのか?サトノダイヤモンド。テスターなんて他にもいただろ?」
トレーナーの言葉にダイヤちゃんは頷きながら答える。
「スピカのみなさんなら色々なデータを取らせてくれそうでしたので!なので真っ先にテスターになってもらおうと思ってました!」
「それは良い意味でか?それとも悪い意味でか?」
「両方よMr.沖野!どんなデータも大事だもの!」
クラウンちゃんの言葉にボク達は苦笑いを浮かべる。まぁ……確かに色んなデータが集まるかもしれないし。でも、せっかくの機会だ。このメガドリームサポーターを楽しもう!
「それにしても、ファントムはどこにいるのかしら?」
「校舎内にいないってことは……外ですかね?」
スぺちゃんとスズカがそんな会話をしている時、ふと気になったことをダイヤちゃん達に聞いてみた。
「そう言えばさ、これってトレーニングサポートのためのソフトなんでしょう?」
「はい!サトノグループの技術力を結集して作ったトレーニングサポートAIシステム……それがメガドリームサポーターです!」
「常に最先端を行き過ぎていると言われていた我がサトノグループのソフト開発部門の技術力の結晶!それはもうもの凄いんだから!」
字面だけ見ると凄そうだ。
「でも、実際はどんなものなの?」
「そうですね……例えば、レース本番前のトレーニングに強めの負荷をかけて良いものか、適性距離から少し外れたレースだけど勝負になるか等……我々の判断だけでは難しい時がありますよね?」
「そんな時!このメガドリームサポーターがその判断のサポートをしてくれるんです!このメガドリームサポーターには、今までのウマ娘のデータが全て入っています!そのデータから導き出される最善の答えを示してくれるサポートAI──それが、メガドリームサポーターの役割です!」
「ほ~!そりゃすげぇな!まさに究極のAIって感じだな」
トレーナーも興奮気味だ。確かに、凄いね。過去のレースのデータとか諸々入っているわけだから。途方もない量のデータが入っているのだろう。
「そして……なんと!そのサポートAIなんですが……」
「ん?どうかしたの、ダイヤちゃん?」
「実はね、サポートAIにはあらゆるデータをどのように解釈するか、色々な視点を持たせるために性格をもたせることにしたんだけど……これで面白いことが起こったの!」
「そうだよねクラちゃん。『勇敢』、『規律』、『愛情』の思考性を持ったAIが学習を繰り返した結果……とっても面白いことが起こったんです!」
「その面白いことって?もったいぶらずに教えてくれよ!」
ウオッカが急かすように言う。まぁ確かに気になる。面白いことってどんなものか気になるし。
「そうですね。簡単に言うと……AIに、魂が宿ったんです!」
「AIに……魂が?」
「それ、確かに凄いわね。それに、面白そうじゃない!」
「なにそれなにそれ!ボクもすっごい気になる!」
「フッフッフ、みなさん興奮気味ですね。その気持ち、分かりますよ。私達もそうでしたから!」
「それでサトイモよぉ、どんな魂が宿ったんだ?」
ゴルシが質問する。その問いにダイヤちゃん達は自信満々に答えた。
「なんとですね~……
「「「ッ!?」」」
瞬間、スピカのメンバーの空気が凍りついた。
(……え?三女神の魂が宿った?それって……かなり不味くない!?)
他のみんなも顔を青ざめさせていたり、狼狽えていたりと様々な反応だ。ただ分かるのは、考えていることはみんな一緒だということ。
「どうしました?みなさん。あまりの出来事に言葉も出ませんか?」
「……いや、ダイヤ。多分これはそういう反応じゃないね。何かあるの?キタサン」
「え、え~っとぉ……今この場にいない方にとてつもなく不味いことが起きそうというか~……」
「おいおいやべーぞみんな!?早いとこ姉御を探さねぇと!」
「そうね!何が起きるか分かったもんじゃないわ!」
「最悪手分けして探すぞ!手遅れになる前に!」
「わたくしは体育館の方を探しますわ!」
「なら私はスぺちゃんと一緒に練習場の方に!」
「早いとこみつけるぞお前ら!」
それからのみんなの行動は早かった。せっかく集まったのに悪いけど、すぐに手分けして探すことになる。ダイヤちゃんとクラウンちゃんはなにがなんだか分かっていない様子だ。それも仕方ない。2人は、ファントムのことをよく知らないんだから*1。
「て、テイオーさん。何があったんですか?みなさん慌ててますけど……」
「……そうだね、しいて言うなら……ファントムのもう一つの人格、その人格が──三女神様を凄く恨んでるってこと。だから、会ったら何をするか分からない」
「えぇ!?三女神様を!?そんな、どうして!?」
「色々と事情があるんだけど説明してる時間はない!早くファントムを探さないと!」
早く見つけないと……!手遅れになる前に!
「よぉ、姿を見たことがあるわけじゃねぇが……何となくわかるぜ」
「そ、そんな……本当に、あなたなのね?」
「……」
「エクリプス……」
「久しぶりじゃねぇか……
エクリプスは、眼前にいる3人のウマ娘を睨みつける。そんな様子のエクリプスを見て、ファントムはオロオロしていた。
トウカイテイオー達の願いも空しく。すでにエクリプスと三女神達は邂逅を果たしていた。
プロキオンの方もアイディア不足でなんも書けてないんですよね……。アイディアも時間も足りねぇ!