そのウマ娘、亡霊につき   作:カニ漁船

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今回短いです。お仕事が思いの外伸びて時間が足りなかった。


亡霊少女と年明け

 さてさて、ジャパンカップも終わってから早いものでもう年明けでございます。いやぁ早いですね。あっという間な気がしますよ。

 そんな私ですが。今は電話中でございます。電話の相手はこれまた珍しいグラスから。一体どこ経由で私の番号を知ったのかと思いましたけど、普通にスペちゃんに聞いたらしいです。

 

 

「……有マ記念おめでとうグラス。会う機会がなかったから、言えなかった」

 

 

《フフ、ありがとうございますファントム先輩。ですがまだまだ。これからも精進あるのみです》

 

 

 うーん真面目ですねグラスは。ちょっとぐらい嬉しがってもいいんじゃないでしょうか?

 

 

《あ、でも……ファントム先輩におめでとうと言われて嬉しさがまたこみ上げてきましたね。フフ、頬が緩んでしまいます》

 

 

 あらまぁ可愛いですね。是非その表情を拝みたいところですが……生憎と電話の向こう側、見ることは叶いません。残念。

 

 

《改めて……お礼を言わせてくださいファントム先輩。お陰様で有マ記念を制し、己の目指すべき道が見えてきました》

 

 

「……私は、ほんの少しアドバイスしただけだよ」

 

 

《それでも、お礼を言わせてください。トレーナーさんやチームの先輩方のおかげでもあり、ファントム先輩のおかげでもあるのですから》

 

 

 

「……そういうことなら、その言葉はありがたく受け取っておく」

 

 

《はい。是非そうしてください》

 

 

 グラスは弾んだ声で答えます。

 

 

《それでは、私はこの辺で。今後のレースも、ファントム先輩から教えてもらった不撓不屈の精神で向かいたいと思います》

 

 

「……うん。それじゃあねグラス」

 

 

《はい。……あ、そうだ。これも忘れていましたね。明けましておめでとうございます、ファントム先輩》

 

 

「……明けましておめでとう、グラス。そう言えば忘れてたね」

 

 

《そうですね。それでは、また》

 

 

 そう言ってグラスは電話を切りました。グラスの今後も、楽しみですね。

 電話も終わったので、私はまた暇になりました。現在とあるスーパー前です。実は今日、スピカのメンバーで新年会をやる予定なんですよね。そのための買い出しというやつです。フフン。楽しみですね。

 

 

”アホくせぇ。……まぁ、練習はキッチリやってるから文句は言わんが”

 

 

「……早く来ないかな?」

 

 

”楽しみだからって集合時間1時間前に来るのはどうかと思うぞ”

 

 

 そりゃ楽しみでしょ。ワクワクです。ウキウキです。

 そしてしばらく待って。次々とやってきましたねスピカのメンバーが。

 

 

「おはようございます、ファントム先輩。早いっすね」

 

 

「おはようございます、ファントム先輩!……一番じゃなかった」

 

 

「うーっす、ウオッカ、スカーレット、姉御ー」

 

 

「おはようございます。みなさん。本年もよろしくお願いいたしますわ」

 

 

「おっはよーみんなー!後はスペちゃんとスズカだけかな?」

 

 

「そうだな。スペはスズカを迎えに行ってるから一緒に来る。ひとまず店の前で待つぞお前ら」

 

 

「……了解」

 

 

 そしてみんなが来てから10分ぐらい立って。スペちゃんとスズカがやってきました。スズカはまだ完全には治っていないので車椅子です。スペちゃんは車椅子を押している感じですね。

 

 

「あ、来た来た!おーい、スペちゃーん、スズカー!」

 

 

「おはようございます、みなさん!」

 

 

「おはようみんな。待たせちゃったかしら?」

 

 

「全然待ってないっすよスズカ先輩!」

 

 

「そうですわ。あまり気にしないでくださいまし」

 

 

 そうですそうです。全然待っていません。え?1時間前から居ただろ?知りませーん、存じませーん。

 

 

「お、スズカギプス取れてんじゃん!」

 

 

 ゴルシがそう指摘します。そう言えば取れてますね。

 

 

「え!?じゃあもう走れるんですか!?」

 

 

「んな訳ねーだろ!まだ包帯巻いてんだろうが!」

 

 

「うるさいわねバカウオッカ!アンタは黙ってなさいよ!」

 

 

「んだとアホスカーレット!」

 

 

「……新年から仲良いね、2人とも」

 

 

「「仲良くないです!!」」

 

 

 ハモってるあたり本当に仲良いですねこの2人。良きことです。

 

 

「んじゃ!今日はトレーナーの奢りでとびっきり美味いもん食おうぜ!」

 

 

「おしっ!任せとけ!最っ高の新年会にしてやる!」

 

 

「……言質取った。じゃあ高いもの選んでいこう」

 

 

「待てファントム。さすがに加減ってもんを……」

 

 

「「「おーッ!」」」

 

 

「待てお前らー!?」

 

 

 すたこらさっさです。とは言っても、私が狙うものは決まっていますが。さてさて、目当てのコーナーは……お、ありましたね。沢山の主婦がいますよ。よっしゃ、早速突っ込みますか。

 

 

「ファントムさん?そんなところで何を……って、あの中にツッコむつもりですの!?」

 

 

「……もち」

 

 

「そんなに欲しいものがあるんですか?ファントム先輩」

 

 

 うーん、別にそこまで欲しいってわけじゃありませんけど。

 

 

「……ああいう集団の中では、トレーニングにもなる。パワーを鍛えられるからね。じゃ、早速行ってくるよ」

 

 

「あ!ちょっと!」

 

 

 突っ込むぞー。

 

 

「……よっ、ほっ。取るぞー」

 

 

「す、スイスイ進んでいきますわね……」

 

 

「他の人達は弾かれたりしてるのに……」

 

 

 それからしばらく。お目当ての商品も取って戻ってきましたよっと。あいあむうぃなー。

 

 

「……ブイ」

 

 

「凄いですわね……わたくしには無理そうですわ」

 

 

「……まぁ、ちょっとしたコツもあるしね」

 

 

 これに関してはレースに関係あるかと言われたら正直微妙なとこなので言いませんが。

 他のみんなも思い思いの食品を取ってきてかご一杯に入れていきます。しかもかごは1つじゃありませんからね。結構沢山あります。まぁみんなたくさん食べますからね。これでも足りるかは微妙なところです。……かご一杯に積まれているにんじんはさすがにどうかと思いますが。

 会計のところで顔を青くしているトレーナーの姿は結構面白かったです。




次回新年会
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