そのウマ娘、亡霊につき   作:カニ漁船

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主人公ちゃん基本応援しかしてない……。


亡霊少女と弥生賞

 さてさて、テイオーのダンスレッスンからまた日が経って今日はスペちゃんの弥生賞当日です。スピカ総出で応援に来てますよ。スペちゃんがんばえ~。

 

 

”ふあ~あ。で?面白そうな奴はいんのか?棒立ち娘の他によ”

 

 

 棒立ち娘。スペちゃんのことですね。アレは見事な棒立ちでしたし、命名の理由は分からなくもありません。ダンスレッスンもして多少ですが踊れるようにはなったので多分今後変わると思いますけど。

 

 

「……個人的に気になるのが2人。セイウンスカイと、キングヘイロー」

 

 

”ふ~ん……。どんな奴だ?”

 

 

「……セイウンスカイは現在2連勝中。逃げのウマ娘。ただ、私やスズカと違って彼女は前を走って後続のペースを乱す逃げを得意としている」

 

 

”はいはい。頭がキレるってことね。で?キングヘイローって奴は?”

 

 

「……キングヘイローはスペちゃんと同じタイプ、かな?後方で控えてることが多い。デビューから3連勝して注目株になった子」

 

 

”成程ねぇ。お前の見立ては?”

 

 

 ふむ。悩ましいところです。スペちゃんにとっては今までで最長の距離である2000m。加えてラスト200mには心臓破りの坂と呼ばれる場所があります。スカイとキングの2人は2人とも2000mの経験がありますし、分が悪いことに違いありません。

 

 

「……最終的には、この3人での争いになると見てる。後の勝負は、最後の坂をどう攻略するか。すでに中山2000mを走ったことがあるセイウンスカイに分があるかな?」

 

 

”……ま、いいか。精々面白いレースをしてくれりゃそれでいい”

 

 

「……そうだね」

 

 

 さてさて、もう少しで始まりますよ弥生賞。頑張ってスペちゃんを応援しましょう。あ、ゲートが開きましたね。

 

 

 

 

《始まりましたG2レース弥生賞!このレースを制して皐月賞へと弾みをつけるのはどのウマ娘か!先頭へ行ったのは勿論このウマ娘!10番セイウンスカイです!セイウンスカイがグングン逃げる!後続を3バ身離して快調に飛ばしていきます!》

 

 

 

 

 今までのオープンレースとは違って今回は重賞。しかもG2ということでいつもよりお客さん多いですね。声援が飛び交ってますよ。

 

 

「相変わらず逃げるねぇセイウンスカイ」

 

 

 ゴルシの呟きに反応するように我らがスピカもスペちゃんに応援の声を飛ばします。

 

 

「ペース乱されないでくださーい!スペせんぱーい!」

 

 

「スペ先輩、あの位置で大丈夫かしら……?」

 

 

「勝負は第4コーナーを回ってからだ。今はまだ焦る必要はねぇ」

 

 

「……ッ」

 

 

「……スペちゃんが心配ですか?スズカ」

 

 

 少し暗い表情をしているスズカに私はそう聞きました。スズカは頷きながら答えますね。

 

 

「えぇ……。スペちゃんにとって初めての距離だから。ファントムは?」

 

 

「……私は、特に心配してない。負けてもそれはスペちゃんの糧になるから。負けて強くなるってこともあるし」

 

 

「……そうね。でも、あなたは負けたことないじゃない。説得力がないわ」

 

 

 スズカは少し気が楽になったのか笑みを浮かべました。ちょっとの冗談を添えて。

 レースは逃げるスカイを他が追う形ですね。スペちゃんは中団ぐらいの位置にいます。

 

 

”つまらん。波乱もなにもねぇ”

 

 

「……まだ始まったばかりだからしょうがない」

 

 

”やっぱ第4コーナーかねぇ。波乱が起きるとしたら”

 

 

「……そうだね。トレーナーの言うように、4コーナーを曲がってからが勝負になる」

 

 

 私はレースを見守ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レースは進んで第4コーナーへと入りましたね。おっと、ここでスペちゃんが仕掛けましたよ。どんどん前に上がっていってます。

 

 

 

 

《第4コーナーを曲がって最後の直線に入ります!先頭はセイウンスカイ!セイウンスカイが後続の差を広げますその差は4バ身!このままセイウンスカイが逃げ切るのか!2番人気スペシャルウィークと1番人気キングヘイローも上がってきているぞ!》

 

 

 

 

 スペちゃんもキングも上がってきてますね。さて、ここで迎えるのが心臓破りの坂です。初見だと割とビックリしますよねアレ。結構高低差ありますし。最後の最後にあの坂はキツいものがあります。

 

 

「上れ上れ上れ!」

 

 

「「「上れ上れ上れ!」」」

 

 

 スペちゃんしっかりと脚を残してましたね。対称的にスカイはちょっと苦しそうです。でも差は縮まりません。

 

 

「……上り切った後、だね」

 

 

”だな。この坂じゃどうしても追いつけねぇ。棒立ち娘は経験不足だからな。あの脚の使い方じゃあ、この坂じゃ追いつけねぇよ”

 

 

 私ともう一人の私はそう判断します。もう少しで坂を上り終わりますね。そんなことを思っていたら坂を上り終わりました。スペちゃんがどんどん加速していきます。

 

 

 

 

《残り100mを切りました!先頭は10番セイウンスカイ!しかしちょっと苦しそうだ!いっぱいになったか!?後ろからスペシャルウィーク!13番スペシャルウィークです!前のセイウンスカイとの差を縮めていきます!》

 

 

 

 

 スペちゃんはそのまま加速していき、ついにはスカイを躱しました。

 

 

 

 

《スペシャルウィーク躱した!スペシャルウィークが今1着でゴールイン!2着はセイウンスカイ!》

 

 

 

 

 観客席からは声援が飛んでいます。我らがスピカも大喜びですよ。

 

 

「「「よっしゃぁぁぁぁ!」」」

 

 

「……スペちゃんの課題、見えたね」

 

 

”教えるのか?”

 

 

「……可愛い後輩だからね」

 

 

 練習は大事ですから。それを本番で発揮できるか、と言われたらまた別の問題になりますけど。まぁ教えるぐらいならいいでしょう。後はスペちゃんをうんと褒めてあげましょう。

 そうそうウイニングライブですが。テイオーの特訓の成果もあってかちゃんと踊れるようになってましたよ。ワンテンポ遅れてましたけど。その辺はおいおい何とかしていくでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 弥生賞も終わって私達は学園へと戻ってきました。今は部室で祝勝会を開いています。

 

 

「え~、では!スペシャルウィーク弥生賞大勝利おめでとう!乾杯!」

 

 

「「「かんぱ~い!」」」

 

 

 みんな料理を食べていきます。そんなに量は多くないですけど、外は暗いから仕方ないですね。あんまり食べると太りますから。私?食べませんよ。実はもう食べちゃったんですよね1人で。悲しみ。ちなみにテイオーもいますよ。……なんでいるんでしょうか?大体想像はつきますけど。

 

 

「……スペちゃん、弥生賞勝利おめでとう。よしよし」

 

 

「わっ!?ファントムさん!え、えへへ……、ありがとうございます!」

 

 

 私はスペちゃんの頭を撫でてあげます。頑張った子は褒めてあげないといけませんから。良い子ですねスペちゃん。おや。スズカがこちらに来ましたね。

 

 

「スペちゃん。ウイニングライブ可愛かったわ。特訓の成果、ちゃんと出てたわね」

 

 

「ありがとうございます!スズカさん!これも……」

 

 

 スペちゃんがテイオーの方を見ます。

 

 

「テイオーさんのおかげです!またダンス教えてくれますか?」

 

 

「うん!いいよ!」

 

 

「本当ですか!ありがとうございます!」

 

 

「それに、ボクはスピカに入ることにしたからね!」

 

 

 あら、やっぱりスピカに入ることになりましたか。ようこそテイオー。歓迎しますよ盛大に。他のメンバーは凄いビックリして……なんでトレーナーも驚いてるんですかね?

 

 

”凡愚も知らなかったんだろ。コイツならサプライズとかいって教えなさそうだしな”

 

 

「……百理ある」

 

 

 とりあえず気になってることを聞きましょうか。

 

 

「……テイオー。リギルじゃなくて、憧れのルドルフと一緒のチームじゃなくていいの?」

 

 

「うん。ボクは楽しい方が好きだし。それに……」

 

 

 テイオーは私に指を突きつけてきます。人を指さしたらいかんぜよ。

 

 

「敵を知るには懐に入らないとね!ボクはキミに勝ってみせるよファントム!」

 

 

「……そう。楽しみにしてる」

 

 

”随分と威勢がいいクソガキだ。潰し甲斐があるなぁおい!”

 

 

「……我慢だよ。この子もまだ未熟な果実。来るべき時まで、待ち」

 

 

”わーってるよ。今のコイツはまだまだだからな。成長して、最高潮になったタイミングで……喰らう”

 

 

 もう一人の私は獰猛な笑みを浮かべていますね。ルドルフのお気に入り、その実力が本物だと分かっているのでしょう。かく言う私も楽しみです。テイオーと走る時が。

 

 

「みんな、よろしくね!」

 

 

 テイオーはそう言いながら笑みを浮かべました。私達もそれに答えます。

 

 

「「「よろしく!テイオー!」」」

 

 

 スペちゃんの祝勝会は楽しく過ごせました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 祝勝会も終わったということで私は寮の部屋に戻ってきました。またいつものように部屋の中でできる自主トレをします。いつものことなのでもう慣れっこです。それに、お風呂のことを思い出したらそれだけで頑張れるってもんですよ。

 

 

”ペースを乱すな。常に一定のペースで動かすことを意識しろ”

 

 

「……もち」

 

 

 もう一人の私に言われるままに私はトレーニングを積みます。さて、思い出すのは今日のレースのことですね。

 

 

「……どうだった?セイウンスカイとキングヘイローは」

 

 

”どっちも極上の餌だ。喰いがいがある”

 

 

「……キングヘイローから」

 

 

”他の奴らは棒立ち娘に追い抜かれた時に諦める姿勢だったが……。アイツは違った。最後まで食らいつくことを諦めなかった”

 

 

「……それだけ?」

 

 

”末脚も光るもんがある。これからの成長次第だが……強くなることは間違いねぇな”

 

 

 成程。概ね高評価ですね。

 

 

「……セイウンスカイは?」

 

 

”想像以上のキレ者、だな。レース後のアイツを見てたが……”

 

 

「……特に悔しい素振りを見せてなかったね」

 

 

”そうだ。もしかしたら、弥生賞は捨て石程度に考えてたのかもしれねぇな”

 

 

「……弥生賞はあくまでステップレース。本番の皐月賞で勝つために布石を打った可能性が高い」

 

 

”あぁ。そうだとしたら、あの棒立ち娘は不利だな。アイツは今連勝して気持ちが浮ついている”

 

 

「……そうだね。スペちゃん油断はしないと思うけど、どうなるだろうね」

 

 

 個人的には勝って欲しいですが。まぁスズカに言ったように負けてもスペちゃんの糧になってくれればそれでいいです。大事なのは負けた後どうするか、ですからね。

 

 

”ま、俺様は負けたことねぇから分からねぇけどな”

 

 

「……スズカにもツッコまれたね、それ。実際その通りなんだけど」

 

 

 そんな話をしながら今日も一日が終わろうとしていました。お風呂?最高に気持ちよかったです。汗をかいた後のお風呂サイコー。




ブルーロックのアニメまで起きてないと。今週は約束された神回なので。
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