彼女が出来ました。   作:ロリコンじゃありませんフェミニストです

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と、思っていたのか?


魔王を倒すのは勇者

クルスの戦闘映像をヴァリアントからの映像越しに見ながら、デバイスの産みの親であるフィル・マックスウェルは遠く離れた友人達と微笑みを浮かべて眺める。

 

『ふむ……うぅむ』

 

悩ましげ声の中にどこか嬉しそうな雰囲気が混じる声にフィルはどうかしたのかいすーさんと声をかける。

 

『やはり彼の戦術、戦略はいい。王道を行きながら何処か突拍子がなくて、僕はいつもハラハラしているよ。だが、いかんせん。彼の才能に身体が追いつけていないのがもどかしくてね』

 

『それは確かにね。デバイスと魔導の知識。古代ベルカの戦闘技術、相手の情報を分析し立てる戦略。それを組み替える戦術的判断。惜しむべきは魔力量』

 

「確かそちらの世界では平均的な魔力量らしいね。いっそのこと外付けで彼に魔力の炉心のような物を与えてはどうかな?」

 

『其方は警察組織が煩くてね。僕とすーさんも難儀してるんだ』

 

「ふむ」

 

フィルは胸の前で腕を組む。ならば、とフィルは声を上げる。

 

「クルス君の魔力炉─リンカーコアと言ってたね。そっちを何か刺激を与えて成長させられないかい?此方にはフォーミュラ(ナノマシン)其方の世界出身の娘(ロストロギア)もいる」

 

『……もしそれが出来るなら、クルス君専用のデバイス……現実味を帯びて来たね』

 

マッド(すーさん)の中で技術者のスイッチが入る。

 

『すーさん。そんな面白そうなこと僕達に内緒なんてズルいじゃないか!』

 

ロクデナシ(まっさん)も趣味のスイッチがON

 

「全くだ。すーさん。まっさん。これから少し彼のデバイスの武装案に関して話したいんだが良いかね?」

 

『『もちろんだとも!!』』

 

ウッキウキなオッサンは弾んだ声で答える。

 

「しばらくは楽しくなりそうだね」

 

久しぶりに趣味に没頭して作れる大義名分を得たフィルと技術者としてのスイッチと趣味のスイッチが入った両名は静かに笑みを浮かべる。

 

「フフフフ」

 

「クッ…クク……」

 

絵面を見ればただの悪役幹部の会議だ。

 

 

────────────────

 

どうも!クルス・アルスです!現在高町さんから逃亡中!

 

「にぃぃげるんだよぉぉ!!」

 

自分でもなっさけない声を上げながら俺は全力ダッシュで高町さんの射砲撃から逃げる。

 

気分は次元犯罪者。俺悪いことしてないのにぃぃぃ!!

 

「潔く負けなさーい!」

 

上からは鈴を鳴らすような声音で負けなさーいという文言。普通に聞いたら負けてあげたい、負けたくなっちゃうけど。当たったらシャレにならないんだよ!見ろよ!撃たれる魔力弾は平均的サイズだが魔力がアホほど込められてる。撃たれる砲撃は殆ど柱と言っていい規模!

もう一度言う!俺悪いことしてないのに!

 

「無理ィィィィィ!!怖いいぃぃ!!」

 

なっさけねぇと思う奴ら。俺と同じ立場になってみろ!余程のニッチな性癖じゃない限り絶対逃げるから!

 

『よーしクルス!そのままあと1分強、なのはさんから逃げなさい!』

 

「無理!俺死ぬ!お願い!!俺これからはもっとちゃんと全うに生きるからぁぁ!!誰か助けてぇぇぇぇ!!」

 

これで泣かない俺を誰か褒めて欲しい。

 

泣き言を叫びながらも俺は足を全力で動かす!腕をデバイスを待機状態に戻して全力で振る!俺は魔導師じゃない!ランナーだ!

 

『オメェ…プライドはないのか……』

 

「うっせぇ!プライドで腹は膨れねぇし逃げらんねぇんだよ!!」

 

建物を遮蔽物にしながらも、高町さんはそれごとぶち抜いてくるので不用意に隠れられない!防御なんてしてもそれごと押しつぶされる!

 

「誰だよ!こんな作戦考えた奴!頭おかしいだろ!!」

 

『『(オメエ)アンタだよ!』』

 

ノーヴェさんとランスターさんの怒声に似たツッコミが入る。はい!そうでした!俺が立てた作戦でしたね!コンチクショウ!

 

『クルスさん…えっと……がんばって!』

 

「……うん」

 

『アタシらとヴィヴィオへの対応違い過ぎない?』

 

シャラップ!

 

「時間になったら作戦開始!なんとか逃げるからあとはよろ!」

 

そんだけ叫んで通信をぶった斬る。

 

「まだ悪さしようとしてるね?やんちゃだなぁ!」

 

ゴゥ! 面での制圧から点の爆撃に切り替えたのか魔力弾中心で上空から俺も逃走ルートを先読みして潰してくる!これ模擬戦の戦術じゃねぇだろ!

 

あいった!肩に弾丸あたった!

 

「高町さん!俺なんか悪いことしました!?」

 

「現在進行形でやろうとしてるでしょ!?」

 

そりゃそうだ!でもそうでもしないと勝てない。

 

俺がここまで勝敗に執着するのは珍しい。まぁ、彼女の前でいいカッコしたいという、ちょっとした自尊心…まだあったのな。そんな感情。

 

「勝つ為に手段は選べません!勝てばよかろうなのだぁぁぁぁああ!!」

 

「もう悪役の言うセリフだよねそれ!」

 

逃げながらもコントみたいな会話をしていると…あ!

 

あああん!!俺は石に躓いて盛大にずっこけた!

 

「アシクビヲクジキマシター!!」

 

くそ!日頃の運動不足がこんなところで!

 

「よし!クルスくーん。往生しなさーい!」

 

ジャキッと上空から俺に向けられる砲撃形態の杖の先には魔力が現在進行で収束中。あの、高町さん?そこまで念入りに収束しなくても俺落ちますよ?

 

「ここまでか……」

 

なんだろう…何も悪いことしてないのに。あの可愛い声で言われると、ちょっと勘弁してもいいかなぁって思っちゃうの。

 

そんなことを走馬灯のように思っていると、救世主から通信が入る。

 

『皆さん!お待たせしました!ゴーレム創成完了です!いつでも行けます!!』

 

元気なコロナちゃんの声が俺にとっては正しく救いの声!でも俺の生存は絶望的!なら!

 

「了解!赤組作戦行動開始!あと俺は落ちるのであとはよろ!地ならし作戦!開始ぃぃ!!」

 

作戦開始の合図とともに俺は桃色の砲撃に包まれた。

 

次からはちゃんと生きよう。

 

何故か。本当に何故かそんなことを思いながら俺の意識は飛んだ。




主人公じゃどうやっても魔王には勝てません!勝てたらそもそもこんな作品になってないw
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