機動戦士ガンダム ジョニー・ライデンの帰還 外伝ストーリー「2人の9番機」 作:ローグ・レビン
キマイラ隊に入るまでの過程やジョニーライデンに出会うまでのローグの生い立ちをメインに作成していきます
パート1 フラナガン機関前身施設 0078年
宇宙世紀0079年1月3日、
宇宙から最も離れたコロニーサイド3は地球連邦政府からの独立を宣言し宣戦布告。
大小様々な戦乱の中で、一部のパイロットが高速で飛んでくるメガ粒子砲を高確率で避けるといった事象が起こった。
それを解明すべく、ジオン突撃機動軍キシリア・ザビ中将は宇宙世紀0079年6月
当時まだ疑問視されていたニュータイプを軍事利用できないかと考え、サイド6にフラナガン機関を設立することとなる。
宇宙世紀78年には既に前身となる施設はできており、
肉体強化を重きに置いた研究が行われていた。
0078年
まだ一年戦争が始まる前
コードネーム「L-9」と呼ばれる男がこの施設に移送される。
後にキマイラ隊幻のC小隊の隊長として宇宙世紀を駆け抜け
「戦場の稲光」ローグ・レビンと呼ばれた人物の物語が幕を開ける
「L-9の強化は順調です。数値は他の素体に比べて倍以上の数値を出しています。
ランクは上位3位には食い込みますね」
白衣の研究者たちが結果をみて話し合っている。
それを横目に服を着るL-9。
毎週強化の結果を数値化して次の実験を考える、
ここにきた最初の頃は戸惑ったが今となって何も感じない。
無理やり薬剤によって強化される筋肉や臓器。
激痛も今ではいいお友達みたいなもんだ。
服を着終えて、自身のネームタグを首にかけて起き上がるL-9
「もう帰ってもいいですか」
話に夢中になっている研究員たちに不愛想に問いかける。
「よろしい、明日は対G訓練を行うので時間通りに来るように」
こっちをみずに答える研究員に軽く会釈をその場を後にする。
去り際に研究員たちの会話が聞こえてくる。
「C-2はもう駄目だな、本日の対G訓練で負荷に耐え切れず意識を失った」
「では廃棄処分にしよう。今月のMS訓練のランク下位3名も同様の処置をするように」
「わかった」
一般的には不穏な会話なんだろうがここでは日常茶飯事。
人権なんてないし、何より他に行く当てのない奴らばかりだから文句も言わない。
実験で合格し続けている限りは衣食住は最低限保証されるので、
身寄りのない奴らにとってはいい物件だ。
合格できない奴は、己の不運を呪うしかないのさ。。
自分でも性格が悪いなと思いながら自室へと歩を進めるL-9
途中の廊下で同じ実験を受けるモルモット仲間が仲良く雑残している。
基本的には実験の時以外は自由行動なのでこうした光景もよく目につくが
俺としては理解ができない。
実験が失敗すれば最悪死に、不合格なら処分。
そんな状況の中で明日には関わらなくなるであろう人間と仲良くすることが理解ができない。
「お~い、お前も一緒にこの後食堂に行こうぜ」
廊下で喋っていた被験者2人組に後ろから話しかけられる。
振り返って相手と目線は合わせずネームタグを確認する。
F-4とG-7、ランクは両方Dランク。
廃棄処分スレスレか。。。
「、、、いや、いい。」
そのまま振り返り再び自室に向かう。
「おい、なんだよあいつノリ悪いな」
「やめとけよ、あいつBランクだぜ職員に見つかったら怒られるのは俺たちだ」
「いこうぜ」
ここではランク制度があり
自身のネームタグにランクが記載されている。
S~Dランクまであり、Dランクは最低ランク。
毎月ランクの更新がありDランク帯下位3名は廃棄処分にされる。
今のやつらは廃棄寸前ってこと、そんなやつらと一緒にいて自分のランクに影響がでたらたまったもんじゃない。
自室に入りベッドに腰かけ書籍をあさる。
高ランクになれば何でもできるといったわけではないが、ある程度わがままは通る。
欲しい物があれば用意はしてくれるし、食事も豪華になったりもする。
まぁモルモットの範疇ではあるが
【人との接し方】と書かれている本を手に取りしおりの挟んでいるページから読み始める
第5章まずは笑顔で話す、そのページも見て手が止まる。
「笑顔。。笑顔。。」
立ち上がり鏡に向かって笑顔を作ってみる。
吊り上がった口角に不気味さを覚えてバカバカしくなってやめた。
別に友達が欲しいわけじゃない、そのくせにこんな本を読んでいる
自分の矛盾に苛立ち、そのまま横になって眠ることにした。
「対G訓練。前回は瞬間200Gまでは耐えれたが次はどこまでいくのやら」
夢なんて見たことない、見てみたいと思うが何を見るのか想像がつかない。
そんなことを考えている内に眠りについた。
ーーー翌朝ーーー
目を覚ましネームタグをつけ実験室に向かう。
「きたか、それでは早速始めるぞ、今日は前回行った200Gから始めて
より上の負荷を瞬間的にかけることにする。
実験準備が良ければ始めるがいいか」
いきなり200Gスタートか、キツイな。
前回はいじくられた頑丈な肉体のおかげで特にそこまできつくなかったがそれより上となると流石にきつそうだ。
「どうぞ」
MSコックピットに似せて作られた遠心機装置に座る。
背部に装着されたエンジンブースターが起動し実験が始まる。
エンジンブースターにより遠心機が回転し体にGがかかり始める。
「現在6G、10、20G、瞬間加速開始」
アナウンスの音とともに追加のエンジンブースターが起動する。
顔の筋肉に力が入る。さすがに200Gはきつい。
「瞬間200G到達、これより今回の実験内容である瞬間300Gの負荷テストを行う」
「!?」
300!それは聞いてないぜ、てっきり250くらいかと思っていたので焦る
止めてくれと話そうにもそんな余裕はなかった
更に追加のエンジンブースターが稼働し遠心機は更なる加速をし始める。
視界が徐々にかすんでくる。意識が飛びそうだ。
「250Gに到達」
視界がモノクロになり視野が狭くなり始める
かろうじて耳は正常なので300G到達までのアナウンスを今か今かと待つ
「300Gに到達」
視界がモノクロから真っ赤に変わり始める。
目の血管が切れて血液が目によってきているのを感じた。
医者じゃなくたってこれが長く続かないのはよくわかる。
「5秒経過。実験終了」
装置のエンジンが止まり徐々に遠心機が止まる
そう思ったのだが今度はエンジンブースターが逆噴射を始めた。
意識が遠のきそうになりながらも歯を食いしばりながら耐え遠心機が止まった。
全身から汗が吹き出し息が荒くなる
逆噴射した時には目が飛び出るんじゃないかと思ったが見えてはいるので大丈夫なんだろう。
身体の正常を確かめていると研究員がこちらに来た。
「素晴らしいな瞬間300Gにも耐える肉体、逆噴射のイレギュラーにも対応できていたな
身体の異常は今確認できているだけでは眼球の血管が破裂して充血しているぐらいだがほかにはあるかね?」
眼球の充血以外にも腐るほどあるがあえて多くは語らない
「いえ、視界が全て赤い。全身がきしんだように痛い。
それくらいです」
「そうか身体検査を受けた後、帰っていいぞ」
別にあれこれ言ったところでどうなるものでもない
実験以外にやることはないのだから
「わかりました」
身体検査の結果
全身の筋肉・血管に損傷はあるものの数日で治る程度のもの。
器具に固定された部分はあざができたというくらいで終わった。
眼球の血管については時間で治るが、何度も破裂させると当然失明の危険性はありと診断された。
次回からの実験では更に肉体強化を行い300Gでも損傷しない身体を作るのを目標にするらしい。
数日は実験は行わず待機命令が下った。
ランクはBランクで停滞する事にきまりとりあえずは廃棄の心配も降格もない。
眼球血管破裂のおかげで視界が真っ赤なこと以外は嬉しい休日をもらい
特にすることはないのだが、気分を変えるために今日は自室の外で読書をすることにした。
視界は依然真っ赤だが文字が読めないわけじゃない。
薬もつけてるし辛くなったら貰ったアイマスクをつけてしばらくじっとしていれば問題ない。
ベンチに腰掛けていつもの本【人との接し方】のしおりをはさんでいる第5章をまた読み始める。
「笑顔、、笑顔、、」
時刻は13時
いつもと違う時間なので誰もいない
モルモット仲間はみんな実験で出払っているのをいいことに
こっそりと笑顔を作ってみる
「怖い顔。。何してるの?」
急に横から声を掛けられる。
この時間にここにいるなんて余程低ランクのやつくらいしかいない。
話しかけられた側を向き顔よりも先にネームタグを見る。
そこにはSランクの文字が
「Sランク。。?」
不意に声が出てしまった
いつもなら無視してその場からいなくなるのだが、
つい気になって顔を見る
そこにいたのは同い年くらいの女性が立っていた。
低身長、恐らく150cm手前。
ニコニコして愛想がよさそうでいて、
とてもSランクとは思えない威厳のなさだった。
「ねぇ、聞いてる?あれ、本読んでるの?
タイトルは~、人との接し方。変なの」
突然づかづかと自分の領域に踏み込んでくる女にムカつきながらも相手が上位ランクの為、
変に噛みついて悪影響が出ても困る
そう思い、無視した。
「ねぇ、なんで無視するのよ
本の事いじったの怒っちゃった?
ごめんね、だって本読みながら怖い顔してるんだもん!
なに読んでるか気になるじゃない」
よく喋るやつだ
流石にこれ以上無視はできないか
「実験には行かなくていいんですか?
Sランクともなると実験ばかりだと思っていましたよ」
皮肉をたっぷり込めてお前は暇人だと言い放つ
これで嫌になって目の前から消えてくれれば最高だ
「やっと喋ってくれた!
朝からやってたわよ、いつもこの時間が休憩時間になるの」
こいつ皮肉に気がついていないな
鈍すぎるだろ
続けて話し始める目の前の女性
「私ファーティマっていうの、あなたは?」
ネームプレートを見れば書いてあるのにわざわざ聞く必要ないだろ
しつこそうだし観念して会話をすることにした
「L-9」
そう答えると不思議そうな顔を浮かべるファーティマ
「違うわ、番号じゃなくてあなた自身の名前よ」
言葉に詰まる
今まで自分の名前なんて番号で済んでいたしそれが普通だった
初めて聞かれた自分の名前に戸惑いながらも答える
「ローグ」
嬉しそうな顔をしながら隣に座ってくるファーティマ
「ローグ君ね、宜しく!
私この施設に来てまともに年が近い人と会話したことなかったの
みんなネームプレート見たらそそくさといなくなっちゃうんだもん」
無理もない、Sランクのやつと会話して後で面倒を起こしたら処分されるのは恐らくこっちだ
その気持ちはわかる
「そう…なんですか」
何を話していいかわからない
こんな時この本にはなんて書いてあったっけ
人との接し方なんて本を読んでいたくせにまともに会話もできない自分に恥ずかしくなる
「ローグ君はBランクなのね
長くここにいそうだし、お友達になりましょうよ」
「え?」
友達…友達か…。
ちょっと嬉しくなった自分の気持ちを抑えつつ
冷静に思考を巡らす
こいつはSランク。面倒に巻き込まれるかもしれない。
「同じランクの方と友達になった方がいいのではないですか?
その方が何かと問題も起きないでしょう」
精一杯の拒否の気持ちを伝える
「大丈夫よ!他の子たちとはもうお友達だから」
拒否する理由がなくなってしまった
どう答えるか悩んでいると先にファーティマが言葉を繋いできた
「目が真っ赤だね、
対G訓練やったの?あれキツイよね〜
私も300G以上はキツくて」
おいおい嘘だろ
300G以上ってことはそこまでは余裕なのか
驚きつつもこの場を乗り切る案を思いついた
「そうなんです、体調があまり良くないのでこの辺りで失礼します」
悲しそうな顔をするファーティマ
しかし、こちらに気を遣ってか無理にそれ以上付き合わせようという気はないようだ
席を立ち自室に向かい歩き始めると後ろから声をかけてくる
「明日もこの時間にここにいるからまたお話ししましょ」
気が向いたらな、そう心の中で思い
振り返り、軽く会釈をしてその場を立ち去った
帰りの道中、またF-4とG-7の2人が立ち話をしている
目の前をそのまま通り過ぎようとするとG-7に声をかけられる
「おーい、お前もこの時間に暇してんのか〜?
良かったらMSポットで演出しようぜ」
「やめとけってこいつはこないから」
「言ってみないとわかんねぇだろ」
振り返り、2人と初めて目を合わせる
どうして目を合わせたのか、いつもと違う自分の対応が気になった
「おいおい、お前目やばいな大丈夫かよ」
俺の顔を見て驚く2人
Gランクの2人には300Gまでの負荷はかけられない
こうなるのがわからないんだろう
「体調が良くなるまでは実験は休みになった
なので別に暇じゃない」
初めてまともに交わす言葉
いつもなら即答で断るだけなのに…
向こうもちゃんと返答が返ってきてきょとんとしている。
「そっそうか、まぁ良くなったら今度食堂で飯でも食おうぜ」
「気が向いたらな」
変な間も無く自然と言葉がでてきた
その後、お互いぎこちないあいづちをうってその場を後にする
「あいつ…まともに喋れるんだな」
「なぁ、言ってみないとわかんないだろ」
「次も声かけてみようぜ、Bランクのやつに色々教えてもらって俺たちもランクアップってか!」
「調子良すぎるだろお前」
自室に帰り座って今日の出来事を振り返る
しつこそうな女に出会い、廃棄処分寸前のやつらと会話…
変な一日だったな…
「あいつ、明日もいるんだろうな…」
少し楽しみになっている自分に気がつく
「いや、落ち着こう。
変に期待してもどうせその内会わなくなるかもしれない
俺もあいつらも実験に不合格になればいなくなるだけさ」
ベッドに横になり目を閉じる
もう寝よう、明日になればまたいつも通りの俺になれば良い
過分な期待は自分が傷つくだけだ
ーーー翌朝ーーー
いつも通りのルーティンを済まし身体検査に向かう
まだ実験ができる体調ではないので今日も休日扱い
診察室を出て時計を見ると昨日と同じ13時
「昨日と同じ時間か…あいつ…いるのかな」
行かない方がいい
関わって仮に縁が生まれようと、それは失う縁が増えるだけだ
そう思い、いつもと違う道で自室に帰ろうとする
誰にも会わずに自室前に来た
そのまま部屋に入ればまた普段の日常に戻れる…
そう、一歩部屋に入ればそれで終わるのだ
時刻は13時10分、
時間を過ぎてしまったがベンチの前に来ていた
何をしてるんだ俺は…昨日座っていたベンチに目をやると
そこにはファーティマの姿はなかった
時間も過ぎている、もう帰ったんだろう
何を期待していたんだ俺は、バカバカしい
振り返るとそこにはファーティマが立っていた
「やっと来た!待ってたんだよ!
来ないかと思っちゃった!
さ、座ってお話ししましょ」
言われるがままベンチに2人で腰掛ける
自分から来てしまったんだ、話すしかないのだろうな
「目、治ってきてるね
治癒能力高いなぁ、私より上なんじゃない?
そこまで早い人初めて見た」
そんなに早いのか、
普段から実験仲間と話したことなんてないので知る由もないのだが、
身体能力に関してはSランクにも劣らないと確か職員たちが言ってた気がしたのを思い出した
「治癒能力は高いみたいなので、身体が丈夫なだけですよ」
ファーティマは急に顔をムッとした
普通に答えたのに何かまずかったのか
「ねぇ、なんで敬語なの?私たち同い年くらいでしょ
堅苦しいのは無しにしましょうよ
ローグ君何歳⁇」
年齢か、気にしたことなかったな
「17です」
「また敬語!今言ったばかりなのに!
17歳だったら私と同い年だね、だったら尚更敬語いらないじゃない
次敬語使ったら怒っちゃうからね」
そうか、そういうものなのか
こんなことあの本には書いてなかったな
「わかり…わかった」
「よろしい!」
笑顔を浮かべて上機嫌のファーティマ
機嫌が治ったようでよかった、怒られたりしたらどうしたらいいか分からない
ぎこちないタメ口で喋る俺をたまにファーティマはからかいながら
普段の生活や実験についての会話が続く
「ねぇ、ローグ君はここの施設でたら何したい?」
施設を出た後?そんな事は考えた事はない
それに施設を出れるなんて初耳だ
そのままの疑問を問いかける
「施設を出れるのか?
出れるなんて聞いた事ないぞ」
「そうね、普通は出れないわ、多分一生出れないでしょうね」
真面目な顔つきで話し始めるファーティマ
「でも、もしかしたら出れるかもしれないじゃない
こんな施設で一生を終えるのは私は嫌
たった僅かな可能性でも私はすがるわ
人間は希望がなきゃ生きていけないもの」
強い意志がそこにはあった
彼女は本気でここを出るつもりらしい
この施設にいる者の中でどれだけがその気持ちを抱くのだろう
少なくとも俺はそんな気持ちは芽生えなかった
彼女がただの愛想がいいだけの人間。
そう思うのは間違いだと気付かされた。
「君はここを出たら何をしたいんだ?
俺は正直なところ、考えた事もなかった」
いつもの笑顔に戻る
色々あるようで迷っているようだ
「う〜ん、デートとか結婚とか買い物とか色々あるけど
1番は、お花屋さんに私なりたいかな」
自分の時が止まった気がした
もっと壮大なことを期待していたからだ
具体的に何を期待していたかまでは自分にはわからない
ただ、あまりにも庶民的なそのやりたい事が酷く滑稽だった
「なんで笑うのよ!いいじゃないお花屋さんになりたくたって!」
「笑う…?俺が?」
不思議そうな顔をするファーティマ
「そうよ、さっきからもちょくちょく笑ってるじゃない」
意識していなかった
笑顔なんてあの本を読んで練習したくらいでしか経験がない
「昨日の気味がわるい笑顔よりも随分マシだわ」
俺の練習していた笑顔はそうとう気味悪いらしい
あまりに言われるので機嫌が悪くなった
「悪かったな、あまりにも庶民的なやりたい事だったもんで笑っちまった」
「ひどい!私、結構花言葉とか覚えてるんだからね!
施設から出れないんだからそれくらいしかできないじゃない」
それもそうかと納得する
ここの中庭にある庭園には様々な花があった気がする
そこで覚えているんだろう
「でもよかった、昨日よりも楽しそうにしてくれて」
「なんで?」
「だって昨日なんて関わってくんなオーラ満載だったし
今日だって来ないかと思っちゃった」
見透かされていたようだな
自分でも来た理由はよくわからないし
こんなに長い時間いると思わなかった
「もうこんな時間だわ、この後私診断があるからまた明日ね」
近くにある時計見ると小1時間は話し込んでいた
時刻は14時
時間を忘れるとはこういうことなんだろうか…
ただ、それよりも気掛かりだった言葉がある
「また明日?」
「そうよ、また明日もお話ししましょ」
また不思議な感覚だった…
この感情は何なんだろう。
考え込んでいるとファーティマが立ち上がる
「ローグ君もやりたい事、見つかるといいわね
やりたい事は無いにしても自分の生き方に誇りを持つ事は大事よ
またね!」
返す言葉が見つからないまま自分も立ち上がる
誇り…やりたい事…今の自分にはさっぱりだ
去っていく彼女の後ろ姿を眺めている
その視線に気がついたのか彼女は振り返り手を振ってきた
ぎこちない仕草で手を振りかえす
それをまた小馬鹿にして彼女は視界から消えていった
「これが嬉しいって感情なのかな」
話したやりとりを思い返しながら自室に帰る道中
F-4とG-7が話しているのを見つけた
彼らは俺に気がつき近寄ってくる
「よぉ、目もだいぶ良くなったじゃないか、どうよ今日」
またさっきと同じ感覚に陥る
2人は顔を見合わせ気まずそうにしていた
断られると思っているのだろう
「まっ、まだ体調が良くないならまた今度でも…」
「いや、この後は……暇だ」
嬉しそうにする2人
「なっ根気強く誘ってみるもんだろ」
「すげぇなお前」
余程意外だったようだ
自分でもいつもなら考えられないなと思った
「早く行こう、食堂がしまってしまう」
嬉しそうに先を歩く2人の後ろをついていく
人の後ろをついて行くなんて初めてだな
そして食事を終えた後、
ある事を伝える為に担当の研究員の元を訪れた
「どうしたL-9、今日の診断はもうないぞ
体調が悪いのか?」
「いえ、ただその…ちょっと相談がありまして…」
きょとんとしている
まぁ無理もない、相談なんてここに来て初めてだ
「なんだ、言ってみろ」
「毎日の休憩時間、13時からに変更できませんか?」
少し考え込んでいたが、
そんな事かと言わんばかりに了承してもらえた
「それくらいなら構わないぞ、ただ実験内容に変更は起きないからな」
「はい、分かってます」
お礼を言って立ち去った
その後、自室に戻りベットに腰掛ける
何やってんだろうな俺は…
急に冷静になった
彼女と出会ってから自分が変だ
いつもなら行くはずのない場所に行って
一度も話す事がないと思った相手と話し
あろうことか研究員に直談判
短い期間に色々と変わった気がする
これがいい事なのか悪い事なのかわからない
ただ…
少し世界が明るく見える気がする…。
無事、前編が終わりました笑笑
最後ちょっと急な心境の変化がありましたが、
それだけ大きな存在だったと思っていただけたらなと!
後半はとうとう一年戦争が始まります!
お楽しみに!