機動戦士ガンダム ジョニー・ライデンの帰還 外伝ストーリー「2人の9番機」 作:ローグ・レビン
C小隊メンバー全員が公開されるのでお楽しみに!
戦争が始まった
後に一年戦争と呼ばれるこの戦争は俺たちみたいな実験モルモットには
関係ないと思っていた
せいぜい機体開発の実験になるくらいだと
でも世界はそんなに甘くなかった
俺の少し明るくなった世界はそう長く続かない
せったく仲良くなった友達と呼べる人間も徐々に少なくなっていった
そして彼女との関係も…大きく変わっていくこととなる
---宇宙世紀0079 9月下旬---
戦争が始まってからこの施設は大きく変わった。
6月には施設の名前がフラナガン機関に変更され
本格的なニュータイプ研究が開始
通常の訓練に加えてMS訓練が過剰に追加され
チームでの連携なども重視されて行われるようになり、
対人戦闘における訓練も追加されたことにより
肉体強化された実験体ならではの訓練メニューになってきた
実験体たちは新機体の開発や新薬の実験の日々に追われ
更には前線への派遣
基本的には敗色濃厚の激戦区に派遣され殿を務めるが多かった
俺も例外ではなく、
地上が連邦の手に落ちた後、
ソロモン宙域に派遣された
連邦は宇宙攻略の足がかりとしてソロモンを狙っており
「アンタレス作戦」なるものを9月に発動
攻略目標として設定していた
作戦は連邦の失敗に終わりソロモンは守り抜かれたが
人的資源に乏しいジオンにとってそう何度も守れるのだろうか…
面白いやつにソロモンで会ったのもあって少し気になるところではある。
そして久しぶりに施設に帰ってきた
「ふぅ、今回の出撃は中々だったな」
実験体は身寄りがないとはいえ監視の目はもちろんある
今回は護衛と称した監視が2名ついてきた
まぁその2名も今回のソロモン宙域で死んだけどな
正直、実験体の方がMS戦闘における戦果は高い
結果がちゃんと出ているということで研究員は喜ばしい事だろう
自室に戻る最中ジオン軍人に声をかけられる
「よぉ!お前は今回も生き残ったみたいだな」
「おかげさまで、無事帰ってこれました」
「どうだい?お前もタバコ吸うか?」
こいつはマック、毎週もう1人の軍人と一緒に施設に来る
主な任務は訓練用の武器やMSの輸送
そして帰りには廃棄処分になった実験体を施設外に連れて行く
廃棄処分になるやつは前までは言葉通り処分だったが
今では資源の無駄ということで前線送りになる
大体は帰ってこれない任務に駆り出されそのまま死んでいくだけ
処分とは何も変わらない
「よせマック!任務中だぞ」
もう1人の軍人が来た
こいつは生真面目なリーグ
マックと2人で毎回来るのだが、
廃棄処分の輸送前にタバコを必ず吸うマックを注意するのが恒例だ
「お堅いなぁお前はいいじゃねぇかよ
どうせ何も起きやしねぇよ」
「お前はたるんどる!任務は任務だ!娯楽は帰ってからやれ」
「へいへーい」
俺をそのまま無視して2人は去っていった
自室に帰りシャワーを済ませて食堂へ向かう
そろそろあいつらが来る時間だ
あいつらとはF-4とG-7、
あれからすっかり打ち解けて今では訓練後や任務後に食堂で会うのがいつもの流れになったいた
「あいつらはそろそろ昇格試験の結果が出ているからだろう
今日も愚痴でも聞いてやるか」
MS訓練にちょくちょく付き合った結果、腕前が上がったらしく
昇格試験を受けられるようになったらしい
Cランクに上がれば処分はとりあえず免れるだろう
前線で死ななければの話だけどな
食堂につき2人を見つける
向こうも気がついたようだ
「よぉ!こっちこいよ!結果を聞かせてやるぜ!」
「おい、あいつも任務終わりで疲れたんだ大きな声出すなよ」
目の前の席に座る
「F-4、お前はうるさい、G-7がいつも一緒にいてくれてるのをありがたく思うんだな」
「なんだよお前そりゃないぜぇ!」
「さすがはL-9、よくわかってくれている」
お互い名前は明かした中ではあるが、
基本的には番号で呼び合っている
最近施設野空気がピリピリしているから問題の火種は作りたくなかった
「さぁ、結果を見してくれ上がったんだろうな?」
昇格試験の結果を催促する
「それが……」
「おい、嘘だろ…あんなに意気込んでて落ちたのか?」
「うっそー!!ちゃんと受かったますぅ!見ろ!」
2人ともネームプレートを見してくれた
ランクはCランク
俺は少し安心した
最近Dランク帯のやつらは軒並み処分されている
実験体でも維持費があるらしい
でもこれでこいつらもとりあえずは大丈夫だろう
「良かったな、これでしばらくは安心して過ごせるな」
「だが…前線で死ねばそこまでだ」
「おい、辛気臭いこというなよ!今は気楽に行こうぜ!」
少しの談笑を楽しんだ後、
時計を見る
時間は13時
「おっ今日も行くのか?」
「あぁ、約束したからな」
茶々を入れてくるF-4
「お暑いなぁ、高菜の花だぜ俺たちにとっちゃ」
「その辺にしときなよ」
すかさずG-7が止めに入る
「悔しかったらお前らもBに上がるんだな」
小馬鹿にして席を立つ
「今に見てろよ!すぐ追いつくぜ!」
「またな、L-9」
その場を後にしていつもの待ち合わせ場所に向かう
そこには先に待つ女性がいた
「やっほー!お疲れ〜!
ソロモンは大変だった?」
「お疲れファーティマ
そうでもない、護衛はまた死んだけどな」
「そぅ…」
隣に座り任務の詳細を話す
楽しそうに聞いてはいたが人が死んだ時の話しは極端にファーティマは気分が落ち込む
人を傷つける事を極端に嫌う彼女は戦地へは派遣されない
行ったところで何もせずに足手まといになるのが関の山だ
実験体として許されない行いだが、Sランクという肩書きがそれを可能にしている
「任務の話なんてつまらんだろう」
「ううん、外の世界の話を聞くのは好き
でも人が死ぬのは…嫌い…」
「なら、宇宙の話しをしよう
向かうまでの間に面白いものを見たんだ」
「何それ?教えて!」
目を輝かせて聞く彼女を横目に話し始める
時に驚き、時に笑う
表情豊かな彼女と話しているのは本当に飽きない
時間があっという間に過ぎていく
任務に行って帰ってきて彼女にその時の事を話す
こんな時間がずっと続けばいいのに…
---0079年 10月初旬---
本日は朝からMS訓練
宇宙空間にて模擬戦を行うこととなった
「L-9、B-2MSへの搭乗を開始しろ」
研究員の声を合図に搭乗、セッティング時間で戦略を練ることとなる
相手はAランクのパイロットということで格上相手
戦闘規制は特に無し、サイコミュ兵器の使用も可
まぁ使用可能と言っても有線でザクの手を改造した不恰好な物にあたる
しかし無いよりかはマシだろう
扱う機体はお互いザクⅡF型
機体は平凡な分サイコミュ兵器で差をつけたいところだが…
俺に適正はほぼない、
いやないというのは語弊があるな、扱うことができる数が極端に少ない上に何かと並行して扱う事ができないというところか
メインの射撃武器を使いながら扱おうものなら命中精度は最悪だ
なので俺は基本的には使用はしない、使うとしてもそれだけ使うといった感じになる
不器用…一言で表すならこれだろうな
作業用のポットが武器を持ってくる右手側にきて受け渡し体制に入る
「待て、L-9は左利きだ左手に持たせてやれ」
そう、俺は左利き
セッティングから何まで直前に左利き仕様に変えないといけない
左利きでも普通は右手で扱うように訓練されるのだが、自分が不器用なのもあって上手く扱えないので左利きが許可された
「ありがとうございます。」
左手に武器をザクマシンガンを受け取る
装弾数は100発、口径は120mm
普通の機体を相手にする分には問題ない
セッティングを終えてお互い武器を構える
戦場に信号弾が上がる
開始の合図だ
「さて、行くかな」
開始早々スラスター全開で相手に真正面から突っ込む
身体がかなりのG負荷を感じるがこの程度問題はない
考えた戦略は短期決戦
武装面で劣る以上長引かせるのは不利!