アスティカシアの中心で『ロケットパンチ』と叫んだ男 作:カサノリ
ベネリットグループ御三家、と呼ばれる企業がある。
ジェタークを筆頭に、ペイル、そしてグラスレー。いずれもベネリットグループの根幹をなすモビルスーツ製造の最大手であり、必然的にグループ内での地位も高い企業たちだ。
となれば、ベネリットグループが運営しているアスティカシア学園においてもそれらは特別な位置づけにある。
まず何より御三家のパイロット科生はMSの調達が楽だ。自社が製造している最新鋭のMSでも学生は使用することができる。次にそれを支える資金力も莫大だ。寮の設備や学生のケアも十分で、普通に過ごすならば学校生活を何不自由なく送ることができるだろう。
特権階級のような、他の学生と一線を画す立場。それが御三家。
そして、そんな御三家のトップの学生"筆頭"となれば、学園内で知らない者はいない。
決闘委員会のトップを務め、既にグラスレー社で確固たる地位を築いているシャディク・ゼネリは将来のグループ幹部は確実と目されているし、ジェタークの御曹司であるグエルは今や世界中で知らない者はいないだろうトップアイドル……のようなもの。
唯一、ペイル寮筆頭という立場を蹴ったエラン・ケレスだけ特殊な立ち位置だが、その美貌や振る舞いから注目の的であることには変わりない。突然のロングロンド寮への移籍報道には、香ばしい貴婦人たちが狂喜乱舞し、ロマ×エラのウスイホンが大量にブラックマーケットへと流出したのもうなずける。
と、三者三様に有名な男子三人。御三家の力関係が拮抗しているのもあって、周囲からはライバルと見られがちではあるが、意外にも三人が真正面からぶつかり合ったことはなかった。
あったと言えば、入学して初期の頃にエランとグエルが決闘を行ったくらい。それもエランにとってはゴルネリたちの指示で力試しにした程度のもの。本気ではない。
一方のシャディクも、自らの自爆もあってか、御三家との決闘を避けていた。こうした体育祭の場もこれまでエランは不参加。
そんな三人が最高学年となり、このまま三人の格付けが行われないままで卒業していくのかと思われた矢先に、このガチンコ対決の場が現れた。
男子総合体育レース。
障害物走とトライアスロンを合体したような、運動能力を真っ向からぶつけ合うようなハードな種目である。MSを使わないという点で物足りなさはあるが、注目度は当然に高い。
果たして三人のうち誰がトップに立つのか、その時、この学園内のパワーバランスはいかに変化するのか。少なからずそんな視点で観戦していた学生も、そして自分たちの立場をわかっているグエルとシャディクも不思議な緊張感を持っていた。
種目に参加するのは十人の学生。
グエルはその面々を順番に眺めていき、カメラに向かって戦隊やらライダーやらの完ぺきなポーズを決めているバカを無視し、最後にエランとシャディクをにらみつける。
「まさかお前たちもこの競技に出るとはな……」
「おいおい、そんな顔で見ないでくれよ。俺はあくまで寮の筆頭として、そして義父への点数稼ぎのためさ。グラスレーの名前を高めているって示すことでね。だから副賞なんて狙っていないよ」
「その言葉を信じられたらいいが、お前の場合は油断してると寝首を掻いてくるからな……」
シャディクがまだホルダーを諦めていないのと同じようにと内心で考え、次にエランへもグエルは言う。
「で? エランはどうしてだ? まさか、お前もスレッタに……」
「興味ないね。いつの間にそんな恋愛脳になったんだ、グエル・ジェターク? 前の君は暑苦しかったけど、こんなに絡んでこなかっただろ」
エランはいつも通り、表情筋を動かさないまま無表情でグエルへ言い返す。
「……僕は、あのバカに『出る種目を決めろ』と言われたから、『君に任せるから好きにしてくれ』って答えただけさ。その結果がこうなったというだけのことだよ」
ちなみにマイクですっぱ抜かれたこの発言で、アスティカシア学園貴婦人部の妄想が加速したことは言うまでもない。
だが、そんな一部の沼地の住人のことを知らないグエルは呆れたように言う。
「相変わらず気合いってもんがねえな。……まあいい、お前らはそろって、俺の勝利でも拝んでいろ。副賞は俺のものだ」
「恋をすれば人は変わるっていうけれど、グエルがここまで水星ちゃんのために動くとはねぇ」
「……それを君が言うのかい?」
「うっ……痛いところをつくなよ」
そんなやり取りをしているうちに、まもなくスタートの時刻。
出場選手の十人はスタートラインに並び……
「…………は?」
「…………え?」
「「「なんだこれ!?!?」」」
現れた競技コースを見て、ひとりを除いて大きな叫びをあげた。
機動戦士ガンダム 水星の魔女
アスティカシアの中心で『ロケットパンチ』と叫んだ男
他にたとえようもなく、それは城だった。
無駄に洗練された無駄のない無駄な昇降機能を使って、スタジアムの底からせりあがってきた、男子総合体育レース。
その姿は、去年のものとははるかに異なる威容
まず待ち受けるのは両断されたコースと、そこを渡すプール、どう考えても飛び跳ねていくための、突き出た複数の足場が並んでいる。
その時点でまともな障害物走でもなんでもないが、先はますます過酷になるばかり。回転する橋や、ターザンロープや、反り返った巨大な坂。さらには岩が転がってきたり、四方から水を浴びせられたりするステージまである。
そして最後、ゴールに待ち受けるのが、参加者の眼を引く巨大な城だ。
グエルは予想だにしなかった光景を前に、頬を引きつらせながらシャディクに言う。
「おい、シャディク……。これはいったいなんだ……?」
「……俺に聞くなよ、知るわけないじゃないか」
「じゃあエランだ……おまえ、最近バカと仲いいだろ」
「バカの考えることなんてわかるわけないじゃないか。バカなんだから……」
「ってことは……」
三人はくるりと犯人であろう妖怪の方向を向いて、
「「「なにかんがえてんだっ!!」」」
「知らねえよ!?」
まさかのロマン妖怪の否定が返ってきた。
妖怪はコースの姿に目を輝かせつつ、自分の犯行ではないと主張する。
「お前以外にいるわけねえだろが!? 今度はなに企んでやがるっ!!」
「ステイステイ……。誓って俺のアイデアじゃない。そりゃあ、企画書来た時に『もっと弾けたら?』『お前らのロマンはこんなもんか?』とか煽ったよ? でも、こんなすばら……ゲフンゲフン、驚きのステージを作るなんて、きっと犯人はとんでもなくロマ……ゲフンゲフン、行動力のある人間に違いない」
「嘘つくんじゃねえ!! お前以外に、こんなバカをするやつは……!」
「グエル、グエル」
「あ!? 今はこいつをしめるのが……」
「どうやら、本当にバカの仕業じゃないみたいだね……」
「なにっ!?」
エランが呆れたような口調で言う。その視線は斜め上を向いており、グエルがそちらを見上げてみると、
『わたし』
『たちが』
『やりました』
『『『いえーいっ!!!!』』』
と、達成感に満ちた顔でポーズをとる二年生が、液晶ビジョンに映っていた。
グエルの記憶が正しければ、それはロマン男のロングロンド寮の学生であり、この体育祭の実行委員会でもあった。
その映像を見たとたんに妖怪は、
「おまえらぁあああ!! こんなに立派になってぇえええ!!」
と歓喜の涙を流すのだが、
「立派になってねえよ!? どうしてくれてんだ! お前だけでもめちゃくちゃなのに、同類がふえてんじゃねえか!! ネズミ算かよっ!?」
「これは来年のアスティカシアも大変だね……」
「むしろあそこから感染していくから、もっとひどくなるんじゃないかな?」
グエルたちは学園全体が妖怪に汚染されていく未来図を想像して、三者それぞれに嘆きの声を上げた。
とにかく、下手人が分かったが安心できる材料など何もない。いずれにせよ妖怪の影響を色濃く受けた学生たちが『ロマン』の元に魔改造を施したステージなのだから。
自分たちは無事にゴールにたどり着けるのか、いやその前に醜態をさらさずにこのレースを終われるのかという不安がこみ上げる。
だが、その中でもグエルは。
(……いや、俺がやることは変わらない。スレッタとの未来を掴むために、負けられないんだ)
想い人の姿を思い出して気合を入れなおし、レースへと向き合った。
そして、カウントダウンと開幕のホイッスルと共に、
「いくぞっ!!」
軽快なBGMが鳴り響く中、グエルは走り出す。
しかしスタートダッシュにもっとも成功したのはグエルではなかった。
「ヒィーーーーッ、ヤッホーーーーー!!」
なぜか赤い帽子と口ひげをつけたバカが、決闘と同じくすさまじい直線ダッシュを見せて、最初の六弾飛びゾーンをぴょんぴょんと飛び跳ねていく。
すでに後輩たちのロマンで最高にハイになっていたんだろう、そのまま勢いは止まらず、ローリング丸太も揺れる橋も、速度を落とさず駆け抜けていった。
そのあまりの速さに観客たちは『NINJAだ! NINJA!!』と度肝が抜かれ、グエルも
「あいつ……ほんとに妖怪かよ……」
と戦慄する。
しかし、これは時間制限はないものの、たどり着いた者から順位がつく種目。グエルはロマン男に負けじと前方へと走ろうとして、
「待て、グエル!」
その肩を掴んでシャディクが止めた。
「なにしやがんだっ! 早くしないと、アイツにゴールされるだろ!!」
グエルは当然怒りの声を上げるが、しかし振り返り見たシャディクの顔は、真剣そのものだった。
「あいつにのせられるのは危険だ。このコースは、あいつの後輩が作ったとはいえ、あいつの思想が色濃く反映されている……つまり、なにが起こるかわからない」
そして、その言葉の通りに、
「ハーッハッハッハッハ、どうしたグエルっ! このまま俺がゴールしちまうぞっ! 今のお前には、情熱思想理念頭脳気品優雅さ勤勉さ! そしてぇ!! なによりもぉーーーー、速さが足りない!!」
などと妄言を吐いていた妖怪の足元に……すぽっと穴が開いた。
「な、なんだとぉおおおおおお!?」
妖怪は落ちていく。ティウンティウンなどというSEと、解説の学生の『ロマン先輩が死んだっ』『この人でなしっ!!』という叫びとともに。
リタイア、一名。
この景色を見ていたグエル達は当然のことながら言葉を失い、自分たちの未来に悲観した。
これはどうあがいても、面白い見世物にされると。
「グエル……ここは俺達も協力しよう。あいつのようなことにはなりたくないだろう? もちろん、エランもだ」
「あ、ああ……、こんなところでグエル・ジェタークが醜態をさらしてなるものかよっ」
「すでに醜態はさらしていると思うけど……僕も協力しよう。あのバカの思い通りになるのは勘弁だからね」
「よし、三人で連携しながら行くぞ。全員無事にゴールすることだけを考えるんだ」
そうしてまさかの御三家によるチームが結成され、地獄のレースは進む。
三人は丸太を掴みながら転がったり、ジャンプハングを上から転がるか、下から垂れ下がっていくかでもめたり、唐突に横から繰り出されてきたハンマーにエランがノックアウトされ、
『あーん! エラン様が死んだぁ!』
『くすん……美形薄命だ……!』
など悲鳴が各所から上がったりするが、その都度、三人でフォローをしあい、他の競争者が脱落していく中でも生き残り続ける。
即席のチームでありながら、学園で長く付き合ってきたライバル同士。お互いをよく知っていたからだ。
しかし、そんな三人に最大の試練が待ち受ける。
そこは城の目前にある反り立つ壁。弧の字を描くようにほぼ垂直まで角度をつけた坂道。だが、運動能力に優れた三人は、その程度で止まることなどしない。勢いをつけて、適切に地面をけり上げれば頂上に到達することができる。そう、本来であれば。
だが、
「な、なんだ、すべるぞ!?」
「これは……油っ!?」
三人が駆けだした途端に、上から大量の油が流れ出し、坂道をぬるぬるにしてしまう。
当然ながら、油など流されたら、まともに助走をつけることも、まして壁を駆け上がることもできやしない。試しにグエルが走ろうとしてみたが、歩くならまだしも走ればすっころんで、貴婦人たちに創作の材料をあげるだけの結果になってしまう。
(((クリアさせる気あるのか……?)))
と三人がコース設計者への怒りを募らせ、そもそもさっさとリタイアしたほうがいいのではないかと考える中、頭上から声が響いた。
『我が後輩がただの坂など用意すると思ったかっ! それこそはヘルクライム・ピラーっ!! 何物も登らせぬ、城の守り手よっ!!』
早々にリタイアしたあげく解説席に居座っている妖怪が、後輩たちと共に自慢げにステージの解説をしているのだ。
「「「…………」」」
三人は無言で互いの顔を見つめ合う。
ベネリットグループ御三家、永遠のライバル、蹴落とし合いをしてきた血の歴史。それらすべてを置き去りにして、三人の思いは一つになった。
生き残って、あのバカ〇す。
「グエル、エラン、提案がある」
「なんだ? 今日はもうお前の作戦でもなんでも認めてやる」
「珍しいね、君と気が合うなんて。僕も同じ気持ちだよ」
「ふっ……この三人で、こんな会話をする日が来るとはね」
三人は肩を組み合い、作戦をまとめ……
「「「いくぞっ!!」」」
そして走り出した。
小走り程度ならば油まみれの道でも滑るリスクは少ない。慎重に、そして坂が急になる下までたどり着くと、
「エラン、グエル、俺を超えていけっ!!」
シャディクがわずかに残されていた地面のへこみに足先をかけながら、後ろの二人へと叫ぶ。
彼の作戦の意図は明確だった。
坂を登れないというのなら、別の上る手段を作ればいい。
自らが梯子となるという、自己犠牲の作戦をシャディクが立てていた。もはや誰が勝つなどとは関係ない。一人でも生き残り、妖怪たちに一泡吹かせる方が重要だった。
(昔の俺なら、こういうことはしなかっただろうけど)
シャディクは自分のことを面白く思いながら、二人が上りやすいように背を屈める。
そして、
「……ありがとう」
「すまん、シャディクっ!!」
シャディクの背中を駆ける二人。まずはエランが先行して、次いでグエルが同じようにシャディクの背を蹴ってジャンプした。
しかし、
(だめだっ! 届かねえっ!!)
エランは小柄でジャンプ力が高かったためか、わずかに頂上の縁に手をかけることに成功したが、体重の大きいグエルでは、そこまで届くことはできなかった。
このままでは、グエルは墜落し、エランもまた油が流れるところでは握力が足りずにリタイアという、三人共倒れの流れ。
そんな時にグエルは、一つの声を聞いた。
「僕を使え、グエル……!」
エランだ。
エランが必死につかまりながら、グエルの眼を見ていた。
電撃が走ったように、エランの意思がグエルに届く。
(ぜったいに、あのバカたちの思い通りにするな。君が行くんだ。栄光は君にあるぞ。やれ、やるんだ、グエル……!)
「……っ、エラン!!」
その意思に応え、苦渋の決断を下したグエルは、エランの肩へと脚をかけると、そこに力を込めてもう一度ジャンプする。
反動によってエランは坂の下へと滑り落ちていくが、その顔には穏やかな笑みが浮かんでいた。彼は役割を果たしたのだ。
エランらしからぬ、いや、かつてのエランであれば行っていなかった行動。
そしてその献身を受けたグエルもまた、彼らへの考えを変えた。
「……お前たちの意思、受け取った。さらばだ、友よ」
今この時だけは、御三家など関係ない。共に生き延びるために努力した戦友だと。
振り向かずに走り出す。それが彼の示した仲間への弔い。
残されたステージはあと少し。そして参加者もグエル一人。
だがグエルは決して一人じゃない。
グエルはその肩に、仲間二人の意思が残されているのを感じていた。
そして、
『とうとうグエルがやってきた! ラストステージ、スパイダークライムっ!! 15mの綱登りをグエルは突破することができるのかっ!! 「上腕二頭筋の怪物」「漢アスティカシア」「恋は盲目」。副賞のデートを手にすることができるのかぁっ!!』
『おぉーっと!! グエルがいった、グエルがいった! その上腕二頭筋を酷使して、登っていく、登っていくぞ、まさに怪物、まさに怪物! 「人生七転び八起き」「美学のダリルバルデ」! グエル、止まらない、止まらないっ! このまま頂上まで……だめだぁっ!! グエルが止まったぁ!!』
熱狂するバカの解説が響く中、グエルは荒い息を吐いていた。
すでに限界まで酷使してきた体。
とくに油に触れた手は、摩擦力を大きく失っている。ロープを登り切ればクリアという場面だからこそ、そのハンデは大きくグエルを苛んでいた。
(くっ……、あと、すこしだっていうのに……)
ならばこそ素早く登り切りたいところであったのに、ゴールである城が見える中で力が湧いてこない。
体がもう無理だと悲鳴を上げている。
「すまない、シャディク、エラン……俺は、俺は…………」
自分が情けない。
ここまで支えられて、お膳立てされて、それでも栄光を掴めないのかと。
しかしそこで、
『それでいいのか、グエル! グエル・ジェターク!! 周りの歓声を聞いてみろ! みんながお前の活躍を待っているぞぉ!!』
バカたちの扇動が聞こえる。観客もまた、その声に合わせてグエルへの応援を叫び続ける。
なにより、
『グエル、思い出すんだ! お前が副賞を手に入れたい理由をっ!!』
「お、おれは……」
グエルは走馬灯のように思い出した。
スレッタと出会ってから今日までのことを。
決闘して、負けて。また決闘して負けて。だけれど友達になったはいいが……その後になにをした? なんとなく恋人面をしていただけで、デートもなにもかも、まだできていない。恋人にすらなれていない。
「いやだ、おれは、まだ負けられない……」
「おれは、おれは……」
「スレッタ・マーキュリーに進めていないっ!!」
心に浮かんだ言葉を叫び、グエルは再び筋肉を躍動させる。
『いいぞグエル、いいぞグエル。「白昼の流れ星」「地獄からの帰還兵」「暴れん坊ジェターク」「ダルマになっても転ばない漢」! グエル・ジェタークが上る、登る、昇るぅううう!!
そしてぇ……グエル・ジェターク! ステージクリア! たった一人の栄冠を手にしましたっ!!』
万雷の拍手の中、グエルはアスティカシアの景色と、自分を見上げる数多の観客を見つめながらつぶやく。
「……見てくれたか? スレッタ・マーキュリー」
友情と努力の末に掴んだ勝利。
わずかに涙を流しながらグエルは、世界へ己を示すように右腕を高く掲げた。きっとスレッタも、自分の雄姿を見てくれたと信じて。
一方そのころ、
「み、ミオリネさんっ! こ、このお箸ってどうやってつかうんですかぁ!?」
「あーもう、持ち方はそうじゃなくて……って、いいわ。今度、ちゃんと教えてあげるから。今日はこうやって食べた方が効率良いわね。はい、あーん」
「あーん♪ えへへ、な、なんだかいつもよりおいしい気がします……」
「そ。それはよかったわね」
グエルがそんな競技に出ているとも知らないスレッタは、ミオリネとともに木陰で弁当を食べていたのだが……その事実をグエルは知らないほうが幸福だろう。