アスティカシアの中心で『ロケットパンチ』と叫んだ男 作:カサノリ
「奴め……いったい何をするつもりだ?」
応接室から秘書を連れ立って出ながら、サリウス・ゼネリは苦々し気につぶやいた。
ここで言う"やつ"とはサリウスへと意味深なことを伝えてきたヴィム・ジェタークのこと。
ヴィム・ジェタークを若いころから知っているサリウスは、そのいつまでたっても直らないこらえ性のなさも、そして短絡的に強硬な手に出る悪癖もよく知っていた。
ヴィム本人は、力でもってライバルたちを叩き潰してきたと、自分の手腕にプライドを持っているようだが、サリウスの考えは違う。発展途上の企業ならともかく、御三家と評されるほど力のある企業のトップとしては、その気質は大きなマイナスだ。
リスクをとるならば必要不可欠な場面でのみ。熟考に熟考を重ねた末のものでなければならない。
若者からは、サリウスのその慎重かつ保守的な姿勢は視野の狭さとして映るかもしれないが、むしろ視野が広くなければ慎重さなど生まれるべくもない。
そんな策謀や政治的な折衝を得意とする経営者であるサリウスは、言葉を選ばなければ"品のない男"だという評価をヴィムに対して下していた。
問題は当のヴィム・ジェタークが、
『まあ楽しみにしておけ。デリングも、あの小僧もなんとかしてやるさ』
などと言い出したこと。それが気がかりで仕方がない。
(やつは自分に酔っている。これまでの成功体験とデリングに届かない焦燥が混ざり、何をしでかすかわからない。……まさか暗殺でもするつもりか? その果てにどれだけのリスクが待っていると思っている)
総裁であるデリング、そしてアスム・ロンドもベネリットグループにおいては重要な位置を占めている。それを何の考えもなく暗殺でもしてたら、どれほどの混乱が訪れるか。
「致し方ない、か」
サリウスは不快そうに鼻を鳴らすと、秘書へと一つの指示を出した。
「シャディクを。それからサビーナも呼べ」
機動戦士ガンダム 水星の魔女
アスティカシアの中心で『ロケットパンチ』と叫んだ男
その頃、そんな会話が行われていることを知らないアスムはといえば、ミオリネ達の元へと戻るために、パーティー会場内をゆっくり歩いていた。
広い会場なので、ニカが携帯に送ってきた集合場所までは少し距離がある。
いつもならばそのくらいの距離は走って移動しているが、このパーティー会場で走るのはさすがにどうかと思う常識はかろうじて持ち合わせていたし、歩いていると付き合いのある企業やアスムへと挨拶をしたいという企業関係者がたくさんやってくる。
そういう人々と一言二言でも会話をすることは大事であるので、結果的に時間をとられて。
人の波をかき分けて合流場所まで移動したときには、そこにはミオリネとシャディクを除く面々が談笑している風景があった。ちょっとした立食用のテーブルが近くにあるので、そこには彼らがよそっていたであろう皿が置かれている。
しかし、その中心にいる人物は、少年にとっては意外な人であった。
「へぇ、そうなの。スレッタ、いつもそんな風に頑張っているのね」
「はい、私たちの寮は自給することも多いんですけど、スレッタは料理にも挑戦してて」
「この間もレパートリー増やしてましたよ。あれはおいしかったなぁ」
「も、もーっ! 二人とも、恥ずかしいですよぉ……!」
「あら、いいじゃない♪ お母さん、スレッタのお話もっと聞きたいわぁ」
マルタンとアリヤからスレッタの日常の様子を聞き、楽しそうな声を上げている女性。しかし、声とは裏腹にその表情をうかがうことはできない。
顔の上半分を覆う大きなヘッドセットをつけたその人のことを、会話をしたことこそなかったが、アスム・ロンドは知っていた。
そしてアスムが彼女に近づくと、スレッタはなにかに期待するように手を振って、
「あっ、先輩! こちらが私のおか……」
「スレッタさんのお母様!!!!」
「ふぇっ!?」
飛びつくように母親の手を取ったロマン男の奇行に目を丸くした。
「お会いできて光栄です! くぅっ……! ずっとあなたのファンだったんですよ!!」
「ふぁ、ふぁん、ですか……?」
その勢いにいつも冷静な調子のプロスペラまでどこか冷や汗を流して半歩だけ足を後退させている。
「はいっ! だってあなたこそがあのエアリアルの開発者!! しかもスレッタさんを学園にお預けしていただけるなんて……! なんてロマンが分かっている方だとずーっと思ってました!!」
「は、はぁ……」
「せ、せんぱい……? お母さん、ちょっと困ってるみたいですし……」
「おっと失礼! 思わずロマンがあふれてしまって!!」
こほんとアスムは咳ばらいをすると、今更取り繕っても仕方ない社会人らしさを取り繕いながら、プロスペラへと挨拶をした。
「改めまして、こうしてお話しするのは初めてですね。ロングロンド社のCEOを務めています、アスム・ロンドです。スレッタさんには学園でも良くしていただいてます」
(((変わり身はやい……)))
「こちらこそ、いつも娘がお世話になっております、プロスペラ・マーキュリーです。ふふ、スレッタから話には聞いていましたけど、とてもユニークな方ですね」
(((ユニークですませていいんですか!?)))
「はははは! プロスペラさんこそ、素敵なか……方ですね♪」
(((今、ぜったい仮面のことをほめようとしてたでしょ!?)))
なんて、どっか噛み合っているような噛み合っていないような調子で話をする社長二人へと、ニカ含めた三人は心の中で突っ込みを入れていた。
とはいえ、プロスペラも変人の奇行に押されていたのがウソのように、元通りのしとやかな女性社長という体で話を続けている。
もしかしたら心中では、アスム・ロンドが自分に対して心理戦を仕掛けているかもしれない、などと邪推している可能性もあるが、その当のロマン男が言ったことはまじりっけのない百パーセント本心だった。
アスムからしてみたらプロスペラが開発したというエアリアルはロマンの塊であるし、そのデザインからカラーリングまでもどこかのアニメの主役になってもおかしくないと"わかっている"者が作ったなという評価。
さらにはスレッタの日ごろの人の好さをよーく知っている彼からすれば、母親としてのプロスペラもリスペクトの対象であった。
なにより、
(やっぱり仮面かっけーっ!! めっちゃラスボスとかライバルがつける奴じゃん! なんか多機能とかないのかな? ないなら、むしろつけたい! ビーム出そうぜビーム!
お願いしたら、デザインしたとこ紹介してくれねえかなあ!!)
なんて口に出さないだけのデリカシーがあるだけで、例の審問会で一目見た時から、その仮面になみなみならない思いを抱いていたりした。
少なくともそんなことを目の前の少年が考えているなどとは気づいていないだろうプロスペラは、穏やかな美声で言う。
「お褒めに預かり光栄です、ロンド社長。ですが、それは私から言う言葉でしょう。
企業人としてはもちろん、あなたの逸話は耳にしておりますし、スレッタからも学園でのあなたのことをよく聞かされていたんですよ?」
「ほうほう! いったいどんな風に?」
「そうですね……とっても親切で優しくて、かっこいい人だって。自分が安心して学園に通えているのも、あなたが支えてくれているからとも言ってました。
私、それを聞いたからスレッタが恋しちゃったのかしらって、気になってたんですよ?」
「お、おかあさん!?」
「ほらほら、この子ったらこんなに赤くなっちゃって」
「なにっ!? スレッタさんがまさかそんなに思ってくれていたなんて……!
だが、今の俺にはロマンを世界に広めるという使命が……!」
「誤解ですからぁ!! お母さんも、へんなこと言わないでよぉ……!!」
「はいはい、頼りになる先輩なのよね♪」
「ははは! 大丈夫、変な誤解はしていないから」
そこでようやくスレッタは、二人に少しからかわれたのだと理解した。
むぅ……と珍しく恥ずかしさに顔を赤くしながら二人をジトっと見るスレッタ。だけれど、すぐにその気持ちはなくなって、むしろ嬉しさがあふれていく。
初対面だというのに、尊敬する先輩と母親が打ち解けてくれたのが彼女にとって幸いだったのだ。
変なことを言う人ではない……いや、ロマン的に変なことは言うかもしれないが、相手を否定するような言葉を言うことはないと信頼はしているが、それでも母親と会わせるというのはドキドキしてしまうもの。スレッタの不安はまっとうなものだ。
そして、そっと胸をなでおろしたスレッタだが、
「そういえば、こちらの地球寮のお二人にも聞いたんですけど、学園でのスレッタはどういう様子なんでしょう?」
「ふぇっ……!?」
プロスペラがそんなことを言い始めるので、また顔を赤くしてしまった。
「ちなみにどんなことをお聞きしたいのですか?」
「そうですねぇ……あなたから見たスレッタの印象でしょうか?
ほら、この年であまり干渉しすぎるのも変ですけど、スレッタはなにぶん初めての学園生活ですから。ちゃんと友達を作れているか、周りの人に迷惑をかけていないか、母親としては気になってしまうんですよね」
「なるほど……では♪」
そうしてロマン男は咳ばらいを一つして、なにを言われるのかとドキドキしている様子のスレッタへとほほ笑みを向けながら口を開いた。
「まず、スレッタさんはとてもいい子です!
人にやさしく、友情や信頼を重んじて、決して裏切ることをしません。いや、ほんとにここまで良い子って他にいます? いや、いないですよ? ほんとに一目見た時から信頼できる子だなって確信できましたからね!」
ロマン男は話す。
「しかもとても勇気がある!
ああいう学園ですから、いろいろと困ることも多かったと思いますけれど、そのたびに逃げ出さないで前に進んできました。俺の人生を見渡してみても、こんなに勇敢な子はめったにいませんよ!」
話し続ける。
「しかもしかも! ロマンをわかってくれるのが最高ですね!
エアリアルとのコンビネーションも最高ですし、みんなからエアリアルともども好かれるのがよーくわかります!」
話し続ける。
「最初は勉強など不安なところもあったようですが、ちゃんと自分の足りないところを認めて、改善しようとしているのもいいですね。きっとスレッタさんは、卒業するころには俺達の学園を背負って立つ子になってくれると信じています」
まくしたてるように話し始める。
それを聞いてスレッタがトマトのように真っ赤になるが、お構いなしのほめごろしである。
それを聞くニカ達は内心で「学校の先生ですか!?」と思ってしまうが、アスムからすればすべて本心なので隠すこともないし、むしろこんなことを伝えられる機会はほとんどないのだからと遠慮をするという選択肢は消し去っていた。
一方でそれを聞くプロスペラはと言えば、親として謙遜したりスレッタを誇らしく思うのではというアスムの予想とは異なって、
「……そうなのね」
と彼の勘違いでなければどこか固い声で呟いた。
それはどこか迷いのようなものを含んでいるようでも、なにかを企んでいるようにも聞こえる不思議な音色。
(こういう時、顔が見れないのって不便だよな)
プロスペラのその言葉の真意が読み取れないアスムは、心の中でそう考える。
多分に直情的で感情を表に出す彼にとっては、通信でもなんでも人の顔を見て話すことの方が得意だ。それが好意的なものであれ、奇行に対する引きつった顔であれ、顔を見ることで相手との距離感を推し量ることができるのだから。
だから顔の上半分をすっぽりと覆ってしまう仮面で口元だけというのは、どことなく落ち着かない気持ちにもなる。仮面キャラというのはアニメにおいても伝統だが、大概が敵や秘密を抱えているというのはその得体の知れなさを生み出す効果に、確かな実績があるからだろう。
ただアスムとしては、この会話の場はプロスペラを警戒させるためでも、彼女にコチラを推し量らせる場でもない。株式会社ガンダムにおいてはプロスペラと協働していくことが求められるので、可能な限り人間関係を良好にしていきたいのだ。
なのでアスムは少しだけ話の方向性を変えた。
「ええ♪ きっとお母さんの教育がよかったんでしょう」
「え?」
「スレッタさんはお母さんが教えた大事なことをしっかり守っています。逃げたら一つ、進めば二つ。……子供が前に進むときって、最初はなんでも怖いですし、そんなときに支えになる言葉があるのって大事ですよ?」
「…………」
「だから、スレッタさんもプロスペラさんのことをこんなに信頼しているんでしょうし、プロスペラさんは素晴らしいお母さんなんだって、俺は思います」
「……いいお母さん、ね」
プロスペラは聞こえないほどの声で呟くと、口元に手を当てて微笑んだ。
「ふふ、ありがとうございます。あなたにそう言っていただけて、とても嬉しいです。でも、スレッタのこと、あまり甘やかしてはダメですよ? ほら、この子ったらこんなに真っ赤になっちゃって」
「せ、せんぱいがいきなりこんなこと言うからですよ……!」
「ごめん、ごめん。せっかくだからって思ったらついね」
アスムは苦笑いしつつも、その実反省しているような様子はない。
スレッタもここまで褒められたことがこれまでなかったのだろうか、なんだか嬉しさと気恥ずかしさがごちゃ混ぜになったようで、少し涙目にもなっていた。
(社長のこういうところ、すごいですよね……)
それを隣で見るニカは思う。
究極的に自分に素直というべきか、アスム・ロンドという少年の言葉には裏表のない率直さというのが常ににじみ出ている。
プロスペラの声が、相手を安心させる生来的なものをもっているとすれば、こちらは感情が素直に乗っていると言うべきか、この人を疑うのがバカらしいと思ってしまう人の好さがあるのだ。
それはニカのような後ろ暗いことがあった人間には特効薬のようにすっと効くのだが……果たしてプロスペラはどう思ったのだろうか。
そっと、プロスペラは言う。
「……でも、それを言うならあなただって素晴らしい方ですよ?」
「俺が? いやいや、人の親を立派に努めている人には負けますよ」
「そうかしら? あなたは学園もご自身の会社もよくまとめ上げていらっしゃるし、とても非凡な方だと思いますよ? それに……」
「あなたのご両親のことも」
そのプロスペラの口ぶりに、アスムはふと空気が変わったのを感じた。
理由は分からないが、どこかジトっとしたものだ。
それを顔には出さないまま、プロスペラの口ぶりから推測したことを話す。
「もしかして、うちの両親と会ったことがあります?」
「正確には、あなたのおじい様ですけれど。生前、少しだけお会いしたことがあって、その時にあなたのご両親とも」
「うちの祖父、うるさかったでしょ」
「ふふふ♪ ええ、確かに賑やかな方でしたね。エネルギッシュというか、あなたによく似てらっしゃいました」
だからこそ、とプロスペラはアスムへと顔を近づけながら言うのだ。
「ご両親のこと、妹さんのこと、本当に残念に思います。それを乗り越えて進んできたあなたは、とても強い方ですね」
「……ありがとう、ございます」
プロスペラの言葉にアスムはわずかに言い淀んだ。
もう勘のようなものではなく、さっきまでとは違う圧力のようなものを感じ始めたからだ。
ウルト〇マンの顔の造形のように、物理的に見えているものに違いはないのに、顔の角度や光の当たり方で受け止められる印象が変わってしまうことがある。プロスペラの今の表情には、そういった凄みのようなものが感じられて仕方なかった。
プロスペラは教え諭すように続ける。
「……ヴァナディース事変、ご存じでしょう? そして、私がそこの生き残りだということも」
「え、ええ……それは、そうですね」
「二十年前のことも、あなたのご家族のこともそう……。あなたのように素敵な人にも、災難は不平等に降りかかる。ねぇ、この世界には悲しいことが多すぎると思いませんか?」
「…………」
「もし、そんな悲しみをなくせるとしたら……あなたはどうします?」
「どう、というと?」
不思議とその声は、抗いがたい魅力を孕んでいる。
「私もあなたも力を持っている。エアリアルという、理不尽を魔法のように解決してくれる力だってある」
それは子供を森の奥へと誘う魔女のように。
「決して夢物語ではないんですよ? 争いも悲しみもない世界は……」
「それって……!」
少年はその誘いに、
「人類補完計画ですか!?」
前のめりに返事をした。
だが、とうのプロスペラはといえば、逆に面食らったように言う。
「ほかん、けいかく……?」
「いやいや第三魔法とか、アーカーシャの剣とか……! いいですよね! すごい理想的だけどすっごいディストピアなあれ!!」
「しゃ、社長、今はそういうアニメの話は……」
一同の中で意味を理解しているニカが慌ててロマン主義者の手を取って止める、どう見てもプロスペラ女史は話題についていけていなかったからだ。
ロマン男も正気に戻ったように肩をすくめると数泊置いて、今度は静かな笑顔で返した。
「確かに、欲しいですよね。争いも悲しみもない世界って。そういう世界になってほしいですし、そうなったら余計なことを考えないでロマンに没頭できたりしますし」
だけれど、
「でも、現実も捨てたもんじゃないと思いますよ? だって俺達の世界もちょっとずつだけどよくなっていると思うから」
「…………ちょっとずつ、ですか?」
「はい」
そこでアスムはスレッタの肩をポンと叩く。
「だって、あなたにはこんなに素敵な娘さんがいらっしゃるじゃないですか?」
「…………」
「スレッタさんが来てからたくさんの変化がありました。グエルは青春真っ盛りだし、ミオリネも少し優しくなりましたし。俺にだってたくさんのロマンをくれた。
だから今は確かに夢だけど。あなたの娘さんが学園で学んで、あなたの思いも受け継いで、きっと大人になったスレッタさんがもっといい世界にしてくれます」
そして今この瞬間も、
「それに、ほら。あそこにも何とかしようとしてる女帝様がいますし!」
アスムが促すと、プロスペラはメインステージへと振り向く。そこにはちょうど堂々とした姿でステージへとミオリネが出てくるところだった。
もっともミオリネはといえば、呑気に手を振るアスムを『アンタはこっちに来る方でしょ』と不満げに見つめ、けれども『見てなさいよ』とでもいうように会場全体へ向けて声を張り上げる。
『私たちはこれから新会社を設立します。
呪いと呼ばれ忌み嫌われたGUND技術を、再び人類の発展に使われる祝福へと変えるために!』
堂々とした、信じられる姿。
アスムはそこに、泣き出しそうな顔で必死に訴えていた小さな女の子の姿を一瞬幻視するが、それはすぐにどこまでも誇り高いミオリネの姿に上書きされていく。
ミオリネは語る。
エアリアルというガンダムの持つ希望を、それが示す明るい未来を。
魔女の呪いだって背負って、自分で未来を切り開こうとしている。
その姿はいつだってアスムにとって鮮烈で……
(まったく、ほんとミオリネはすごいな……)
それは決して恋愛感情ではないけれど、いつかのパーティー会場で大人たちに立ち向かうミオリネを見た時から、彼にとってミオリネは物語の主役と重なって見えていた。
そんなミオリネが、それが偶然の運命だったとしても、仕組まれた物語だったとしても、スレッタという少女とともに呪われた兵器へと立ち向かおうとしている。
だから少年には不思議と確信できていた。
きっとこの先の未来は……。
「どうです、プロスペラさん? ロマンだと思いませんか?」
「……ロマン、ね」
「ええ♪ ロマンです♪」
だって、こんな光景はそうないだろう。
まだまだ子供であったはずの少女が、文字通り世界を支える大企業の中心で大人たちから信頼を集めている。
ミオリネが投資を呼びかけるよりも早く、皆が我先にと投資を始め、そしてその中には確かに、彼女の父親自身の信頼の証も含まれていて。
こんなにロマンチックな始まりをした物語なのだ。
「ハッピーエンドにして見せますよ、俺達が」
それは彼の考える最高のロマンだった。