喧嘩師《セイント》カシオス   作:ソロモンは燃えている

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あけましておめでとうございます。
短いですが、今年最初の投稿です。
ノリと勢いで書いたので、他の短編とは直接繋がらないパラレル時空の話だと思って読んでください。


聖域の新年会

 

 

 

 聖域では、新年を祝う宴が行われていた。

 黄金聖闘士達も集まり、酒と食べ物を持ち寄って楽しい一時を過ごしていた。

 これは、別に黄金聖闘士でなければ参加できない決まりがある訳ではない。

 白銀以下の聖闘士や雑兵達は、恐れ多くて近づけないだけなのだ。

 だから、いつもは黄金聖闘士だけでこの宴は行われていた。

 しかし、今年は様子が違っていた。

 その場にクロスを纏わぬ男が参加していたのだ。

 カシオスだった。

 黄金聖闘士に対して怖気づくような男ではない。

 アルデバランに誘われて、なんの躊躇いもなく参加していた。

 その場には、黄金聖闘士達の出身国の酒が持ち寄られていた。

 カシオスも多くの酒を手土産として提供していた。

 各々が杯を空けていき、酔いで気分が良くなっていく中で、アルデバランだけが酒を飲んでいなかった。

 

 アルデバランには酒乱の気があり、酔うとゴールドクロスを纏ってグレートホーンを所かまわず打ちまくると言う癖があった。

 だから、全黄金聖闘士から酒を飲む事を禁止されているのだ。

 アルデバランには酔ってる間の記憶はないが、皆に迷惑を掛けているのならと素直に酒を控えている。

 アルデバランが気兼ねなく酒を飲める相手はカシオスだけだった。

 いつも金牛宮で酒を酌み交わし、当然のようにゴールドクロスを纏ってカシオスと拳を交えていた。

 黄金聖闘士の中で肉弾戦最強と言われるアルデバランと心行くまで殴り合い、翌朝には二人とも特にダメージを感じさせずに帰っていくのだ。

 

 宴も進み、一発芸大会が始まっていた。

 

「4番、魚座《ピスケス》のアフロディーテ。

 ミスティの真似!」

 

 アフロディーテが背後にデモンズローズやピラニアンローズを浮かべてポージングを取っている。

 

「アテナよ、私は美しい」

 

「はっはっは、似てる〜!」

 

 次は俺だと、シュラが進み出る。

 

「5番、山羊座《カプリコーン》のシュラ」

 

 そう言って、空になったワインの瓶の前に立つ。

 そしてコスモを高める。

 

「エクスカリバー!」

 

 右手を一閃。

 ワインの瓶は、上から1/3程の所から斬り飛ばされた。

 その切り口は滑らかで、まるで鋭い刃物で斬られたようだった。

 周りからも歓声が上がる。

 

「そういや、カシオス。

 お前は初めての参加だったな。

 何かやって見せてくれ」

 

 アルデバランから声が掛かる。

 聖域《この組》では新参者だ。

 ならば、余興の一つもしなければならないだろう。

 カシオスが前に出る。

 

 カシオスが辺りを見ると、ちょうどシュラが斬り飛ばしたワインの瓶があった。

 

「6番、カシオス」

 

 カシオスは、その瓶を手に取り、切り口を合わせた。

 そして、両手で包み込むように握り込んだ。

 しばらくして、カシオスは手を離し、瓶の口を摘んだ。

 当然、瓶の切り口から下は地面に落ちるはずだった。

 しかし、

 

 つ、繋がっている!

 

 黄金聖闘士たちが驚いている。

 超能力の類は、使われていない。

 酔っていても黄金聖闘士なのだ。

 そんな力が使われているなら、気配で気付く。

 何より、カシオスの雰囲気は、アルデバランと同様にそんな小細工をするようには見えなかった。

 

 カシオスがテーブルの上に繋がった瓶を置いた。

 そこで、周りの黄金聖闘士たちは違和感を感じた。

 置かれた瓶をよく観察してみる。

 そして、気付いた。

 カシオスが握った瓶が、周りの同じワインの瓶に比べて小さくなっているのだ。

 

 瓶が縮んでいる!

 

 深海では、その凄まじい水圧ですべてのものが小さくなる。

 ハンドボールは、ゴルフボール並みに。

 カップヌードルは、お猪口のようになる。

 

 カシオスの握力は、それと同じ現象を引き起こしたのだ。

 何より黄金聖闘士たちを驚かせたのは、これがコスモで強化された故の技ではないと言うことだ。

 カシオスからコスモを感じなかった。

 本人の素の握力によって成されたと言う事だ。

 

 周りの黄金聖闘士たちは、雑兵であるカシオスがアルデバランの酒に付き合える事を不思議に思っていたが、この一発芸を見て納得していた。

 なるほど、これほどの身体能力を持つならアルデバランの酒宴に付き合えるはずだ。

 黄金の戦士たちは、カシオスの力を認めていた。

 

 新年の宴で、カシオスはその実力の一端を黄金聖闘士に見せることになった。

 その後も、宴は盛り上がっていった。

 

 

 その頃のシャイナ

 

 心配だ。

 カシオスの奴、黄金聖闘士の皆様に失礼を働いてないだろうか?

 黄金聖闘士の方たちも、雑兵ごときの粗相を咎めるような事はしないと思っている。

 だが、あの方たちの手加減は、私たちと基準が違うからなぁ。

 なんで、誘われたからってほいほい参加してるんだ!

 

 黄金聖闘士たちの酒宴に参加した初めての雑兵と言う、ある意味、伝説を作ったカシオスを心配していた。

 

 翌朝、特に怪我などもなく帰ってきたカシオスの姿に安堵していた。

 

 シャイナは、知らない。

 カシオスがアルデバランと酒を飲むたびに殴り合いをしている事を。

 いつも、何事もなく帰ってきているからだ。

 

 黄金聖闘士たちが、アルデバランの酒に付き合う意味を知っていて、カシオスの力を認めている事も。

 この宴で実力の一端を見た事で、その力をさらに確信している事も。

 そして、そんな男を育てたシャイナを高く評価している事も。

 

 シャイナは、まだ知らない。

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