スポーツの日記念投稿です。
弟子のカシオスが修行をしなくなってしまってからしばらくが経つ。
当然、師匠であるシャイナが放置しておくはずもなく、あの手この手で修行をさせようとしてきたがカシオスの鍛えることは女々しいと言う
もう、ダメなのかな?
私には師としての才能がないのかもしれない。
最近では、シャイナの心の方が折れそうになっていた。
弟子が修行を拒否して、言うことも聞かないなど師として恥ずべき事であり、とても周りには言えない。
ましてや、ライバルとして意識している魔鈴に相談するなどもっての外だった。
魔鈴の奴、会うたびに自慢ばかりしやがって!
魔鈴は、シャイナに会うと弟子の星矢について話していた。
まだまだ子供だが、ようやくこんな修行をこなせるようになったとかだ。
別に魔鈴は、シャイナに自慢しているつもりはない。
同じ女聖闘士で、弟子を持つ立場だから共通の話題としてそう言う話になっているだけだった。
しかし、シャイナはカシオスに修行をさせることが出来ていない。
だから、その話題に返すことが出来ないのだ。
次はこんな修行をやらせるつもりだ。などと言う魔鈴が妬ましく、内心で歯噛みをしていた。
一方で、魔鈴もシャイナの様子を訝しげに見ていた。
ある時期から弟子について喋ろうとしなくなったからだ。
どう言うつもりだ?
伝わってくる話では、アイツの弟子は相当な実力者に育っているはずだ。
師匠として自慢の一つもしたいのが人情だろう。
それなのに頑なに話そうとしない。
星矢のライバルとして探りを入れているのが見抜かれている?
いや、奴はそんなまどろっこしい真似をするタイプじゃない。
情報戦でないとすれば、考えたくはないが星矢をライバルとして見ていないのかもしれない。
すでに奴の弟子は聖闘士候補生のレベルではなく、もっと先の高みを見据えた修行をさせているのか?
どうやら、星矢をもっと厳しく鍛える必要がありそうだね。
こうして、星矢の修行がさらに厳しくなるのだった。
カシオスの背中に憧れている星矢は、その厳しい修行にもよく耐えて、食らいついていった。
その結果、ペガサスクロスを賭けた決闘でカシオスに認められる程の力を身につけることになる。
今日もシャイナはカシオスに修行をさせようとしていた。
「カシオス、今日こそ修行してもらうよ!
まずは、シミュレーション100回だ!」
「ああ、分かった」
「そうだよな、やるわけないか。
だが、そんな態度をいつまでも許すわけには・・・へっ?」
いつものように拒否されると思い込んでいたシャイナは、なんと言われたのか最初は理解できなかった。
カシオスが、あのカシオスが素直に修行をすると言ったのだ。
「どうした?
修行をしないのか?」
呆然として動かなくなったシャイナにカシオスが問いかける。
「いや!やるに決まっているだろう!」
何がどうしてカシオスが修行をすると言い出したのかは分からないが、せっかくやる気を出してくれたのだ。
この機会を逃すなど出来ない。
シャイナは、カシオスに訓練メニューを指示していく。
カシオスも、そのメニューを淡々とこなしていった。
ああっ、あのカシオスがおとなしく私の修行を受けている。
これだよ!
久しぶりに感じる師匠としての充実感!
これこそ師弟のあるべき形じゃないか!
シャイナは、師匠としても真面目だった。
カシオスが修行を拒否している間も、カシオスのためを思ってずっと訓練メニューを考えていた。
むしろ、修行を課すことの出来ない鬱憤をぶつけるかのように色々な訓練を考えていた。
そして今、その訓練メニューをカシオスが次々にこなしている。
シャイナのテンションは止まることなく上がり続けた。
最初はカシオスが聖闘士候補生だと言う事実を考慮した訓練レベルだったが、当然のようにこなしていくカシオスの前にテンションが上がりまくっているシャイナは訓練をエスカレートさせてしまう。
もはや、白銀聖闘士である自分が普段している訓練のレベルすら超えた水準に達していた。
そんな課題さえもカシオスがあっさりとクリアするので、自分の要求がおかしくなっていることに気付かない。
結果、修行レベルは黄金聖闘士のものと言われてもおかしくないレベルに至っていた。
「何、カシオスが修行しているだと?
あの秘密主義のシャイナがカシオスの修行を人目に
カシオスが修行していると言う情報は、黄金聖闘士の間に瞬く間に広がった。
黄金聖闘士達の間では、カシオスはクロスこそまだ持たないものの自分達と同じ領域にいる実力者だと認識されている。
そんな実力者の修行風景を見れる機会。
彼らが見逃すはずもなかった。
だが、彼らも聖闘士だ。
修行の邪魔をするような無粋な真似はしない。
遠くからその様子を伺うに留めていた。
「あれがカシオスの修行か。
なるほど、
「だが、真に驚くべきはシャイナだ」
「その通りだ。
カシオスの素質を見抜き、ここまで鍛えたシャイナの実力が白銀レベルとは思えない」
「あり得ないことではない。
黄金に匹敵する白銀など過去にもいただろう?」
「彼女は、その実力を完全に隠している。
俺達すら白銀レベルの
その裏にどれ程の力が隠されているのか分からないのだぞ」
「ああ、恐らくシャイナの真の力は、少なく見積もっても俺達と同じ黄金レベル。
下手をすると、シャカと同じ《第八感に覚醒》かもしれない」
「シャカが目を閉じてコスモを抑えているのと同様だと?」
「それも、彼女は白銀レベルまで抑えている。
シャカ以上かもしれんな」
「しかし、分からんな。
何故、カシオスの修行を俺達に見せたのだ?」
普通は修行を他者に見せることなどない。
何故なら、手の内を見せることになるからだ。
聖闘士に同じ技は二度と通じない。
一度見れば、即座に対応策を立てることが出来る聖闘士にとって自分の技を見られることは忌避すべきことなのだ。
「お披露目だろう。
シャイナが俺達が見ていることに気付いてないはずがない。
それでも、こうして見せてくれるのは、カシオスの実力に気付いている俺達に実際にどれくらいのレベルかを教えてくれているのだ」
「だから、技の修行ではなく、地力を上げるトレーニングを見せているわけか。
弟子の手の内を見せないようにしつつ、その実力の高さをそれとなく示す。
師匠としても強かだな」
もちろん、ただの白銀聖闘士であるシャイナは気付いていない。
「何にせよ、これ程の実力者が育ってきたのだ。
我らも気を引き締めねばな。
油断していれば追い抜かれてしまうぞ」
こうして、たった1日の修行でシャイナとカシオスは少なく見積もっても自分達と同等と言う認識が黄金聖闘士の中で固定された。
ちなみにカシオスは黄金聖闘士達に気付いていたが
後日
「さあ、カシオス!
今日も修行するぞ!」
シャイナが意気揚々と修行をつけようとするが、
「断わる」
カシオスにあっさりと拒否されてしまった。
「なっ、何故だ!
昨日は修行したじゃないか!」
「昨日はそういう日だったんだ」
そう言ってカシオスは何処かへ行ってしまった。
「そういう日って、どんな日だーーーーー!」
カシオスの前世の日本において10月9日は、スポーツの日と呼ばれる祝日だった。
鍛えることは女々しいと断じていた花山薫も、この日だけは身体を鍛えていた。
しかし、そんな事をシャイナは知る由もない。
再び修行をしなくなったカシオスをどうにか修行させようと悪戦苦闘の日々に戻っていくのだった。