女神様のウッカリで滅びた世界に転生したら、いろいろ勘違いされてめちゃくちゃ甘やかされてるんだが 作:名無しのメカ好き
俺…
オープンワールド式のロボットアクションのMMORPG。ストーリーも主人公が一切喋らないことを含めて、良作と言われる大ヒットしたゲームだ。
俺の良く知るゲーム好きな友人は、この世界に転生したいとよく冗談で言っていた。だが、本当に転生するかどうか聞かれたら間違いなくNOだろう。
すでに終わっているのだ、世界が。
ストーリーの開始以前で、そのゲームに出てくる敵…”アーマーパンドラ”と呼ばれている敵によりはるか昔に国と呼ばれるものが駆逐されており…主人公が活動するころには、他の人類が生きているなんて知られていないレベルだ。しかも、仮に知ってしまえばこれまたひどい…人類共通の敵である”アーマーパンドラ”がいるにもかかわらず、資源や領地、たった一人の子供ですら難癖付けて貴重な戦力を使って殺し合いを始めるのだ。
しかもさらに言ってしまえば、この世界における生命の倫理観というモノは一切ない。
人類が生き残るために集まった場所…コロニーでは、それぞれのコロニーごとに荒廃した世界を生き残ろうと国が存在していたころには禁止になっていた遺伝子操作をはじめ…とあるところでは、「めちゃくちゃ長い時間を生きればこの荒廃した世界でも人間は生きていけるだろ。生物としては欠陥だから指先や足先が人から外れるけれど俺たちが生き残れば人類だろ。」という考えの元でエルフになったり、「動物のような特徴を持っていれば強くなって荒廃した世界を生き残れるよね!元にした動物と合致した遺伝子配列をもつ相手じゃないと子供産めないけれど、私たちしかいない人類を守るために生理的に無理な相手とも子供作ろうね!」という考えのもとで獣人になったり、「ナメクジみたいに雌雄同体だったら男性でも女性でも子供産めるよね!人間としては外れてるけれど僕たちが唯一の人類だから関係ないよね!!」とかとち狂った考えの元で雌雄同体の人間モドキをつくったりしている。
全くできていなかったが、国という在り方を引き継ごうとした主人公たちが住むコロニーが一番まとも!!
だから、だから!
「そんな世界に転生なんてやめてくれよォ~~~~ッ!!」
はい、この俺…雷田 仁はそんな地獄みたいな世界に転生しちゃいました。
事の顛末を離すと、普通の転生だ。”普通に暴走運転のトラックに曳かれて、実は女神様のミスでそのお詫びで転生した”ごく普通の転生だ。しかし、その転生させてくれた女神様がポンコツでウッカリだったのだ!
俺が転生を開始した直後「あっ、間違えて鋼鉄機神の英雄の世界にしちゃった!」って叫んだのは絶対許さない。完璧そうな見た目でウッカリなギャップ萌えでも意外とかわいくても許さねぇ。今度会ったらぶん殴る。男女平等ゲンコツだ。
「まぁ、なっちまったモンは仕方ねぇか。」
俺はソプラノボイスでそういいながら、俺が”鋼鉄機神の英雄”で使っていた愛機…カスタムされている人型戦闘用ロボット【マッドドッグ】のマニピュレーターで寝ころぶ。
実際、この一週間はマッドドッグを使って移動してきたけれどそろそろ燃料がやばい、動けて一回の戦闘分だろうか。
…しかも、今の俺は笑えねぇことに年端も行かねぇ女子だ。せっかく好きなギャルゲーの世界に行って好きなモブな女の子と百合展開を期待してたのに…。
「それに、しゃべる相手が居なくて……はぁ、寂しい。」
この一週間、この何もない荒廃した大地を歩き続けて…割と俺のメンタルは限界に近い。
元々俺が、人といる方が楽しいというタイプだったため…一人は意外と心に来るのだ。仮に、マッドドッグに対話AIが詰んであったらこの寂しさも少ないものだったかもしれない。
幸い、食糧や水分は俺を素っ裸のガキだと舐め腐って襲い掛かってきた野盗をマッドドッグで蹴散らして奪ったので1か月の余裕はある。(ちなみに強奪品であろう白いワンピースのおかげで全裸ではなくなった。下着は着てないけど)
「どうにかしてコロニーを見つけた方がいいのかなぁ…できれば”アローケス”のようなまともなコロニーを」
[ズガンズガン!ギャハハハハハッ!!]
「あん?今のは…ロボット用のライフルの銃声に……誰だぁ?スピーカーで下種な笑い声出した奴ぁ。」
でも、ちょうどいい。襲っているということは、人がいるかもしれないってことだ。できれば…まともで純正な人間でお願いします!
そう思いつつ、マッドドッグのマニピュレーターからコックピットに飛び乗った。すると自動でコックピットハッチが閉口しマッドドッグのエンジンが目覚め、起動音と共にコックピットのモニターが起動していく。
「よっし、整備なしでもまだ動けるな!さて…人助けとしゃれこみますか!!」
俺は足元にあるフッドペダルを踏み切り、マッドドッグを最大出力で
=====
[ズガン!][ズダダダダダッ!!]
「くそっ…くそっ!!せめて…この子だけでも守らないとッ」
『ギャハハハッ!おらおら逃げろよおっさぁん!!』
『少しでも遅れたらそのガキもろともハチの巣だぜぇっ!!』
いた!って、あのおっさんは…確か
って、今は考えている暇はない!!距離は639m…マッドドッグならギリギリ間に合う!!
「人の心はないのか…うわぁッ!?」
『ちっ、転んじまった。あーあ、つまんねぇの。おい、ガキは殺すな?育てりゃちったぁ
『ギャハハハッ、兄弟…寄りにもよってマシンガン持ってる俺に言うのかよ!』
おっさんとおっさんが抱えている赤ちゃんに、一体の戦闘用ロボット…【スカベンジャー】がマシンガンを向ける。
ロックが解除され、無法者のパイロットの下種な笑いが響く…だけど。
『ちょっせい!!』
「えぇッ!?べ、別のロボット!?」
『な、なんだぁッ!?』
『くそっ、煙幕かよ!?』
「乗れ!おっさん!!」
おっさんに向けてマニピュレーターを差し出し、コックピットハッチを開ける。
おっさんも俺のやりたいことを察してくれたのかすぐにマニピュレーターを足場にコックピットに入り込んでくる。
「こ、子供!?」
「今はそんなこと言ってる場合かよ!」
『な、なんだテメェ!!』
『し、死ねヤァっ!!』
背中を向けたマッドドッグの背に、二機のスカベンジャーがライフルとマシンガンを撃ってくる。
銃弾と装甲がぶつかり、鉄と鉄がぶつかる音がコックピットにまで響く…だけど、おっさんが抱えている子供は泣き声の一つも上げない。むしろ、静かにスヤスヤと眠っている。
好都合、こんな子供に命のやり取りを見せる心配なしってことだな!!
「おっさん!サブシートないけど、操縦荒くなっから気合で耐えてくれ!!」
「えぇ!?わ、分かった。と、とにかくあのロボットを!!」
ハッチが締まり、再びモニターが起動した。
煙幕が晴れる瞬間に、背面腰部スカートからショットガンを掴んでライフルを持つスカベンジャーに向ける。
「だぁん!」
[ガァン!!]
掛け声と一緒に操縦レバーのトリガーを引けば、マッドドッグが持っていたライフルのようなショットガンは火を噴き、その銃弾に当たったライフルを持ったスカベンジャーのコックピットはぐちゃぐちゃに潰れる。
うわぁ、あんなの喰らって生き残ったら逆に怖いわぁ…。
「ひゅう♪ミンチよりひでぇや!!」
「い、言ってる場合かい!?」
『あ、兄貴ィ~~~ッ!!お前ぇッ!!』
マシンガンを持ったスカベンジャーが左手に粗製の斧を手に取り襲い掛かってくる。
『兄貴の仇だ、死ねぇっ!!』
「止まって見えるぜぇっ!!」
「は、早い!?ほ、ホバー走行だって!?」
そのスカベンジャーが粗製の斧を振り下ろした姿のままスラスターキャンセル(格闘後の残心は隙が多すぎるのでそれをキャンセルする技術)をしないのでそのまま、マッドドッグのショットガンの引き金を引く。
しかし、放った銃弾はスカベンジャーが咄嗟に展開した盾に防がれてしまう。
「ロボット用の盾だぁ!?珍しいもん持ちやがって!!」
「あれだとショットガンじゃ防がれる!回り込むか格闘戦で無理やりこじ開けないと!」
「ならぁ、こいつの番だなぁっ!!」
俺はそう言い操縦レバーのボタンを押す、腰部レフトアーマーにつけてあるマウントラックからとあるものが射出され左手でそれを掴む。
それは、俺が転生する前に実装されて格闘戦の環境武器になっていた”セイバー”という武器で実体剣と、エネルギーブレードの二つの属性を切り替えられる珍しい武装だ。
高威力の癖に取り回しは最高で、扱いやすい!説明はその辺にして、ホバー移動のまま高速で盾を構えたスカベンジャーに近寄り斬りかかると、実体剣でははじかれてしまう。
「なんつぅ硬さ!?」
「実体剣だとだめだ!この機体にはエネルギータイプの武装は?」
「んなもん、[カチ]この剣一本で十分よぉ!!」
[ブォン!]
おっさんにそう返して、エネルギーブレードモードに切り替えて盾を切り裂く。やっぱり、近距離戦はこれだな!
って…
「あららぁ…盾ごとやっちまった。」
そう言えば、スカベンジャーは極端にエネルギー系の攻撃に弱いんだったな。
って言うか…コックピットが焼き払われてるし……しばらく焼肉は食えなそうだ。
「…残敵なしと。」
「はぁ…すまない助かったよ。」
「大丈夫だおっさん。それより、その子供は?」
「あっ……大丈夫。まだ寝てるよ。」
むしろあんだけ大きな音をたててたのに、どうして起きねぇんだ?
~~~~~
その後、おっさんの案内でおっさんが乗ってきたトラック付近にマッドドッグで移動する。
すると、無事無傷な”ロボット運搬用トラック”が止まっていた。
(マジかよラッキー!)
「ここで降ろしてくれ!」
「わかった。奴らの仲間がいるかもしれないから気を付けて…あららぁ!?」
と、ここまで来たところでマッドドッグの燃料が切れてしまう。
むしろあそこまで酷使してここまで動いたのだ。充分ともいえるだろう。
手動でコックピットハッチを開けておっさんに無事を伝える。
「ど、どうしたんだい?急に動かなくなったみたいだけれど。」
「ガス欠。さっきの戦闘一回分の燃料とここまでくる分しか残ってなかったんだよ。」
俺がそう言ってマッドドッグから降りる。
おっさんが赤ちゃんを支えていない方の手を差し伸ばしてくれる。俺はその手を掴むと、ゆっくりと歩いてくれる。
「おっさんはどうしてこんなところを旅してんだ?」
「この子の為さ。子供に聞かせるような話じゃないけれど…妻が病で亡くなってね。それで、この子を引き取りにきたんだ。」
「護衛も付けずに一人で?」
「本当はつける予定だったんだけど…護衛してくれる人たちが直前で大けがをしちゃってね。それで、あのざまさ」
あはは…と苦笑いと一緒に少しだけ自虐が入る。
と、おっさんは何かを思い出したのか…
「そういえば自己紹介がまだだったね。僕は科学者のハルマ。ハルマ・ギアメーカーだ。」
「…俺はらっても通じねぇか…俺は傭兵のソニア。ソニア・サンダーだ。」
「そ、その年齢で、かい?」
「あー…まあ、
多分、絶対勘違いを起こしているのだろうけれどハルマさんは目を丸くして驚いている。
…そういえばハルマのおっさんをどこかで……って、あぁ~~~!ゲーム開始前に流れるおそらく主人公が見てるであろう視界に出てきたお父さんだ!!
し、しかもあの二機ってスカベンジャーのライフルとマシンガンだったよね!ってことは…
「あぁ、ついでに紹介するよ。この子は、ルチア。ルチア・ギアメーカー。僕と…妻が残してくれた子さ。」
”マンガ版の主人公”だぁ~~~~~~ッ!!
雷田 仁/ソニア・サンダー
本作主人公。
女神さまのウッカリでTS転生したかわいそうな主人公。
死ぬ前は親友数人と結構強いチームを率いて鋼鉄機神の英雄の中では掲示板で噂されるぐらいの名声を得ていた。
マッドドッグ
ソニア(仁)が乗る中量機動型近中距離戦ロボット。
角ばった無骨なデザインで、ヘッドパーツはヴィラン風味だが紳士的なプレイのおかげでプロモデラーにプラモデルにされるぐらい人気だった。
ただその紳士プレイの分…武装構成がミンチよりひでぇや製造だったので対戦した時には白旗をあげるプレイヤーが多かったらしい
ヒャッハー1とヒャッハー2
鋼鉄機神の英雄の主人公の父親を殺す重要なキャラクターだったがソニアの乱入であっけなくやられた。
スカベンジャー
直訳すると”腐肉食”だが、仁が生きていた世界では運営が初心者にオススメする初期機体より性能は低いがまとめサイトや攻略サイトで初心者にオススメされるほどの修理費の安い中量汎用型万能距離戦ロボットで、スカベンジャー先輩とか金欠の救世主とまで呼ばれている。(一言でまとめるなら低レアの癖にめちゃくちゃ万能。)
廃材や廃棄パーツで作られているからかかなりボロボロで機体フレームがむき出しの所もある。共食い修理や別機体からのパーツ移植表現の為グラフィックは30種類用意されていた。
ハルマ・ギアメーカー
鋼鉄機神の英雄の主人公の実父。
最初のムービーでヒャッハーに殺されてしまうが、ソニアのおかげで生存が確定した。
ルチア・ギアメーカー
鋼鉄機神の英雄の主人公(マンガ版)。女の子。
公式がプロ漫画家を雇って書いてもらったマンガ版の主人公。めちゃくちゃかわいい。
マンガの内容は、ハルマが殺された後ヒャッハー二人に
ちなみに鋼鉄機神の英雄のファンからは性癖詰め込み過ぎだ(マンガ家の名前)ッ!!と低評価の嵐だった。