女神様のウッカリで滅びた世界に転生したら、いろいろ勘違いされてめちゃくちゃ甘やかされてるんだが   作:名無しのメカ好き

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1-11 転生の辻褄合わせ

 

「…彼、か。仮にそうだと仮定すると、バラバラに散ったパズルがゾッとするほどスラスラとつながっていくよ。」

「仮にあのキチガイが設計し、作り上げたとすると…これほどの技術力、そして資源をどこから持ってきたかっていうのも疑問になってくるがな。」

「ジャンク品のパーツを使うって言っても、さっき整備した限りだとそんなパーツは出てこなかったよ?」

 

3人が話題にしている”ガリア・フックス”と言う人物。その人物は鋼鉄機神の英雄(ゲーム内)において俺とツバキが乗る機体を設計した科学者だ。

鋼鉄機神の英雄(ゲーム内)のストーリーでは、二人のならず者によって死亡した養父(とう)さんを”死ぬなら科学の役に立てばいいものを”と初会合の去り際に言い放ってプレイヤーからヘイトを買うキャラクターだ。

最初から”裏切る”とか”反乱を起こす”とか、”主人公を改造しようとする”とか言われていたキャラクターだが。結果的には、登場する3人のヒロインのとある問題を解決する重要なキャラクターでもある。物語の中心人物であるアローケスの英雄(ゲーム版主人公)が、存在するかもしれないと仮定したうえで、決して手を出してはいけないほどの”生体工学の権威”と呼ばれる科学者だ。

 

「でも、そんな狂人でもこのアローケスにおいては僕に次ぐほどの頭脳の持ち主だ。いなければアローケスの医療技術は停滞するといっても過言じゃない。」

「くっそ…下手に訴えりゃぁこっちが悪者か。」

「……でもでも、その人ってせーたいこーがく(生体工学)の科学者なんでしょ?どうして機体の設計なんてしたんだろう…それにソニアともう一人の子は、その関係者なの?」

 

と、サフランが言うとカンナ整備長と一緒に俺たちを見つめてくる。…まあ、そうなるよな。俺たちにとっての愛機でも、他人から見たら狂気的な人物が設計した機体なんだ。これで疑いの目を向けられないっていう方がどうかと思う。

しかし、向けられたところで俺たちには答えを用意するなんてことはできない。実際、俺たちは確かに転生はしたもののその生まれた瞬間から”前世のまま”と言うわけじゃない。気付いたら荒野のど真ん中で愛機のコックピットに居た。つまり、”前世の意識”がこの身体に宿る前はどこで何をしていたか、どうやって生まれてきたかなんてわからないのだ。だが、俺には確かに転生したという自覚を持つことはできている。なんだか奇怪な話になってきたが、ここから導き出される答えは一つ。

 

「俺は覚えてねぇけど、多分…関係者より”被造物”だとは思うぜ。」

「僕も、そう、思う。」

「「「……ッ!?」」」

 

俺とツバキの言葉で一瞬、理解ができなかったようだが言葉の意味が伝わったようだ。

さて、ここで話を戻してガリア・フックスは”科学の発展の為なら犠牲は必要なもの”と言って、被験者がどれだけ死のうが心を痛めない人物だ。さて、そんな考えの人物が、自分で設計した機体に乗せるのはアローケスの兵士?それとも自分に従う私兵?俺の答えははっきりしていた。

 

「多分、俺とツバキ…あー多分他にもいるんだろうが、ソイツがマトモな思考じゃないなら…”自分に完全従順で自ら作り上げた最強のパイロット”を乗せると思うぜ?えぇーと、俺たちの元となる二つのやつの遺伝子を操作して―――」

「―――ッ!遺伝子改良人間(デザインベイビー)だね……。」

「そうそう、それそれ。」

 

そう考えると、サイクロプスと戦っていた時の俺の身体の不思議について辻褄が合う。最初は改造手術だとは思ったのだが、それなら体に手術痕があってもおかしくない。しかし、俺たちが着替える際にお互いの裸を見た時…そんな痕跡はまったく見当たらなかった。前世の世界と比べてはるか未来、とはいえこの世界は荒廃し技術が廃れかけている世界だ。手術痕を隠せるほどの整形手術なんて存在しないだろう。

そして、次点で考え付いたのが…クローンか養父(とう)さんの言った改良人間(デザインベイビー)だ。それならば、体に手術痕が見受けられないのも納得だし…世界の辻褄としてもそれが最適になる。

 

「そんで、なんかの拍子でその完全従順が外れたか、もしくはもう必要ないから各地に散らばらせて廃棄でもしたんじゃねぇのか?そんで、そこで俺たちの初めての自意識が生まれた~とか?」

「機体側に何かないかと調べてみたけど…盲点だった……」

「じゃぁ、こんなことしてる場合じゃねぇ今すぐどっかの病院で精密検査を」

「いや、ダメだカンナ整備長…アローケスに普及しているすべての国立病院はすべて狂人の庭だ。そんなところで検査したのなら見つけてくれと言っているようなものだろう。今回は軍病院だったから運がよかった。」

「えー!?じゃ、じゃあ…どうすればぁ…」

 

……まあ、全部あの女神のウッカリなんだろうけれど、中々おかしなことになってきた。

まあ、この世界は鋼鉄機神の英雄(ゲーム)で…その評価で”倫理観が欠如している”何てレビューが付くぐらい人間としての道徳と倫理観が欠如している世界だ。養父(とう)さんと出会う前に思い返していた国と言う体裁を持っている割には全くできていないアローケスとはいえ鋼鉄機神の英雄(ゲーム内)ストーリー内では”同じ顔をしたクローンが日常基盤を支える”事態になっていた。まあ、どう転んだにせよガリア・フックスの頭のネジはすべて外れていると言っていいだろう。

 

「リーダー。」

「どうかしたのか、ツバキ。」

「事実は、小説より、奇なり、だね。」

「…少なくとも、今言うことじゃねぇけどな。」

「…あぅ?」

 

と、いつの間にかスヤスヤ眠っていたルチアが目を覚まし俺に目を向けている。

俺はそれにこたえつつ、ベビーカーの中にいるルチアをやさしく触るのであった。

 

「だぁ!」

「へへっ、ねーちゃんはここだぞ~?」

「…リーダー、かわいい。」

「ばっ、おまっ…み、見んじゃねぇ!」

 

どんな結果であれ、俺は俺で、ツバキはツバキだ。

いつか”知らない過去の問題”に直面するかもしれないが、その時は覚悟をする必要があるだろう。

 

「まっ、俺たちは今とこれから先の未来で十分だよな、ツバキ。」

「うん、リーダー。」

 

俺が笑いかけるとツバキは可愛らしく笑い返してくれる。

俺より、ツバキの方が可愛いと思うんだがなぁ…




なお、空気の差である。


ソニア
女神様のウッカリで被害を被った鋼鉄機神の英雄の世界が辻褄合わせで偶然そうなっただけ。なお、遺伝子改良人間(デザインベイビー)なのは確か。

ツバキ
ソニアと同じ状態。

ハルマ
ガリアのことは、関わりたくない同僚としか見ていなかったが今回の件で仇敵となった。

ルチア
寝る子は育つ。

サフラン
人間の闇を知ってしまった。

カンナ
黒い噂を知っていたが真実ということが判明し怒りに燃えている。
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