女神様のウッカリで滅びた世界に転生したら、いろいろ勘違いされてめちゃくちゃ甘やかされてるんだが   作:名無しのメカ好き

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1-12 テセウスの船ってちょっと考えると簡単そうだけど実際は難しいよね。

…しばらくして、俺は両手をたたいて気落ちしている義父(とう)さんたちに声をかける。

 

「ほらほら、俺たちの過去のことはもうどうでもいいんだ。それより、俺の機体は直せるかどうかを教えてくれよ」

「そう…だね、うん。」

 

と、義父(とう)さんが真っ先にそう言い自分の両頬を強く叩いて気合を入れなおした。

同時にカンナ整備長やサフランも考え直して再び説明を再開し始めた。だいぶ長い間、話が脱線していたような気がするが…まあ、俺たちに関しては俺たち自身でも謎が多いんだ。勘違いも多く起きるだろうさ。

 

「うーん…それでも古傷を作った機体に娘が乗るのは少しだけ抵抗があるなぁ。」

「…やっぱり、ハルマ博士も?」

「むしろアタシもだ。古傷ができるってだけで大抵は後方支援…良くて訓練用に回されるからなぁ。その部分を取っ替えても結局溶接してるから古傷と大差がねぇからな。」

 

そういえば、俺の機体は直しても古傷ができるって言ってたなそれぐらいボロボロにしちまったってことだし…なんと言うか、やっぱり少しだけ悲しい。

 

「やっぱり、古傷ってそんなにヤバいのか…」

「ヤバいも何も、戦場を防具も何もつけずに心臓を自分からさらけ出すほど危険な行為だよ。」

 

義父(とう)さんに言われ、その危険性を理解する。

確かに、武器も防具何も持たない奴が戦場でノソノソ歩いているほど邪魔なものはないし、同時に殺しやすいものはない。しかも、その人物は殺してくださいと言わんばかりに目立つ格好をしている…と、俺は解釈した。

…そうなると確かに、俺がどれだけ無茶なことを言ったのかがようやく理解できる。

 

「でもなぁ…『マッドドッグ』と『パンドラウルフ』は俺の愛機…はいそうですかと捨てられるようなもんでもないしなぁ…」

「愛機が、一番。」

 

しかし、俺たちの言い分も理解がある分義父(とう)さんたちも頭を悩ませる。

戦闘用ロボットと言うのは、アローケスにおいて重要な主戦力…さらに言えば、アローケス防衛軍における大黒柱と言っても過言ではない。そんな大事な戦力を失うわけにもいかないので、パイロット個人の得意不得意に合わせた武装やカスタマイズを施すことを許可されているのだ。そしてそれを細分化させたのが、攻撃師団、防衛師団、遊撃師団の三つだろう。

 

「…でも、命が一番。でも、機体フレームには古傷ができてる…なら、機体フレームを、取り換えれば、いいんじゃない?」

「と、言うと?」

「外観は、元々の僕たちの機体…中身は第3世代のフレームと機能。これで、解決。ぶい。あとは、リーダーの、テセウスの船、問題。」

 

テセウスの船…確か、昔の偉い人が、”テセウスの船の古いパーツを新しいパーツに変えたらその船はテセウスの船と言えるのか”っていう哲学だったか?まあいいや。

ともかく、ツバキの言いたいことは理解している。要は、外観は俺たちの元々の機体だし変わりはないけれど中身は新しくなってるからそれを愛機と捉えるかどうかは俺に任せるってことか…

 

(……命あっての物種、か。俺にも帰るべき居場所がここにあるんだ。)

「サフラン、すまん……俺は」

「大丈夫、パイロットの希望には全力で答える。それが整備士魂だから!」

「ということは……」

義父(とう)さん、頼む。俺のマッドドッグたちを……」

「うん、任された。何より愛娘のためだからね!よーし、燃えてきたぞ〜!!よし、僕も作業着に着替え来るよ!善は急げだ!!」

「「えっ。」」

「「はい!?」」

 

目を炎のように燃やし、義父(とう)さんはシバイヌ整備所の1番大きい建物に走っていった。

……えぇーっと?

 

「はぁ……あの機械弄りバカが親バカだったなんてな……」

「まあ……ルチアちゃんのために結構遠く離れた場所に行くんだからなぁ……」

 

カンナ整備長とサフランはため息をつきながら、作業道具を手に取る。

 

「まあ、しばらく見てな……アタシらの仕事ぶりをな」

「頑張るぞー!おー!!」

 

……何故だろう。しばらくここに寝泊まりするような気がする。

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