女神様のウッカリで滅びた世界に転生したら、いろいろ勘違いされてめちゃくちゃ甘やかされてるんだが   作:名無しのメカ好き

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敵が巨大メカを出したら…大体負けフラグだよね。


1-6 フェンリル

 

覚悟を決めて、サイクロプスめがけて全速力で突撃する。そんな中、たまにカメラでとらえるのは、サイクロプスとは反対方向に逃げるならず者やスカベンジャーの姿がある。

大型ショットガンに弾はないが、まだセイバーがある。俺はそれを使って…どうにかしてあれを倒す必要がある。

だが、幸いにもウォッチドッグには十分な弾薬とあれを止めるほどのダメージソースを持っている。ならおれがすることはただ一つ、サイクロプスの気を引くこと。

 

(…正直、めちゃくちゃ怖いな)

 

これからやろうとしていることは、一撃でも掠れば死ぬかもしれない事だ。

でも、あのサイクロプスを操作している気狂いは、本来は仲間であるはずのならず者たちを巻き込んでまでタワーシールド隊を排除し…そして間違いなくアローケスを壊そうとするだろう。だからこそ、ここでやらねばならない。

スラスターの燃料は十分、弾薬はなく、武器はセイバーの一本だけ。

 

(こんなシチュエーション、燃えない方が間違ってんだろうが。)

 

高速で移動し、とても強い重力加速度に苦しみながらもニヤリと口角をあげる。

アローケスの英雄(主人公)でさえ、仲間やアローケス軍の協力や時の運もあって倒せたサイクロプス。それを今、俺とツバキの二人で倒そうとしている。昔の偉い人は言っていた、限界は挑むものじゃない…越えるものだって。

ならば今日―――

 

「やってやろうじゃねぇかッ!」

 

―――アローケスの英雄(主人公)を越えてやる。

ストーリーの中での主人公は特別だった。ムービーの中だけとはいえ、主人公は英雄そのものだった。だからこそ、鋼鉄機神の英雄のプレイヤーたちは自分のアバターのそんな姿にあうように懸命に努力を始めた、腕を磨き、機体を洗練し、ただひたすらに強さだけを求めた。俺だって、その中の一人だった。

それに…

 

「血は繋がってないって言っても、養父(とう)さんに必ず戻ると約束したからなぁッ!!」

 

そう、俺には必ず帰る場所がこの世界にできた。

前世の冷たい実家でも、一人ぼっちのマンションでもない、今…この世界にある養父(とう)さんと義妹のいる場所。

 

「だから、力を貸せ!マッドドッグッ!!」

 

そう叫び、速度制限のリミッターを外す。

さらに強い重力加速度のせいでパイロットシートに押さえつけられ、体の中の内臓がすべて潰されそうな感触が気持ち悪い。

だけど、進めることは止めない…ここで止まれば、サイクロプスの格好の的だ。奴も俺が突撃することを知り、嘲笑うかのようにその口を開けた。

咆哮でぺちゃんこにあることを期待しての事だろうが…残念だったな。俺には最強なスナイパーが居るんだよ!

 

「やれ、ウォッチドッグ(ツバキ)ッ!!」

 

サイクロプスが口を開けたと同時に、サイクロプスの口内が大爆発を起こした。

理由なんてただ一つ、ウォッチドッグ(ツバキ)がサイクロプスの口内にある超大出力轟音発生装置を打ち抜いたのだ。失われた技術(ロストテクノロジー)とはいえその機能はただの障害にしかならない。

さあ覚悟を決めろ、俺。ツバキはやるべきことをやって俺に道を作った。後は…とどめを刺すだけだ!!

 

「ウォォォォオッ!!!」

 

ウォッチドッグ(ツバキ)の時のように、ギリギリまで近づいて・・・飛ぶだけ。

だが、とっさの反撃なのだろう…サイクロプスの巨大な拳がゆっくりと俺に向けて振り下ろされる。あんなものを喰らってはひとたまりもない…また、いま軌道を変えてしまえば二度とチャンスはない。

・・・ダメ、だったのか?ここで、死ぬのか?養父(とう)さんに、必ず戻るって約束したのに?無駄に突撃して・・・犬死になるのか?

 

「…ごめん、養父(とう)さん。」

 

 

俺は、ポツリと、謝罪の言葉を口にした。

 

 

 

『野郎ども!撃ちまくれェッ!!』

『全軍、一斉射撃!!』

 

[ズドドドドッ!!ズガンッ!ズガンッ!!ズドォーンッ!!

[ガガガガッ!!バァーンッ!バァーンッ!!ドゴォーン!!

 

 

「―――え?」

 

いつの間にか、サイクロプスの拳は反れていた。そしてサブモニターに二つの通信アイコンが展開されていて・・・その通信アイコンには、スカベンジャーを率いていた隊長機のマークと…アローケスのマークが表示されている。

 

『おら、アイツをぶっ殺すんだろ!?あのデカブツに乗ってる山賊どもは俺たちの仲間を殺しやがったッ!!虫のいい話だろうが、頼む…仲間の仇を取ってくれ!!』

『我々、アローケス軍の全軍を持って君を支援する!ハルマ博士から事情は聞いた!!支援は任せてくれッ!!』

 

ならず者の長(ゲーム本編ではサイクロプスに握りつぶされたキャラクター)が、アローケスの指揮者(ゲーム本編ではならず者たちの最後の長と相打ちになったキャラクター)が来てくれていた。

貧弱な装備のスカベンジャーの軍団、そして揃えられた機体と各隊に合わせた装備をしているアローケスの軍隊が、サイクロプスを包囲していた。

 

「…感謝する。」

 

『ハハッ、さんざん悪事を働いてきたが…他人のために戦うっていうのもいいもんだなぁッ!!』

『だが、償うべき罪は償ってもらうぞ…野盗連合!!』

 

俺が感謝すると、大笑いし何か考えを改めるならず者の長…そして、そんな長に注意を飛ばす指揮者。

彼らのやり取りを望んだ人々は、前世(まえ)の世界でも多くのプレイヤーが望んだことだ。

 

『きちんと償ってやらぁッ!!オメェら、あの嬢ちゃんのために動いて目立つ盾になれェッ!!』

『『『『『『ヒャッハーッ!!』』』』』』

『我々アローケス軍は、奴の関節部を集中攻撃する!!全軍、射撃初め!!』

『『『『『『イエス、サー!!』』』』』』

 

それぞれの隊長の指示と共に、大量の銃弾やロケットが飛び出していく。

その一斉攻撃を受けて、サイクロプスは嫌がるそぶりを見せる。だが、その隙が命取り。

 

「ここだぁッ!!」

 

グイッと、操縦レバーを思いっきり引くと…314m/sという速度のまま大空へと昇っていく。

この荒廃し終わりかけている大地でも、まだまだ青い大空に向けてマッドドッグは登っていき、推力で行けるところまで登り終え・・・こちらを見上げるサイクロプスへ向けて落ち始める。

 

「セイバー、リミッターオフ!!」

 

俺がそう叫ぶと、コックピットの内部で大きな警告音が鳴る。

リミッターを解除されたセイバーがマッドドッグが稼働するためのエネルギーを限界まで吸収し続け・・・実体剣を破壊しつつ、巨大なエネルギーのブレードを形成していく。

 

 

 

「これで――――――

 

 

 

―――終わりだぁああああっ!!」

 

 

 

そして、俺は…その巨大なエネルギーブレードをサイクロプスに振り下ろした。

 

 





コレ、最終話みたいに見えるでしょ?まだまだ続くんですよ。

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