女神様のウッカリで滅びた世界に転生したら、いろいろ勘違いされてめちゃくちゃ甘やかされてるんだが 作:名無しのメカ好き
「おーい、仁?ねえ、仁ってば!仁!!」
「うぁ!?な、なんだぁ!?」
呼ばれた気がして飛び起きると、そこは見慣れた教室だった。
何の変哲のない、高校の、俺のクラスの、見慣れた教室。飛び起きた俺をクラスメイト全員がポカンとした様子で眺めていた。
…昼休み、中?俺、さっきまで…マッドドッグに乗ってたはず…って、元に戻ってる!?あれは、夢……だったのか?
「授業中に、居眠りしてずっと寝てたから私が起こしてあげたんだよ?昨日、部屋チカチカしてたのってそういうこと?」
「えっ…あー、うん。」
「おいおい、お前がゲーム好きってことは知ってるけどさすがに徹夜はやり過ぎだろ」
俺のもう一人の親友と、腐れ縁の幼馴染がケラケラとからかうように笑う。
とりあえず、落ち着いて自分の椅子に座り直し…深呼吸する。
「それで?起こした時飛び起きたけど、悪夢でも見てたの?」
「あ、ああ…そんな気がする。」
「自業自得だろ~?昨日ホラゲーぶっ通しでやるって言ってただろうが」
「うっそ、あの新作ホラーゲーム!?私やりたかったのにー!」
「はははっ…悪い。」
そこまでで俺はようやく気付く。あぁ、今見ている光景の方が夢なんだと。あの、サイクロプスと戦った世界こそが本物なんだと。
ちらりと窓の外を見ても、真っ白で…よくクラスメイトと思わしき生徒たちを見ると、全員顔に霞がかかっているように見えない。親友と幼馴染の声でさえどこか遠く聞こえている。
「そういえばさ、あのホラゲーにさ…記憶を持ったまま転生したらどうするって言うのがあったんだけどよ。二人は、どう思う?」
しかし、夢であろうとも…この二人に答えてほしかったことを聞いてみる。
俺たちが大人になるころ、親友は大手企業に勤めて滅多にログインしなくなったし…幼馴染は、俺の手が届かない輝かしい場所にまで行ってしまって連絡すら取りあっていなかった。
「ちょっ、ネタバレやめてよ~!でも、記憶を持ったまま転生かぁ~……私なら、まずみんなを探すかな。」
「あー、分かる。俺も探すかもしれねぇ、俺も居るんだから…他のやつらもいるかもって考えてな。」
「そう、だよな…俺もそう答えたんだ。そしたらさ~」
すると、幼馴染がネタバレ禁止だって!と言いながら口を手で塞ごうとする。
(…あぁ、いつか。いつか、見つけてみせる。だからどうか…無事でいてくれ。)
そこで、俺は目が覚めた。
~~~~~
[ピッ、ピッ、ピッ、ピッ・・・]
ゆっくりと覚醒すると…まず聞こえたのは、電子音。そして次に、薄れていてぼやけている視界で俺の手を握りベットに突っ伏して寝ている
どうやら、ここは…病室の個室のようだ。よく見れば、同じ部屋に用意されているソファーにツバキが横になっており、その隣にはベビーカーが置かれていて…その中でルチアは眠っている。
(…生きて、帰れた?)
目覚めたばかりで働かない頭を動かし、状況を整理しようとする。
ここに、
「んぅ…寝落ちしてた……あぁ、ソニア。おは…よ、う?」
「おはよう?」
「そ、ソニア!起きたんだねっ!!よかったぁ……」
急に立ち上がったかと思うと、そのままへなへなとパイプ椅子に深々と座る。
そして
「リーダー!起きた?無事?何とも、ない?」
「お、おう。何が何だかさっぱりだが、とりあえず。」
とりあえず無事ということを知らせるために両手をヒラヒラと振ると、ツバキもヘナヘナとその場に座り込む。
……何がどうなってるんだ?
=====
その後、安心しきった
サイクロプスはリミッターを外したセイバーにより無事に艦橋ごと機体を斬り裂いたことで停止、エンジンへの攻撃がなかったために爆発せずにそのままのあの場所に残っている。ということだ。
その代わりに、あらゆるリミッターを外して酷使したマッドドッグはアーマーだけ焼け落ちた……でなく、機体自体のフレームが歪んだ、マッドドッグのエンジンが焼け溶けた、武器が両方とも全壊したなど払った代償も中々のものだったらしい、
そして、俺を助けたならず者たちは今現在裁判の真っ最中、全員が異論なくその判決を受け入れて……アローケス外縁部に街を作り始めたとか。
「つまり、無事に終わったってワケか……よかったー!」
「「いや良くないよ!!」」
「うぉぅ!?」
嬉しくてよかったと言っただけなのだが…さすがに無神経過ぎただろうか。
「ボロボロになって熱で赤くなってる機体から大急ぎで引っ張り出された君を見た時、すごく怖かったんだからね!?」
「リーダーが緊急搬送されたときの僕の気持ちも考えてよ!」
「わ、悪かった…次はやらないように―――」
「次ぃ?!次もやる気なのかいっ!?あんな無茶なこと何回もしないでくれ!!いくら養子でも、娘のカミカゼは見たくないんだ!!」
「次やったら機体の足を打ち抜いてでも止めるから、リーダー。」
「……はい。」
自分がやったこととはいえ、
それがなんだかうれしくて、口角が上がるのを抑えることはできなかった。
「ちょっと?!ここは軍事施設とはいえ病院ですッ!お静かに願いますッ!!」
「「「ご、ごめんなさい!」」」
そして、ルチアを除いた全員がナースさんに怒られるのであった。