夏油先生と真依のパーフェクトトリオン授業   作:かりん2022

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ファム・ファタール9

「帰還しましたー!」

 

 きゃあきゃあと東京のバックアップの生徒と合流し、はしゃぐ生徒達。

 

「甚爾くん……本当に甚爾くんや」

 

 呆然と直哉は甚爾を見る。

 

「ああ?」

「記憶がないってほんとなん?」

「あー。ボーダーの機密奪いに忍び込んだ時に、どじったらしくてな」

「甚爾くん、自分と手合わせしてくれへん?」

「別に良いぜ」

「自分も! 自分も手合わせして!」

「二人一緒にこいよ、面倒臭い」

 

 そう会話する横で、呪術師の真依は夏油傑に願う。

 

「トリガーについて知りたいの」

「技術提供の準備はしてあるよ。ただし、呪霊とトリガーの技術情報の一般公開が条件だけどね」

 

 そう言った夏油傑は悪い顔をしていた。

 

「どういう影響を与えるか実験したいってこと?」

「そう。公開してしまえば、技術情報の秘匿の為に記憶を消す必要もなくなるからね。医療と軍事面で他国からの横槍もあるし、正直秘匿に限界を感じてるんだ。でもそうすると、呪霊退治が軍の仕事になりそうでね。どこかで公開した場合の実験をしたかったんだよ」

「うーん、想像もつかないかな、とりあえず上に判断を仰いでいい?」

「もちろんだよ。こちらの上層部の決定なら悟も文句言わないだろ?」

「こっちの世界の上が決めた事なら、僕が口出しする事じゃないね」

「こっちからの要求は、そうだな。傑の監視をしっかりして、二度とこっちの世界で暴れさせないようにする事」

「問題ないよ」

「私が呪術師至上主義でもかい?」

「私が非術師至上主義だから、バランス取れるかなって。呪術師の子達皆、しっかりしてるしね。じゃあ、三ヶ月後、また来るよ」

 

 さて、直哉コンビと甚爾との対決である。

 

「トリオンってのは、自由なもんなんや。それを呪力と掛け合わせると……」

 

 そして、直哉はロックなアニソンを掛ける。

 直哉の体がメキメキと変わっていく。

 それは、まるで呪霊のような。

 

「呪体転生! ステージ1!」

「はああ!? 呪霊になった!?」

「この体だと、俺は音速超えられるんや! トリガーが耐えられるんは五分間だけやけどな!」

「めんど」

 

 いかにも面倒くさそうに、甚爾が構える。

 異形となった直哉が動いた。

 

 ガキン!!!

 

 孤月によるトリオンの剣と異形直哉がぶつかり合った。

 そして、甚爾は呪術師の直哉を見る。

 

「こねぇの?」

「やったるわ!!」

 

 呪術師の直哉も走る。

 早々に蹴り飛ばされた。

 

「ああっ 弱っ!!」

 

 見学していた呪術師の五条先生は真依に問いかける。

 

「あれ、ステージ2もあるの?」

「あるわよ。領域展開もどき。触った人の細胞一つ一つが直哉先生と同じ攻撃をしないと1秒止まっちゃうの。天与呪縛の完全なフィジカルギフテッドには効かないけど、おねぇちゃんがそうなるには私が死なないとなのよね。双子ゆえの天与呪縛って奴?」

「私はそこまでしてトップを取るつもりはねぇ」

「だから、私がおねぇちゃんの代わりに一番になるの。なったの。呪力はなくても、トリオンとそれを使う才能はあったし」

「凄いじゃん。いや、本当に凄いよ。直哉も真依も見違えた」

「えへへ」

 

 五条先生に撫でられて笑う真依に、真依は気焔を挙げる。

 

「〜〜っ 私! 絶対トリオンについて学ぶから!」

 

 そうして、直哉ーズをフルボッコにした甚爾は、傷を軽く手当てして、腕を振った。

 

「いってぇ。三年後には負けてるかもな。相性いい奴に負けるのかっこわる。今のうちに諦めとかねぇ?」

「誰が諦めるか! 一年で倒したるわ!」

「そしたら呪術師サイドに戻ってくんない? 甚爾連れて」

「いーやーや!」

「優遇するよ? 当主はもう無理だけどさ」

「いらんわ。飛び出した身だし、めっちゃ大変やん、当主も呪術師も!」

「ボーダーも大変そうだけどなぁ」

 

 悟と甚爾に囲まれる異世界の自分。

 憧れている二人の手が並行世界の直哉の頭を撫でた時、呪術師の直哉は、歯を食いしばった。

 異世界の直哉ができている事は、自分もできるはずなのだ。

 

 何が違う? 直哉は領域展開すら出来ない。

 そんなのは許せない。あいつも自分なのに。

 

 トリガー? それが差異だというのか。

 それなら。それなら、自分もトリガーを手に入れてやる。

 手段なんて、選ぶはずがない。

 

「そっちの直哉もお疲れ。まあ頑張れ」

 

 甚爾が頭を撫でる。

 涙が溢れた。

 

 欲しかったものだった。手に入らなかったものだった。

 次期当主の座は持ってないようだけど、それは自分のものだけど、でもそんな物より、甚爾と悟(最強達)の賛辞が欲しかった。

 

 いや、まだ間に合う。自分のじゃなくても構わない。

 欲しいなら、奪うまで。

 

「自分、トリガーの技術情報の取得をさせるように動くわ」

 

 自分は時期当主なのだから。

 

「ところで、次期当主誰やん?」

 

 真依が嫌そうに答えた。

 

「恵よ」

「恵くんの話題は自分の前じゃ出さんといて。胸糞悪いわ」

「ええ……。恵いい子だけどなぁ」

「人様を踏み躙って悦に浸るようなのはあかんわ」

「お前の得意技じゃねーか」

 

 思わず呪術師の真希が突っ込む。

 

「自分、そんな酷いことしたことないわ!!」

「そーかよ。わりぃ」

「あ、もしかして恵って禪院で育てられた?」「当たり前やろ」

 

 つまり直哉と恵の性格がチェンジかぁ。

 後からこの会話を知り、ぐぬぬする直毘人だった。

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