夏油先生と真依のパーフェクトトリオン授業   作:かりん2022

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ファム・ファタール1

夏油傑は過去一反省していた。

ポロポロと涙が溢れる。駄目だ。生徒達に情けない姿は見せられない。

それでも、涙は止める事ができなかった。

ああ、私はなんてことをしてしまったのだろう。百鬼夜行なんて。でも、ただ一言言い訳をさせてもらうなら。

 

「傑、本当に悪いと思ってる?」

「うん、私の不徳の致すところだと思っているよ。でもね、悟。実は私は百鬼夜行した方の夏油傑じゃないんだよ」

「人違いしてねーよ!! 俺は百鬼夜行を全国ネットで実況生中継したことを怒ってんだよ!!!」

 

悟がブチ切れる。

説教のせいで足が痺れて感覚ないんだけど、どうして怒ってるの? って今更聞けない。

どうしよう。どうしよう。どうしよう。

 

「うっ……」

 

 ボロボロと私は涙を零す。足痺れた。

 

「勝手に足を崩さない! ほら、なんで実況中継なんてしたんだよ!」

「だ、だってせっかくの機会だし、皆喜ぶかなって……」

「お前の世界じゃあれか、実戦を面白おかしく中継してんのか! 呪術規定の秘密はどうした!」

「うん。後、訓練とか。呪術規定って学生時代にチラッと習ったような? でもそれ呪術師の決まりだろ?」

「あ“あ“あ“あ“あ“あ“あ“あ“ !!! 10000歩譲ってそれが異世界文化の違いで仕方ないとしてもなぁ! 許可とれ許可!! 途中で止めたのに止めなかったのは!?」

「だって中止したら生徒がしょんぼりするじゃないか。悟はよく綺麗事を言って意地悪してくるし」

「意地悪じゃねーよ! 秘匿死刑クラスのことなんだよ!!! 綺麗事じゃなくて守べきルールな!」

 

 ブチ切れまくっている悟に、私はまた涙を落とす。

 

「うう、悟がカビ生えたルールを盾に虐める」

「五条さん!! 茈はまずいですって! この後交渉もあるんですから、堪えてください!!」

 

 七海が全力で五条悟を止める。

 

 不安そうな顔で見守っていた生徒達が、うちの先生がごめんなさい、五条先生と謝り始めた。

 とっても情けない。

 一体、どうしてこんな事になったのか。

 私は考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、始まりはトリオン兵の改良と試運転を兼ねて並行世界の自分に会いに来た時だった。

なんとこの世界の両親は私によって殺されてるらしい。なんで?

博士は赤ちゃんの時に死んでいたし、これは困った。

困って呪術高専に行くと、百鬼夜行の話をしている私がいた。

私は声を張り上げていた。

 

「あの! 取り込み中悪いけれど、ちょっといいかな!!」

「うん? ……私?」

「そちらの戦い、当団体も参戦してもいいだろうか!!」

「君は?」

 

 そこで、私はカンペを出した。

 

「学生による呪霊の討伐をさせていただいているボーダーと呼ばれる団体で、長を努めさせていただいる夏油傑です! こちらへは並行世界の私たる貴方にご協力願えないかと思いまして、伺わせていただきました!」

「はぁ?」

「え、えっと」

「先生、頑張って!」

「うん、津美紀」

 

 私は迷ってカンペをしまった。

 

「君の主張には一部同意する。呪術師が社会の裏で暗躍するのは間違ってる。呪術師は辛いと思うし、非術師だって知らない所で命懸けで助けられて恩着せられても、正直困っちゃうんだよね。そんな歪な関係がうまく行くはずがない。非術師と呪術師は手を取り合える。それを証明する為、ボーダーだけでその百鬼夜行を止めさせてほしい。それが証明出来たら、私達との会談に応じてはもらえないか」

「そのボーダーでは、非術師が戦うとでも? 隣の子は、津美紀だね。非術師の」

「B級隊員、伏黒津美紀です! 夏油先生は呪術師がいらないとは欠片も言ってないので、それだけ念押しさせてください!」

「それはそうだよ。そっちでいう三級術師かな? えっとね。三級と一対一で勝てるかも? 程度の実力だよ。ボーダーじゃ二級が壁なんだよね。やっぱり硬さと出力がね」

「……じゃあ、防いでみろよ」

 

 呪霊が津美紀を襲い、津美紀が腰の長物に手をやると、瞬時にセーラー服からスーツ調の服に変わった。そして呪霊を刀で一刀両断にする。

 

「馬鹿な。瞬時に見えるようになった?」

「あっぶな。トリガーを発動してないと、見えないんだよ。彼らは非術師だからね」

 

 どうやら、私は私達と話をしてもいいと思い始めたようだった。

 

「……そちらが求めるのは会談だけかな」

「そうだね。もっと要求していいならしようかな。私って有能だからね。手が足りないんだよ。装置の原材料にも適しているし、普通に生徒達の練習台になってもらうだけでも助かるしね。とりあえずは、呪霊を取り込んで呪術師の生徒の戦闘指南を行ってくれるだけでも助かるかな。もちろん、望むなら原材料にもいつでも歓迎だよ。そう、私達が勝ったら三ヶ月のお試し勤務なんてどうだい?」

「装置? トリガーの材料は呪術師なのか?」

「一人増やすために一人減らすなんて意味のない事はしない。材料にはできるしそれはそれで歓迎するけどね。トリガーのエネルギー源はまた別だよ」

「私が勝ったら、私の身柄とそのトリガーとやらをもらおうか」

「まだ大量生産は出来ないんだ。美々子と奈々子、利久用ならすぐ用意できるけど。お互いのこと何も知らないし、最低限これだけは景品とする、ということでどうかな? 犯罪は無理だけど、ある程度君に協力もしよう。もちろん、三ヶ月お試しは君が勝っても受け入れるよ」

「いいだろう。悪いね悟、そういう事になったから、君達との予定はキャンセルでいいかな。私は帰るよ」

「私達も行きましょう、先生」

「ちょ、待て!」

 

 私と津美紀は揃ってペイルアウトをした。

 

 

 

 

 

「そういうわけで、人の世界で大規模市外演習が出来るよ!! 一応実戦だから、メンバーを選抜しないとね」

「でかした夏油先生!!」

「食っていいの!? そんなに食っていいの!? マジで!!???」

「早速準備をしよう。実況は誰を入れようかな!? 普段だったらそんなセット用意するの大変だし、呪霊2000体も飲むなんて死ぬほど大変だからね!」

 

 喜びに湧く私達。呪術師は見える人間が100万人に一人ぐらいだが、実用に足るトリオンの持ち主は1000人に一人くらいの割合である。どれくらい多いかというと、別にトリオンの持ち主でなくても出来る仕事が山ほどあるが、トリオン持ちに絞っても全然豊富に人材を取得できる程あると言っていい。

 呪術師よりずっと多様性があるし、人を選べる。

 直、そんな状況でトリオンを持たずに入ってくるのはそんな数の暴力を実力でねじ伏せられるエリート中のエリートだから皆尊敬するし差別とかあり得ない。

 

 そんなボーダーに所属する学生は、それはもう戦闘が三度の飯より大好きな子達ばかりだ。

 経費の関係で呪術師よりずっと給料安かろうと、20歳で別の道を選ばねばなかろうと、それまでの青春を全て戦闘に捧げたいイカれた者達ばかりである。

 私の提案は喜びを持って迎えられた。

 経費は大規模戦闘の放映権で十分に捻出できるだろう。

 

 うん、ここまでは全てがうまくいっていたはずだった。

 

 いや、今だから思える事ではあるが、ただ一つ、やっておくべきことがあったかもしれない。

 そう……悟には一言相談すべきだったんじゃないかなーなんて……いや、やはり気のせいだな。

 そうだ、思い返してみれば悟関係なくなったじゃないか! 言われる筋合いなくない?

 怒られ損だ!!

 

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