夏油先生と真依のパーフェクトトリオン授業 作:かりん2022
運命の人。破滅を呼ぶ人。
悪ではない、悪ではないんだけれど呼んでくるのは間違いなく破滅。そんな夏油様の話なので。
12月23日!晴れ!! 今日は良い日だ!!
夜も10時位から速やかにトリオン兵を配備して、準備を始める。
避難は速やかに行われており、帷も張られていた。邪魔。
最後の見回りをしていると、悟が空を飛んできた。君なんでもできるよね。
「傑!」
「何かな、悟」
「お前らが負けそうだったらすぐに出る。2000体の呪霊を放置はできない」
「うん、大丈夫だとは思うけど、特級とかは相手できないしね。そうしてくれるとありがたいよ。でも最初は見守ってほしい」
「本当に大丈夫なのか」
「駄目でも自己責任だし。呪詛師VS呪術師VSボーダー、なんてね。じゃあ、忙しいから失礼するよ」
私は放送の準備をせっせとしていく。
そうして、24時が訪れた。
「ハッピーメリークリスマス! さあ、ボーダーファンの皆、喜べー! 市街戦でクリスマス、イン東京アーンド京都、ただ今開戦するよー! 対するは呪霊1000体、先に狩り切れた方が勝ち! あ。いつも通り、志願者のみ、遺書は事前に書いてもらってるからあんしーん!! 実況は私、夏油傑。解説は与 幸吉ことメカ丸くん、中継協力冥冥さんでお送りします! それでは両チームの紹介をしていくよ! 今回はー。なーんと! 学生VSOB企画! 年寄り無理するなどんどこどん!」
「はいはい、夏油先生ぶっ殺されますよーもーそういうこと言うと! リーダーは学生側、高校一年生! ご存じボーダーの女帝禪院真依! 一体何を魅せてくれるのでしょうか! 全く予想がつきません! 対するは、呪術界の被験者No.1! 以来、ボーダー最強の座を死守し続けてきた男、伏黒甚爾先生!! 今宵も全てを叩き潰す様を魅せてください!」
「正反対のリーダーとなりますが、どちらが有利かと思いますか、解説のメカ丸くん」
「難しいですね。学生組はなんと言っても若さがあります、若さが! トリオンは20歳までしか伸びないので、この若さがとても重要なんですね。対してOBは若い頃はもっと動けていた、というのがネックになると思います。ただし!」
「ただし?」
「それでもOBは歴戦揃い! 伸び代限界まで伸ばした猛者たち! 特にボーダー最強の男甚爾が負ける姿はどーしても想像できません!」
「これは楽しい勝負になりそうだね! 今夜は寝かさないよー!」
「レギュレーションはなんでもあり! 実戦ですからね、死力を尽くして戦ってもらいましょう!」
「おおっと甚爾先生ロケットスタート!!! 早い早い早い! そして呪霊達が続々と集まってます! まるで無双ゲーのようだぁー! あっ 甚爾先生、生身は危ないですって、あー! この男止まらない止められないー! そして京都はいきなりデカい武者が現れた模様ですね、高い高い高い怪獣のようだー! しかもマザートリガーの近く、虎杖ママは大丈夫かー! おっと双子の女帝が自ら防衛に出るようだ、双子キャノンが見られるかー! はい、皆さんご一緒に、メ・テ・オ・ラー♡ 見事にハートを撃ち抜いたー! 可愛いねー! ファンサばっちり! 見た? ウィンクしてたよ!」
「呪力タンクの直哉先生がいない事からどうなるかと思いましたが、いやはや1級に通用するメテオラが撃てるとはやりますね。呪力混じりじゃありませんでしたよ、あれ」
「学生組に呪力タンクが君しかいないのが痛いよね。君は戦闘はできないし。先生でもタンクできるほどの呪力持ちは私と直哉くらいだけど。秤をスカウトできてたらなぁ」
「ボーダーは呪霊が見える方も見えない方も応募しています。入隊試験に我こそはと思うものは奮ってチャレンジください」
「京都の現役学生チームが勝利です! 東京はちょっと入り組みすぎてたね。でも僅差だよ、両方頑張った! おめでとう学生チーム! ということで、トロフィーをもらいに行くよ。今日はこれまで! 実況夏油、解説メカ丸でした!」
放送が終わり、私は息を吐く。ゲホッ喉いた。
のど飴を口に放り込み、メカ丸の方を向く。
「じゃあ、行こうかメカ丸。私の位置は?」
そして、メカ丸と急行する。
この世界の夏油傑は、ビルの上にたった一人で立っていた。
「どうだったかな、夏油 傑。非術師だって捨てたもんじゃ「ふざけるな!!」」
私は激昂をしていた。泣いていた。恐れていた。そしてそれは予想出来たことだった。
既に通った道だ。私はその感情を、嫌というほど浴びてきた。
「今まで! 今まで散々利用して、磨り潰して!! 挙句いらないっていうのか!」
「落ち着いてくれないか。誰もそんな事は言ってない」
「私は、今までどんな思いで、どうして、私は非術師のために」
「守ってくれなんて言ってない」
「は?」
「別に、非術師は誰も守ってくれなんて言ってないんだよね」
「ふ、ふざけるな!!! 私は、灰原は、なんで、どうして」
「だから、守ってなんて言ったか? 言ってないだろ。当たり前だ、呪霊の事も知らない。守られることも知らない。守られる必要があることも知らないんだから」
「けど!!!」
「けど、もしも、言ってくれてたら。呪霊は倒せなくても、呪術師に援助はできたと思うんだ」
「は?」
「世の中ギブアンドテイク。ここを間違えると歪みが起きる。あなたは非術師に昔、尽くしてたんだろう。でも、何も返してもらえなくて、壊れた。違う?」
「なんだ、それは。そんなこと、だって」
「でも、何も知らされてないんだから、返しようがないよ。この世界ではずっとそうだった。でも私の世界では違う。君は呪術師が捨てられると考えているけど、それは違う。きちんと尊敬して、尊重するよ。君の理想なんて知らないけれど、私の理想の世界を魅せてあげる。……おいで。縛りでは、私が勝ったら三ヶ月のお試し勤務だったよね?」
私は、にっこりと笑った。
そして、帰りに悟に挨拶に行って、ご覧の様である。
挨拶なんてした私が馬鹿だった。そのまま帰れば良かったのに。