緑礬の錬金術師 作:ONE DICE TWENTY
俺は不老不死である。
であるので、列車は使わない。……何が"であるので"かっていうと、つまり、時間は死ぬほどあるから時間短縮のための列車はノーサンキューって話だ。この広大なアメストリスの地を、徒歩で行く。だから当然すさまじい時間がかかる。
ダブリスからイシュヴァールの地への時間もかなりかかったし、そっから色々寄り道して、よーやくイーストシティに辿り着いた頃には年単位の月日が経っていた。
イーストシティ。
まー、普通の町だ。東方司令部が置かれていること、それに伴う軍の練兵場があるくらいで、他は住宅街。列車が通っているから駅こそ絢爛なれど、他はマジでフツーの町。
カウロイ湖がアメストリス随一の観光地だったように、アメストリスって広いくせに見て回る所は結構少なめなんだよなー、とか考えながら、それでも存在する観光スポットに到着する。
スチーム時計。
……まぁ、何? この世界じゃないどこぞのデッカイDoな時計塔よかさらにしょっぱいけれど、忠犬ハヤテ号前だと考えれば特に目くじらを立てることもない。
待ち人は……いないので。
そのままスルーしようとして──目を疑った。
え、ん?
「──これは、これは。最年少国家錬金術師として名高い君に会えるとは、思ってもみなかったよ」
そこにいたのは。
「ブラッドレイ大尉……なんで東部に、っつかなんでこんなところに?」
キング・ブラッドレイその人だったのだから。
さて、少しばかりの歴史の話である。
そもそも国家錬金術師制度ってのはキング・ブラッドレイが大総統に就任してから作られた制度だ。原作ではね。国のトップをラースにすることで、ようやく念願の独裁政権が完成したから、というべきか。
制定されたのはブラッドレイが大総統に就任した1894年。つまり、まだ1876年である現在には存在しないはずの制度。その上で俺は、1835年の第一次南部国境戦の時点で国家錬金術師になっていた。なれていた。
若干……どころじゃないズレだ。
俺の存在がフラスコの中の小人に計画を早めるような影響を与えてしまったのか、それとも別の要因か。だから、原作にはいなかった国家錬金術師も少しばかり増えてしまっている。どうせ原作開始時点ではよぼよぼ老人だろうからあんまし影響しないだろうけれど、イシュヴァール殲滅戦はより凄惨なものになりかねないだろうなぁ、とは思う。
もし。
もしもそれが、
というわけで、そんなこともあってか、本来「キング・ブラッドレイ」という名の人間として最終投入されるに過ぎなかったはずの彼が、こうしてちゃんと軍人やってるのである。まだあの金歯医者のもとにいてもおかしくない年齢の……弱冠21歳なブラッドレイ青年が。
そんでもって、当然彼は
「どうかね、この後ティータイムでも」
「別にいいけど、アンタなんか用あってイーストシティにいるんじゃないの? それともアレ? 東方司令部の場所わかんないとか」
「はっはっは。君は随分と私を馬鹿にしているようだな」
「民間人の憩いの場にフラフラ出張ってくる軍人に対する感想なんてこれくらいだよ」
血の紋を刻む必要が無いからだろう、最近は流血沙汰になるような事件は無く、周囲の民族国家の併合、吸収の際にゴタゴタはあれど、前ほどのピリついた雰囲気は感じられない。
それでも街中に軍人がいたらぎょっとするのが民間人の素直な意見だ。憲兵ならいて当たり前だからいいんだけどね。
「少し、深く聞きたいことがある。ついてきたまえ」
「ああはい。奢りで?」
「……食事に困らない程度の給金は出されているはずだが?」
「他人の金で食う飯が一番美味いって知らない?」
ちなみに少し前にリゼンブールでピナコが結婚しているけど、それには立ち合いに行かなかった。
前も言ったけど俺は少年状態でずーっと容姿が変わらないからね、こういう大きい街中だったら気にも留められないだろうけれど、ああいう田舎に行くと深く記憶されちゃって次行ったときの行動が面倒になる。
あとはまぁ、ホーエンハイムが既にいる、ってのもあるか。
別に会いたくないわけじゃないし、会って困ることもないんだけど、彼が画策しているだろうカウンター錬成陣──現時点で画策しているかはわからないけれど──においても俺ってば邪魔だ。
錬金術と錬丹術を学んだからこそわかる。
いやホント、"不老不死"って邪魔ね。綺麗な円に綺麗な錬成陣書いたとして、"不老不死"って記号はそこにだばーっと墨汁落とすようなモンだ。美しい数学式を絶対に解けないゴミに変える。
フラスコの中の小人からしても、ホーエンハイムからしても、他、なんかでっかいことやろうとしてる錬金術師の全てからしても──俺は邪魔なのである。
「どうかしたのかね?」
「ああいや……見られてんなー、と」
「はっはっは、流石に気付くか。あの者達もまだまだ甘いな。が、君が悪いのだぞ?」
「え、俺?」
「そう何年も何年も変わらぬ姿を惜しげもなく見せつけて、興味を持たない者がいると思うかね? 緑礬の名だけ知っている地方の者たちならともかく、私や中央の軍人からすれば、君という存在は不可思議と可能性の塊なのだよ」
「それくらいそっちの力で隠せないの?」
「私達が君を庇うメリットが無い。君がこの国に居づらくなって、この国を出て行ってくれた方がありがたいのだからな」
「ん-。まぁ、じゃあ、適当にフードとか被るよ。それである程度は隠せるだろ」
懸念事項がピッタリはまってしまったわけだ。
そうだよなぁ、軍属になったんだから、写真とかも登録されるわけだし、その上であの日立ち会ったやつとか知り合ったやつとか……もう40年近く経ってんのにずっと子供はヤバいか。
でもなぁ、俺ホムンクルスじゃないから見た目の操作とかできないんだよね。マジでただ再生するだけの不老不死クセルクセスの民だからさ。一般人なんだよ俺。
「さて、ここだ」
「……オサレなサテンに連れてってくれる、と思った俺が馬鹿だったか」
「何、軍部の食堂とて中々に美味な食事を提供してくれるものだぞ?」
そういうわけで、東方司令部でお茶会である。
「それで、聞きたいことって?」
食事はまぁ、美味しかったよ。
ブラッドレイがあんまりにも綺麗な所作で食べるもんだから、ちょいと背筋が伸びたけど。とはいえそこまで綺麗に食ってるのは彼だけで、他はガツガツ行ったりかっこんだりだった。原作じゃ知らん軍人ばかりだけど、あぁ、確かに、会ったことあるっていうかすれ違ったことのある軍人ばかりだ。
監視もしたいけど腹も減るってか。
「あの日。私が生まれる前のあの日、君が
「え、おいおい。いいのかよこんな公の場で。誰が聞いてるかも知んねーのに」
「話し声が聞こえる距離は把握しているし、盗聴器の類はあらかじめ調べてある。問題は無い」
「ほーん……。で、何? 俺が言った言葉?」
「"激動の時代"」
あっ。
……い、いや。
「あー、まぁ言ったけど。それが何?」
「君が何故我々の"計画"について知っているのか、君が何故我々の全てを知っているのか。それについては関知しない。"お父様"曰く『不老不死が全知でも何らおかしくはないだろう』とのことでな、そこについてはどうでもよい」
「いやそりゃ買いかぶりだけど」
「だが、そんな君の発した"激動の時代"……これが何を意味するのか」
「そりゃ、そのまんまだよ。刻むつもりなんだろ?」
「
……いやぁ、失言だったか。
これは、つまり確信を与えたってことかね。
そっか、そうだよな。
さしものフラスコの中の小人といえど、人間の出生までコントロールできるわけでもなし。ましてやそれが人柱になるかもわからないんだ。当たり前だけど。
ロイ・マスタングを強制的に人柱にしたのは外法。全部アレでいいなら初めから外部の錬金術師を……真理を見た錬金術師を監視下に置く、なんて面倒な事やってない。
けど、フラスコの中の小人は俺の言葉で確信した。
プライドから齎された「激動の時代」という言葉は、血の紋を刻み付けることだけでなく、人柱足り得る人材が生まれ出でてくる時代が来るのだと……日食が起きるその日までに、すべてが揃うのだと。
妙に信頼されてるトコあるからな、俺。邪険に扱われている割に。
「誰だね? あるいは、どこで生まれる?」
「さてねぇ。そこまでわかってんなら、常に目でも光らせとけばいいさ。ブラッドレイ、アンタはレールの上を突っ走るだけだけど、他は自由にできるんだから」
「つまり──君の行くところ全てを調べ上げればいいと、そういうことかね?」
「いやぁ、案外逆かもよ? 行かない場所を調べた方がいいかも」
「……」
「……」
どーするよ。
どーするよこれで、リゼンブールに軍の駐屯地とか置かれたら。
でかい事故も起きてないのに突然子供の手足が吹っ飛んで機械鎧になったり、未だ技術の確立されていない全身機械鎧が出てきたりしたら、疑われるどころじゃ済まないじゃん。そのまま連れてかれる可能性も無きにしも非ずだし、そうでなくちゃんと原作開始時点まで持っていけたとしても、その後兄弟が得られる情報は全てがダミーになるだろう。
そうなったら原作破壊どころじゃない。いや別に原作通りの展開になってほしいとか思ってないんだけど、あんまり崩れられるとコントロールが難しくなるからできるだけその通りに進んでほしいんだよな。
国家錬金術師制度のあたりはもう無理なんだけど。
ふむ。
……うん。
「まぁ、好きにすると良いさ。ちなむと、これから行こうと思ってるのはリオール、クレタ側の国境線、ペンドルトン、んでブリッグズ山だ」
「……そうかね」
「安心しなって。何度も言ってるけど、邪魔するつもりはサラサラないんだ。アイツがさらなる命を得ようが、"カミ"を手にしようが、俺に関わる話じゃない。もし錬成陣の発動に邪魔だってんなら一時的な国外退去もするよ、自主的に。けどそれまでは許してくれよ。こんだけ広い国で、こんだけ見るモンがあって、それを外から眺めてろ、なんてのは流石に酷い話だろ?」
ついさっき見るモンない国だ、とか思ってたのは内緒。
「──君を組み込まんとしているのだとしても、かね?」
「え?」
「いや、なんでもない。実に有意義な昼食だった。君に言われた通り、これからの時代をよく見ていることにしよう。それでは、私は先に失礼するよ。昼過ぎから予定があるのでね」
え。
え?
……あ、何?
"不老不死"って記号、有効活用しようとしてる感じ?
ブリッグズ山に来た。
はっはっは、言った順番の通りに行くとは言ってないだろう!
……いやね、そもそもの話よ。
例えばあと少しで生まれるイズミ・ハーネット、そしてトリシャ・エルリック。
その誕生に立ち会ったとして、なんになるよ。何のかかわりもない旅人さんがさ、いきなりやってきて産気づいた妊婦さんの出産の場に立ち会わせてくださいでも何にも手伝えません! とか。邪魔過ぎるだろ。錬金術師じゃなくても邪魔だわ。
というような考えが巡りに巡った結果、原作主要人物の誕生の瞬間に立ち会う! っていうタスクを全部消して、ブラッドレイとかグリードとかみたいな、主要人物の若いころに出会う! って方向に切り替えた。
その方がホムンクルス達も絞り難いだろう。即ち、人柱候補を。
さて──まぁ、話を変えると、俺は再生する一般クセルクセスの民である。
国家錬金術師制度が制定されてすぐの頃の甘い審査とはいえど、誰が見ても、と言える程度の錬金術は使えよう。
が、身体はマージで一般人だ。
北のブリッグズ。その前の北方司令部でさえ、うん、かなりエグい。
ブラッドレイに言われて着るようにしたフード付きコートがなーんの意味もなさない。もうガッチガチに凍り付いていく身体を、感覚のなくなった部分からぱっぱか切り落として再生して、そうやって突き進む。
原作のスロウスよろしく気付かないうちに脳まで凍ったら、とかおそろしおそろしなんでね。それでも死なないけど。
とはいえ。
とはいえ、である。
俺がどんだけ平気でも。飲食が要らず、寒さも耐えりゃいいと思っていて疲れ知らずで再生能力持ちだとしても──周囲からそれがどう映るか。
闇雲に、現地人の言葉も聞かずにブリッグズ山に突っ込んでいった10歳くらいの子供。
まー確保される。つか保護される。
いくらブリッグズが「弱肉強食」を体現していても、それとおんなじくらいには情に厚いのがここの民だ。
旅人で、一瞬知り合っただけとはいえ、それだけで十分な縁だったらしい。
ブリザードの中を足だの腕だのを切り落として進んでいたら、急に隣にかまくらがぼこっと出来上がったではないか。
かまくら。スノードームである。
そしてなんか無駄にいい感じのドアができて、ぱかっと開いたそこには。
「おー、ホントにおるとはのう。さすが兄ちゃん、その歳でも目だけは良いのう」
「なんじゃ、疑っておったのかシルバ。ふん、儂の目はたとえ吹雪の中であろうと千里先のアリの糞まで見逃さんと言ったじゃろう」
……えーと。
爺さん二人。ああでもなんか見覚えあるような。
「とと、そんなことより。ほれ、お主。こちらに来い。この中は暖かいぞ?」
「……え、俺?」
「お主以外誰がおるんじゃ。それともなんじゃ、足が凍って動けないか? ……いや、怪我をしておるのか? 微かじゃが、血が……」
「血の匂いがするのぅ。坊主、それが返り血でないのなら、そのコートの内側は血だらけではないか?」
ああ、いや。
正解ではある。いや困ってたんだよね。血ってこんな簡単に凍るんだーって。手足切り落とす時に一瞬だけ飛び散る血液がコートやら服やらについて凍って、それが起点になってまた全身に凍傷が広がって……っていう負のスパイラルを起こしていた。
もう全裸になるかな、とか考えていた頃にこれだ。危ない、ギリギリだった。
「坊主、こっちに手を伸ばせるか?」
「……あーっと、いいよ、大丈夫。俺は」
「ええいうるさいのう、年長者の厚意はありがたく受け取るもんじゃ!」
ひょい、と。
ほとんど完全に凍り付いていた俺の足を、けれど折ることも傷つけることもなく雪の中から掬い出し、そのままかまくらの中に引き込む老人。兄ちゃんと呼ばれていた方だ。
あ、このかまくら錬金術でできてんのか。なるほど、上手い……上手く組んである。そんでもって、町の方にまで繋がった雪のトンネル。これも錬金術で作ってあんな。
「……言わんこっちゃない。シルバ、湯を出せ湯を。熱すぎてはいかん、ぬるま湯くらいのじゃ」
「任せろ兄ちゃん、そして坊主、動くなよ。下手に動けば足を失うぞ」
慣れているのだろう。
シルバと呼ばれている弟の方とその兄……老人兄弟は、俺の足の凍傷を完璧な連携で手当てし始めた。
別に切り落とせば健康な足が生えてくるんだけど、まぁ、まぁ。
「お主、よくここまで生きてこれたのー。コートの血といい服の血痕といい、熊にでも遭ったか?」
「軽装が過ぎるわい。奇跡じゃぞ奇跡。こんな装備で冬山に入って生きていられるなぞ……」
「ああいや、でも俺一応錬金術師だからさ。ある程度はいけんのよ」
「錬金術師? なんと、同業じゃったか」
「ああやっぱりそっちの爺さんが錬金術師なんだ。このかまくら、めちゃくちゃ綺麗な球形してるし、練度高い錬金術師って感じで参考になるよ」
「ほっほーぅ……見る目があるのう、坊主!」
……シルバ・スタイナーか!
んで今俺の足の手当してくれてるのがゴルド・スタイナーだ。アレ、イズミの修行時代、勘違いから「一は全、全は一」を伝えた格闘家と錬金術師の兄弟!
シルバの方は既に死んじゃってたから気付かなかったけど、そうだ、この爺さんは脱ぐと凄い系格闘家爺さんだ。一か月ナイフ一本でブリッグズ山を生き延びる、なんて無理難題をイズミに課した人。
そしてその教えはしっかりと弟子に継がれている……。
「しかし、錬金術師なら儂の程とは言わないまでも、こうしてかまくらを作ってブリザードをやり過ごす、という手もあったんじゃないかの?」
「ああいや、俺の錬金術はちょいと特殊でね。生体錬成に寄ってるから、あんまし得意じゃねーのよ、建造物作るのは」
単純壁作るとかならできるけどね。
エドワードみたいに変な意匠をプラスして建造物を作るとか直すとかは不得意だ。
「生体錬成……成程、それでか」
「ん、何が?」
「お主の服じゃよ。明らかに内部から飛び散った血痕が数多くみられる。これは返り血でなく、己で切り離した皮膚や肉の痕跡じゃろ。お主、凍傷になった瞬間にそこを切り離して、生体錬成で修復して……を繰り返してここまで来たな?」
おお、中らずと雖も遠からず。
そして怖い顔してる。
「……まったく、子供はもう少し身体を大事にせい。なんでもかんでも錬金術頼りになってしまえば、なんでもかんでも錬金術で解決しようと思うようになってしまうぞ」
「シルバ、湯の追加じゃ。……坊主、お主それなりに鍛えておるようじゃが、それなり止まりじゃのぅ。もし熊や狼に遭遇していたら、どうするつもりだったんじゃ?」
「逃げたかねぇ。別に食事に困ってるわけでもないんだ、殺すほど熊だの狼だのに憎悪があるわけでもない」
「奴らは追ってくるぞ。奴らこそ血に飢えた存在。獣が臆病なのは、餌が潤沢にある環境においてのみじゃからの。それを……錬金術で治せるからと高を括って逃げ回ってみろ。いずれ捕まり、食われ、しかし治し……また食われ。奴らにとって尽きぬ食糧庫になる未来しか見えぬ」
まぁ。
そうなったら、そうなってない方から再生するから大丈夫なんだけど。
いやはや正論だね。特に獣に人間の味覚えさせるのはダメだし。そうやって人間の味覚えた獣は人里に降りてくるからな、迷惑かけちまう。
反省しよう、ちゃんと。
「爺さん、良かったらこの雪のトンネル作る錬成陣教えてくれよ。原理だけでもいいからさ」
「……仕方がないのぅ。儂も老い先短い身。そろそろ後継者が必要だと思っとったんじゃ」
「ああいや、弟子になる気は」
でも待てよ?
イズミ・ハーネットがここに来るのが18年後とか17年後とかそんくらいで、それまでにあることっつったら……ブラッドレイの大総統就任とホーエンハイム、トリシャの結婚くらいなんだよな。
どうせもうすぐシルバが死ぬことはわかっているし、シン以外の……アメストリス式の格闘術を習うって意味も込めて、この兄弟に師事するのはアリな気がする。
観光は、まぁ、イシュヴァール殲滅戦後でも結構時間あるしな。
「……弟子になる気はないけど、泊めてくれるってんなら厚意に与ろうかな。ブリッグズの北壁を見たらノースシティに直帰する予定だったし」
「見てどうする気だったんじゃ。あそこ、ブリッグズ兵くらいしかおらんぞ」
「観光だよ観光」
「……奇特な奴じゃの」
何より、そろそろ動くんじゃないかと思わせておいて──十年ちょいブリッグズから全く動かないとか、ホムンクルス達も想像してないだろうし。
容姿?
……生体錬成の成果ってことで! まぁほら、エドもずっとチビだったわけだし、ね?