時空を駆ける大魔導士   作:月影2号機

1 / 8
お久しぶりです。

多少時間が取れるようになったので、現在投稿している7話までを改稿しつつ、不定期ですが続きを書いていこうと思います。

いつまた止まってしまうか分からない作品ですが、よろしければお付き合いください。


第1話 (改稿済)

勇者ダイとアバンの使徒たちの活躍によって、大魔王バーンは倒されてから、早くも80年の歳月が流れた。

 

死神キルバーンの人形に仕掛けられた黒のコアを破壊するため、ダイは人形と共に大空へ飛び立ち、爆炎とともに姿を消した。

その後、仲間や国家の指導者たちは必死に捜索を続けたが、ダイの行方は杳として知れず、時だけが淡々と過ぎていった。

 

1年、2年、3年と経つうちに、人々の心には少しずつ諦めが生まれた。

しかし、パプニカ女王レオナやロモス国王のように、最後まで希望を捨てずに探し続ける者も存在した。

そして今もなお、ダイの行方は分からないままだ。

 

森の奥に建つ小さな山小屋。

窓の外をぼんやりと眺めるポップの姿があった。

かつての冒険でダイと共に死線を潜り抜け、最後まで彼の側に立ち続けた無二の親友。

大魔導士として名を馳せた男も、今や老いによって体力は衰え、髪には白が混じる。

 

ポップの胸に去来するのは、数え切れぬ後悔の念だ。

 

「子どもたちにもっと親としての顔を見せられればよかった。

ダイも救えなかった……」

 

冒険の成功者としての栄光はあるものの、心に残る空白は大きく、幾度となくその虚無感に押し潰されそうになった。

 

歳月は容赦なく過ぎ、外出もままならなくなった頃、ポップはひとつの考えに辿り着いた。

大魔王バーンが遺した秘術――時を操る技法、そして古の遺物「時の砂」。

精神だけを過去に送り、歴史の流れに微細な手を加えれば、あの悲劇を回避できるかもしれない。

 

研究と試行錯誤を繰り返し、ついに秘術を会得する日が訪れた。

心の中で、何度も過去と現在の自分を重ねながら確認する。

「これで……本当に間に合うのか?」

しかし、焦燥よりも決意が勝った。

 

残された時間はわずかだ。

この命が尽きれば、精神は過去へと飛び、ダイを救う旅が始まる。

今度は、奇跡に頼らず、自分の力で――

 

『ダイ、今度こそ……必ずお前を救ってみせる。少しだけ、待っていてくれ』

 

ポップは深く息を吐いた。

体が徐々に力を失い、視界がぼやけていく。

家族の顔や、長年見慣れた山小屋の景色も、目の前から消え去ろうとしている。

それでも、心は少しずつ確かに過去へと向かっているのを感じた。

 

――長い旅の幕開けは、こうして静かに、しかし確実に始まったのだった。

体は徐々に消えていくような感覚に襲われるが、心の中には確かな光――過去を変え、友を救いに行くという強い意志――が燃えていた。

もう迷う必要はない。あとは、ただ前へ進むだけだ。




誤字、脱字は極力チェックしますが、もし見つけた場合お手数ですがご一報お願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。