更新が止まっている間も読んでくださっていた方、感想を書いていただいた方に感謝を。
本当に久しぶりに書いたので、以前と作風が変わってるかもしれませんが、ご容赦ください。
ロモスの港を出てから3日、航海は順調に進んでついにデルムリン島が見える位置まで辿りついた。
このまま漕ぎ続ければあと1、2時間もあれば島に到着するだろう。
「もうすぐ、もうすぐダイに会える……」
前世から数えると、もう90年は会っていない親友の顔が浮かぶ。
どれだけ時間が経っても、忘れることはなかった。
今頃、ダイはアバン先生の特訓を受けている頃だろうか。
俺は逸る気持ちを抑えながら、船を漕ぐ手に力を入れようとした。
「ん?……なんだ?」
その時、ふと辺りが暗くなっていくのを感じて、空を見上げた。
さっきまでは雲一つない晴天だったのに、僅かな間に空は漆黒の雲に覆われ始めていた。
「これは……まさかっ!」
この異常な状況の原因に思い至った俺は、周囲を見回し警戒する。
前回の世界でも、奴が現れた時はこんな風に空が真っ黒な雲に覆われていた。
黒雲から稲妻が迸り、船のかなり近くに落ちる。
よりにもよって最悪のタイミングで出くわすことになった。
「おいおい、マジかよ……」
稲妻の落ちた辺りに人型のシルエットが現れる。
光が消えると、そこにはローブを目深に被った人物が水上に浮かんでいた。
「魔王ハドラー……」
前回の世界で初めて会った時と違い恐怖感は感じないが、
それでも漲る魔力の波動、圧倒的強者が放つ威圧感は感じ取れる。
人間として最高位にたどり着いたからこそ耐えられるが、前回の俺なら間違いなく余りの恐怖に気絶でもしているレベルだ。
「この島の辺りには碌に人が寄り付かないと聞いていたが、そこの小僧、運がなかったな」
ハドラーは既に俺の乗る船を捉えていたらしく、周りを飛ぶ目障りな虫でも駆除するかのように爆裂呪文(イオ)を放ってきた。
「くっ!」
ハドラーのイオが船に着弾する直前、レムオルの呪文を唱えて海に飛び込む。
超魔生物化したハドラーならともかく、この頃なら姿を消して気配を殺してしまえば見つかることはないと判断したからだ。
少しでも気づかれないようそのまま少し海の中へ潜っていく。
「クックック。目障りな虫も始末したことだし、アバンの首を取りに行くか」
予想通り、ハドラーは俺を始末したと思いデルムリン島へ向かっていった。
ハドラーの姿が見えなくなるのを見計らって海面に顔を出す。
「時期的にそろそろだとは思ってたけど、まさかタイミングピッタリだったとはな……」
運がいいのか悪いのか、どの道、ダイとアバン先生と合流しようと思った時点でハドラーとの対決は避けられない。
どこに監視の目があるかわからないから実力は隠しながら戦うことになるだろうが、
ダイのドラゴンの紋章を発現させないといけないし、今のハドラー相手なら全力で戦わなくてもいい勝負になるだろう。
まずはダイ達と合流するために、俺はトベルーラを使ってデルムリン島に向った。