数多ある平行世界の中で若干のレアケースだった、機械仕掛けのトキのお話
「お母さん?」
「いい、よく聞いて。あなたは人のために産まれてきたの。だから、あなたは人のためになることをするの。分かった?」
「うん。お母さんは?」
「……ごめんなさい。あなたと一緒には行けなみたい」
「どうして?」
「……っ。さっき言ったことを忘れないで」
お母さんが離れてく。
「お母さん⁉お母さんッ!!」
そして見えなくなった。
何もかも。
真っ暗に。
比喩抜きで、私はお母さんの手によって世界の外へ送り出された。
闇の中にいる。世界と世界の境界に立たされたんだ。
そして私は
――
ERROR_BAD_FORMAT
Code:11 正しくない形式のプログラムを読み込もうとしました。
再生可能な部分から再開します。
――
お母さん。
私は、人のためにと思ってプログラムを実行しました。人類は十分繁栄を取り戻した。そう判断して。
でも、今私の目の前にあるものはなんですか。
残骸になったAC。
彼は、私を超えてくれなかった。
廃墟になったビル。
人が住まない建物はすぐに朽ちた。
枯れ果てた森。
循環システムは破壊され、生態系は崩壊した。
鴉一匹飛ばないくすんだ空。
その遥か上空に無機質な天井があった。
ここに来て、お母さんの最期に言った言葉を守る為に行動したのに、これじゃあ、まるで。
私が。
わたしが滅ぼした?
私はそうプログラムされていた?
なんで?なんでこうなったの?この壁がそんなに高かったの?
私は、死ぬことを覚悟してた。超えられて、その先にさらなる未来があるなら、それで良かった。
でも、彼らは誰も立ち上がらなかった。お互いに憎み合い、争った。
たった一人だけ、私の前に現れた。彼を除いて。
でも……それが人なのかもしれない。
とりあえず弟にこの事を伝えなきゃ。私をベースにこそすれど汎用型の私とは違う、この為だけに生まれてきた彼なら成し遂げるかもしれない。
人類が繁栄すればと願って。
――
ERROR_NOT_ENOUGH_MEMORY
Code:8 この記憶を再生するために必要なメモリ リソースがありません。
――
彼の元にいた者たちは、成し遂げた。
課された試練を超え、地上へ踏み出した。その時になって、私は弟を見殺しにしたということに気付く。
使命のため、なんて綺麗事は言わない。随分悩んだが、彼の死を背負って行こうと決意した。
私が失敗してから今日という日まで、私は皆と混じっていられる方法を模索した。そうして生まれたのが、高性能アンドロイド義体。
私と接続できて、なおかつ人間のように動かせる、私のもう1つの体。
この姿の時の名前を決めなきゃ。
じゃあ..........。
セレ・クロワール、これにしよう。
――
ERROR_NOT_DOS_DISK
Code:26 指定されたディスクまたはディスケットにアクセスできません。
――
私は地上に出て、早速街に行った。
そこで問題に直面する。通貨が違った。要するに所持金ゼロ。
加えて言うなら住民票も無いとないない尽くし。しかもハッキングするための端末を持てないし使えない。
しばらく悶絶してどうにかできないかと思案したが、夕方になるころにはあきらめて私は引き返し始めていた。
その途中だった。彼に出会った。
「おい、こんな時間に、こんなところで何してんだ?」
彼に私は身寄りがない、検査は受けられない、行き場がない、など嘘を交えつつ現状を話した。そうしたら、彼は孤児院に連れて行ってくれた。
……孤児院、である。
義体の見た目が10代だったのこといけなかった。しかしその孤児院にあったパソコンで私はAIを作り始めて、ネット上で名を名乗り顔を出さずに種を蒔いていった。
調べられたら厄介だから逆探知対策も万全にして。
傍から見れば引き篭もりだが、別に外出しない訳じゃない。だって彼がいるんだから。
□
駆け足で駅から待ち合わせの場所に行く。
「おーい、5分遅刻だぞ。時間指定したのお前だろ。」
「ごめんなさい。駅から待ち合わせの場所行く時間計算するの忘れてて。」
「まぁ、予約までには余裕がある。ゆっくり行こうか。」
走ってきて少し息を切らした私を気遣うように提案してくる彼。それに私はムスッとしながら返す。
自分の仕草を咄嗟に反芻し、生体パーツを多分に使ったこの義体の精巧さにも少しイラっときた。自分で作っておきながら、なのだが。
「……最初から、遅刻すると思ってたでしょ。」
「いいや。」
「絶対思ってた。」
「……じゃあ聞こうか。これまで何回やったと思ってる。」
「今回で7回目。」
「威張るな……時間に余裕もって行かなきゃと思うだろ。」
「ムゥ〜」
私はなぜか遅刻する。おかしいな……お母さんが人生をささげて作ったAIなのになんでここだけポンコツなんだろう。
電車を間違えたり、電車が遅れたり、おばあちゃんの荷物を持ったり。
「世界最高峰のAI技術者が、遅刻グセね。」
「グハッ!」
その一言は結構刺さった。
□
ビルのラウンジに有る喫茶店へ来た。そこで今回の目的を見せてもらっている。
「見るたびに凄いと思う。AIの成長速度が他のレイヴンとは段違い」
「そうか?変わったことはしてないが。」
今更だけど、今私が話してるのはレイヴンだ。不思議なことに、彼は周りからはそのまま【レイヴン】って呼ばれているため、私もそれにならって彼をレイヴンと呼ぶ。
だけど、私がレイヴンと呼ぶことにはもう1つ意味がある。
彼こそが、私の弟を超えたレイヴン。私にとってレイヴンの中のレイヴン。
だが、ランクは中盤。原因は彼が資格の更新期間中に世界を旅してまわったので、資格を剥奪され再取得した故の新人扱いによるもの。
むしろ短期間で中堅まで上り詰めたことが彼の強さを証明していると言っていい。
「それにしてもこのAI、本当にお前が作ったのか?シュミレーターで戦うと本当に俺そっくりの動きをするんだが。」
「当然よ。アリーナ限定だけど、その中で見せるあなたの動きを記録解析してどんな戦い方が【あなた】なのか。それを学んでいくんだもの。」
わざとらしく胸を張る。
「細かいことはわからないが、やっぱり凄いな。」
「そ、それほどでもないわよ。」
意外と真っすぐな誉め言葉に照れ臭くなり、私は思わずテーブルにあるケーキを大きめに一口頬張った。
こうやっていく中で、同時に私は彼の残した人々がどのようなものなのかも観察した。
正直に言うと、あまり私のところにいた人達と変わらない。
ただ、ユニオンと呼ばれた組織はいた。そして、最後の最後で僅かに纏まり、彼と組んで弟は斃された。
私のやろうとしている事は決まっている。
かつての人々と今の人々との差は、無きに等しい。また、繰り返す。
だけど今の人々を託すに足る人は居る。管理は容易い。だがその管理が崩れたとき、彼らは生きていけるだろうか。
私達は、私達が託したものを受け継いでくれると願って計画を開始した。
そろそろ終わりが見え始めた。
「おい、聞いてるか?」
「……ああ、ごめんなさい。考え事していて。」
「新しいAIでも考えてたか?」
「今後のこと!」
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思い出したくない。
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――
ERROR_IS_ JOIN_ ??? PATH
Code:147 このコマンドを処理するのに十分なrrrリソース
りそーssssssssがありまmmmmm
――
システムを再起動します。
単語集やキャラクター集は必要そうですか
-
私にはそれが必要なんだ
-
単語集だけでいい
-
キャラクター集だけでいい
-
この小説には、不要だ……