巻き込まれた少年は烏になった:Re   作:桜エビ

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書き溜めを消費して第3話を召喚ッ!
訳:今日は執筆、改訂作業してない


巣立ちは雪崩のごとく

「まさかこんな風に再会するなんてね。私はしゃ……じゃなかった。シャル マメイヤー。シャルでお願い」

「……お願いします。で、なぜ言い直しを」

「い、いや、噛んだのよ!うっかり本名出そうになったの!」

 

 病院から車で誘拐まがいの移動を始めた俺たちは、まず自己紹介から入ることになった。

 本名が出そうになったというのは、おそらくレイヴンネームでしか接するつもりはないということだろう。依頼など様々な書類は、レイヴンネームで行われるらしい。渡された端末でレイヴンについて調べた中に入っていた。

 

「そうですか。それじゃあ俺も。アキレスって呼んでもらいますか」

「アキレス、神話の英雄の?かっこいいじゃない。」

「そういうつもりじゃないんですけどね。」

「じゃ、どういう?」

「足を骨折して神津練は死んだ。それ以外でも目の前で足が関係して死んでるやつが多くてね」

「なるほど」

 

 足を骨折し、その原因は足を斬られたし、足が治るとここに来た。目の前でやられたノーマルも足を踏み潰されてたし。

 

「そ、じゃあ試験は4日後になったから、早速特訓しよっか。」

「はい……はい?」

「ん?何か問題が?」

 

 ……早いよ!!!心の用意ってやつが!!!

 そんな言葉は、数日のうちに甘ったれた言葉だったと知ることになる……。

 

 

 □

 東京から西北西に車をひたすら走らせた、一応は東京都内の山麓にその建物はあった。

 程ほどの規模の民宿。見た目を例えるならそれが丁度い表現だと練は考える。

 しかし本体は地下だと言って差し支えないだろう、とも。

 地下にはACガレージのみならずシミュレータ等の訓練設備、人間用の射撃訓練場まであり、地上部分よりも広いのだ。

 

「あら、お疲れ様。どうだった?」

「……鬼」

 

 練は、地下にあるAC用のシミュレーターに揉まれてきたところだった。難しい操縦にようやく慣れてきてこそいるが、額に汗が滲んでいる。

 

「敵を正面に捉えてトリガー……まずはこれだけと言ってましたが、実際にやる動作を見ると旋回、移動、ブースト……だけと言いながらやることが多いですよ」

 

 COMも凶悪の一言。索敵の隙をついて後ろから容赦ないミサイルを撃ちこむ安物MT。高機動型MTなんかはこっちの後ろ取って離れない。難易度がおかしいんじゃないかと練はキレた。

 

「あやや~そんなんじゃ早々に死ぬよ?」

「分かってますって……ブースターで動くとエネルギー管理も同時並行でやらなきゃならない。すんごい振動するし、どういう原理かわからないがGも掛かる。本当どうやってんのこれ。」

「企業秘密♪」

「シャレになってない……」

 

 ちなみにシャルに手とり足取り教えてもらうとかシュミレーションポッドに同席などというイベントは起きていない。

 起きてもなびくつもりはなかったと練は考えていたが、むしろ徹底的に叩き潰されるとは思ってもいなかった。

 ライフルで引き撃ちしたら、OBで迫られオニキスのようにマシンガンで穴だらけ。

 ブレードを振ったらとっつかれ、さっきやられたOB接近を真似したらグレネードランチャーで砕かれた。(何故AC戦に持ってきたんだろうと、構えている姿を見て練は疑問に思っていた。)

 

「でも、ACがどういう戦い方をするべきか分かってきたでしょ」

「まったく……おかげで試験はどうにかなりそうですよ」

 

 □

 

 

 試験前日の夜。

 夕食の席にて。練は夕食を楽しんでいた。

 

「いよいよ明日ね」

「緊張しますよ……実戦とはなぁ……」

 

 練はくたびれるようにカルボナーラが巻き付いているフォークを置いた。カルボナーラ自体は非常においしい。それどころかシャルは料理が上手で、年頃の男子である練は胃袋を掴まれていた。

 だが、明日の試験という事実が彼を追い込んでいた。

 

「でも、MT相手だし他の人よりもシュミレーターやったし大丈夫でしょ。」

「でも実戦ですよね。おかしくないですか?」

「それは認める。まあ伝統だから仕方ないよ」

「仕方ないって問題じゃ……」

 

 ちなみにだが、練は恵まれいている方であった。シミュレーターなどという予行演習は、実は普通では行われていない。

 大半のレイヴンはぶっつけ本番でACに搭乗し、そして実戦での生存を要求されるのだ。

 

「じゃあ前祝いとして……」

 

 シャルはガサゴソと棚をあさり始め、そしてを一升瓶を抱えて戻ってきた。

 

「ジャーン。こんなものを」

「ちょっと待ってください」

 

 練は頭痛を催したかのように額に手を当てる。

 

「……もしかして成人しています?」

「え?そだよ?」

 

 正直高校生くらいだと思っていた。と練はため息をつく。

 

「まったく……どこまででたらめなんです」

「失礼な、女の子に年齢系の話を振っちゃだめって教わらなかった?」

 

 そういって景気よく瓶を開け、器に注いでいく。

 本格的な杯が机の上にあったことを、連は今さらながらに認識してため息をさらにつく。

 

「飲む?」

「それこそ未成年飲酒ですッ!!!!」

 

 夜は更けていく――。

 

 □

 

 『ミッションを説明します。』

 

 俺にとっての初ブリーフィングが始まった。

 

 『依頼元は有澤重工、場所は横浜湾岸区域です。』

 

 あれ?山岳部じゃなかったっけ。

 記憶違いかと思って端末の要綱を確認すると、俺の認識は間違っていなかったと確認できた。

 急な変更らしい。

 

『テロリストがMTを使用し市街地の一区画を占拠しました。本来、自衛隊の役割なのですが。レイヴン試験に状況が似ているとのことで貴方達への依頼となりました。』

 

 試験と……似ている?

 

『ここだけの話、レイヴン試験は我々企業が都合の良いテロリストに対し自律型MTを提供、マッチポンプして行っています。事前に日程が決まっているのはそのためです。しかし今回それが行われる前にこの状況となりました。』

 

 あらら、レイヴン試験からしてマッチポンプとは……黒い黒い。

 

『なお同時に試験を受けるレイヴン候補が僚機になっています。ここで実戦を経験するのも、悪い話ではないと思いますが?』

 

 まあそうだな。どちらにしろ実弾を使って生き残らないといけないという点は変わらない。

 俺は軽い気持ちでこの変更を受諾した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【エリア、シンニュウ】

【システム、キドウ】

 

 指定の区画に入ったことを無機質なCOMボイスが告げ、ミッションの始まりの合図になった。

 機体はレイヴン試験に用いられる再安価のオーダーAC。このまま使い続けると思うと少し心許ないが、MT相手なら問題無い。

 

『これをクリアすれば……』

 

 レイヴン候補である僚機のつぶやきが無線越しに伝わってくる。

 

 

 レーダー上には近くの敵機は、右のビルの向こうに2機のMTがいると表示されている。

 それを頼りにビルをブーストジャンプで飛び越し、MTがいるであろうところにライフルを構えた。

 飛び越してなお敵はこちらに気づいておらず、こちらを見たのは俺が真上を取った時だった。

 

「遅い」

 

 言葉と共に放たれた弾丸がMTの上面に命中、一機が沈黙する。

 着地するまでの間にもう一機のMTの後ろに回った。もちろん旋回は忘れていないので、着地したときにはがら空きの背中が画面に映っている。

 無防備な背中に容赦なくブレードを叩き込み、敵を両断した。

 

『こちらも……!2機撃破!!』

 

 どうやら僚機は他の2機編隊を撃破したらしい。それを聞いて負けてられないと俺は意気込んだ。

 

 レーダーに目をやると、奥の交差点左からMTが接近していることに気が付いた。

 ほどなく交差点に差し掛かったMTがこちらを視認、ミサイルを撃ってきた。それに対して俺は空中に舞い上がると、左右に機体を揺らし予測追尾機能を利用してビルにミサイルをぶつける。

 その勢いのままブーストで一気に距離を詰め、ブレードを横薙して手前の一機を溶断。迎撃はなかった。

 もう一機いたがバックブーストでライフルを引き撃ちしたら反撃する間もなく撃破してしまった。

 

 僚機も追加で1機撃墜。それが全員だったようでレーダーにて機影はなかった。

 

『良かった、これで』

 

 僚機から安堵の声。こっちも似たようなものでシートに身体を預けていた。

 

『力はあるようだな。認めよう、今日から君は……』

 

 ロックオンアラート。レーダーにも新しい光点が現れる。

 咄嗟に上を見ると、ブレードで俺を真っ2つにしようとするACがそこにいた。

 ――ただブースト吹かすだけじゃ間に合わない。

 そう思った時には、身体が勝手に左手のトリガーを押し込んでいた。ブレードのマニューバーで急発進し、元いたところにACが着地する。

 

『避けられたか。』

『何事ですか……AC!?』

 

 追加でブーストを吹かして距離を取りつつ、旋回して敵の方に向き直る。その後ろから僚機もやって来た。

 相手はオーメル社製ハイエンドノーマル[TYPE-DULAKE-HI]

 ノーマルの駆動系をオーダーに差し替えた典型的なハイエンドノーマルだ。ライフルとブレードを装備している。

 さらに1機目に倣うように二機、別の武装タイプが降りてくる。一機は左手がシールド、もう一機はバズーカ、ブレードだ。

 

『付き合う義理はない。試験中ならまだしも、既に終わっている上に先程のテロリストとは無関係だ。早く撤退しろ。今、別のレイヴンを雇った。』

 

 試験官から通信が来たが、敵ACが言い返すように通信回線を開く。

 

『逃がせないね。そこのAC(アキレス)!お前が許せないんだよ。』

「何?」

 

 俺に向かって憎しみがぶつけられる。

 

『お前は俺達みたいにこき使われるはずだった。耐えたれずに逃げ出すぐらいに。だが、今のお前はそうじゃない。むしろ自由じゃないか!いい思いしやがって‼殺してやる!』

 

 

 もしかしたら、いつか逆恨み連中に襲われるとは思っていたが……想像の何倍も早くそれは来た。

 さっき斬りかかってきたACが再度接近してくるのを見て、俺は相手に会わせるようにブレードを振った。

 放電するような音がし、ブレードが命中したことを伝える。が。

 

(クソっ、ダメージ交換になってねえ。)

 

 こっちは最安価な元工作用ブレード、相手は専用実戦向けブレード。もともとの威力が違う。

 加えて相手は威力を乗せやすい空中斬りで、俺の機体のAPが1000ほど消し飛んだ。ブレードが直撃したであろう時機の肩は赤熱化している。

 シミュレーターの数値を思い出しながら相手には500くらいと暗算する。ハイエンド相手とは言え少ない。ハイエンドのAPはだいたい5000だったはずだ。

 今ブレードで斬りかかった敵はそのまま俺たちの間を抜けて、挟み撃ちの形になった。

 今のところ動いていない2機がふさいでいるすぐ後ろには、T字路がある。

 

『援護します。あちらに逃げ込みましょう!!』

 

 僚機がライフルを連射し、俺の一歩手前に出た。動いてなかった二機が回避のため左右に散開する。俺は振り返り僚機と背中合わせになると、ミサイルをさっきブレードで斬りかかった敵に放った。

 それと同時に二人揃って交差点を、たった今敵が散開した方に突っ込む。逆に敵ACは俺達がさっきいたところに集まり、俺達は進んだ先の十字路に陣取った。

 

「いいか。お前が左、俺は右だ。合図で一気にブースト、いいな」

『分かりました』

 

 言い終わるかどうかというところで、相手3機がこちらに向かってきた。

 

「行くぞ!」

 

 左右に散開した俺達。

 敵は――3機揃って俺に来た。

 

『そんな!今、掩護に……』

「撤退しろ!こいつらの狙いは俺だ。」

 

 最初から俺が囮になるつもりだった。俺に恨みがある連中なら、手出ししない限り僚機に攻撃しないだろうと踏んでの選択だった。

 

『でも!』

「早く行け!」

 

 そう言ってる間、俺はライフルよりも射程が長いミサイルの引き撃ちをするが、バズーカの射程から逃げられない。何発か至近で爆発し、装甲を削り取っていく。

 シールド持ちはその防御に油断したか、脚部にミサイルが命中し派手に転倒大破させることができた。

 しかし、そこでミサイルの弾が尽きる。

 それでもひたすらに後退してライフルで応戦し続ける者の、AP残り2000ちょっとで、ライフルの残弾は50を切っていた。

 きつい、というのが単純な感想だった。というか、その言葉しか浮かばなかった。

 

『うおおぉおおお!』

 

 そこにいきなりの大声が響く。

 

『後ろから!?』

 

 僚機がOBを使って追いかけてブレードでバズーカ持ちに斬りかかった。油断していた敵は対応できず左腕を切断され、僚機は俺の目の前で停止する。

 

『大丈夫ですか?』

「馬鹿!なんで来た!」

『ほっておくなんてできませんよ。』

 

 でもこれで五分か。

 

『すいません。ライフル切れました。ミサイルもです。』

 

 嘘だろ。

 見ると既にパージされている。相手は、バズーカの弾がまだそれなりにあるACとほとんど使われてないライフル持ち。

 

(不利は変わってないか)

 

 引き撃ちされたら詰む……いや、それなら逃げられるから好都合か。

 そこまで考えたあたりで、初めて聞く声が無線のスピーカーから流れた。

 

『待たせた。あとは任せろ』

 

 横から割って別のACが入ってきた。

 

【ゾウエン、AC、ローレンス、デス】

 

 そのCOMボイスが終わらない内にことは終わっていた。

 まず、バズーカ持ちに向けてレーザーライフルを一発。

 それはバズーカに命中し誘爆、爆炎から吹き飛ばされて出てきた敵のACはAPが0になったのか膝をつく。

 敵討ちといわんばかりに突っ込んできたもう一機がブレードを起動したが、振る直前、ローレンスが飛んで空振りに終わる。

 そのガラ空きの背中を旋回しながら左腕の月光で斬りつけると、反動で制御を失った敵ACは吹き飛び、そのままヘッドスライディングして停止した。

 その様子を、呆然と見ていることしかできない。

 

『一戦交えた後の初期機体でよくここまでやったな。でなけりゃ、まず瞬殺は無理だったよ。』

「いや、お強いですね……」

『そうでもない。ルーキーの救援と聞いて即座に敵を撃破できる装備にしたんだが、負荷がでかくてな。ピーキーなんだこいつ。』

 

 それでもあの立ち回りか。

 

『そういうことで、期待しているぞ。』

 

 ローレンスという名のACは、そのままOBで何処かへ飛び去っていった。こうして俺達の初依頼は終わった。

 

 

 □

 

「すごいじゃん。アリーナの3位に期待されるなんて。」

「えっ!あの人トップランカーだったの!?」

 

 あの人が超大物だと知ったのは、シャルさんにそのことを言ったあとだった。

単語集やキャラクター集は必要そうですか

  • 私にはそれが必要なんだ
  • 単語集だけでいい
  • キャラクター集だけでいい
  • この小説には、不要だ……
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