この世界はAC4の世界ではないんです。
例えとしてはAC4の学パロとかするための世界に、AC4本来のシナリオを突然ロードさせたような、歪んでいて救いのない世界。
あくまで彼らは幸せを享受したかもしれない平行同位体です。
『ミッションを説明します。』
『今回の依頼主はレオーネメカニカ。アフリカ北部にあるマクリブ解放戦線の部隊襲撃を依頼します』
『彼らはマクリブ解放戦線の工作隊、現在両勢力に対し妨害工作を続けています』
『隠された重要施設がある、という偽情報の流布によって部隊は砂漠の中で孤立させる予定になっています。その中での優先破壊対象はノーマルではなく、離脱するホバートラックです。逃さないでください』
『なお、あなたのバックであるオーメルからパーツのテスト依頼も来ています。MP-O200散布型ミサイル。完成度は8割後半だそうです。今回の状況に適した装備と私達は判断しています。』
『レオーネメカニカはあなたを高く評価しています。いい結果を期待します。』
俺はまだレオーネメカニカの、ある意味の恐ろしさを知らなかった。
□
『ミッション開始。敵部隊を壊滅させてください。』
【システム、戦闘モード起動】
敵の横から襲撃するコースで侵入する。情報通り敵の工作部隊は砂漠の真ん中で孤立しており、先頭車両に至ってはトラップに引っかかって行動不能になっていた。
戦闘モードの起動に合わせ、武装を切り替えて早速もらったばかりのミサイルを選択する。
旧来のAC用のミサイルは、超小型ミサイルを1つの敵に向かって同時発射するマイクロミサイルと、複数ロックオンするものの連射するように発射する小型~大型ミサイルがあった。
だがこの新型ミサイルはマルチロックオンした小型ミサイルを、マイクロミサイルのように同時発射することができる。
弱点はマイクロミサイルのように同時発射数が決まっており、それを何分割するかといった形式であることだろう。また発射直後に撃墜された場合、連鎖爆発してこっちが大ダメージを負うことか。
「先にトラックを撃破っと」
先頭にいるトラック群がどうやら目標らしい。その重要度は周囲をMTとノーマルACが囲んで守っていることから推測できる。
トップアタックをするべくフットペダルを踏みこみ、愛機であるケイローンを上昇させる。
敵は最悪のタイミングで来た強襲に対応が遅れているようで、ケイローンのFCSはそれらのターゲットの上へ次々と散布型ミサイルのロックオンマーカーを重ねていった。
「いけ」
躊躇なく俺はトリガーを引く。16発のミサイルがそれぞれの目標へ殺到。FCSの関係上マルチロックは6機までだったため、1機につき2~3発が直上に直撃する。
さらに緩やかに降下することでもう1回斉射することができた。先頭にいたトラックは撃滅され、偶々ロックオンを逃れたAC1機だけが残った。
それの左手側に着地した俺は、混乱するACの腰めがけてブレードを振りぬき対象を両断する。
「このミサイル、便利だな。」
新装備でここまであっさりできるとは思わなかった。
シャルさんに借りてきたリニアライフルが火を噴く機会がなかった。そこまで考えたとき、俺は無意識に炎上するトラックへと目が行った。
(……リニアライフル使わなくて良かった)
先日のフィルターの話を思い出す。ライフルを使ってたら、ミサイルよりも高い確率で殺したところを拝むだろう。ミサイルで徹底的に破壊されたトラックから人の姿は確認できない。
いや、と否定する。
殺したんだ、見るべきだっただろう。
ゲームじゃないと理解するべきだっただろう、と思う自分もいる。
ACのようにモニターを挟むと現実味が薄れる。今の殲滅戦もゲームではないのかと錯覚していたように思えた。
もしフィルターで不都合なものが見えないとなおさら人殺しだと気づけないのだろう。俺は今、死体が見えないからこそ平然としていられるんだ。
だからシャルさんはフィルターを外した。フィルターがあるままなら、他の勘違いした子供たちのように英雄気取りで虐殺を楽しんでいたかもしれない。
シャルさんは人殺しと思わないまま人殺しをし続ける、この状況がどこか嫌いそうだった。
だからやる必要が無くなったとき、俺がゲームのコンテニュー感覚でレイヴンを続けないためにも外したのかもしれない。
火球が機体の傍を素通りして現実に引き戻される。近接信管が起動しなかったのは幸いだろう。
敵ノーマルはGA社製、GA03-SOLARWIND。その5機だ。
戦前、大量に輸出され世界で利用される機種だ。どの陣営だろうと使っていておかしくない。ノーマルだからって油断すると、それらしからぬ強烈なグレードとバズーカで固め殺しされる。
彼らから放たれる単発火力重視の弾幕の隙間を左右に
敢えてAPを削る形で撃破していくことで、ある程度原型を残したまま膝をついたノーマルを量産していった。しかし最後の1機を削り切ることができず、なお接近を続けたため接触も辞さない距離になっていた。
「下がらないのか、なら」
それはノーマルが下がらなかったからというのも大きい。だが、SOLARWINDでそれは下策だ。なぜならクロスレンジに対応できる武装を装備していない。
それに対して、こちらはレーザーブレードを装備している。それをすれ違いざまに胸めがけて叩きつけた。厚い胸部装甲が捲れ上がる。
戦闘不能と判断したノーマルのコンピューターは、生き残っているパイロットの意思を無視し跪いて撃破されたと表明した。
レーダーを一度確認し一通り目につく敵勢力は倒したことを確認する。
敵機体に生命反応はあるが、そのまま俺は去ろうとした。あまり過剰に攻撃してグロテスクな場面に遭遇したくなかったし、AP0なら撃破なのだからそれ以上撃つ必要もない。そう俺は考えていた。
だが敵は義勇軍である。条約の保護は言うほどないので、ここで生かしても後続部隊に殺されることは変わらないかもしれないと後で気付くことになる。
何故後になったかといえば、追加依頼がその時舞い込んだからだ。
『レオーネメカニカの偵察部隊が解放戦線の基地を見つけたそうです。依頼を受諾した場合、補給後、再出撃になります。』
「もしかして、俺は陽動だったか……? 」
これだけ派手に暴れれば、解放戦線とてこちらに意識が向く。その間基地の場所を探る余裕もできるはずだ。
『その可能性は否定しません。どうします?』
「……受ける。どこに向かえばいい?」
『そこから700m南にAC用のヘリが来ます。AC用の武装を積んでいるのでそれと入れ替えることで補給ができるはずです』
「了解」
俺はケイローンのシステムを通常モードに切り替え、ヘリとの合流地点へと機体を向かわせた。
□
ソレと相対したとき、COMが自動的に解析しその結果を音声で伝えてきた。
【非公認ACパイロット、アマジーグ。ACハイレディンです。敵はショットガンを装備。近距離での戦闘は危険です。機動力を活かした戦闘スタイルと思われます。】
『オーダー⁉話が違います‼』
ヘリで移動する間簡易的なブリーフィングを受けていた。レオーネメカニカから送られてきたそれには、ハイエンドノーマルとの戦闘という内容だった。
しかし実際に待ち受けていたのはレイヴンでもないのにオーダーに乗っている非公認のパイロットだった。
『お前は……まあいい。他の奴は撤退した。諦めろ』
『気をつけてください。彼はトップクラスのACパイロットです。最悪撤退しても批判はないでしょう。追加依頼分の報酬以外は貰えるはずです。』
しかし、逃げる間もなく相手は襲い掛かってきた。応戦する以外の選択肢はないだろう。
そんな俺の都合など知らないと言わんばかりに、アマジーグのハイレディンは一気に踏み込んでくる。戦闘モードの完全起動が終わるころには、ショットガンの間合いまで接近されていた。
(速い!)
ただ速い。ハイレディンの動きに対して、俺はそれ以上の言葉を持ちえなかった。
咄嗟に右へ飛び込むようにブーストを吹かすことで、ショットガンをなんとかかすり傷程度で済ませたが、その直後強烈な衝撃が俺を揺さぶった。
「ッグゥ⁉」
回避先を読んだ強烈な回し蹴りだった。強化人間の特権である精密な機体制御で放たれたそれは、ケイローンの脇腹を突きさすように捉えていた。
回避機動中だったのも相まって、吹き飛ばされた俺はその先にあった壁へと衝突。そこにハイレディンが右ひじで押さえつけてくる。
『足掻くな。運命を受け入れろ』
「まだ若いんでね、そう言ってられるか!」
俺はEOを起動、ハイレディンは一旦後退する。
しかし、そこからさらに距離を離すことができず張り付いたハイレディンを離せない。
考えうる限りの戦闘機動をして引き剥がそうとするが、ショットガンの間合いから出ることができず数回の被弾を許していた。
正面にも上手く捉えられず、時折
(どうする。離脱も厳しい。)
そんなとき、アマジークに異変が生じる。
『グゥ……消えろ消えろ消えろ!』
見えない敵を追い払うかのように、足を止めてその場でショットガンをあらぬ方向に乱射し始める。
その隙を逃さず一気に後退することで、距離を離すことに成功した。
「一体どうしたんだ。奴は。」
『彼は不正規の強化手術を受けています。精神が定期的に不安定になるので、部隊運用が出来ないと聞きました。』
次にこんな幸運はきっとこない。
勝つ方法を俺なりに模索する。
(速いならどうする。機体の違いからくる差をどう埋める。右手のリニアライフルはやつの機体を反動で止められるはずだ……なら、当てるのにどう動けばいい)
逡巡している間に、奴は仕掛けて来た。
俺の左手に回り込むようにカーブを描くようにして、一気にブーストダッシュで接近してくる。
俺の左手はブレード。リニアライフルの射角が少しだけ取りにくい。
俺は敢えて一気に前進する。間合いに入ったショットガンの弾丸が前進に置いていかれて俺の背中のすぐ傍を飛んで行った。
そのまま振り返ってリニアライフルをハイレディンに向ける。
タイミングを合わせ……。
『食らうか』
すぐに撃つと読んだ彼は
「それが狙いだよ!」
しかし俺は、すぐにではなくOBをして視界から外れる寸前に引き金を引いた。加速しきった瞬間を狙ったそれは、回避機動に惑わされることなく直撃する。
高速弾の反動によってコントロールが悪くなったハイレディンは、倉庫に肩を掠らせOBが緊急停止する。
『チィッ!』
熱暴走によって彼のACが鈍くなる。ラジエーターの緊急稼働に機体電力を食われ、ブースターに回せるエネルギーリソースがなくなったのだ。
回避機動すら取れないアマジークに、追い打ちとして散布型ミサイルを発射しダメ押しにEOも起動した。その多くが命中しさらにハイレディンは過熱、熱暴走が終わらない。
『貴様!』
「逃がすか!」
なけなしのエネルギーで物陰に移動しようとするハイレディンに向かってリニアライフルを発射する。
それは頭部に命中し、装甲を穿って内部をも食い散らかした。
『バランサーが!』
頭部のセンサー類が壊滅したらしく、ハイレディンは着地できず転倒する。
俺はその機を逃すまいとブーストダッシュの勢いそのまま飛び掛かると、そのまま奴にマウントポジションを取ってブレードの切っ先をコックピットに向けた。
「全武装を解除しろ。コックピットを焼くぞ。」
アマジークは渋々といった様子で大人しくなった。
全武装をパージし、コックピットから出てくる。
「甘いな。お前は」
生身で語りかけてきた。とはいえ、声は彼のヘルメットについている無線からではあるが。
「ああ、甘いよ。俺はいきなり日常から引っ張り出されて戦場に来たんだ。」
俺は正直に答える。
さっきのノーマルを中途半端にしたのも合わせて、まだまだ甘いという自覚はある。
「……縛られたレイヴンか。なら、お前はその力で、何を守る」
「家族を、自分自身を守る。お前のように気高い志を持ってるわけじゃない。」
「企業のいいようにされてもいいという訳か?」
「じゃあどうしろっていうんだ?まだガキの俺に」
そんな志を持ちえているのなら、俺はこうなってなかった。あらゆる意味で。
無性に腹が立ってきた俺は、強引に話題を変えた。
「俺はこの基地の脅威の排除しか依頼されてない。お前の武装を解除した時点で俺の仕事は終わりだ。帰るから好きにしやがれ真面目野郎」
俺は雑にACを立たせてマウントポジションを解くと、背を向けて離脱ポイントへ向けてACを歩かせる。
アマジークはコックピットに戻ると、俺に倣うように背を向け離れていく。
『いつかその甘さに後悔する日が来ないことを祈る。俺はそうだった。』
「……助言、感謝する」
俺の返事を聞いた彼は無武装のままOBで去って行った。
『……対象、離脱しました。ミッション終了。帰還してください。』
「不満ですか?」
『いえ、私はあなたの判断を否定しません。』
「そうですか。」
「で、実際は?」
「……言いませんよ。」
雑なフリに乗ってくれるオペレーターではないよな。
苦笑すると、オペレーターも心なしかくすっと笑った気がした。
□
例の隠れ家で、シャルは月見酒を堪能していた。
東京都内とはいえ、市街地から離れたここは町明かりが少ない。それゆえ夜空が比較的マシに見えるというのも、シャルがここを選んだ理由の1つだった。
「おーい。元気にしてたか?」
そんな癒しの一時の中、月明かりが遮り突如少女の声がする。
見ると屋根にぶら下がる少女が一人。
「全く。屋根からなんて何考えてるの。」
「いやー屋根に落とされたんだわ、っと」
勢いをつけてバルコニーに入り、そのままなぜかある椅子に座った。まるで来客を知っていたかのようにあった、その椅子に。
シャルと同じような年代の見た目に、金髪と金色の瞳が月の青い光に照らされてなお自らの色を主張する。
「さて、仮の我が家にようこそ、4人目の首輪付きさん?」
「おおっと。その言い方はよしてくれ、なり損ねのラストレイヴン。」
「あら、お互い嫌なあだ名があったものね。んで、情報は?ストレイド」
ストレイドと呼ばれた少女はガックシとうなだれながらため息をつき、その動きで首輪が揺れる。
その上端からは、一か所だけ肌の色が違うように見えた。
「いい情報はないな。空振りだ」
「そっちもか。こっちもいうほどの物はなかったよ」
「そっかぁー」
進展なし、その事実に少し場の雰囲気が醒める。
シャルは用意してあった盃を渡した。
「お、ありがたい。」
ストレイドは受け取り、シャルはそこに日本酒を注いでいった。
お互いに飲み干すと、しばらく静かになる。
「ところで、あいつはどうなんだ。」
思い出したかのようにストレイドは切り出した。
「アキレス?やっぱり筋はあるわね。オールラウンダーだし。だけど
「協力者になってくれそうか。」
話している間にシャルはお互いの盃に酒を注ぎなおしていた。
「彼、彼なりにきっちりレイヴンやってるから、彼に言ってみないと分からないわ。納得してくれればね。」
「なら、まだ様子見だな。」
時が来るまでは、ストレイドは再び酒を注がれた盃を呷る。
月は静かに、
書き溜め使い切ってしもた……
アンケートしております!!!!
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単語集やキャラクター集は必要そうですか
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私にはそれが必要なんだ
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単語集だけでいい
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キャラクター集だけでいい
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この小説には、不要だ……