少年レイヴンのアキレス、という描写が今になって意外と難しいことを知る……
【戦闘システム、起動】
京都郊外の森の中。ACを戦闘モードにし、準備を整える。
『シェリング、準備完了。今回はよろしく頼む』
「こちらも準備完了。今回に限らず、よろしくお願いします。」
『ふっ。言ってくれる』
僚機はシェリング。高火力のレーザーを主体とした重量二脚を主な機体とするレイヴンだ。
レイヴン歴は長い方で、実力という点では非常に信頼できそうな人だ。
後ろから撃たれたら人としての信頼は落とさなければならないが。
『今、司令部が最終勧告をしています。相手が受け付けなければ、あなた達の出番です。』
今回、レイウンズフロックによって設立された司令部の命令が依頼となる。フロックはレイヴンに依頼を斡旋するといった業務をしている組織だ。
全勢力からの、利害の一致からなる合同依頼は、基本名義はレイウンズフロックになる。
『返答、ありません。作戦開始の命令がでました。』
『シェリング了解、作戦行動を開始する。』
「アキレス了解。シェリングに同行します。」
作戦開始。
待機地点から山を登る形で前進し、穴を掘って作られた基地の前に来た。
基地の入口を警備している逆関MT2機がこちらを認識し攻撃してきた。
後ろに街があるため迂闊に避けられない。
あえて装甲の厚いコアで受け止め、そのダメージを無視するかのようにブレードで両断した。
シェリングも同じように被弾しながら右手のレーザーライフル「KARASAWA」でMTを始末した。
ACに備え付けられてる簡易クラッキングプログラムで扉の側にある端末をクラッキング。
テロリストが高度なセキュリティを持ってるはずもなく、制御を奪われた扉は開かれた。
扉の向こうは通路になっており、そこの先に部屋のような空間があるであろう扉が設けられていた。
先程と同様に扉を開けると、部屋の中に浮遊型警備ポットがうようよいた。
「あなたの装備では不向きです。ここは俺が」
KARASAWAは単発火力重視のレーザーライフル。オーバーキルになり弾の無駄使いになる。
おれは対ボット対策に程々の火力で装弾数もあるライフルとEOで撃ち落としていく。
数は多いが1,2発で撃破できるためサクサク片付いた。
『助かる……俺の苦手なタイプでな、すまない。』
「いえ、こういうのは適材適所ですよ。行きましょう。」
道中のMTを潰しつつ奥に進む。
先程の適材適所を表すように、装甲の多いMTはシェリングさんが消し飛ばしてくれるので、俺は軽装甲や小型の物を重点的に攻撃。蹂躙とも表現できる勢いで攻略していった。
突入経路の機動兵器を優先して撃破して欲しいという依頼もあり、一層徹底的に叩いたのもある。
『そこまででいいそうです。引き返してください。』
「了解。」
とりあえず敵戦力を壊滅させながら奥まで来た。つまり、ここまで来るための脅威は排除したことになる。あとは、工作部隊の仕事だ。
『……待ってください!別のハッチからACがでできています。レイヴン、急いで!』
『なるほど、陽動か』
逃走して再集結を図るかもしれないし、ヤケを起こして市街地を攻撃する可能性も捨てきれない
急いで抵抗がなくなった道を引き返し、出口まで来た。
『硬い俺が先行する。安全を確認し次第前後入れ替えだ』
「了解」
待ち伏せを警戒し、作戦を立てて扉を開ける。
シェリングが飛び出したが、誰もいない。
『クリア。該当地区に向かうぞ』
少し森を北に進むと、情報通りのノーマル部隊が街の方角に向かっていた。
どうやら先程の考えのうち、後者の方だったようだ。一層逃がすわけには行かなくなった。
「敵の右から仕掛けます。火力支援を」
『了解、無茶はするな』
まだ敵は気づいておらず、奇襲のチャンスだった。先手を取っていた俺は、マイクロミサイルを2斉射することで、先頭にいたソーラーウィンドのAPを消し飛ばした。
攻撃されたことでこちらに気づいた敵は、グレネードライフルを一斉に俺へと向けてきた
俺は距離を維持しながら、円を描くように敵部隊の後ろに回り込む動きをする。
(そうだ、俺を見ろ)
位置につくまでの間、上下方向に動いて弾幕を掻い潜る。
そして、テロ部隊の進行方向の真反対まで回り込んだ。全員俺をロックオンして正面に捉えている。
つまり、敵は待機しているシェリングさんへ完全に背を向けたのだ。
『飛べ!アキレス!』
一気に高度を上げる。
後ろを向けたノーマルに、シェリングさんのレーザーが襲いかかった。強烈な光がノーマルを穿ち、一撃で屠っていく。
2度目の奇襲にも関わらず、若干視野の広さを保ったままだった何機かがシェリングさんの方を振り向こうとした。
「まだ俺はいるぞ」
させない、と言わんばかりに振り返った敵を狙ってマイクロミサイルを撃ち下ろす。
標的を変えたノーマルの背中に容赦なく突き刺さり撃破した。
そのまま着地し武装をライフルに切り替えて引き金を引き続ける。
先程ので頭を潰したのか、完全に混乱しており攻撃は散発的になっている。俺たちは背中を向けて相方を撃とうとしてるやつを重点的に攻撃して撃破した。
少数対多数は包囲、挟み撃ちにかぎる。
「全機無力化完了、他には?」
『今のところ、大丈夫です。念のため、補給を済ませて下さい。』
「アキレス了解。」
『こちらシェリング。ジェネレーターがおかしい。点検させてくれ。』
『分かりました。二人とも安全圏に後退してヘリを待って下さい。』
その時の俺は燻ぶるような、物足りないような、なんとも言えない、不満な心持ちだった。
理由なんて分からない。
だけど、ここにある感情は確か。
『緊急事態です!大阪方面を担当していたレイヴンが正体不明機に撃墜されたそうです。リカバーを依頼されています。』
「了解、APは全快じゃないが、それ以外の補給は終わった」
行き成りで面食らったが、問題無い。
『すまない。ジェネレーターが直らん。先に行っててくれ』
「分かりました。」
俺は指定ポイントへ向かうと、そこで待機していたヘリに固定され空輸される。
□
大阪海上ハイウェイ
『正体不明機は市街地に向かっています。該当区画の避難は終了していますので、早急に撃破を』
降下開始
海に落とされ一瞬ビックリしたが、浅く海面は足首あたりであり活動に問題はなさそうだ。
【敵ACを確認、オニキスです。】
「……オニキス?」
聞き覚えのあるAC名に俺は目を細める。
敵機視認、赤い機体に⑨のエンブレム。
軽EO実コアにリニアライフルという、パルスを持ってたあの日の装備と違うが確実に奴だ。
血が沸く。理由なんてどうでもいい。今の俺にある不満と怒りをぶつけさせろ。
手始めにアサルトライフルを連射。相手も反撃にリニアを撃ち放ってくる。
適宜ミサイルに切り替えたりEOを起動したりなどを繰り返して中距離での旋回銃撃戦が10秒ほど続いた。
だが。
「この程度か?この程度だったのかお前は!」
俺にとってこんな奴に人生を狂わされたのか。
こんなものじゃないだろう。
旋回線に付きう必要を感じなくなった俺は、リニアを掻い潜り前進してEOとライフルを当てていく。
急激な機動の変化によって、敵は動きの切り替えを強要された。それは隙となりダメージが増える要因となる。
一方で俺はリニアライフルを避けることを重点に起きつつ接近していたが、弾丸すぐそばを通り過ぎて行くたびに沸き立つのを感じていた。
オニキスが逃げるようにジャンプしてマイクロミサイルを放つが、俺の後ろを通り過ぎていく。
その斉射で弾が切れたかミサイルをパージ。
リニア一本で攻めてくるオニキスを、小さいブースタジャンプで左右にステップするように機体を揺さぶって対処する。もちろん反撃にライフルを撃つのも忘れない。
ACの照準システムは敵の運動ベクトルを解析して、その先を撃つ。しかし、発射したあとに敵が反対に切り替えしてしまうとまるで動きの反対を撃っているような現象を起こすのだ。
十数秒の撃ち合いの果てに、オニキスのリニアライフルは当たることなく弾が切れた。
グレネードに切り替えるそいつに対し、俺はやつの後ろを取る動きをする。
「さあ来いよ、避けてやる」
しかし、一向にこっちを向けそうな気配が無い。必死に空中浮遊して俺を捉えようと必死に旋回しているが、もっといい動き方があるだろう。
「やっぱり、無人か。」
動き方が機械的すぎて、俺は理解した。
きっと、俺がレイヴンになるきっかけになった、あいつの下位互換タイプなのだろう。落胆した俺はそう考えることにした。
勝てないと踏んだか、そのまま離脱をしようと背を向けてブーストを吹かして離れていく。
俺はそんな無様なオニキスにありったけのマイクロミサイルを撃ち込んだ。
ブースターに当たりエネルギーが逆流したのか、数回の爆発とともに炎上して墜落し、爆砕した。
ACが大破して爆砕するのは比較的珍しい。
「なんだよ……」
その次に続くであろう言葉を言いかけて気づく。
「あっけない、つまらない……?殺し合いで何を言ってるんだ……?」
レイヴンになった直後、こいつと戦うことがあれば恨み言でも言おうと思っていた。
だが、実際には何を言いかけた?
「戦争なんだぞこれは……!これはッ!人殺しなんだぞ……ッ!」
無人機だからではない。俺はあいつが有人機でも同じ事を言っただろう。
思いもよらない言葉を言いかけた自分に愕然とした。俺は何を……どうしてしまったんだ、俺は。
単語集やキャラクター集は必要そうですか
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私にはそれが必要なんだ
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単語集だけでいい
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キャラクター集だけでいい
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この小説には、不要だ……