というわけで日本ウマ娘トレーニングセンター学園、通称『トレセン学園』である。
……いや、紆余曲折があったのだ。
近くの人に学園の場所を聞いたらえらくビックリされた後に、恐々と「あ……あっち」と指さされた方向にすぐに走り出そうとする委員長さんを羽交締めにして止めていたらお巡りさんが来て叫んだ。
「なんて怪しいシマシマだろう。ウマ娘に何をする気だ! この、その、なんだ君は!」
なんだ君はって……そうです、私が変な……ではなくただの迷子なトレーナーです。トレセン学園に行きたいんです。この娘は生徒です。
ポッケからぬるりと身分証を出して見せると、渋々納得してくれた上に案内もしてくれたのだ。疑り深いが親切な人だった。前世でいうウマヅラだったのでウマヅラさんというソウルネームで呼ぼう。
というわけでトレセン学園である。言わずと知れた『日本ウマ娘トレーニングセンター学園』である。
言わずと知れてるのに二回も言ったのは内緒である。
「トレーナーさんですか⁉︎」
叫びながら校門から現れたのは緑の服に身を包んだ女性であった。カエルさんみたいで何故か根源的恐怖を感じる。
「駿川たづな」と名乗ったその女性は理事長の秘書だということで、本日迎えるはずの新人トレーナーを待っていたとのことだった。
迷子になっていた旨を説明し、謝罪すると笑って許してくれた。とても優しい人だ。今後も甘えよう。
たづなっちに連れられて理事長室に入ると、聞こえてきたのは大きな声だった。
「歓迎ッ! ようこそこのトレセン学園に来てくれた! ここは未来あるウマ娘たちを育て、更なる飛躍のために尽力する者が集う学舎である!!(にゃー)」
……。
「……トレーナーさん、どうかされましたか?」
にゃー……いえ、少し気圧されてしまって、動揺してしまいました。申し訳ありません。
ぼく、いや、私はサバンナシマシマオオナメクジといいます。三女神様の名に恥じることがないよう頑張りますので、今後ともよろしくお願いします。齧らないでください。
「うむッ! 秋川やよいだ! サバンナシマ……? シ、シマシマ! 齧らないから以後ヨロシクたのむ!(にゃー)」
……ところでたづなの横にいるのはウマ娘ではないか?」
委員長です。
「何となく着いてきました! サクラバクシンオー、トレセン学園最高の委員長です!」
だそうです。
「そうか! わたしは理事長だ!(にゃー!)」
「そしてわたしは委員長!」
そんな私はトレーナー。
皆の視線がたづなっちに集まる。じー。
「え? わ、わたしは理事長のひ、秘書……」
「四人!」
「そろって?」
「プリティ!」
フォー(にゃー)‼︎
叫んだ後、なんとなく気まずくなって解散した。たづなっちの顔が赤かったのでまたやりたい。
そう言ったらシマシマを一本減らされた。どうやったの⁉︎
しかし、理事長が猫だったとは…… あのちっちゃい子はお世話係だろうか? さすが異世界だ。奥が深い。