青く澄んだ空、心はずむ春の風。
しかし今、トレセン学園の三女神像の前には緊迫した空気が流れていた。
いま私は星目がちなウマ娘さんと睨めっこしている。
ジリジリと間合いを取りつつ放つの第一声は、マ──。
「マーベラス!」
あー負けちゃった。じゃあ次はこっちの番ね。
「いいわね! とってもマーベラスよ!」
じゃあ……。
「マ──」
マーベラス! あっしまった。
「攻めが足りなかったのね。もう一回やってみましょ」
マ──。
「バ ク シ ン !!」
負ーけたー。
「何をやってるんですか! トレーナーさん!」
マーベラスごっこという最新のあそ……訓練だよ。
「ほほう。バクシン的な訓練とな……いいですとも! それほどまでにトレーナーさんがおすすめするならば、この最新型学級委員長がやってみましょう!」
「ふふっ、とってもマーベラスなお相手ねっ⭐︎」
マーベラスサンデーさん──なんだかとてもキラキラしていて思わず敬称をつけて呼んでいる──の眼が光ったと思いきや静かに言い放った。
「マーベラス」
世界がマーベラスに包まれた。
いや、そうとしか思えなかった。具体的にどうとは言えない。
でも、それは確かにマーベラスだった。
「こ……これは……! マ力(マーベラス力)が学園中に満ち溢れている……!」
鳥は鳴き、花が咲き、風はそよぎ、山の向こうでは巨大なヒシアケボノがドシンズシンと駆け回っている。
生徒会室ではケーキ型の計器(生徒会長デザイン賞)のアラームが鳴り響いている。
そんなよくある風景がマ力(マーベラス力)によりとってもマーベラスになっていた。
「くっ! わたしのバ力(バクシン力)が減っていく! しかし! 止まることはないのです! 何故ならわたしは学級委員長だから!」
叫びながらマベサンさんの周りをぐるぐると回るバクちゃん。散歩に行くときの犬のようである。
あ、寝っ転がって大の字になった。
──訓練は夕暮れまで続いた。
バクちゃんが息切れしている間、私が地面に潜ってマーベラスな奇襲をしたり、マべサンさんが空から降ってきたり、一緒にシマシマを数えたりしたのだった。
通りすがりのトレーナーが凝視してきて「閃いた! このアイディアはトレーニングに活かせるかもしれない!」と呟いてメモしながら去っていくこともあった。ぜひとも育成のヒントにしてほしい。
そんなとってもマーベラスな時間を過ごした後、バイバイしながらバクちゃんは言った。
「マーベラスごっこ……どういう遊びだったんでしょう?」
よく分からないのだった。
実はハルウララ巨大化構想はあったけどうまゆるでヒシアケボノにやられてしまったのだ。