やる気のない天才の行く実力至上主義の教室 作:浜の小さな大魔神
当時,ハーメルンの小説読みながら早く更新しろなんてこと考えてた自分が恥ずかしい。
帆波とのお部屋デートの次の日,俺は最高の気分で登校していた。
理由は言わずもがなであるが,一之瀬帆波が大変可愛かったと言う理由である。
さて,そんな俺は朝っぱらから友人であり要観察対象である綾小路くんにとある提案を持ちかけられ,今朝のご機嫌はどこえ?と言うぐらいの顔をしているはずだ。
「あーっと,綾小路くん?もう一回話をしてもらっても良いかな?少しびっくりしてよく聞き取れていなくてね」
頼む,俺の幻聴であってくれ。
「そうか,なら単刀直入に言おう。堀北からの指令で平田の勉強会に参加しないメンツ何人かを集めて勉強会を開かないといけないんだが,基本的に三馬鹿の相手をするのに講師役がもう1人2人欲しいんだが頼めるか?」
ハァァァァァァァァァ
どうやら現実のようだ。
なぜだ?なぜ俺はこんな面倒くさいことをしないといけないんだ?
大体,堀北の考えなんて手に取るようにわかるが,大方彼女自身が上のクラスに上がるために必要なことだとかそんなところだろう?
面倒臭いことこの上ない。
それになぜよりに迷って三馬鹿なんだ?それこそ平田とかなんなら櫛田あたりに仲介してもらえよ
色々と、嫌だと言う気持ちから愚痴が内心噴出してしまうがここで俺が堀北や綾小路と関係性の導線を断ってしまうのはあんまりよろしくない。
なぜなら,今後彼女を隠れ蓑にしたそうに動いている目の前にいる彼との接触も減ってしまうからだ。
それならまぁこれは仕方ない。必要経費と割り切るか
「ハァ,仕方がないかな。ただし「ピンポンパンポーン!」
なんだ?」
学校の校内放送のようだ。
「一年生Dクラスの綾小路清隆くん,海堂風磨くん,至急,生徒指導室までお越しください。」
呼ばれたので綾小路と一緒に生徒指導室までいく。
職員室で茶柱先の元へ行くと
「佐枝ちゃん?今はいないわよ?」
とゆるふわウェーブの女教師に言われた。
なんだろうか?すごく苦手な相手な感じがする
「それにしても2人ともイケメンだねぇ〜。これなら女子たちも放っておかないんじゃない?」
「僕は元々,あんまり異性に積極的に絡むようなタイプではないのでそこまでですね」
「俺も全然です。」
「えぇ〜意外!先生が学生なら必ずアタックしてるのにな〜。そうだ!2人の名前は?」
「海堂風磨です。」「綾小路清隆です」
「綾小路くんに海堂くんかー。私は一年Bクラスの担任をしている星之宮知恵です!普段は保健医の先生をしているよ。何かあったら保健室を訪ねてね」
「極力お世話にならないよう心がけますが有事の際にはお願いします。」
「うんうん、海堂くんは元気があって良いね!」
直後,彼女はその頭を見知った人にボードで叩かれる。
「痛ぁぁい!何するのよ佐枝!」
「あまりうちの生徒に絡むな星之宮」
「ハハァン。なるほどねぇ〜。佐枝ちゃんもしかして、下剋上とか狙っちゃってる?」
「まさか。そんなはずがないだろう。」
おいおい,予想はしてたけど教師陣同士でもそんなドロドロしてんのかよ勘弁してくれよマジで。
まぁ良いや,そんなんはさほどアレには関係ないし
あれ?あれは多分
「すみません!星之宮先生はいらっしゃいますか?」
「ほら,お前にも客だ。さっさと行け」
「はいはーい,じゃあまた今度ね。綾小路くんに斉藤くん」
俺は綾小路に一言だけ告げる。
「一瞬外すよ?」
「ん?あぁ。」
向かうのはもちろん
「帆波〜,」
「フウくん!フウくんさっき星之宮先生と話してたけどどうしたの?」
「茶柱先生待ってたら絡まれただけ」
「そうなんだ。でも,どうしたの?茶柱先生と一緒にいた彼,行っちゃうよ?」
「あーっと。ちょっと動かないでね?」
そうして少し抱き寄せるようにして頭に手をやる
「にゃにゃ!/////」
どうやらいきなりで驚いたみたいだが目をつぶられるようなことをするつもりはない。
「いきなり悪かったな。髪にゴミがついてるのが見えてな。少し気になった。」
少しキザっぽく笑って見せる
「そ,そうなんだ。その,,,えっと,,ありがとう」
まぁ,実際のところ内心では,
(くっそ可愛い!!毎回毎回,なんで帆波は俺の心にドストライクな満点回答を初手で叩き出すんだ!)
こんな感じである。
「気にしないで。さらに,前々から言ってるけど帆波は折角すげー可愛いんだからもっと自分の身だしなみというか身の回りに気を遣いな?勿体無いよ?」
少し手櫛ですくようにして髪の毛の流れているところを整えてあげる。
「よし!完成!うん。しっかり直ってる!じゃあ,俺はこれで。また後でチャットしてね〜」
「え⁉︎あ,ちょっと,,,行っちゃった」
少し残念そうな帆波の後ろにはとても面白いものを見たと言うかあの星之宮先生がいた。
「なるほどなるほど。あの時海堂くんが私にあんまり興味なさそうだったのはそう言うことかー。さらにしても一之瀬さんも隅に置けないなー。あんなかっこいい彼氏くんがいるなんて」
「フウくん,,海堂くんは幼馴染で昔から仲はいいんですけど,その,付き合っているわけじゃないんです」
「え?じゃああれを素でやってるの?幼馴染とはいえ付き合ってない女の子に?ヘェ〜,なかなかのタラシくんだねぇ」
「そうですね。あははは」
「一之瀬さん。頑張るんだよ?押すところで怖気付いたりしたらダメだよ?」
「何言ってるんですか⁉︎」
この日1番の星之宮の笑顔だったという。
まぁ、座れ」
そう言って、指導室の鍵を閉めて茶柱先生は俺の対面の席に座った。
指導室とか初めて入ったけど、なんか雰囲気が違うな。すげぇ、威圧される部屋に感じる。
「……それで、俺は一体何をしたんですか?」
「そんな警戒するな。別に、お前達の退学の話をするためにここに呼んだわけじゃない」
そりゃあそうだろうよ。
いきなりそんな話されたらビビるわ!
「では,一体なんです?」
「そう慌てるな。今から面白いものを聞かせてやる。そこで音を立てずに待っていろ。音を出したら退学処分だから注意しろ」
さっきまで退学は関係ないみたいなことほざいてたくせに舌の根も乾かぬうちにこれかよ。
だからこいつあんまり好きになれないんだよな。
すると,仕切りの向こうから声が聞こえる。
「失礼します茶柱先生」
来た生徒とはどうやら朝綾小路くんが指令を出された彼女,堀北鈴音のようだ。この段階で彼女が何を言いに来たのか十中八九わかった。どうせ,配属がどうたらこあたらと言う内容だろう。
予想通りの内容だった。
彼女曰く,今回の配属に納得がいっていないらしい。
面接,学力点ともに高く,本来優秀であると評価されて然るべきはずである自信がなぜこんな評価を受けるのかと言う内容だった。
そんなもん決まってるだろう?
"協調性"という社会で生きていく上でかなり必要なピースが欠けているどころか喪失されているからに決まっているだろう。逆になぜ気がつかないんだ?自分1人の優秀さなんてたかが知れているだろう?それこそ目の前にいる綾小路や俺,高円寺クラスなら話は別だが。
一般優秀レベルの秀才もどきなんて一山いくらレベルで、世界にはゴロゴロいる。
そんなものが本当に優秀な人間なはずがないだろう。
その後,このままクラスを上げれば良いといった茶柱に対して堀北は現状の戦略ではそんなもの無理だと言い放った。
間違ってないけど,もうちょい取り繕うとかしろよ。
茶柱はわざわざ入試の成績表まで用意して俺たちに話を聞かせた。まさかとは思うが,,,,,
「それと、ここに2人ほどお前に合わせたい人物を連れてきている。入れ,入ってこなければ退学にする」
「まさかにいさ、、、、綾小路くんに海堂くん。なぜいるの?」
「そこの茶柱先生に呼び出された俺たち2人はそのままこの部屋の隣に連れてこられて待つように言い渡され,今入るように指示をされた。お前が来るなんてことは知らなかった。それに関して嘘はない。以上だ。」
「それで?話を聞いてどう思った?」
ここで綾小路がとぼけて聞こえなかっだと言うものの,壁は薄いから筒抜けだとあっさりバラされ,少し険悪なムードの中
「海堂風磨,お前はかなり優秀な生徒だな。入試では全教科満点,面接も最後の一問を除いては完璧な対応。別途資料による記載がなければ文句なしのAクラス待遇だったはずだ勿論、中学での野球の成績も文句なしだ。すごじゃないか。全国三連覇なんてそうそうできるものでもない。それに,どうやらお前はポイントの制度の意味にも気づいた上で傍観し、剰えそのポイントの危機の中でもお前だけは完全なる安全圏にある。違うか?」
こいつ全部バラしやがった。
予想してないといえば嘘になるが普通やるか?
完全ならプライベート情報やぞ?
「海堂、端末を見せろ。見せないなら退学だ」
ハァ,仕方ないか
「嘘でしょ。」
「すごいな」
そこには1600万近い数字が並んでいる
さすがの2人も驚いたようだ。
「ふふははは。そのポイントはどうしたんだ?どうやってこれほどのポイントを集めた?」
「普通にギャンブルっす。いろんな部活に顔出して挑戦して勝って稼ぎました。先輩方とも契約書書いてますし,双方合意の上です。学校の規約に関しては先輩に頼んで一度目を通して問題がないことも確認済みです。なんならすぐにでも契約書の写しくらいなら見せますが?」
「問題ない。どうだ堀北?こいつはその上運動もできる。目の前に1人確実にお前よりも優秀な人間がいるわけだが」
悔しそうにこちらを睨む堀北。
別に睨まれても特になんとも思わないし視線が鬱陶しいからやめてほしい。
「そして綾小路、お前は本当に面白い生徒だな。入試の結果を元に、個別の指導方法を思案していたんだが、お前のテスト結果を見て興味深いことに気が付いたんだ。最初は心底驚いたぞ」
クリップボードから見覚えのある入試問題の解答用紙がゆっくりと並べられていく。「国語50点、数学50点、英語50点、社会50点、理科50点……おまけに今回の小テストの結果も50点。これが意味するものが何か分かるか?」
堀北は驚いた様子でテスト用紙を食い入るように見て綾小路清隆という男をまじまじと見つめた。
「偶然って怖いっスね」
「それは無理あると思うよ……?」
なぜ行けると思ったんだ?
なんだか余計にこいつの異常さが際立ち始めたな。
やっぱり俺の仮説は正しいようだな。
「あなたは……どうしてこんな訳の分からないことをしたの?」
「いや、だから偶然だっての。隠れた天才的な設定は無いぞ」
「どうだかなぁ。ひょっとしたらお前よりも頭脳明晰かも知れないぞ堀北」
ピクリと堀北が反応する。先生、その余計な口出しそろそろやめてあげなよ。堀北の顔がすごいことにるから。
そんな俺の気持ちが通じたのか分からないが、茶柱先生は手元の資料をそろえた後立ち上がった。
「私はもう行く。そろそろ職員会議の始まる時間だ。ここは閉めるから三人とも出ろ」
部屋を出たところで堀北が俺たちを呼び止めた。
「待って」
正直俺としては早く帰りたいのだが,まぁここでハッチした方が後々損だと判断できるし、大人しくしておくとするか。
「さっきの点数……本当に偶然なの?」
さっきのとは,50点のテストのことだろう。
「当事者がそう言ってるだろ。それとも意図的だって根拠でもあるのか?」
そう語る綾小路だったが、まず間違いなく偶然ではないだろう。答案を見せてもらったが、正答率が低かった数学の問題を完璧に答えてた。そして、その問題は基礎ができていないと解けない問題だったが、何故かその基礎で点を落としていたりと、明らかに本気を出していない証拠がある。
「根拠はないけれど……。綾小路くん、少し分からないところがあるし。事なかれ主義って言ってるから、Aクラスにも興味なさそうだし」
とても興味なさげな綾小路は顔色ひとつ変えやしない。
そもそも,彼と知り合ってから表情の変化を見た記憶がないな。もしかして感情が乏しい,もしくは欠如でもしてんのかな?
「お前こそAクラスには並々ならない思いがあるようだな」
「……いけない? 進学や就職を有利にするために頑張ろうとすることが」
少し間をおいて答える堀北さん。嘘は言っていないんだろうが、恐らく目的はそれだけではないはずだ。彼女の様子や先ほどの反応を見た感じだと,認めさせたい相手でもいるんだろう。
「別にいけなくはない。自然なことだ」
「私はこの学校に入学して、ただ卒業すれば、それがゴールだと思っていた。でも、実際は違った。まだスタートラインにも立っていなかったのよ」
気が付けば綾小路の正面を見据えて,強い意志を持った瞳を向けていた。恐らく彼を説得し終えたら、次に向けられるのは俺なんだろう。
その事実にげんなりしながらも、目の前のやり取りを見逃すことはしない。
「じゃあお前は、本気でAクラスを目指すつもりなんだな」
「まずは学校側に真意を確かめる。私が何故Dクラスに配属されたのか。もし、茶柱先生の言うように私がDだと判断されたのだとしたら……。その時はAを目指す。いいえ、必ずAクラスに上がって見せる」
なぜ未だに理由をしっかりと判断してないんだ?まず地に足つけるって意味でそこから理解しろよ阿呆なのか?
「相当大変だぞ、それは。問題児たちを更生させなきゃならない。須藤の遅刻やサボり癖、授業中の私語、テストの点数。それだけやって、やっと±0だ」
須藤や池の学力や山内の人間性なんて考え出したらマイナスもいいところな気もするが。そこは希望的観測と受け取っておくか。
「……分かってるわよ。出来れば学校側のミスであることを期待するわ」
自らがAクラスだと妄執に囚われている堀北さんや、頑なに自身の能力をひた隠しにする綾小路もそうだが,基本的にDクラスってのは不良品の集まりだ。だが,ポテンシャルだけ見る限りはどうにかなりそうな予感もある。
まぁどっちにしても現状のクラスとしての強度はゴミ同然だけどね。
「もしミスじゃないと仮定した場合、どうやってAクラスに上がるつもりなんだい?堀北さん。」
俺は一つ質問を挟む。
「学校側がこのまま静観を続けるとは思えないわ。恐らく、ポイントが一気に増減する機会が訪れるはずよ」
流石に頭の回転が速い。今日一日でクラス間闘争の存在を確信している。
「今綾小路君に話しかけているのは、その時に協力してもらいたいから?」
「そうよ。まずは断ってきそうな方から、次はあなたよ」
まあそうだろうな。俺の日常からの態度からして、やる気のないところを見て,とりあえず綾小路から抱き込もうってとこか?まぁ別に俺は、「俺自身」の生活を脅かさず,帆波との仲を知った上で一切邪魔しないというなら協力してもいい。
「この前の放課後に条件付きとはいえ平田に断りを入れるお前を見たし、別に断ってもいいんだよな?」
「あら,嫌なの?」
「あのな、オレが喜んで協力するとでも?」
「そこまでは思っていないわ。でも,しないならどうなるかくらいは,,,わかるわよね?」
こっわ。今の堀北なら平気でぶん殴ってきそうだ。同じことを思ったのか、綾小路がすがるような瞳でこちらを見つめてくる。
「申し訳ないけど、こういった自由意志が決めることを俺がどうこう言うつもりはないよ。自分の意志で決めることに意義があるんじゃないかな?」
「堀北,一つ聞きたい」
「何かしら?」
「俺の詮索をしない誓えるか?」
........そうきたか。これで,間接的に俺が堀北に関わるなら俺にも深入りするなということか?となると必然的に俺は綾小路清隆という人間を深く知る機会を失うわけだが,,,。
まぁ,それはいい。それにしても
「まさかそんなことを引き合いに出すとは思わなかったけど,あなたまさか,やましい過去でもあるの?」
「いや、そんなことはない。だが,俺としても過去はあまり詮索されたくない。俺自身のついてもだ。それに、もしもの時に俺も堀北と一緒に過去を暴露して道連れなんてのはごめんだからな。あくまで協力はするが踏み込みすぎないくらいでいてほしい。」
後半のとってつけたような内容はさておき,ようやくするとだ。俺はお前を隠れ蓑に使ったりするから協力くらいはしてやるけどこっちの詮索はすんなよ?ってことか。
えっぐいほどの,条件叩きつけたなおい。
「ハァ,あなたは自分の言っていることを理解しているのかしら?そんな得体の知れない人間を本当に信用できると思っているの?」
「信用しろとは言っていない。ただ,お互いに利害関係的な部分のみでの付き合いにしようというわけだ。お前も下手に自分の間合いに土足で入られるのは嫌だろう?」
「そうだけど,それにしたって一方的すぎて不快だわ」
ですよねぇ
「堀北さん」
「何かしら?海堂くん。まさかあなたも協力してくれるかになったらかしら?」
「いや、そうじゃないんだけどさ。とりあえずは綾小路に今回だけ協力させて見たら?そんでもってそっからもう一回交渉すればいい。果たして本当に自分が手駒として使うに値するのかをさ」
「一理あるわね。そういうことなら納得できるわ。じゃあ綾小路くん,まずは今回だけでいいから協力してちょうだい。
交渉は中間テストを無事乗り切ってからにしましょう」
「時間が経てば交渉内容が変わるわげじゃないぞ?」
「あら,本人の気持ちは変わらなくても事情が変われば答えは自ずと変わるはずだわ。それでも,まずは中間テストまで今日はょ貸してくれると見ていいのかしら?」
「あぁ,そこまでは間違いなく手を貸すと約束する。中途半端も嫌だしな。」
「まんまと交わされたようで癪だけど仕方がないわね」
キレ気味に呟く堀北だったが、俺は中々いい落としどころを見つけたと感心していた。
このまま平行線で話し続けても埒はあかない。それに、さっきも堀北は言っていたが,状況が変われば人は選択を変えざるを得ない時もある。それは確かだ。ゆえに,堀北はあの状態から俺が一言口添えしたとはいえよく持ち直したと言えるだろう。
ただ,あの結果を綾小路が狙ってたとしたら,ちょっと面白いなぁ。俺と同じかそれ以上に頭が回るやつなんて会ったことがない。
もし,俺を超えるほどの天才があるというならば
"ぶっ潰してみてぇなぁ!!!"
そう思わずにはいられない。今はまだ,その牙を隠したままの天才に大きな期待を寄せながら,決してあくびもそれを出すことはなく,話を続ける。
そして,
「そういうことなら,俺は帰るぞ。後は二人でじっくり話してくれ」
綾小路は1番の面倒である堀北という爆弾だけ残して帰っていきやがった。
歩き出した綾小路を見届けたら、次のターゲットは俺だ。
先ほど自分がカッとなったところで諌められたのが気に食わなかったのか、堀北はムッとした顔でこちらを見つめている。余計に刺激しても仕方ないので,とりあえず落ち着かせたい。
「とりあえず、その辺で落ち着いて話さない?飲み物ぐらいは買うよ?金は俺持ちで」
面倒だが落ち着かなきゃ話し合いも何もない。
ここまで巻き込まれた以上最低限の譲歩ぐらいは引き出させてやるし,なんなら俺の地雷を踏み抜いたりしたらその場でこの話は無しだと考えている。
隣で不機嫌そうにしてはいるもののゆっくりと肯定するように首を縦に振るあたり,とりあえず了承はもらえた。
全く,次から次に面倒なものだよ。
校舎と校舎をつなぐ渡り廊下の下の中庭のようなところにとってつけられたベンチ。
そこで俺と堀北は2人きりで座っている。
字面だけ見たらだいぶ甘い雰囲気だが実際は堀北にすれば自身の目標達成のための大駒を手に入れられるかというところだし俺しては彼女がどんな交渉をするのか大変楽しみだ。
「まずは単刀直入に言うわ。あなたの力を私に貸しなさい。悔しいけれど,現状私よりも能力はあなたの方が上だわ。でも,いつか必ず追いついてみせる。あなたも認めさせてみせる。だから!私に力を貸しなさい!わたしがAクラスに上がるために」
ならこっちも最初に言うことは決まっている。
「嫌だね。俺はそう言うのには興味がないんだ。生憎とね」
「まぁ,そうよね。予想通りではあるわ。ならここからは交渉ではなくあなたに対する質問よ。いいかしら?」
「もう交渉はいいのか?随分あっさり終わったな」
「勘違いしないで。まだまだ交渉は続けていくつもりだわ。でも今無理やり押しても叩いても手応えもなく響きもしないならまずあなたと言う人間から見えている私と言うものを知った上で話す方が効率的なだけよ」
やっぱこいつ地頭いいんだよな。頭固いけど。
「そうだな,まぁそのくらいなら邪険に扱うのもアレだし構わないよ?」
「ならまず一つ目。あなたはこのDクラスから上に上がる気がないようだけど,あなたはそれに満足しているのかしら?」
「?,そもそも何を不満に思う必要があるのかわからないんだけど?」
「何って!あなたは能力がないと判断された上に学校側から一方的に無能の烙印を押されたのよ!あなたはアレほどの能力を有しているというのに」
「あー,そう言うことな。ならまずその質問に答える前に簡単な勘違いを正しておこうか。」
「私が何か間違ったことを今の質問の中で言ったと言うの?」
あれ?こいつさっきの茶柱の話聞いてなかったん?
言ってたよな?確か,能力だけが実力じゃないと。
「うーん,なるほどなるほど。たしかに重症だな。」
キッ!っと強く堀北が睨んでくるが知らん
「あのなぁ?まずそもそもの話だがなぜうちの高校は実力至上主義なんて曖昧な言い回しをすると思う?もし,単純な学力や体力。それこそテストの点数や成績だけを加味するなら能力至上主義という言葉で足りると言うのに。」
それに堀北は少し歯噛みするような表情を浮かべる。
だが俺はそのまま話を続けた。
「簡単だ。社会に出て必要なのは能力じゃない,能力を正しく適用し,応用し,実践して使っていく実力だ。
もし能力で判断するならそもそもの話学力がお話にならない須藤たち三馬鹿やあからさまなボケをかます綾小路なんて異分子が入り込む余地はないんだよ」
あえて分かりやすく想像しやすい実名を出す。
こう言うことができるのは身内ならではの特権だな。
「もしそうだとして,仮に私が言ったあなたが能力以外の判断をされたと言うならそれはなんだと言うの?」
あ,ちゃんと自分の発言の間違いというか思い違いには気づいたみたいだね。
「悪いけどそれは言えないな。いずれ言うべき時が来たなら必ず話すと誓うよ。だから今は追求しないでほしい。その代わりに最初の質問の答えを教えよう。それは,」
わざとらしく一拍おくことでより相手を引き込む。
「全く持って不満などない,俺は現状に満足している。だ」
なんとも驚いた表情の堀北。
なぜ?どこに驚くと言うんだ?
今までのことからなんとなくわかっていただろう?
「でも,あなたは確かBクラスの女子生徒と親しかったはずよ。その娘と同じクラスに上がりたいとかはないの?」
「それかと自分でポイント稼げばいいんだし,クラス交換の必要ないじゃん?それに、俺自身が一切クラス闘争に関与しないなら仮に他クラスの子と懇意にしてようがなんの迷惑もかけないじゃん。大体,一切他クラスの生徒と関係を持たないなんておそらく無理なんだろうしね。」
「なるほど。他クラスとの交流という点では理解したわ。ではあなたは自分の将来に対する不安とかはないというの?」
ふむ。どうやら彼女はなんとか自分と同じようにシステムに対する対抗心として協力させたいわけだ。
じゃあ無理だよ?一生かかってもね。
「ない。大体,この世の中を生きていく上で最も重要視されるのは常に自分の中の意思決定だ。それならこの状態も俺が招いた結果だ。甘んじて受け入れるさ。それなら俺は進学する気だけど,進学するのに必要なのは権利じゃなく学力だ。なら,普通に勉強すればいいだけ。退学にならないことにこそ全力は注ぐがそれ以上に頑張る意味が俺にはないんだよ。」
まぁ,俺の場合は大学までの範囲もあらかた終わっているのでそこまで頑張る必要ないんだけどね。
「そう、わかったわ。今の私にあなたを説得して協力させられる言葉はなさそうね」
こいつ阿呆なのかな?
まだわかってないのか?正直俺を協力させるなんてクソほど簡単だぞ?
てか,最初に話から質問に変えた時に答えに辿り着けそうだったのにだんだん離れてってることは理解しできてる?
「なら,あなたが私に力を貸したくなるような結果を見せるわ。だから勉強会に出てくれないかしら?講師役なんて言わない。私が授業のおさらいという形であのバカ3人組を必ず矯正してみせるわ」
ええっと,,,はぁ。
結果の見えているのをわざわざ検証するのは本来あんまり好きじゃないが。まぁ理科の実験みたいなもんだ。とりあえず見るだけは見てもいいだろう。
「なるほど。じゃあ楽しみにさせてもらうかな」
こうして,俺たちは勉強会を迎えた。
当日,俺は堀北に図書室を指定されたので行くと既に綾小路や堀北に三馬鹿,さらには沖谷に櫛田までいた。
「おい!なんでこいつまでいるんだよ,俺たち聞いてねぇぞ?」
山内が早々突っかかってきた。うざい。
まぁ,人をいきなり毛嫌いするのも良くないか。
「いきなりごめんね山内くん,それに池くんや須藤くんに沖谷くん,櫛田さんも」
「俺は別に構わないぜ」
「はっ、好きにしろよ」
「よよ、よ、よろしく」
「全然大丈夫だよ,よろしくね海堂くん」
4者4用な対応だった。
とりあえず俺は勉強を手伝うというやり方綾小路同様みんなとの橋渡し役として抜擢された旨を説明してついでに櫛田を適当に煽てといた。これをしておけば櫛田に面倒ごとを振れる。
それにしても堀北の機嫌が悪いな。
うーん。多分櫛田の参加が予想外なんだな。
始まって10分
「クソが!やってられっかよこんなの」
「何言ってるの?こんなもの初歩の初歩よ。こんなことで躓くなんて、あなたたち本当に高校生?」
「なんだと!」ガタッ!
おいおいおい,あんだけ見せつけるみたいなこと言っといてこれか。なるほどなるほど,コイツァ苦しいな
結局そのあと堀北は流石の理論武装で須藤の文句を全て論破していき,極め付けのラストに須藤の夢であるバスケを否定してみせるという鬼畜の所業を俺に見せつけた。
何?俺はこれを見て胸が高鳴って協力してほしいと尻尾振るようなドMに見られてるの?マジ?
ないとは思うけどもしそうならドン引きだわ。
失望云々以前に近づけねぇよ。
結局最後に池や山内にも文句吐き散らかすだけ吐き散らかして退学してもいいのか?と脅したが最早やる気のない彼らには焼石に対する水の役目すら果たさないほどで。
「堀北さん,アレじゃあみんないなくなっちゃって当たり前だよ。なんでわからないの?私悲しいよ」
てか,さっきっから思ってるんだけどさ,,,,
この娘演技上手だなぁぁぁぁぁーーー
なんというか,纏ってるオーラの薄皮一枚奥にドス黒いものを感じる。なんなら時折それが見え隠れする。
ぶっちゃけやけどこのクラスで1番怖いわ。
綾小路の明日とはまた違う,人間味があるのに異常にそれが振り切れた感じ。
しかし,そんなことに気づくこともなく堀北は堀北で櫛田を追い返し,その先に乗じて沖谷が逃げ,最終的には俺,綾小路,堀北のいつメンが揃った。パチパチ
「今日のことではっきりしたわ。彼らのような向上心のかからもない生徒は早々に退学した方がいいということが。海堂くんもごめんなさい。彼らのような低脳の相手をさせてしまって」
「ねぇ,それ本気で言ってる?そしてまさかだけど,俺がそれに同調した上で君に協力したくなるなんて本気で思ってるの?」
「むしろ何が問題なのかしら?私の説明や問題に何か不備でもあったかしら?たしかにあなたのレベルなら不満でしょうけど,彼ら程度にならちょうどよかったはずよ?」
こいつは一体どこまで間違えるんだ?頭いいのにもったいないというか,哀れというか,成績いい馬鹿って,こういう融通の効かないやつのことをいうのかな?
「ハァ,期待した俺が間違ってたわ。どうやら見込み違いだな。悪いが俺は今日のを見て全く協力する気がなくなった。アレがお前の出した答えで俺に対する交渉材料なら悪いが文句なしの0点だ。協力する気なんてかけらも起きなかったよ。ちょっとは考え直したら?もちろん考え直すところを教える気はないけど」
ちょっと期待してたのに期待はずれもいいところだ。
帰りに綾小路には
「悪いな,あいつが気づくなら大した過労にはならないだろうが,もし気づかず突っ走りそうなら適当なクギ刺してやってくれ。じゃないとお前が不憫だ」
「わかった,こちらこそ悪かったな巻き込んで」
「アレはこれからも巻き込まれそうな感じだけどね。」
苦笑いを一つした上で,俺は図書室を後にした。
その後,カフェで帆波たちBクラスの人たちにあったので
彼らとテスト勉強したのだが,,,
地頭の良さ以前にここ聖域すぎない?
ようやくテスト編入れました!
こっからようやく展開的にちょっとずつペース上げて行けたらいいなぁなんて思います。
みなさんも感想,ご指摘あれば随時お願いします。
木田くんにヒロインはつける?つけるなら誰!
-
堀北鈴音
-
椎名ひより
-
伊吹澪
-
坂柳有栖
-
神室真澄
-
そもそもいらないしそんなに出さなくていい