裏切りのラスボス少女〜主人公君を裏切って憎しみに満ちた目で見られたい〜   作:あへんちんき

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じゅういちわめ

あーあー。こんにちわ〜!ハイパー美少女浦霧ミナちゃんだよ〜!

今現在、私の目の前で、主人公こと主矢聖君と謎多きクラスの副学級委員、私ほどではないが結構美少女な初飛命ちゃんが戦闘を繰り広げていまーす。原因は私!

やだ、私のために争わないで!うーんこれはヒロイン。

 

 

 

とまぁ冗談は置いておくとして……とりあえず、問題は『世界を救済しようとするもの』は複数人いる可能性があるってことなんだよね。もしそうだとすると、主人公君は替えがきく存在ってことになるね。ま、でも少なくとも2人目の『世界を救済しようとするもの』である命ちゃんにもまだ私が『世界に破滅をもたらすもの』であるとバレてはいないっぽいし、まあええか。

 

 

 

で、戦況なんだけど。

うん。若干主人公君が押されているね。ちょっと心配。主人公の心配をしてあげる、これはヒロインですわ。

ま、あからさま経験の違いが出てるっていう感じはするね。確かに主人公君は定期的に悪魔を退治してはいるけど、腕を負傷して悪魔退治に行けない時期もあったし、多分命ちゃんの方が主人公君より先に『世界を救済しようとするもの』になってる。だから、2人の間に実力の差がついてしまっているんだろう。それに加え、命ちゃんは弓を、主人公君は剣を扱っている。相手に接近しなければ真価を発揮できない主人公君に対して、命ちゃんは遠距離でこそ真価を発揮することのできる武器を扱っている。ま、主人公君不利なのは当然か。

 

 

 

幸いなことに、命ちゃんには主人公君のことを殺そうという意志がない。素人目で恐縮だが、少なくとも私の目には、命ちゃんが殺意を持って主人公君と戦闘しているようには思えないのだ。戦闘中も、どこか主人公君の動きを探るようにして観察しているような印象を受ける。

 

 

 

「どうしたの主矢君。それじゃ私には勝てないわよ。」

 

 

 

「救。どうする? このままじゃ俺達は勝てない」

 

 

 

『相手の練度が違いすぎます……。そもそも、私達が今負けていないのは、向こうが手を抜いているからです。もし本気で来られていれば、私達はとっくに……。』

 

 

 

「あら、よく分かってるじゃない。」

 

 

 

あ、ほらね?やっぱりそういうことでしょ。命ちゃんは主人公君のことを探ってる。いやー分かってましたよ私も。うんうん。

 

 

 

「ミナのことを攫って………一体何が目的なんだ?」

 

 

 

「ねぇ主矢君。何で自分達が戦っているのか、考えたことはない?」

 

 

 

「それは……世界を救うため……。」

 

 

 

「どうして、そんな大層なことを、1人の人間、いえ、正確には、天使と2人で、でしょうけど……背負わなければいけないの?」

 

 

 

ん?いや、でも『世界を救済しようとするもの』って複数人いるんじゃないの?え、違うの?

 

 

 

「1つの世界につき、『世界を救済しようとするもの』と、『世界に破滅をもたらすもの』はそれぞれ1組ずつしか存在しない……。かといって、『世界を救済しようとするもの』は『世界に破滅をもたらすもの』の相手だけをすればいいわけじゃない。当然、一般人を悪魔から守るという役目も生じるの」

 

 

 

『待ってください。確かに、『世界を救済しようとするもの』は一つの世界に1組しか存在しません。ですが、だとしたら貴方達は……?』

 

 

 

ナイス質問だ救ちゃん!私も気になってたんだよね。なーんで『世界を救済しようとするもの』が2人もいるのかって。正直、複数人いても困るし、イレギュラーな事態であって欲しいんだけど。

 

 

 

「そうね。私達は……この世界の『世界を救済しようとするもの』ではないわ。別の世界で『世界を救済しようとするもの』として戦っていたの」

 

 

 

つまり別世界の『世界を救済しようとするもの』ってことね。てか世界を移動することとかできんの?私にもできるかな?もしできるなら、他の世界の『世界に破滅をもたらすもの』と協力して世界を破滅させることとかできるんかな?それは心強いね〜。

 

 

 

「どうして別世界の『世界を救済しようとするもの』が、この世界にいるんだ…?それに、それとミナを攫ったこととどう関係が……。」

 

 

 

「私達は、失敗したの。『世界に破滅をもたらすもの』を殺すことに。私には……彼女を殺せなかった……。貴方、知ってる?『世界に破滅をもたらすもの』も、元は別の世界で人間として生きていた1人の人だったのよ。それを、勝手に神によって『世界に破滅をもたらすもの』なんて役割を押し付けられて………。彼女は……あの子は……本当は世界を破滅だなんてさせたくなかった。でもね、神はそれを許さなかったの。結局、私はあの子を殺せずに……そのまま、あの子の意思に関係なく、世界は、あの子によって滅ぼされてしまったわ。」

 

 

 

「それは……。」

 

 

 

へー。なるほど。そういうのもありだね。『私本当は世界を滅ぼしたくなんてないの!世界に破滅をもたらすものになんてなりたくなかった!助けて聖君!』なんて風に言ってみるのもありだね。それはそれとして裏切りはしたいから、やっぱその後に『そんなこと思ってませーん!本当はウキウキで世界滅ぼしたいと思ってまーす』ってカミングアウトするんだろうけどね。

 

 

「それだけじゃない。『世界に破滅をもたらすもの』を殺すためには、天使の命を犠牲にする必要がある。今貴方と共に戦っているその子も、『世界に破滅をもたらすもの』を殺すために犠牲になることが確定しているのよ。残酷よね、こんなシステム。」

 

 

 

『私は別に、死ぬことに対して恐怖を感じてはいません…。それで世界が救われるならば、私は………。』

 

 

 

「それは結構なことね。でもね、皆が皆、貴女みたいに覚悟ができているわけじゃない。死にたくないって、そう思う天使だっているの。」

 

 

 

……そういえば、リフィカルがそんなこと言ってた気がするな。あいつも元天使で、死にたくないから堕天してやったぜヒャハハみたいなこと言ってた気がする。まあそりゃあ、世界を救うために貴方の命を犠牲にしてくださいなんて言われたらふざけんな!ってなるよね〜。

 

 

 

「結局、何が言いたいんだ?」

 

 

 

「そうね……。ねぇ主矢君。一緒に神を殺さない?」

 

 

 

「神を、殺す……?」

 

 

 

『何を、言っているんですか……?』

 

 

 

「私達は、他の世界の『世界を救済しようとするもの』の力を借りて、こんなクソみたいなシステムを作った神のことを殺したいと思っている。神を殺して、新しいシステムを用意するの。もう二度と、誰も悲しまなくていいように。」

 

 

 

え“っ“、そんなことされたら、私『世界に破滅をもたらすもの』じゃなくなっちゃうじゃん!神殺しなんてやめとけ。確かに私もあの神は説明不足でクソな奴だとは思っているけど、『世界に破滅をもたらすもの』とかいう最高の肩書きをくれたこと自体は感謝してはいるんだ。恩は感じないけど。

邪魔しないでくれないかなぁ?

 

 

 

「悪いけど、俺にはよく分からない。あんたのやりたいことは分かった。けど、それとミナに何の関係があるんだ!確かに、俺達は理不尽な目に遭っているのかもしれない。だったら、尚更、何の関係もない一般人を理不尽に攫うなんてこと、やっちゃいけないだろうが!!」

 

 

 

いいぞ聖君!残念ながら私は何の関係もない一般人じゃなくて、君が叩くべきラスボス『世界に破滅をもたらすもの』であるわけだがそんなことは関係ない!やっておしまい!素晴らしき私の裏切りライフのために、命ちゃんには犠牲になってもらわねば……。

 

 

 

「そう……。まあ、実際神殺しを行ったとしても、既に『世界を救済しようとするもの』や『世界に破滅をもたらすもの』になってしまっている人は、その役割から逃れることはできない。だから、主矢君にとってはどうでもいいことだったのかもしれないわね。」

 

 

 

え、そうなの?じゃあ神殺そうが殺さまいが関係ないってこと?なーんだ。心配して損した。じゃあ私は『世界に破滅をもたらすもの』として、世界を破滅させるか、主人公君に殺されるかの二択しかないってことだね!最高だ。

 

 

 

「どうでもいいけど、ミナを解放しろよ。いつまでも縛り付けて、手首に傷でもついたらどうする?」

 

 

 

「優しいのね。どうする使?」

 

 

 

『主矢聖の説得には失敗したか……。まあいい。どちらにせよ、神殺しは行う。それと、主矢聖、一つ言っておくことがある』

 

 

 

「なんだよ」

 

 

 

『俺達は、浦霧ミナ、彼女が、“世界に破滅をもたらすもの”なんじゃないかと考えている。もし、本当に彼女が“世界に破滅をもたらすもの”だった場合、お前に彼女を殺す勇気があるか?』

 

 

 

「ミナは“世界に破滅をもたらすもの”なんかじゃない。それは救も証明できる」

 

 

 

『……そうか、だといいな。命、浦霧ミナを解放してやれ。話は済んだ。主矢聖との協力は不可能だろう。』

 

 

 

「みたいね。残念。」

 

 

 

あっ、どうも。おっ、解放してくれるんですね〜ありがとうございます!!ま、残念ながら天使君が言った通り、私が『世界に破滅をもたらすもの』なんだけどねぇ〜?君に私が殺せるかな?聖君。

 

 

 

「それじゃあ、またね。」

 

 

 

そう言って、命ちゃん達は去っていく。神殺し?頑張ってね。できればくたばってて欲しいね。私の裏切りライフに邪魔だし。

 

 

 

「ミナ、帰ろう」

 

 

 

聖君は優しい瞳をしながら、そう私に手を差し伸べてくれる。

これは完全に信頼されてるね。

 

 

 

 

「うん、帰ろう。」

 

 

 

『ですね。』

 

 

 

私達は3人で、夜の街で歩いていく。

裏切りの時が楽しみなのか、私の気分はなんだか高揚して、夜風が気持ちいい帰路だった。

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