裏切りのラスボス少女〜主人公君を裏切って憎しみに満ちた目で見られたい〜 作:あへんちんき
「おはよう。何話してるの?」
「ミナ……」
「あれ?このベッド誰の………もしかして、聖君、私を家に連れ込んで………!」
「誤解だミナ!何もやましいことはない!ただちょっと………えー…と。」
顔を真っ赤にしながらあたふたしてる。
この反応、経験ないね??
別に冗談なんだから、軽く流せばいいのにねぇ。
「じゃあなんでそんなに歯切れが悪いの?何か隠し事してるでしょ?」
「それについては、私が保証します。聖は貴方のことを手篭めにしようだとかそんなことは考えていませんよ。後、あまり彼をいじめないであげてください。」
「貴方は……?」
「私は天使であり、また聖の剣でもあります。」
「天使?剣?何のこと?」
「覚えていないのですね。それなら、今話したことは忘れてもらいましょう。今から、貴方の記憶を消させていただきます。」
なるほど。そう来たか。
しかし、このまま主人公君達との繋がりが消えるのは勿体ない。
最初は知らないフリで行こうかと思ったが、方針は変更したほうがよさそうだね。
「待って。私、覚えてる。私の体が、得体の知れない存在に乗っ取られて、それを聖君が助けてくれたこと。」
「そうですか。やはり、上位悪魔に取り憑かれたからでしょうか?記憶を保持しているようですね。ならば、記憶を消すまで。」
別に『耐性』の能力があるから、記憶をいじられる心配はないんだけど。
やっぱここで二人との繋がりを失うのは嫌なんだよね。
「なぁ、救。ミナの記憶ってどうしても消さなくちゃいけないものなのか?」
「はい。ミナちゃん自体にはそのつもりはないかも知れませんが、もし、貴方の存在がミナちゃんを経由して『世界に破滅をもたらすもの』に知られてしまっては、私達はかなり不利になります。それに、私はこれ以上、ミナちゃんを傷付けたくはないんです。もし、記憶を消さないまま、彼女が巻き込まれでもしたら、私は………」
んーおいしい!
いやー。まさか救ちゃんの私に対する好感度がここまで上がっているとは、予想外でした。
ていうか、救ちゃんの懸念って無駄オブ無駄なんだよね。だってもう『世界に破滅をもたらすもの』に存在バレてるんだから。しかも初日にね。やーいまぬけ!
「私の記憶を消したいっていうなら、それでも構わないけれど、聖君は、本当にその腕で戦えるの?」
「それは………」
「大丈夫です。聖のサポートは、私に任せてください。」
うーん。難しいね。このままだと、記憶を消される流れになってしまう。
いや、記憶を消されることはないんだけど、ここで二人の中で、“ミナの記憶を消した”ってことになってしまうと、今後二人の協力者になれる可能性がかなり低くなってしまうんだよねぇ。まあ、もう少し頑張ってみるか。
「本当に二人だけで隠し通せるの?」
「今まで何度も戦ってきましたが、誰にも存在が知られたことはありません。」
「それは嘘だよ。だって、私は知ってたから。」
さ、ここからが正念場だ。
頑張れ私。
「どういう……ことですか?」
「私がこの町に引っ越してきた時、聖君が片手に光り輝く剣を持ちながら、私と同じような状態になった真事ちゃんと戦っている姿を見たの。その時から、私は聖君が戦ってるってことを知ってた。」
「あの時、ミナもいたのか………。」
ま、本当に知ってたからね。
真事ちゃんの名前を出している事で、二人とも私が嘘をついているわけじゃないってことは分かったようだ。いやまあ、町に引っ越してきたって部分は嘘に、いや、ある意味引っ越してきたって表現は合ってるかも?まあいいや。
「お願い。私にも協力させて。私みたいな思いをする人を、これ以上増やしたくないの。」
「駄目です!!貴方には、私達と協力するということの危険性が……!」
「救、ミナの覚悟は本物だよ。俺達が止めて聞いてくれるような感じじゃあない。」
「私から情報が漏れるかも知れないって言ってるけど、それはないと思うよ。さっきも見たでしょ?私の知らないフリ。私、こう見えて結構演技力高いの。」
今も絶賛演技中でーす!
いぇーい!ぴーすぴーす!
「ですがっ!」
「ミナの覚悟は決まってる。正直俺も、救がいるとはいえ、一人でずっと戦い続けるのはキツいって思ってる。別にミナには戦えなんて言わない。でも、秘密を共有できる相手くらいはいてもいいと思うんだ。最終的な判断は救に任せるけど、俺はそう考えてる。」
聖君!ナイスフォロー!!
これは記憶を消さずに、私が仲間になる流れでしょ!!!
「駄目です!ミナちゃんは巻き込むわけにはいきません!!」
あるぇ!?
んー。思った以上に救ちゃんからの好感度が高かったようで、いや、それは嬉しいんだけどもね、貴方が認めてくれないと、困るんだよねぇ。
救ちゃん、結婚の許可を貰いにきたカップルに対して、娘はやらんぞ!って言って頑なに認めないお父さんみたいになってるよ。
「私を巻き込みたくないって言ってるけど、それは無理だと思う。聖君達は、私の体を乗っ取ろうとした悪魔を浄化してくれたと思うけど、それは完全じゃないの。」
「完全じゃない?どういうことだ?」
「私は確かに浄化した覚えがありますが…………。」
「確かに、ほとんどは浄化できてるんだと思う。でも、私の中には確かに、悪魔が住み着いてる。」
「そんなはずは………!す、少し体を見させてください!」
救ちゃんは額に汗を浮かべながら、私の体を調べ始める。
聖君も後ろで私のことを心配するかのような目で見てくる。
っていうか、体調べるって言ってるのにまだ私のこと見てるの!?
ちょっ!!待って!!私にも羞恥心って感情はあるんだよ!?
「あの、聖君、ちょっと、服脱ぐから………。」
「あっ、そっか、悪ぃ!!」
聖君は顔を真っ赤にして恥ずかしがりながら後ろを向いた。
うーん。いくらなんでも鈍すぎやしませんかね……?
「………………確かに、完全には浄化しきれていませんね………………悪魔にほとんど自我が残っていないので、危険性はないとは思いますが………しかしこうなると…………」
「これで分かったでしょ。私のことを巻き込まないようにするのは無理。だから、私のことは気にせず、思う存分巻き込んでほしい。」
「でも…!」
「救、ミナは、俺が全力で守る。絶対に傷付けさせはしない。だから」
「……………はぁ。なんで二人とも、そう頑固なんですか…………。そんな言われ方したら、断りにくいじゃないですか。あぁもう!!どうなっても知りませんからね!」
「うん。これからよろしくね。ええと……。」
「
「さっきから敬語で話してるけど、私達、そんなに歳離れてなさそうだし、敬語じゃなくてもいいのに。」
「敬語が性に合ってるんです。気を遣っているわけではないので、気にしなくても大丈夫ですよ。」
ふーむ。タメ口で話してもらうようにしてもっと深い関係になろうって思ってたんだけど、この調子じゃ無理そうだね。
ま、元々救ちゃんの私に対する好感度は高いっぽいし、焦る必要はないか。
^_^
『
真っ赤な髪に、真っ赤なレインコートを羽織ったつり目の男が、巫女服姿の少女に話しかける。
「へー!流石はオリジナル。中々やるみたいね。
そう話す少女は、綺麗な黒髪を持っており、とても真面目そうな見た目をしている。
オリジナル、というのは、どうやら聖達のことを指しているようだ。
『いいや。まだ分からない。“世界に破滅をもたらすもの”の討伐には協力してもらえるかもしれんが、”神殺し“にまで協力してくれるものか。』
「ま、私だって巫女の癖に神殺しをしようとしてるわけだし、神から使命を与えられたオリジナルでも、『神殺し』には協力してくれるかもしれないわよ?」
『ああ。それと、“世界に破滅をもたらすもの”に関してだが、未だに尻尾を見せていない。よっぽど潜伏するのがうまいようだ。いや、もしかしたら、本当は世界を破滅させたいなどと考えていないタイプかもしれない。もしそうなら、“世界に破滅をもたらすもの”にも、“神殺し”に協力してもらえるかもしれない。』
「あらそう?でもねーーー」
命と呼ばれた少女は、少し息を吐いてから、言葉を綴る。
「『神殺し』に協力してくれたとしても、私は『世界に破滅をもたらすもの』は殺すって決めてるから。」
救ちゃんからしたら、ミナちゃんはこの世界で唯一の女友達になるし、好感度はバグレベルに上がりそう。