裏切りのラスボス少女〜主人公君を裏切って憎しみに満ちた目で見られたい〜 作:あへんちんき
さて、主人公君の協力者になってから数日が経ったが、最近は悪魔が活動している様子はないようだ。
救ちゃんが言うには、上位悪魔が倒された事で、下級の悪魔達が慎重になっているんだとか。
ま、丁度主人公君は左腕を打撲しているわけで、戦闘するとなるとハンデを背負って戦うことになるわけだから、悪魔が活動しないって言うのは嬉しい誤算かもしれない。
んー上位悪魔に取り憑かれた時はカチンときてしまってついつい苛めすぎちゃったけど、今思えば上位悪魔に取り憑かれたことってそんなに悪いことではなかったんじゃないかなって思うね。
まあ結果論だけど。
ちなみに、私は今日はいい天気なので、川の土手で絶賛日向ぼっこ中だ。
「もし、お嬢さん。隣良いですか?」
と、せっかく気持ちよく日光を浴びていたのに、二十代くらいの男性から声をかけられてしまった。
ナンパかな?というか私、これでも高校生なんだけどね。ロリコンさんかな?
「いいですよ、どうぞ。」
普通の
「んーいい天気だねぇ。ところでさ、いつ動くの?」
「ですねぇ。いつ動くか、ですか?んーしばらくはこうしていたいですねぇ……。」
男性は、さも当然のように私に話題を振ってくる。
んーナンパですかねー。
仲良くなって、お茶でもして、ホテルに連れ込もうとでもしてるのかな?
ま、途中までは付き合ってあげてもいいけどね。
一応は私の事を魅力的に思ってくれているわけだし、悪い気はしないから。
でも主人公君に見られたりして、そういう活動をしているのかって勘違いされても面倒だし、やっぱりやめておこうかな?
学校に見つかっても面倒だしね。
「んーそうじゃなくてさ、いつ仕掛けるの?って。君、『世界に破滅をもたらすもの』でしょ?」
……………………は?
なんだこいつ。
ナンパ師じゃない………?
なんでバレた?そもそもこいつは何者だ?
ブラフ?いや、ブラフにしてもなぜ『世界に破滅をもたらすもの』の存在を知っているのかって部分に疑問が残る。
こいつ………一体………。
「動揺してるその顔も可愛いね。」
やっぱナンパ師じゃん。
「ごめんごめん。説明不足だったね。そうだねぇ、なんで君の存在を知っているかについて、なんだけど…………。ここだけの話、天使なんだよね、俺。」
天使……?
いや、存在についてはわかる。『世界に破滅をもたらすもの』に対抗する『世界を救済しようとするもの』のパートナーとして共に戦うように、神から使命を受けた存在だ。
しかし、この世界での天使は天使救だ。
断じて目の前にいる
仮に天使だったとして、私の存在を知っているというのがまずおかしい。
天使であるなら、私が『世界に破滅をもたらすもの』だということに気づいた時点で、私を始末しにかかるはずだ。
「んー信じられないって顔だね。あー、ちょっと補足。厳密には天使じゃなくて、
堕天使…………つまりは。
「神に逆らったの?」
「正解!ていうか、ミナちゃんもう隠す気ないんだね。自分が『世界に破滅をもたらすもの』だってこと。」
まあ、確信を持ってる感じだったし、敵って感じでもなさそうだったからね。仮に敵だったならば、主人公君に私の存在を知られるのが早まってしまうので、できればやめてほしいが。
「ま、神に逆らったっていうよりかは使命を放棄したっていうのが正しいんだけどね。俺、『世界に破滅をもたらすもの』側についたんだよね。」
話を聞く限り、彼は、神によって、こことは別の世界を救う使命を与えられた天使なのだろう。
つまりは、彼も
そんな彼が『世界に破滅をもたらすもの』側についたということは……………。
「裏切ったの?なんで?」
「まあ、そうなるよねえ。なんで裏切ったかって?単純だよ。死にたくなかったから。知ってる?『世界に破滅をもたらすもの』の倒し方。」
「倒し方?普通に『世界を救済しようとするもの』が天使と一緒に倒せばいいんじゃないの?」
「うん。だけどね、『世界に破滅をもたらすもの』を倒そうと思ったら、天使が犠牲にならなきゃいけないんだよ。天使の命を使ってしか、『世界に破滅をもたらすもの』は殺せないんだ。」
へぇ。知らなかったなそんな話。第一説明不足なんだよね
まあ確かに天使だって元は人間。急に神様から世界を救うために犠牲になってね、なんて言われたら、そりゃふざけんなって思うよね。
てことは救ちゃんも?
んー心中エンドは好きじゃないんだけどなー。
でもま、私に憎悪を抱きながら、おまえをころしてわたしもしぬー!をやってくれるって考えたら、悪くないのかもしれない。
「だから寝返ったんだね。それはいいんだけど、どうして私が『世界に破滅をもたらすもの』だって分かったの?」
「いやーほんとたまたまだよ?俺、この世界の住民でも、この世界に使命がある天使でもないからさ、基本的に魂だけの状態でも動き回れるんだよ。その時に、可愛い子がいるなーって思って見てたら、俺の隣にいた魂がその子に突然掴まれて食べられちゃってさ。いやーびっくりしたよね。」
なるほど。どうやら私が悪魔の魂をもぐもぐと食べている様子を見られていたらしい。
「それで、貴方の目的は?」
「『世界に破滅をもたらすもの』に協力すること、って言ったら、どうする?」
なるほど。
確かに、前々から思ってたんだよね。
「私の味方になってくれるってこと?」
「そうなるね。元々『世界に破滅をもたらすもの』には協力するつもりでいたけど、君みたいに可愛い子なら協力するのも苦じゃないね。あ、でも俺が君の味方になると、ちょーっと厄介なやつが君の敵になることになるんだけど、別にいいよね?」
「何そのちょーっと厄介なやつって。」
「死神、だよ。まあ、堕天使を殺すために創造された神の傀儡、かな。ある意味可哀想なやつだよ。俺みたいな堕天使だとか、君のような『世界に破滅をもたらすもの』みたいに元は人間だって奴と違って、堕天使を殺すっていう、ただその目的のために生み出された存在だからさ。」
まだ完全に彼のことを信用したわけじゃあない。
でも、私だって味方の1人や2人作っても問題はないはずだ。
死神という存在のことはよく知らないが、今彼がここに存在しているということは、ある程度彼が対応できる相手ではあるのだろう。
まあ最悪私が始末してしまえばいいわけだし。
「そっか。それじゃあ、えーと。そういえば名前は?」
「名前、名前かぁ。さぁ、忘れちゃったなぁ。君がつけてよ。」
嘘、だね。まあ、事情があるんだろうし、深くは突っ込まないけどさ。
「ふーん。わすれちゃったんだ?じゃあしょうがないね。というか、私がつけるの?名前。」
「そ。俺に名前。昔の名前は、もう捨てちゃったからさ。」
「そっかぁ。じゃあーーー」
私は彼に、名前を与える。
「なるほど、いい名前だね。気に入ったよ。それじゃあ、これからよろしくね。ミナちゃん。」
「うん、気に入ってもらえたようで何よりだよ。こちらこそ、よろしくね。」
こうして今日、私はこの世界で唯一の
堕天使さんの名前募集します。水曜日の23:59までに何も案がなかった場合は適当に決めます。