ベージュ色の制服のリコリス達   作:mai#急行八甲田

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名古屋支部リコリス棟 ④ ……It's a piece of cake.

 

これまでの主要登場リコリス

・名前

 ……読み方

 所属

 ー現在地

 

 

・椿黒 百合

 ……つばくろ ゆり

 関東本部・東京支部 直轄 サードリコリス

 ー中部本部 名古屋支部

 

・藤 なずな

 ……とう なずな

 関東本部・東京支部 直轄 サードリコリス

 ー中部本部 名古屋支部

 

・雪野 雫

 ……ゆきの しずく

 関東本部・東京支部 直轄 ファーストリコリス

 ー北海道本部・札幌支部

 

・月下 香

 ……つきした かおり

 関東本部・東京支部 直轄 セカンドリコリス

 ー北海道本部・札幌支部

 

・竜胆 葵

 ……りんどう あおい

 関東本部・東京支部 直轄 サードリコリス

 ー中国.四国本部・広島支部

 

・朝栄 藍

 ……あさえ あい

 関東本部・東京支部 直轄 サードリコリス

 ー中国.四国本部・広島支部

 

・柳

 ……やなぎ

 中部本部・名古屋支部 直轄 サードリコリス

 ー中部本部・名古屋支部

 

・Lilja Kielo Siilasuvuo

 ……りりや きえろ しーらすゔぉ

 中部本部・名古屋支部 直轄 サードリコリス

 ー中部本部・名古屋支部

 

・Hazel

 ……へーぜる

 中部本部・名古屋支部 直轄 セカンドリコリス

 ー中部本部・名古屋支部

 

 

 

これまでの主要登場人物

・名前

 ……読み方

 所属、役職等

 

 

・楠木

 ……くすのき

 関東本部・東京支部 司令

 

・栗田

 ……くりた

 中部本部・名古屋支部 司令

 

・桜沢

 ……さくらざわ

 中部本部・名古屋支部司令付 副官

 

 

 

 

 

***

 

~北海道本部・札幌支部 司令室~

 

「んじゃ、以上だ。帰っていいぞ。」

「「失礼します。」」

 

 

 東京支部から来た赤色と青色の制服の2人のリコリスは部屋を出ていった。隣にいる副官の竹林に愚痴を言う。

 

 

「ったく、栗田のヤロウ、ぬぁにが『頼れるのは貴方だけです、柿野さん。』だ。思いっきり楠木にも頼ってんじゃねぇか、!。あぁんの浮気者!」

「仰ってる意味が分かりません。」

「だ、!か、!ら、!!こっちは正式に移動という形で半年前に3人、3か月前にも3人、こっちからリコリスを送ってんの!。しかもうちの支部で特に優秀な4人にヘーゼルとリリヤの2人もだよ!。!。」

「そうですか。」

「反応が薄っ!」

「あの子達元気にしていますかね。」

「ったく、うちの支部の大事な家族の一員だからよ、。全員無事に、戻ってくんのを待つだけだけどさー、、。」

 

 

 椅子の背もたれに思いっきり寄りかかる。そして机の上に置かれた写真立てに入っている1枚の写真を見た。10年以上前、まだ旧電波塔が電波塔だった頃に6人で撮った写真だ。それぞれ写っている人物の下には名前と役職が書かれていた。もっとも、その内2人の名前は黒く塗りつぶされているが。

 

関東本部・北関東支部 副司令 ■■

同   ・北関東支部 司令  粟津

同   ・東京支部 副司令  楠木

同   ・東京支部 司令   ■■

同   ・南関東支部 司令  柿野

同   ・南関東支部 副司令 栗田

 

 

 

 

**

 

 模擬戦開始の合図と共に、ユリ先輩に見送られながら1番近くの横道に入り、一本向こう側の通りに出る。

 

 

ーーさて、どうやるっすかね。

 

 ひとまず右手にベレッタ・ウェステリアを持ったままゆっくりと歩く。

 

 

ーーこっちにはサードが4人すか。

 

 2人、2人で分かれてこちらを挟み撃ちにしようとしている。

 

 

ーースナイパーはスルーっすね。

 

 のんびりと散歩する様に歩き続ける。

 

 

 50m程前方、通りの左右にベージュ色の制服を着たリコリスが見えた。隠れることもなく、素早く移動することもなく、銃を構えてもいないから正面から火力で圧倒することにしたみたいだ。

 

 

ーー良い選択っすね。

 

 4人の手にはサードリコリスに貸与されるクリス・ヴェクターSMGが握られている。彼女達は物陰に隠れたまま一斉に射撃を開始した。

 

 

ーー腕はそこそこっすか。

 

 飛んでくる弾を見てから最小限の動きで避けていく。その間もゆっくりと、1歩また1歩と距離を詰める。

 

 弾が当たらないのを自分達の射撃練度のせいと思ったのだろうか。4人共同時に物陰から飛び出してくると正面から再び撃ってきた。

 

 

 

 

 

 目の前にいる同じ制服を着たリコリスは化け物だった。化け物の様ではない、文字通り化け物なのである。4人組のリーダーである髪を右でサイドテールにしている彼女は思った。

 

 最初は自分達の腕が悪くて当たらないと思っていたが、直ぐに弾を躱していることに気が付いた。そういうリコリスがいるのは知っていた。だから火力を集中させた方が良いと思い、4人で正面に出た。

 だが、今は後悔しか無い。背中を冷や汗が伝う。頭の中にはもはや恐怖の2文字しか無かった。ゆっくりとこちらに歩いて来る彼女は、自分達と同じリコリス、いや、人間とは思えない。

 加えて今度はどんなに狙っても、引き金を引こうとすると全く別の方向に撃ってしまうのである。分からない、どうして。手が震える。その内彼女を狙うことも出来なくなる。

 

 気が付けば自分は1歩後ろに下っていた。向こうが1歩距離を縮めてくる。また後ろに1歩下がってしまった。他の3人も自分と同様だった。弾倉が空になる。もう4人は誰も撃っていなかった。

 腰が抜けてしまって動けなくなる。4人揃って震えることしかできない。

 

 目の前の化け物は立ち止まった。そして、右手に持っていた銃をこちらに向けてくる………。

 

 

 

 

 

ーー今、うちは化け物と思われてんすかね。

 

 なずなは思った。

 

 どうして、向き合って戦おうとする者は自分を撃てないのか。どうしてそこまで恐れるのか。

 DA本部の養成機関で初めて模擬戦をしたときもそうだった。自分が目の前の相手に戦うという意志を持ったとき、その相手は泣きながら逃げてしまった。

 いくつかの制約はあるが、基本的に相手が正面にいて、自分がその相手に戦う意志を持つとこうなるのである。また、自分を狙え無くなる距離、正面から近付ける距離には個人差があった。

 

 

ーー彼女達はここまでっすね。

 

 自分は人ではない何かの血が混じっている。でもどうでもいい。

 目の前で動けなくなっている4人のリコリスに愛銃のベレッタ・ウェステリアを向ける。改造で取り付けた右側のレバーをフルバーストに切り替えた。引き金を引いて16発の弾丸を外すことなく4人の頭と心臓、それぞれに2発ずつ撃ち込んでいった。

 

 

 1発残っている弾倉を交換する。落とした古い方から1発を抜き取ってポケットに仕舞う。空っぽの弾倉はバッグに入れる。

 

 

――さて、ユリ先輩の元に行くっすかね。

 

 再びゆっくりと歩き始めた。

 

 

 

 

**

 

 ゆっくりと反対側の開始戦の位置まで来ると、体育座りの2人のリコリスが居た。

 Lilja と Hazel の2人が並んで座っている姿が姉妹に見えてくる。

 

 

「お疲れ。。百合。。。」

「彼女はどうした。」

「Hazel 。。降伏する。。。スナイパーだから。。開始前に。姿。見られてる。。だから。負け。。。言ってる。。。」

 

 

 そう言うと2人はまた謎のコミュニケーションを取り始めた。

 

 

「お疲れ様っす!、ユリ先輩!!」

 

 

 なずながゆっくりと歩いて来た。残るは柳だけだ。少し時間が掛かっているが、まさか返り討ちにあっているのか。

 

 

「柳さんのところ、助けに行くっすかね?」

「大丈夫な様だ。」

 

 

 向こうから柳が歩いて来るのが見える。

 

 

「なんだよ、俺が1番最後かい。ていうか早く終わったなら助けに来てくれてもいいんじゃねぇか?」

 

 

『そこまでだ。12人戦闘不能、1人降伏で模擬戦を終了する。』

 

 

 栗田司令の放送がかかる。上では大勢のサードリコリスが喜んでいるのが見えた。

 

 

 

 体をピンクに染めた12人はこちらを見る事なく演習場の外へ出ていった。呆気ない、少し消化不良な気もする。

 

 

「じゃあ、俺等も行こうぜ。」

「早く。。ご飯。。Norn も。来る。。。?」

「…………。」

「今のは分かったぜ!Yes だろう?」

「うん。。そんなところ。。。」

 

 

 昼食を食べるメンバーが1人増えた。この模擬戦の後に大勢で食堂へ向かったら面倒臭いことになりそうな気がするが。

 

 

 

「行くっすよ、ユリ先輩!」

「ああ。」

 

 

 我々は演習場を後にして、一葉、茉莉花と合流した。

 

 

 

 

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