ベージュ色の制服のリコリス達   作:mai#急行八甲田

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名古屋派遣 ③ ……cryptic remark

 

中部本部(伊吹山周辺)

 

名古屋支部(本部併設)

中部本部内全域と名古屋市内での任務を中心に活動する。優秀なリコリスが集まる。

 

東海支部(犬山)

静岡地方支部(静岡)、愛知地方支部(名古屋)、岐阜地方支部(岐阜)と支部直轄員で構成される。

 

甲信越支部(松本)

山梨地方支部(甲府)、長野地方支部(長野)、新潟地方支部(新潟)と支部直轄員で構成される。

 

北陸支部(小松)

富山地方支部(富山)、石川地方支部(金沢)、福井地方支部(福井)と支部直轄員で構成される。

 

中部国際空港セントレア支部

特別な知識や技術を持ったリコリスが所属している。基本的にリコリスは18歳までだが、空港職員や航空会社社員に成り済まして活動を行う、通常のリコリスを卒業した者も所属している。

 

 

地方支部

県内の通常任務を担当する。市内等で生活をしながら活動するリコリス達の統率を行う。支部直轄員の支援も行う。地方支部は更に、地域支部と分室に分かれる。基本的にはセカンドリコリスが1人以上所属し、且つ10人以上のリコリスで構成されるのが地域支部。10人未満且つサードリコリスのみで構成されるのが分室となっている。

地域支部と分室はリコリスを管理するための部隊名の様なものである。

 

 

 

 

 

***

 

 車から降りると向こうの職員が待機していた。なずなが2人の職員と荷物を降ろしている。

 

「2人ともありがとっすね!」

「いやいや、こちらこそ久しぶりに楽しい任務だったよ。」

「気を付けて、無事に東京に戻ってこいよ。」

「大丈夫っすよ…!うちらは簡単にやられませんから。2人も気を付けて帰って下さいっすね!」

 

 

 車は走り去っていった。

 

 私はなずなのことをいつのまにかずっと見ていた。それに気が付いた彼女が私の手を握ってくる。

 

 

「すいません…!ユリ先輩、せっかくのドライブだったのに職員と盛り上がっちゃって、。」

「私は何も気にしていないが。」

「いやいや、あんな目でじっと見つめられたらそうだと思うじゃないっすかー。」

「私が嫉妬しているというのか。」

「そういうわけじゃないっすけどね。そうだ!帰りは鉄道にしないっすか?」

「司令の許可が出ればな。」

「後で聞いておきますよ!!」

 

 

 生体認証を受けて建物の中に入る。中部本部の職員と共に受付を済ませると、司令は何かの対応中らしく暫く待って欲しいと言われた。

 少し時間を潰すことのできる場所は無いかと探していると噴水広場に出た。職員は後で呼びにくるからと言って行ってしまった。

 

 

「この造りだけはどこも変わらないな。」

「本部併設支部のリコリス棟には必ずあるっすよね。」

「なら中部本部のラジアータもここにあるのか。」

「どうっすかね〜、そもそもラジアータが何台あるのか分からないっすから。ただ北海道本部・札幌支部は独自のラジアータがありましたからね。ここもそうじゃないっすか。」

 

 

 なずなが端末を取り出して誰かと連絡を取り始めた。

 朝ということもあり広場に他のリコリスはいない。噴水の音が響き渡る。東京と比べると天井が低いのが少し気にかかる。

 

 

「お、茉莉花さんが来てくれるみたいっすね。」

「一葉は来ないのか?」

「なんか深夜に凄い戦闘があってまだ寝てるみたいっすね。」

「凄い戦闘?」

「凄い戦闘っすね…。」

「深夜にか?」

「深夜っすね……。」

 

 

 噴水の向こうから1人のリコリスがやってくる。深夜に凄い戦闘をしていた割にはとても元気そうだし、心なしかその表情はつやつやとしていた。一葉は大丈夫だろうか。

 

 

「ごめーん、お待たせ、!」

「いやうちらが急に呼び出したっすから。こっちこそすんません。」

「なずなも百合も元気にしてた?」

「まあいつも通りっすよ。」

「我々は特に問題は無い。それより深夜に凄い戦闘があったみたいだが一葉は大丈夫なのか?」

「そうなのよ〜、深夜にいつも通り一葉ちゃんを襲ったら今回は何故か全然抵抗しなくてね〜〜。寝る前に飲んだお水に何か入っていたのかしら。」

 

 

 白花 茉莉花(しろはな まりか)、中部本部で1位2位を争う程の実力を持つセカンドリコリスだ。一時期東京支部にもいた同い歳だ。並のファーストよりも強い。だが昇格はずっと見送られている。彼女は気に入ったリコリスがいるとすぐに襲うからだ。勿論お互い同意した上での行いだそうだが。

 そんな彼女と長年コンビを組んでいるのが、黒羽 一葉(くろば かずは)だ。同い年のファーストリコリスである。

 

 

「私達は今日一日休みなのよ。午後には復活すると思うから心配しないで。」

「それなら良いが。」

「媚薬とか痺れ薬とか入れたんすか?」

「ふふっ、、それはヒ・ミ・ツ、!後でなずなにもあげるわよ。」

「本当っすか!」

 

 

 なずなが受け取った薬はどの様に使われるのかと考えて止めた。使う相手は私しかいないだろう。せめて東京に戻ってからにしてほしいが……。

 

 

「それより、なんであなた達2人が名古屋に派遣されたのかしら。」

「何か聞いてないんすか?」

「いいえ、特に聞いてないわ。」

「先月に大規模な作戦があったと聞いたが。」

「えぇ、、……、名古屋港での作戦よ……。100丁の銃と麻薬の取り引きだったわ……。東海支部直轄の子達と協力しての作戦だったのだけど、……。」

「何人死んだ。」

「名古屋支部からはサードが4人、それと重症が7人ね。酷かったのは東海支部の子達よ。32人が亡くなったわ。」

「32人だと。」

「重症者も含めれば東海支部直轄の子達で任務に出れるリコリスは20人もいない状態ね。」

「偽情報だったのか。」

「半分本当で半分が嘘よ。私達名古屋支部が持っていた情報は殆どが嘘だったのよ。逆に東海支部が持っていた情報はほぼ正確だった。相手が重機関銃を用意していることを除いてね。結果的に私達は陽動に引っかかってしまって何もできなかったわ。そして東海支部の子達は私達の援護無しに重機関銃を用意している本命に飛び込んでしまったのよ。」

 

 

 我々リコリスは本来隠密に行動し、闇討ちをするのが基本だ。中には直接戦闘の経験が豊富なリコリスもいるが、大抵そういった戦闘力の者は本部併設支部のリコリスとなる。

 重機関銃を用意して待ち構えていたとなれば一方的な戦いだっただろう。一刻も早く名古屋支部に偽の情報を流した裏切り者を見つけなければ更に多くのリコリスが命を落とすだろう。

 

 ただ謎がある。なぜ東海支部が正しい情報を持ち、名古屋支部が偽の情報を持っていたかだ。共同作戦ならば本来決行前に司令や関係者同士で情報等の確認を行うはずだ。そこで気が付かないわけがない。

 

 

 一旦、情報を整理する。司令は名古屋と広島に派遣するのはサードと言った。つまりその他の支部に派遣するのはセカンド、ファーストである。名古屋と広島で起きているサードへの冷遇と裏切り者との関係を調べるために2つの支部にはサードである我々を派遣したということだろうか。

 次に司令が名古屋支部に裏切り者がいると言ったことだ。断言はしていないが確証がなければ口に出すような人ではない。ラジアータも本命が名古屋と言った様に、やはり我々がいるここに裏切り者がいると考えていいだろう。

 そして名古屋と広島の関係である。これについては現状、何の情報もない。後で広島に行った2人に何か新しい情報が無いか聞くしかないだろう。

 最後に何故7つの本部併設支部に東京から派遣するかだ。

 私が司令の立場にあればどう考えるだろうか。裏切り者の所在がどこなのか分からないフリをするか。違う、そうではない。全国に一斉に派遣する理由は何なのか。

 先程の自分の考えを思い出す。司令や担当職員による情報の確認。この立場にある人間ならどこの支部からどこの支部にリコリスが移動したか分かるはずだ。だから全国に少人数を派遣するのか。もし、裏切り者の支部に突然多くのリコリスが来ることになれば、恐らくバレたと考えて逃亡するか次の手を使うだろう。

 ただそう考えるとここの司令自身は除いて良くなる。楠木司令に派遣を直接お願いしていたはずだからだ。支部内で対処しきれない、かと言っておおがかりな応援を他支部に要請すればバレてしまう。だから楠木司令に手伝ってもらっているといったところか。

 今の所の結論が出た。裏切り者はここ名古屋支部にいて比較的地位の高い人間である。冷遇されるサードと裏切り者には何かしらの関係がある。名古屋と広島の関係は今の所の不明である。

 

 私が1人で考え込んでいる間、なずなと茉莉花は昔話で盛り上がっていた。そんな2人の会話も一旦中断される。職員が戻ってきたからだ。

 

 

「司令がお呼びです。」

「遅いっすよー、全く、こっちは長距離の移動で疲れてるんすからね。。」

「私はここで待ってるわ。荷物、多いし置いていっていいわよ。」

「ありがとう。頼んだ。」

 

 

 我々2人はベンチから立ち上がると職員の後に付いて司令室へと向かった。

 

 

 

 

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