北海道本部(恵庭山周辺)
札幌支部(本部併設)
道南支部(渡島総合振興局北斗市)
支部直轄(北斗)
渡島.檜山地方支部(函館)
函館地域支部
八雲分室
道央支部(石狩振興局千歳市)
支部直轄(千歳)
後志.石狩地方支部(札幌)
札幌地域支部、小樽地域支部
江別地域支部
倶知安分室
胆振.日高.空知地方支部(苫小牧)
苫小牧地域支部、室蘭地域支部
岩見沢地域支部
滝川分室、日高分室
道東支部(十勝総合振興局音更町)
支部直轄(音更)
十勝.オホーツク地方支部(帯広)
帯広地域支部、北見地域支部
紋別分室
釧路.根室地方支部(釧路)
釧路地域支部
根室分室
道北支部(上川総合振興局名寄市)
支部直轄(名寄)
上川地方支部(旭川)
旭川地域支部
富良野分室
宗谷.留萌地方支部(稚内)
稚内地域支部
留萌分室
***
221号室の前に到着した。繋いでいた手を離すと手には自分のものではない温もりがあった。
一葉がドアをノックする。
「入っても大丈夫?」
中から返事は聞こえない。
「まぁ、何時ものことだし勝手に開けて大丈夫でしょ。」
そう言って一葉がドアを開けた。
部屋の中を見ると床に座って64式小銃を分解して手入れをするリコリスがいた。
「どこら辺がヤバいんすか?」
「いやいや、どこをどう見たってヤバい所しか無いでしょ。」
私から見ても特別やばいとは思わない。確かに、床に座って64式小銃を整備している彼女が着ているのは1943年改正のソ連軍の軍服で、飲んでいるのはルートビア、スピーカーから聞こえてくるのはイギリス/スコットランドの The Campbells are coming で、壁にはアメリカの歴代大統領とソビエトの歴代最高指導者の写真が掛けてあるし、額縁に入れて飾ってあるのはSS武装親衛隊の各部隊マークのピンバッジだがそこまで言う程では無い。
一葉がドアを閉めた。
「なんでドア閉めちゃうんすか。」
「絶対に関わっちゃ駄目なタイプでしょ。天井にハーケンクロイツとか飾ってあるし。」
「あれはフィンランド軍のハカリスティっすよ。」
「壁を見たわよね。」
「アメリカの歴代大統領とソビエトの歴代最高指導者の写真、それからSS武装親衛隊の部隊マークのピンバッジが飾ってあったすね。」
「着ている服は見たわよね。」
「ソ連軍1943年改正、尉官用の略式っすね。」
「飲んでいるものは?聞いている音楽は?」
「ルートビアに The Campbells are coming っすね。」
「机の上は見えたわよね。」
私の立ち位置からは机の上は見えなかった。何が置いてあったのだろうか。
「アメリカ50州の州旗と旧ソ連構成国15ヵ国の国旗のミニチュアじゃないっすか。あと艦○れのフィギュアとか。」
「これらを見ても何も思わないの?!?!」
「別に、彼女の趣味なのかなーとは思うっすけど。」
なずなが再び扉を開けた。床に座っていた彼女は手を止めてこちらを見ていた。
「珍しいな、俺等の部屋に用か。?」
「今日からこの部屋に1ヶ月お世話になるリコリスっすよ。」
「おー、昨日聞いたよ。ちょっと、散らかってるけど。お前等のスペースは綺麗にしといたからな、。好きに使ってくれ。」
「了解っすー、早速荷物の整理しちゃうっすね。一葉さん、茉莉花さん、手伝って下さいっすよ。」
「残念だけど、私達はこれで失礼するわ。」
一葉と茉莉花は我々の荷物を置いて帰ろうとした。
「おいおい、ちょっと待てよ、、青服。いま紅茶淹れるから飲んでけよ。」
「あんたはある意味赤服っすよね。」
「はっ、上手いこと言うじゃないか。」
「おい、!そこの赤服。」
「はいっっ、、何でしょうか。」
「部屋で紅茶を飲んでけ、じゃなきゃお前が昨晩どんなプレイしてたか言って回るぞ。」
「「えっ……。」」
どうして彼女は分かるのだろうか。そう思って彼女を見ると空気中の臭い、匂いを嗅いでいる様に見えた。すんっ、すんっ、といった感じで再び嗅いでいる。
「おー、お前等、、また凄いプレイしたなー。」
「「うっっ、、…………。」」
2人の顔がみるみる赤くなっているのが感じ取れる。
「そんでお前等は、富士山の近く、、東京支部から来たのか、朝飯に牛飯食っただろう。飛騨牛が入ってんな。」
「凄いっすねー。どのくらい遡れるんすか?」
「いい質問だな、きっかり24時間よ。」
2人は更に顔を真っ赤にして俯いている。特に興味は無いがどんなプレイをしたのだろうか。
流石に自分の匂いを嗅がれてしまったのは年頃の女子としては恥ずかしい。一葉の目には薄っすらと涙が浮かんでいる。
「おっ、。泣かすつもりはなかったんだけどな。。」
「何かすんません、うちのせいで。」
「なずなが謝ることではないわ。ちょっとあなた、一葉ちゃんに謝って。」
そう言われた彼女はこちらを向くと土下座をし始めた。
「申し訳ない、不快にさせるつもりはなかったんだ。」
「いや、僕の方こそ君がいつも他人の匂いを嗅いでいるのは知ってたんだから。土下座なんかしないでくれ。」
「おー、そうか。」
そう言うと彼女は立ち上がって紅茶の準備を始めた。棚から出した各種の道具はとても本格的だった。
「そんな所に立ってないで入れよ。」
「そうっすね、取り敢えずスーツケースは机のとこに置くっすか。」
なずなが扉を閉めた。我々4人は部屋の中へと進んだ。
「お前等のベッド左側の2段な。。机とロッカーは同じ空いてる左側の2つだ。っと、自己紹介がまだだったな。俺は柳(やなぎ)だ。17歳、下の名前はねえよ。他のリコリスは色んなあだ名で読んでるが、俺が俺だと分かるなら呼び方は何でもいい。好きにしろ。」
「椿黒 百合だ。よろしく。」
「藤 なずなっすよ。」
紅茶の良い香りがしてくる。手早く5人分を用意していた。
「来客なんて普段は来ねえからよ、椅子はなんか適当に、、あ、お前等はベッドに座れ。どうせいつも2人並んでそうしてんだろ。」
そう言われた我々は、割り当てられた左側のベッドの下段にいつもの様に座った。柳が2人分の椅子を持ってくる。
「お前等2人はこっちに座りな。あと紅茶だ。」
そう言って1人1人にカップを手渡すと彼女は自分のベッドに腰掛けた。
紅茶を口にする。この香りと清涼感はキシリトールか。
「なんだこれ、この紅茶、、キシリトールが入ってる。」
一葉が一口飲んでそう呟いた。
「おー、、すまん。あいつに出す癖でって、紹介忘れてたな、。おーい、起きろフィンランド女。」
そう言った彼女は上段ベッドのカーテンを開けた。中にいた少女は上体を起こすと眠そうな顔でこちらを見てきた。その顔には見覚えがあった。
「分かってる。。。その呼び方。止めてって言ってる。。キ○ガイ。」
1年半前、東京支部に応援に来てくれた札幌支部のリコリスだ。1年前、我々が札幌支部に向かった時も共に活動した。
「2人とも。。久しぶり。」
「おっ、知り合いなのか、。」
「久しぶりっす!百合さん。」
「久しぶりだな。移動になったのか。」
「そう。。3ヶ月前に。。。。そっちの2人も。。1年半前に何度か会ってる。。こっちに来てからも。2回。。」
「えっと、ごめん。見覚えはあるんだけど名前が思い出せなくて。」
「2人に自己紹介。。したことない。。知らなくて当然。。」
梯子を使ってベッドから下りると、柳が持っていたカップを奪って中身を一気に飲み干した。
「私はLilja。Lilja Kielo Siilasvuo。17歳。」
「Lilja はフィンランド語で百合っすからね。」
「Kielo は。ミドルネーム。。フィンランドの国花。鈴蘭のこと。。。2人の名前。知ってる。。黒羽 一葉と白花 茉莉花。」
彼女はカップを自分の机の上に置くと、引き出しからお菓子を取り出した。
「せっかく。。2人。。一葉と茉莉花。来てくれた。。。紅茶だけじゃ。。味気無い。。。これ。あげる。。。」
「フィンランドのリコリス菓子じゃないっすか。」
「リコリス?僕たちと同じ名前のお菓子?」
「気になるわね。」
「美味しい。。食べてみて。。。」
一つ一つ手渡しされたキャンディを、2人は素直に口の中へと入れたのだった。
**
「これを2人に渡してくれ。」
「1ヶ月間自由に外出が出来る許可証、ですか。思い切ったことをしますね。」
「私ではない。楠木だ。」
「あの人らしいです。それより何故あの2人を221号室に入れたんですか?」
「そっちの方が、、ふふっ、、、面白くなりそうだろ?」