「PM1910?今何処にいるかしら」
彼女の質問から数秒後、雑音混じりで返答が返ってきた。
「おうよ。こっちはいつでもゴミ掃除できるぜ」
グローザは知っていた。彼女は映画のように派手な銃撃戦を好む。言い換えれば、鼓膜が破ける程うるさく響く銃声が好きなのだ。グローザは一息吐くと再び無線を掴んだ。
「えぇ、ならお願いできるかしら」
「もう攻撃してもいいのか?」
「えぇ、そうよ。そちらの攻撃を合図に、こっちも攻撃を仕掛ける」
開戦の火蓋をPM1910に任せたグローザ。彼女は信じていた。この采配が最も最善な戦術であると。
PM1910は命令を聞き終えると、右手の両サイドにある2本の縦棒を握り始めた。モシンナガンも臨戦態勢をとった。スコープを覗き、銃を構えているイェーガーに狙いを定める。PM1910は思わず笑みをこぼした。これから起こるであろう未来を想像し期待を膨らませていたのだ。そして開戦の火蓋は切られた。
PM1910は親指でトリガーを押し込み射撃を開始し、無防備な脇腹に7.62mmが襲いかかる。人形も脇腹や頭部といった部分は致命傷の原因となる。動力源付近の配線やパーツがズタズタに引き裂かれ機能を停止し、。四脚もバラバラになる程の火力を誇る。腹部に被弾したヴェスピドは上下真っ二つになり、地面に無造作に崩れ落ちる。腕に被弾したイェーガーは武器を落下させた。後方から前線へ移動しようとしたガードの盾もこの弾幕には無意味だった。そこにいる全鉄血に鉛玉の洗礼が降り注いだ。ある者は腕や足、胴体が引き裂かれ、ある者は頭部に被弾した。彼女らにそれを回避する術などあるはずが無かった。
ようやく自分達が狩られていると理解した鉄血達は銃口をPM1910へ向けた。その行為が新たな火種となることも知らずに。突如、銃弾が仲間を襲う。一部の鉄血は再び制圧射撃を行う。彼女たちは知る余地も無かったのだ。いつの間にかキルゾーンが構築されており、
8:30 チェコ共和国ー鉄血活動区域
AK-47、AK-74M、AK-74U、RPD、ドラグノフ、PP-19は冬のチェコの森を歩いていた。そこは白銀の美しい風景が辺り一面に広がっていたが、同時に来るものを身体を削るような厳しい寒さで出迎えた。体がかじかむような寒さが一同を襲い、思わずAK-47は一息吐き冷え切った手を温めた。ふんわりと指先から暖かくなり、手から白い息が漏れた。そして白い吐息は白銀の世界と混じり消えていく。
チェコの冬。そんな来るものを拒む地で、彼女たちは警備を担当していた。数日前、ここを占領していた鉄血を掃討した。しかし、つい最近になって鉄血と思われる小規模な部隊との小競り合いが発生していた。初めは数人規模だったものが、20人、30人と襲撃のたびに増え、今では小隊並みの規模になっていた。彼女らの任務は襲撃してくるであろう鉄血たちの足止め及び防衛であった。彼女らは塹壕を掘り、ちょっとした防衛陣地を作り上げ監視を始めた。
「こちらデルタ−1。定時報告、異常なし」
『こちら本部。了解した、引き続き警戒せよ』
AK-74Mは無線機をしまい込むと双眼鏡を取り出した。一方でAK-47はウォッカの瓶を取り出した。瓶の内容物を回すように振ると1杯口に入れた。彼女の得物にはセーフティーがかかっている。
「AK-47、気を抜き過ぎです。仕事中ですよ」
「......だってさ、ここ数日は平和そのものじゃん」
AK-47はそう言い切ると再びウォッカを口にした。グビグビと音を立て勢いよく飲む。半分もあったウォッカが一気に空のボトルへと変化した。乱雑に投げ捨てられたボトルが宙を舞い、クッションのような銀雪へズボっと音を立てて沈み込む。AK-74Mは緩みきったAK-47を睨みつけた。
「だからといって勤務中に酒飲む免罪符にはなりません」
AK-47は2本目のボトルに手をつけようとしていた。
「でも、来るって保証もない」
彼女は銃のストックでウォッカのボトルを開ける。そしてそのまま豪快に飲み始めた。相方のサボりを間近で見た彼女は小さく悪態をついた。そして再び双眼鏡を覗く。彼女に聞こえるのは相方のウォッカを飲む音だけだった。
RPDとドラグノフ、PP-19、AK-74Uの4人は後方で卓を囲んでいた。オリーブドラブの木箱の上で4人はブラックジャックをしている。後方はちょっとした前哨基地となっていた。数人が寝て泊まれるようなテントに、調理用のガスコンロ。また長期間任務のための食料や弾薬、嗜好品など様々な物品が貯蔵されていた。
ドラグノフは3人に2枚ずつカードを伏せて配る。そして山札から2枚取り出し1枚は表向きで、2枚目は裏向きで木箱の上に置いた。3人は伏せた2枚のカードを自分に見えるように確認した。
「さて、掛け金をレイズしたい人形は?」
掛け金は7.62ミリや5.56ミリの空薬莢である。3人は空薬莢たちをレイズすると「ヒット」と言い始める。ドラグノフは山札からカードを伏せた状態で1枚ずつ配る。カードを配ってる最中にRPDが話しかける。
「そういえば、指揮官はどうしてこんな辺鄙なところを警戒してるんですかね」
その一言に74Uが反応した。
「ここが拠点への最短ルートの一つなの。
「しかも最近だと小競り合いがあった。だからここは大切な場所の一つって訳さ」
PP-19も会話に参加する。彼女は1枚カードを受け取ると嬉そうな声を出した。RPDにもカードが配われた時、再び質問が始まった」
「そんな大切な場所なら、こんなことして大丈夫なんですか?」
「仕事には休憩が大切だろ?」
ドラグノフも会話に参加した。その目は余裕と自信に満ち溢れている。
「これくらいのゲームなら休憩の範疇に過ぎない。さて、今回の景品だが......」
ドラグノフは木箱の影に隠してあったボトルを取り出した。黒く細長いアブサントのボトルだった。
「先週の配給品だったアブサントだ。今まではウォッカしか配給されなかったから新鮮だろ?」
ドラグノフはそう言いつつ、景品のウォッカを嬉しそうに振って購買意欲を煽った。その寸劇を見たPP-19は掛け金をもっとレイズした。
「残念だけどこれは譲れないね」
「たかがお酒でしょ。勤務が終わったらすぐに買えるでしょ......」
「分かってないな、74Uは。こういうのは勝ったから美味しいんだ」
「はは。そうこなくっちゃな。じゃ、カードを見せてくれ」
3人がカードに手をつける。そして表にしようとした時だった。突如小さな爆発音が聞こえた。ずしんと鈍く揺れ、木々の間から積もっていた雪が落ちてきた。PP-19やAK-74Uの頭上に雪が少量だが降り掛かった。気が緩んでいたAK-74Uだったが、すぐに自身の得物に手をかけた。
「敵襲か......?」
ドラグノフがぽつりと呟く。辺り一面が図書館のように静まり返っていた。不気味に静まり返った世界。あまりにも気味が悪く、これから何が起ころうとも不思議ではなかった。PP-19も遠くへ置いてあった得物を引き寄せる。緊張が場を支配する。それを打ち破ったのは2つ目の爆発音だった。
それは至近弾だった。木箱から数百メートル離れた位置で爆発が起こる。積もっていた雪が波のように激しく一同に降り掛かった。髪や銃、木箱に白いグラデーションが描き足されていく。耳をつんざくような轟音は頭を揺らし視界を歪ませる。誰がどう見ても、これが襲撃なのは明らかだった。2発目を貰った一同は目つきを変える。それは先程の緩み切ったものではない。獲物を探す、獰猛な鷹の目。まさに戦士そのものだ。銃を即座に握りコッキングする。そして彼女らは一斉に持ち場へ向かって走る。
AK-47は轟音を聞きつけるとボトルを放り投げた。残っていたウォッカが雪に降りかかる。瓶は木にぶつかり、パリンと小さく割れる音がした。彼女が握り締めたのは代わりのウォッカではない。彼女の得物でもあるカラシニコフだ。
砲弾の雨が降り注ぐ中、AK-74Mは双眼鏡から無線機へと交換した。そしてすぐ無線機に話しかける。
「こちら、ブラボー1!本部へ連絡!敵襲!敵襲!」
『こちら指揮官。再び連絡を頼む。電波が悪い』
「こちらブラボー1!敵襲!てき、」
74Mは思わず無線機を手放す。至近弾の衝撃と爆風で手放してしまう。ベレー帽は彼女から離れ、小麦色の髪が露わになる。74Mは必死に這って無線機を回収した。無線機に手を伸ばし周波数を確認する。
「こちらブラボ......あぁクソッ!」
回収した無線機には、割れたガラス片のように弾頭の破片が突き刺さっていた。74Mは悪態をつきながら無線機を放り投げる。そして入れ替わるようにAK-47が入ってきた。AK-47は74Mのそばに近寄る。”ちょっとした塹壕”が彼女らにとっての安全地帯であるのは明白だった。
「AK-47!無線機を貸して!」
「了解!」
AK-47から無線機を受け取った74Mは、再び司令部へ連絡を試みた。
「こちらブラボー1!聞こえますか!」
『こちら本部からブラボー1へ。感度良好。何があった?』
彼女は深呼吸をする。そして再び怒鳴るように無線機に向かって話した。
「敵襲!繰り返す敵襲!」
9:00 S06地区ー作戦会議室
グローザは作戦会議室に急いで向かった。そこには9A-91とA-91、KS-23、SR-3MPが座っており、PM1910は壁に寄りかかっていた。指揮官は立ちながらパソコンを弄っていた。グローザが椅子に座り込むとモシンナガンが入ってきた。
「全員揃ったか?」
指揮官は辺りを見渡した。その姿は、何処か憔悴しているように見えた。いつも陽気な指揮官から、ただならぬ雰囲気が溢れ出ている。その様子から今回の作戦が異常なことが誰の目でも分かるのだ。
指揮官は全員が揃ったことを確認すると、モニターの電源を入れた。モニターには雪山を真上からみた映像が映し出されていた。味方を示す青丸が後退しているのにたいし、敵を示している赤丸の群れがジワジワと前線をあげていた。
「30分前、AK-74Mから救援要請があった。彼女らはここら辺りの警備を担当していた」
指揮官は淡々と説明する。その口調は何処か焦っていた。
「なぜ焦っているんだ?ただの小競り合いだろ」
壁に寄りかかっていたPM1910が口を開いた。いつもぶっきらぼうな彼女だが、的確な意見を述べることがあった。指揮官はその質問に返答した。
「小競り合いなんかじゃない。軍隊だ」
「敵の数は?」
グローザが噛みつくように質問する。
「軽く見積もっても80以上だ。備蓄の弾薬もそんなに無いから、もう少ししたら弾切れになるかもしれない」
憶測が飛び交う。しかし指揮官の話す内容からある程度察する事ができる。彼女たちが置かれている状況はとても芳しく無いだろう。それも逆に狩られる側になったこと。いくら優秀な人形でさえ、その立場の逆転を挽回するのは厳しいものがある。
「状況はわかった。それで私達が使えるものは?」
「4WDのバンが数台とスノーモービル。あとチームを確認するためのドローンが1機」
「それだけあれば十分よ。PM1910、スノーモービルに貴方の銃座を確保するよう頼んでおくわ」
「つまりタチャンカってことか」
「тачанка」*1とは第一次大戦やロシア革命後の内戦にて使われたマキシムの運用法の1つだ。それはPM1910を2〜4輪の馬車の後ろ向きに配置すること。これにより馬車による高い機動力と、7.62mm×54R断による強力な火力を同時に運用できるのだ。
「バンに乗って途中まで移動、下車してAK-47と合流。PM1910はスノーモービルで敵の側面に回って」
「スノーモービルの運転手はモシンナガンか」
「ええ、彼女にやってもらおうと考えているわ」
「それって鉄血にバレない?スノーモービルも結構音がすると思うんだけど」
SR-3MPは彼女の意見に反論した。
「確かにエンジン音は相当なものね。けどそれは銃声で隠せる。合流したら騒がしく暴れて」
「了解。それは任せて」
「OKよ〜任せて頂戴な」
「あぁ、任せろよ」
その場にいる全員が賛同の声を上げる。一同は席を離れるとそれぞれの持ち場に付く。宿舎にあるガンロッカーから自分の得物を取り出す。予備の弾倉や手榴弾等にも手をつける。全員の準備が終わると、グローザ率いる揺動班は車両に乗り込む。PM1910とモシンナガンはスノーモービルに乗り込んだ。一同はエンジンをかける。鋼鉄の騎兵が唸り声を上げる。仲間の危機を救うため、騎兵隊が地獄へと向かうのだ。
AK-47は見境なく撃っていた。狙うことなくトリガーを引き続け、風景が揺れて見えるような重々しい銃声が響き渡る。彼女の使用する弾薬は反動が大きく、フルオートには向いていない。しかし、AK−47は彼女のじゃじゃ馬を手懐けていた。排気口から黄土色の空薬莢が雪に吸い込まれ、熱により雪が溶け薬莢は沈み、銃口から湯気のように硝煙が立ちのぼっていた。ここでAK-47は異変に気づいた。あの衝撃や銃声が止んでおり、沈黙していた。それもそのはず、フルオートで撃っていたためつい先程リロードしたはずのマガジンが空になっていたのだ。重々しい銃声は軽く虚しい金属音へ成り果てた。
AK−47は慌てた手付きで腹に巻かれているマガジンポーチに手を伸ばし、新しいマガジンでマガジンリリースボタンを押して空マガジンを地面へ捨てた。そして装填しコッキングレバーを引こうとしたが、鉄血はそれを許さなかった。
前方に陣取ってるヴェスピドの小隊が嵐のような弾幕でAK-47を襲う。青いレーザー光線が滝のように流れる。その光線は命中せずとも制圧効果がある。顔を出そうものなら、風船のように破裂するであろう。また前衛を担っているのは何もヴェスピドだけではない。リッパーやストライカーが彼女らと共に参加する。彼女らの射撃も命中率は低い。だがストライカーが放つ光線もまた強力な一撃となりうる。彼女の一撃も侮れない。圧倒的な射速により文字通り手も足も出ない。さらに後方にはイェーガーが待機している。彼女らの狙撃は正確そのもの。針に糸を通すような正確さでありながら、胴体を吹き飛ばすほどの威力を誇る。彼女らも凶悪な存在であるといえる。
AK-47は塹壕に隠れるとコッキングレバーを引いた。しかし反撃することは不可能だった。光線が雨のように降り注ぐ。顔を出す暇などある訳がない。それどころか満足に周りを確認することも出来ない。AK-47は塹壕から腕だけを出し盲目撃ちを行う。これだけ数が多いのだから、何発かは当たるだろう。地獄の中で唯一の楽観的な思考である。頭上から空薬莢が舞う。数十秒間、発砲音がしたかと思うと今度は空撃ちの音が響く。AK-47は銃を懐に戻すとリロードする。再び盲目撃ちをしようと腕を伸ばそうとする。しかし光線が塹壕スレスレで飛んでくる。もはや腕をだす暇も無い。AK-47は思わずグリップとハンドガードを握りしめた。
彼女は自分が置かれた立場を呪った。隠れている最中、何度も何度も何度も呪っていた。頭上の光線は降りやまぬ雨のようだった。光線は雪を溶かし焦げ臭い匂いを発する。至近弾の雨はAKたちに苦痛をもたらす疫病そのものだ。この絶望を晴らすのは神しかいない。そう考えるようになっていった。
そんな時、ふと指揮官の声が脳内をよぎる。危機的状況だったからこそ印象強く脳内に浮かんできた。
『「運命は、強い者を助ける」これは古い格言の一つだ。もし雌雄を決する戦いに巻きこまれた時、是非思い出してくれ』
.......AK-47は自然と笑っていた。私にはバックアップがある。例え死んだとしても次の日にはウォッカを飲んでいるだろう。一番の悪手はここで籠もって何もしないことだ。AK-47は自分の心に発破をかける。そこからの行動は矢のように早かった。予備マガジンに支給されたヘルメット、手元にある分だけの投擲武器をかき集める。そしてリロードを済ませたかどうか確認する。薬室には7.62の薬莢が金色に輝いていた。AK-47は塹壕の縁に手をかけ地上へと向かう。
AK-74Mは相方のおかしな行動に目を丸くした。安全な塹壕から這い出ていくと立ち上がり、全速力で木陰へと走り出した。思わず怒鳴り散らし腕を掴もうとした。しかしそんな余裕は存在しない。光線が飛び交う中、隙を見計らい反撃を行う。そんな激戦の中で他者にかまってる暇なんてなかった。74Mはただ彼女の後ろ姿を見るしか無かった。
AK-47はなんとか大きな木の根本にたどり着く。木の後ろに隠れると持ってきた投擲武器を確認した。M24柄付手榴弾、M18発煙手榴弾、M84スタングレネード。グリフィンから支給されているものを全てかき集めてきたのだ。まずM84を取り出して安全ピンを抜く。レバーを外しヴェスピドの集団めがけて投擲する。100万カンデラの光と共に180デシベルの騒音が鳴り響く。効果はてきめんで数十のヴェスピドが一斉に動きを停止した。次にM24グレネードを取り出す。安全カバーを取り外し中にある紐を取り出す。それを思い切り引くと先程の集団へ投擲する。数秒後、轟音が鳴り響き雪が波のように沸き立つ。その直後、ヴェスピドの残骸がシャワーの用に降り注ぐ。大量の戦果に思わず笑みをこぼしてしまう。さらにバックからM18を取り出す。慣れた手付きで安全ピンを抜き投擲の姿勢をとる。今度はイェーガーの集団に向かって投擲した。その瞬間、おびただしい数の光線が飛んでくる。木々がメキメキと悲鳴を上げる。この一連の流れは彼女の睨んだ通りだった。すぐさま無線機を取り出すと大声で叫ぶ。
「スモークのところを集中的に撃って!」
彼女が叫び終わると同時に灰色のスモークが辺り一面を覆う。一瞬にして雲の中に包まれたようにモクモクと広がっていく。視界が塞がってしまい、手当たり次第に撃つしかないイェーガーたち。そんな好機を逃すほどグリフィンはお人好しではない。リロードを終えたばかりのRPDはトリガーに指をかける。唸り声と共に7.62mmの暴風が襲いかかる。ありったけの弾丸がイェーガーに殴りかかった。辺りが更地になるまでトリガーを引く。煙が晴れるまでトリガーを引き続けた。
AK-47は再びイェーガーの群れを確認するため辺りを見渡す。そこにいたイェーガーは誰一人おらず、辺りにはスクラップが散乱していた。見事、鉄血の掃除に成功した。これほど喜ばしいことは滅多に無い。AK-47は思わずガッツポーズをした。これからするべき行動は1つ、すぐさま塹壕へ戻ることだ。AK-47は身の周りのものをまとめると、立ち上がり走り出す。塹壕までは数メートルあるかないか。普段はどうとでも無い道のり。走り込めばどうとでもなる。そんな甘い考えを青い光線が許さなかった。光線が髪を焼き切る。ストライカーがAK-47を狙っていたのだ。霧吹きで吹いたように光線が乱雑に飛ぶ。光線は雪に当たり蒸発する。先程の幸福は一瞬にして失われた。今は当たらないように祈るしかない。再びの神頼み。
だが神は鉄血に微笑んだ。ストライカーが放った光線はAK-47の頭部を捉えた。机を叩きつけられるような鈍い破裂音が発せられた。あご紐をしてなかったせいか、ヘルメットが天高く舞う。撃たれた箇所は鈍器を殴られたように凹んでいた。AK-47は糸が切れた操り人形のように力無く倒れ込む。見える景色がところどころ黒いモヤがかかってくる。だんだんと闇が支配していく。塹壕へ吸い込まれていく。その頃には彼女の意識は闇に包まれてしまっていた。
「......んごして!」
突然誰かの声が聞こえ脳内で木霊する。教会の鐘のように反響し始める。脳内を直接誰かに揺らされるようで気持ち悪くなる。次にナイフのような鋭い頭痛が彼女を襲い始めた。それがトリガーとなりゆっくりと意識が覚醒し始める。そして彼女は目覚めた。
目覚めたAK-47は混乱していた。視界はまだぼやけており物が二重に見える。頭は鉛のように重く考えがまとまらない。腕も重く持ち上げるのに一苦労した。彼女は腰につけてある無線機を取り出した。電源をつけると声を絞り出し話し始めた。
「こちらAK-47。今、どんな感じ......?」
『AK-47のバカ!スタンドプレーなんかして!』
PP-19の怒号が飛んでくる。その声のせいで治りかけた頭痛が再発する。AK-47は頭をおさえながら無線機を握りしめた。
「その件はごめん。ああでもしないと解決しないと思って」
『PP-19、喧嘩なら後にしてくれ。まだ鉄血を倒してない』
「あぁ、クソ......」
ドラグノフの報告を聞いて思わず愚痴を吐き捨てる。果実を潰しそうな勢いで無線機を握りしめる。
「全然解決してないの!?」
『”一時は”解決した。AK-47のおかげで数は減ったが十分後に大勢になって襲ってきた』
「はぁ......」
AK-47はため息をつきながら得物を構えた。結局、戦況が何も変わっていないことを思い知らされたのだ。AK-47はトリガーを引き絞るように引く。彼女は今セミオートで射撃していた。AKシリーズのセレクターは一貫している。上からセイフティー、フルオート、セミオートの3つである。フルオートによる制圧力は非常に高い。7.62mmの破壊力は凄まじく、いくら鉄血とはいえ食らったらひとたまりもない。しかしその分、弾薬の消費も激しい。発射速度は600発/毎。圧倒的な射速と破壊力を封印する代わり、精密射撃が出来るようになる。AK-47はサイトを覗き込むと侵略者を狙う。見る風景は同じだが、敵の構成が違っていた。まず前列にガードとリッパーの戦列が陣取っている。そして後列には再びイェーガーが陣取っていた。さらにイェーガーとガードを挟むようにヴェスピドが配置されていた。嫌なサンドイッチに嫌悪感を感じた。普段ならどうってことはない戦力。しかし現状は強大な戦力の波である。物量と波状攻撃により防衛線が決壊しかかっている。AK-47は慎重に狙いを定めて射撃をする。狙いはガードの頭部に吸い込まれていった。頭部の装甲がけたたましい音を立てて貫通していった。頭部を撃たれたガードはゆっくりと跪き倒れる。ガードたちの群れは亡骸を避けて前進する。それと同時に後列から弾幕が飛んでくる。洪水のように光線が次々に飛んでくる。鉄血の弾幕はかなり激しく、思うように突破口を作れずにいた。AK-47はトリガーを引き絞った。耳をつんざきそうな轟音と共に、凶悪な7.62mm×39が鉄血に襲いかかる。目の前の敵に夢中になり1体1体地獄へ送る。
しかし、数発射撃すると軽い音に変化した。それは弾切れを伝える音だ。AK−47はすぐさま身を隠すとポーチに手を突っ込んだ。マガジンを取り出し装填しようとした。しかし一向に装填されることは無かった。何か取り憑かれたように手が止まりじっと見つめている。彼女が手に取ったマガジンには横1列に赤いダクトテープが巻かれてあった。これは彼女が決めた一種のサインである。最後のマガジンだと告げるサインである。絶望と一抹の不安が頭を駆け巡る。風のように早く水のように侵食し、手が徐々に震えていく。これを使い果たすといとも簡単に蹂躙される。恐怖が脳内を支配し始めていた。
しかし、それでも手を止めることは無かった。即座にリロードを行うと再び銃を構えた。そしてセレクターを一番下に下げた。AK-47はアイアンサイトを覗き、ガードの頭部に狙いを定める。引き絞るようにトリガーを引くと、反動と共に消炎が立ち上がった。光の如く飛んだ弾丸は、あっという間にガードの頭部に風穴を空けた。中に詰まっていた配線がむき出しになり、茶色のオイルが穴から垂れ始める。司令塔を失ったガードの未来は1つしかない。装備している盾と銃が無造作に地面に落ち、膝から崩れ落ちた。
その後の行動にも迷いは無かった。次々と鉄血を仕留めていく。的確に頭部や心臓部を5.56ミリで撃ち抜く。撃ち抜かれた鉄血は膝から崩れ落ち、そのまま鉄屑へと生まれ変わtった。一発一発精密に射撃していくが、焼け石に水だった。湯水のように湧いて出てくる鉄血に、滝のような勢いで襲いかかるレーザー。応戦しているのにも関わらず、戦局は一向に変化せず生の猶予がひしひしと削れていた。
悪い出来事は立て続けに起こる、それももっとも恐れてたことだ。再び無線機からAK-74Mの声が聞こえてきた。
「こちらAK-74M。既に弾切れ。残りはグレネードが2つ」
報告を聞いた途端、AK-47は寒気を感じた。見える範囲で30を超える鉄血が攻撃を行っていた。恐らくそれ以上の鉄血が待ち構えているだろう。それなのに弾薬が切れてしまった......牙を抜かれた狼が戦場にいるとどうなるか。考えたくもない悪夢だ。
「ラストマガジン!」
「私もあと少しで弾切れ!誰か援護を!」
SVDとRPDからも報告が上がる。AK-47は自分の未来がふっと浮かんできた。敵の群れへナイフを握り特攻する。幽鬼のごとく惨めに森林を彷徨う。鉄屑になって地面に横たわる。どれも碌な未来では無いのは明らかだ。AK-47は手を止めてしまった。考えたくもない運命に、体が自然と竦んでしまった。ちっぽけな存在だと思い知らされる。圧倒的力の前になすすべが無く、今の自分がちっぽけな存在だと思い知らされた。闘志に燃えていた目は光を失ってしまった。
「こちら第5部隊のグローザ!援護するわ!」
突如無線から友軍の声が聞こえた。いきなりの通信にAK-47はビクリと震える。突然聞こえてきた声と内容に頭が真っ白になり、無線機を握りしめその場に固まってしまった。「援軍」その二文字を聞いた時、彼女の目は鋭く光った。握りしめていた無線機を電光石火の如く口元へ近づけた。
「援軍か!感謝するぜ!」
「ええ、そちらの編成を教えてくれるかしら」
「PP-19、AK-74M、AK-74U、SKS、ドラグノフ、RPDの6名。ドラグノフとSKS、RPDは後方で火力支援している。それと弾薬がもう底を付きかけている」
「了解。もうすぐでそちらに着く」
AK-47の報告を聞いたグローザは手短に素早く指示を出した。
「PM1910とモシンナガンは例のやつ動かして。側面についたらぶっ放して頂戴。T-5000は 後方の味方と合流して狙撃を。9A-91とA-91、KS-23、SR-3MPは私についてきて」
指示を受けた人形たちは蜘蛛の子を散らすように持ち場についた。
「ようやくか......待ちくたびれたぜ」
PM1910は鼻息荒く歩み始めた。歩みは軽くまるで遊園地に来た子供のようで、目は笑っていた。しかしその笑みは狂気を帯びており、何処か殺人鬼のようにも見える。
「PM1910、今日も元気一杯ね。今日も頼むわよ」
彼女の相棒であるモシンナガンはPM1910の肩に手を置いた。
「任せておけ。弾幕を張るのはあたしの仕事だ」
PM1910は右手でガッツポーズをしてみせた。2人ともロシア帝国時代の銃とスティグマを結んだ人形であったためか、やけに馬が合っていた。
彼女が乗っているスノーモービルには牽引用のチェーンが装着されており、後ろにはサイドカーのようなものがあった。後方には彼女のM1910が備え付けられている。防盾も対鉄血用に改造してあり、いわゆる小さなトーチカといえるものであった。PM1910は先にサイドカーに乗り込むと、装着してあるホロサイトを弄くり始めた。相方のモシンナガンはスノーモービルに乗車し、キーを差し込むとエンジンを掛け始めた。スノーモービルは唸り声を上げ、血を求めるモンスターが目覚め始める。モシンナガンは運転席にまたがるとエンジンを蒸かし始める。重く地面が揺れるほどおどろおどろしい唸り声は、今では軽やかな鳴き声へと変わっていた。モシンナガンはエンジンが温まったことを確認すると、首に掛けてあったバイクゴーグルを装着した。
「さて......ぶっ飛ばすわよ!」
「おうよ!ガンガン飛ばしてくれ!」
グローザと他4名はAK-47の元へ向かった。バンから降りたグローザは鉄血からの銃撃に合うものの、ゆっくり歩みを進めていく。そしてAK-47の元へたどり着いた。彼女は木の根本に隠れており、手には手榴弾を握っていた。鉄血の様子を伺っており、攻撃が弱まった頃合いを見計らい投擲していた。数秒後くぐもった爆発音が聞こえ、爆風で舞った粉雪が彼女を襲った。グローザは滑るようにAK-47の元へ近づいた。
「敵は?何処らへんにいる?」
AK-47は人差し指で左から右へ半円を描くように動かした。
「辺り一面鉄血しかいない!向こうに味方はいないはずだ!」
彼女の報告を聞いたグローザは再び無線を使用した。
「PM1910?今何処にいるかしら」
彼女の質問から数秒後、雑音混じりで返答が返ってきた。
「おうよ。こっちはいつでもゴミ掃除できるぜ」
グローザは知っていた。彼女は激しく派手な戦い方を好み、映画のように派手な銃撃戦が大好きだ。言い換えれば、鼓膜が破ける程うるさく響く銃声が好きなのだ。グローザは一息つく付くと再び無線を掴んだ。
「えぇ、ならお願いできるかしら」
「もう攻撃してもいいのか?」
「えぇ、そうよ。そちらの攻撃を合図に、こっちも攻撃を仕掛ける」
開戦の火蓋をPM1910に任せたグローザ。彼女は信じていた。この采配が最も最善な判断であると。
PM1910は命令を聞き終えると、右手の両サイドにある2本の縦棒を押し始めた。モシンナガンも臨戦態勢をとる。スコープを覗き、銃を構えているイェーガーに狙いを定める。PM1910は思わず笑みをこぼした。これから起こるであろう未来を想像し期待を膨らませていた。そして開戦の火蓋は切られた。
PM1910は親指でトリガーを押し込み射撃を開始した。7.62mmの暴風が鉄血に襲いかかる。リズムよく消炎と共に空薬莢が宙を舞う。暴風に飲み込まれた鉄血は抵抗虚しく雨に打たれる。どれだけ足掻こうとも生を欲しようとも、彼女の前では儚い夢物語にしか過ぎない。雨の中で息絶えていく。静かな森の中で銃声が華やかにこだましていた。
「9A-91!AK-47の所に向かって!A-91!私の合図でグレードを投擲して!」
A-91はスキットルを手にすると、中に入ってるウオッカを飲み干した。乱雑にスキットルを地面に投げ捨てると、銃と一体化している40mmのシングルショットグレネードランチャーに手をかけた。アルコールが回っているにも関わらず、榴弾を装填する動作には迷いが無かった。40mmを装填し終えると無線機を取り出した。
「こっちはお〜けいよ〜!いつでも命令して頂戴!」
あまりにもテンションが高い、酔っ払いのような受け答えにグローザは難色を示した。グローザは作戦中の飲酒は控えるよう釘を刺している。しかし彼女にとって飲酒は、日が昇り、そして沈むことと同じくらい同義なのだ。止めたところで意味など無い。飲酒がの一部なのだ。グローザは呆れてため息を付くと、
「そこのストライカーが密集してるとこに投擲して頂戴!」
と命令した。その数秒後、密集していたストライカーは派手に爆散した。腕の一部やゴーグルの破片、チェーンガンの一部。それらが爆風と共に宙を舞った。玩具のように軽々と上がった断片達は白いキャンバスを塗りたくった。辺り一面に残骸が無惨に取り残される。
グローザもアンダーバレルグレネードに手をかけた。A-91と同じように榴弾を装填して構えた。目標は困惑しているヴェスピドの集団。ポン!と軽い炸裂音と共に榴弾が発射される。榴弾は美しい弧を描き、目標に死のサプライズを届けた。くぐもった炸裂音と共に爆風がグローザを襲う。思わず左手で爆風を防いでしまうほどだ。爆心にはストライカー同様、ヴェスピドの残骸しか残っていなかった。
爆風を目撃したPM1910は残忍な笑顔を浮かべた。彼女のボルテージは既に燃えに燃え上がっていた。テンションは戦闘中だと言うのに高く、まるで火山の噴火のように燃え上がっている。対象的にモシンナガンは冷静だった。静かに丁寧に鉄血の頭部や心臓を狙撃し1人ずつ処理していく。
PM1910は退屈だと言わんばかりに顔を曇らせた。嵐のような戦争が好きな彼女にとって、鴨撃ちは好きでは無いのだ。大量にいた鉄血はもはやスカスカだった。ここまでくると折角の弾幕が無駄になると考えているのだ。
「なら移動する?ここはグローザに任せて私らは残党狩りするとかさ」
「あぁ、そうするか。連絡してくる」
PM1910は無線機を取り出した。モシンナガンは、安全な位置で待機させていたスノーモービルにエンジンをかけ始めた。
「KS-23、ガードをふっ飛ばして頂戴!SR-3MP、PP-19を救助して!T-5000、援護を頼むわ!皆、一斉に攻め込むわよ!」
グローザは一斉に指示を出した。指示を出された隊員はキビキビと動き始める。それに比べ、短時間で嵐のような攻撃を受けた鉄血の集団は、右往左往していた。部隊に混乱が感染していた。毒のようにしぶとく強力で一度広がるとなかなか治らない。それが完治することは無い。鉄血が混乱から目覚めることは無いだろう。
KS-23はリロードを開始する。彼女が装填したのは、自動車のエンジンブロックですら破壊できるソリッドスラッグ弾。別名”Баррикада”(バリケード)。KS-23はガードに向けてトリガーを引いた。本来なら彼女らが持っている盾は厄介な品物である。タフでどんなに撃たれても破壊されることは無い。しかし今回は違った。盾に大きな風穴が空き後方にいた本体にも大きな穴が開いた。中に詰まっている配線が焼き切れ、オイルがタラタラと垂れている。白い雪に赤茶色のインクを撒き散らす。持っていた盾は重力に従い地面に落下する。そしてゆっくりと膝から崩れ落ちていった。KS-23は軽々しくポンプを引いた。排出された空薬莢が雪へ沈んでいく。KS-23は再びガードを狩り始めた。
9A−91とAK-47、AK-74Mは塹壕に入り防衛線を展開していた。9A−91には7.62mmと5.56mmの弾薬が、まるでおもちゃ箱のように雑多に詰まっているスポーツバックを提供した。AK-47はバックの中に手を突っ込むと、素早くマガジンを探し出し空マガジンと交換する。再装填し終えるAK-47は鉄血の群れへ攻撃を行う。先程のような細々とした攻撃ではない。水を得た魚のように生き生きとした攻撃である。彼女らは素早く鉄血の急所を狙い銃弾を叩き込む。景気よく銃弾が消費され、地面に空薬莢の水溜りが出来る。淡々と射撃し、リロードし、また間髪入れず射撃する、その光景はさながら単純作業であった。
8:30 チェコ共和国ー鉄血活動区域ー救助まで残り0.5時間
戦況は完全にグリフィンが優勢だった。確実に鉄血を追い込み殲滅していく。一方の鉄血は勢いを完全に失っていた。牙を抜かれた犬のように惨めで悲惨だった。攻撃陣地を構成するため撤退を始めた鉄血だったが、後方に待機したPM1910の鉛玉の前では無力だった。傷一つ無かった胴体に風穴が空き、ズタズタに引き裂かれていく。一切抵抗できない鉄血達はただ倒れるだけだったのだ。
PM1910は辺り一面を見渡した。辺り一面に鉄血の亡骸がゴロゴロと転がっていた。先程何の問題もなく動いていた鉄血はスクラップ同然だった。彼女は残骸となった鉄血群を見渡す。あまりにもあっけない残党狩りに困惑していた。彼女はモシンナガンに話しかけた。
「殲滅したか.......?」
「そうじゃないかしら。ちょっと確認してくる」
PM1910に質問されたモシンナガンは無線機を取り出した。
「こちらモシンナガン、T-5000聞こえる?」
「こちらT-5000。感度良好、なにかありましたか?」
T-5000はヘッドセットのマイクから応答している。後方からイェーガー等を狙撃していた。スポッターは弾薬が切れたドラグノフが担当している。偵察用の双眼鏡を用いてスポットを担当していた。
「ドラグノフさん、鉄血はいましたか?」
T-5000も狙撃用のスコープで辺りを捜索した。双眼鏡越しで辺りを覗いているドラグノフはゆっくりと口を開けた。
「いないわね......殲滅したかしら」
どんよりとした不安が辺り一面に漂う。万が一取り残しがいた場合、はぐれた部隊と合流する。それが倍々と増えてしまい、後からハイエンドモデルが束ねてしまうことがあるのだ。そのため、一度鉄血の殲滅命令が下ると必ず殲滅しないといけないのだ。その時、全員の無線機から指揮官の声が聞こえてきた。
「こちらS06地区の指揮官だ。偵察ドローンからの情報によると、ここ一面の鉄血達は殲滅した。客員へ告ぐ。合流地点に集合してくれ」
合流地点はとても広かった。ブラックホークが2機、縦に並んでもかなり余裕があった。合流地点には2機のブラックホークの他に、歩兵輸送車が2台並んでいた。支援を受けたAK-47のチームはヘリに、友軍として駆けつけたグローザ達は輸送車に乗った。ヘリが奏でる轟音の中、AK-47はグローザに手を振りながら、
「後で一杯やろうぜ!」
と飲みに誘った。火中にいたというのにあまりにもリラックスした表情だったために、グローザは笑みをこぼした。そしてその誘いにグローザは答えた。
「もちろんよ。あとで特上なお酒を奢ってあげるから」
そこAK-74に伝えた。AK-47の笑顔が最高潮に達した時、ブラックホーク達は離陸を開始した。それを皮切りにバンやスノーモービルも来た道を引き返した。
作戦終了。車内ではまた、他愛もない会話が始まった。
次回については決まってありますが、1ヶ月以内に投稿するかは不明です.......生暖かい目で見守ってくだせえ。最後に添削してくださった方に感謝を。ありがとうございます。