SPY×AGITΩ   作:ぴりもに

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コメントで指摘されて気が付いたのですが、犬のボンド、出てきてないですね……
人間ドラマ部分書くの楽しくて、ボンドのセリフ書くの忘れてました……セリフないだけで一応フォージャー家にはいる設定には、なってます……




第10話「たとえ化け物と呼ばれても 前編」

 

ロイドとアーニャがジョージもとい法条と出会ってから数日経ったある日……

 

「ぐ、ぐぬぬぬぬ……」

 

アーニャは勉強に励んでいた。特待生になって法条をギャフンといわせるためだった。しかし、勉強しようにも問題集や教科書に載っている問題が分からず、アーニャは歯ぎしりを立てた。

それを不安そうにロイド、ヨル、翔一が見ていた。

 

「ア、アーニャ、ちょっと休憩するか?」

「だいじょぶ……よゆーよゆ……」

 

口では「余裕」と言ったが、表情を見るに余裕でないのは明らかだった。

 

「アーニャさん、そんなに無理しなくても……」

「アーニャ、ぜったい"とくたいせい"なる!きょーとーにギャフンいわせる!ちちのかたきとる!」

 

アーニャはフンと鼻息を荒くし、ペンを手に取る。

そんなアーニャの諦めない姿勢に、ヨルは口を抑え、目頭を熱くさせた。

 

「アーニャさん……立派です!ロイドさんのためにそこまで……」

「うんうん、偉いぞアーニャちゃん!よーし、俺も手伝っちゃう!」

 

すると、翔一はやる気満々な顔でアーニャの隣に座った。

 

「しょ、翔一くん?君、勉強できるのか?」

「俺、記憶を失う前は頭のいい大学生……かもしれないじゃないですか!」

 

そう言った翔一は得意気な顔でペンを手に取った。

 

しかし、その5分後……

 

「うー--ん……」

 

翔一は口を尖らせ、難しい顔で唸った。その様子を、ロイド達は呆れ半分、不安半分で見ていた。

と、その時、

 

「わかった!」

 

翔一が手を叩いた。

 

「記憶を失う前の俺は、頭のいい大学生……じゃなかったみたい!」

『はぁ……』

 

笑顔であっけらかんと答える翔一に、3人はため息をついた。

 

「翔一くん、もういいから。家事をやっててくれ……」

「ショーイチ、アホ。」

「たはは……」

 

翔一は笑いながら、家事へと戻った。

 

「まぁ、こうなるだろうと思って……家庭教師を雇うことにした!」

『家庭教師?』

 

ロイドの突然の言葉に、3人は声を上げた。

 

「ああ、俺も子どもに対する勉強の教え方を学ぼうと思ってな。俺も勉強させてもらう気持ちで雇った。もうそろそろ来るはずだな……」

 

ロイドはチラリと時計を見た。

と、同時に家のインターホンが鳴り響いた。

 

「あ、俺出ます!」

 

翔一が玄関ドアへと駆け寄り、ドアを開けた。

ドアを開けると、そこには……

 

「どうも。家庭教師のフリッドです。」

 

そこにいたのはダミアンの叔父、フリッド・リードだった。

 

(フリッド・リード!?)

(じなんのおじ!)

 

ロイドはフリッドを見て、驚きから目を見開いた。

そばにいたアーニャも同様の反応を見せた。

 

「おや、君はどこかで……?」

「あれ?どっかで会いましたっけ?」

 

翔一とフリッドは互いに顔を見合わせながら首を傾げた。すると、フリッドの視界にアーニャが入った。

 

「あ、君は……ダミアンの友達!ということは……君はあの時のか!」

「ああ、ダミアン君の叔父さん!」

 

二人は互いに誰だか分かると、ニコニコ笑って頷いた。

すると、ロイドがフリッドのそばに寄ってきた。

 

「どうも。父のロイド・フォージャーです。今日はよろしくお願いします。」

「こちらこそ!」

 

二人は互いに握手を交わした。しかし、

 

(まさかドノバンの異母兄弟が来るとはな……これを利用しない手はない。こいつが知ってるドノバンの情報を、さりげなく聞くか。)

(まさか、ダミアンの友達の家だったとは……だが、あの子からダミアンの様子を聞けそうだな。悪いが、利用させてもらおう。)

 

心の中では、お互い相手が知っている情報を聞き出そうと思っていた。

 

────────────────────────

 

アーニャと同じテーブルについたフリッドは、さっそく勉強を教え始めた。

 

「じゃあ、まず分数の計算だね。簡単なやつからいこうか。『1-5分の2』は?」

「……えーと…」

 

アーニャはさっそく頭を抱えてしまった。

 

「アーニャ、前に教えただろう?」

「まぁまぁ、お父さん。アーニャちゃん、好きな食べ物はあるかな?」

「ピーナッツ!」

 

好きなものを尋ねられ、アーニャは嬉しそうに答えた。

それを見て、フリッドは笑顔でうんうんと頷いた。

 

「お母さん、ピーナッツはありますか?」

「は、はい!」

 

ヨルはフリッドに言われ、棚から買い置きのピーナッツを取り出し、手渡した。

フリッドはピーナッツを受け取ると、テーブルにティッシュを一枚引いた。そこにピーナッツを5個置いた。それを風呂敷のように包む。

 

「アーニャちゃん、これが5分の5。つまり1になる。これは分かるかな?」

「うぃっ。」

「ここからピーナッツを……」

 

風呂敷のように包んだティッシュを広げ、ピーナッツを二つとり、再度ティッシュを包んだ。

 

「これで、残り何個かな?」

「みっつ!」

「そう!より正確に言うと、5分の何個かな?」

「ごぶんのさんこ!」

 

アーニャは正解を答えた。その瞬間、フリッドは拍手を送った。

 

「正解!アーニャちゃん、すごいなぁ!」

「えへへ……」

「なるほど、好きなものに例えるのか……しかし、こんな簡単なことで解けるとは。」

 

ロイドはフリッドの教え方を見て、顎に手を当ててうんうんと頷いた。

 

「お父さん、子どもはガラス細工と同じです。繊細に、丁寧に向き合わないと、子どもは傷ついてしまいます。」

「なるほど……」

(ガラス細工か……言い得て妙かもしれん。)

 

ロイドは納得したように頷いた。

 

「はーい、お茶菓子どうぞー!」

 

その時、翔一がフリッドに紅茶とクッキーを差し出した。

 

「あ、すまない。」

 

続いてロイド達にも紅茶を置いた。

と、その時、

 

「ん?翔一くん、俺のクッキーは?」

「私のも……」

 

ロイドとヨルの前にクッキーが置かれていなかった。アーニャには出されているにも関わらずだ。

すると、翔一はニヤニヤ笑い、オーブンから何やら取り出した。

 

「二人には、特別なクッキーです!」

 

そう言って二人の前に出されたのは、通常の5倍くらいの大きさがあるハートマークのクッキーだった。

 

「なっ!!?」

「な、なんですかこれぇっ!!?」

「翔一特製、ラブラブクッキーです!」

『ラ、ラブラブ!!?』

 

出されたクッキーと翔一の言葉に、ロイドとヨルは声を上げ、頬を赤く染めた。

 

「両端から二人で一緒に食べるんです!ささっ、がぶっといっちゃってください!」

「これを客人の前で食えと!?」

「ななななな、何を言ってるんですか翔一さん!?」

 

二人はフリッドがいる前でクッキーを互いに食べさせ合う光景を想像し、顔を真っ赤に染めた。

すると、フリッドは「ほほう」と興味ありげな顔で二人の顔を見た。

 

「ほう……二人は熱い愛で結ばれているんだな。」

「そうなんですよ!この前なんてヨルさん、ロイドさんをキスで起こそうとしてたんですよ!」

「いやぁぁぁぁぁ!!」

 

翔一の突然の暴露に、ヨルは恥ずかしさのあまり声を上げた。

 

「ちちとはは、アーニャがみてないとこでいちゃいちゃしてる。」

「してないっ!」

「してませんっ!」

 

今度はアーニャの発言に二人は大声を上げて否定した。すると、フリッドは突然笑い出した。

 

「ははは・・・仲睦まじいのはいいことです。お幸せに♪」

「は、はぁ……」

(くそっ、なんでこんな辱めを……!!)

 

笑っていたフリッドだったが、ふと暗い顔を見せた。

 

「うらやましいです。本当に……俺も、昔は恋人がいたのですが……」

「そんな顔をするということは、とても大切な人だったんですね。」

「ええ、俺にはもったいないぐらいの素敵な人です。今頃どうしているのか……フィオナ……」

(ん?)

 

フリッドが最後に呟いた一言に、ロイドとヨルは脳裏に片目を隠した銀髪の女の姿を思い浮かべた。

 

(ま、まさか・・・・ね。)

(フィオナなんてどこにでもある名前だし、気のせいだろう……)

 

何か嫌な予感を感じつつも、二人はきっと気のせいだろうと思い、それ以上考えないようにした。

 

 

────────────────────────

 

翌日、フリッドはイーデン校の校門前まで来ていた。

 

(結局、昨日はアーニャちゃんに聞けなかったな……)

 

フリッドは昨日、アーニャにダミアンのことを聞こうとしていたが、結局聞くことができず、今日この場に来てしまったのだ。

 

「あ……」

 

フリッドは声を上げた。視線の先に、ダミアンがいた。

ダミアンは暗い顔で校門の方へ歩いていた。そこに、

 

「おい、エロガキ。」

「だから違うっての!」

 

アーニャが現れ、ダミアンはその呼び名に反応して後ろを向いた。

 

「・・・何の用だ。」

「きのう、じなんのおじ、アーニャのウチきた。」

「叔父さんが……?」

 

アーニャの一言に、ダミアンは目を見開いた。しかし、すぐさま目を伏せ、校門の方へ再び歩き始めた。

 

「……あっそ、俺には関係ない。」

「おじ、じなんのこと、しんぱいしてた。」

「お前には関係ない。」

 

いつも以上にそっけない態度で、ダミアンは足早に去ろうとした。

 

「あ……」

「ダミアン……」

 

その時、ダミアンは校門前で待っていたフリッドと遭遇した。しかし、フリッドの姿を見るなり、ダミアンは逃げ出してしまった。

 

「待ってくれ!」

 

フリッドはすぐさま後を追いかけた。つられてアーニャも後を追った。

 

「ついてくるな!」

「ダミアン!話だけでも聞いてくれ!」

 

二人は追いかけっこは10数分に及び、公園に差し掛かったところで、フリッドはダミアンの肩を掴んだ。

しかし、ダミアンはすぐさまその手を振り払った。

 

「触るな!化け物のくせに……!」

「ダミアン……」

「じなん……」

 

同じく公園にたどり着いたアーニャは、ダミアンに拒絶されたフリッドを見て、悲しさを覚えた。

涙こそ流さなかったが、フリッドのその背中は泣いているように思えた。

と、その時だった。

 

「ッ!あぶない!!」

 

フリッドはダミアンを庇うように前に出た。それと同時に斧が振り下ろされたが、フリッドはそれを掴んで止めた。

 

「グルルルル……」

 

そこに現れたのはサソリの姿をし、左手に盾を持ったアンノウンだった。

 

「あ・・・あ・・・」

「じなん!」

 

腰を抜かしたダミアンに、アーニャが駆け寄ってきた。

 

「アーニャちゃん、ダミアンを連れて離れろ!」

 

フリッドの言葉に、アーニャは力強く頷き、腰を抜かしたダミアンを引っ張り始めた。

 

「ダアッ!!」

 

フリッドは斧を払いのけ、アンノウンに一発拳を叩き込んで吹き飛ばした。

そして、両腕を顔の前で交差させた。

 

「変身ッ!!」

 

その叫びとともに、フリッドは緑色の体と赤い目を持つ戦士、ギルスへと変身した。

 

「ウオォォォォォォッ!!」

 

変身したと同時に雄たけびを上げ、口元のクラッシャーを開いた。

 

(へんしんした!でも、ショーイチのとちがう……)

 

アーニャはギルスの姿を見て、翔一が変身するアギトと比べていた。

そんな中、ギルスは両腕から金色の爪「ギルスクロウ」を伸ばし、アンノウンに向かっていった。

 

「ワァウッ!!」

「キシャアッ!!」

 

ギルスクロウとアンノウンの斧がぶつかり合い、火花を散らす。

 

「ハアッ!!」

 

その時、ギルスはジャンプして後ろへ一回転しながらサマーソルトキックを繰り出した。

アンノウンはそれをよけたが、同時にギルスは踵から伸びる刃「ギルスヒールクロウ」をさらに伸ばし、アンノウンの左目を斬った。

 

「グアアアッ!!」

 

アンノウンは痛みから悲鳴を上げた。ギルスはその隙に連続での回し蹴りと繰り出し、アンノウンを吹き飛ばした。

 

「ウオォォォォォォッ!!」

 

ギルスは叫び、踵のクロウを伸ばす。

 

「ハッ!」

 

右足を頭上まで振り上げながら跳躍し、アンノウンの肩目掛けて踵落としを繰り出した。

しかし、ギルスの攻撃はアンノウンが突き出した左手の盾で防がれてしまった。

 

「なにっ!?」

 

防がれた、というよりは攻撃が盾の前で止まってしまった、という感じだった。

攻撃を防がれたギルスは、アンノウンに足を弾かれた。バランスを崩したところを斧で攻撃された。

 

「ま、まだだ…ッ!?あっ、があぁぁぁぁぁっ!!」

 

斧で斬られ、吹き飛ばされたギルスは地面に転がったが、立ち上がってアンノウンに向かっていこうとした。しかし、同時に激しい頭痛に襲われた。

 

(くそっ、こんな時に……!!)

 

あまりに激しい頭痛に、ギルスは変身が解け、フリッドの姿に戻ってしまった。

すると、アンノウンはフリッドを無視し、アーニャの方へじりじりと近づいて行った。

 

(なに!?狙いは俺じゃないのか!?)

 

フリッドはアンノウンの狙いが自分ではないことに驚いた。

すると、アンノウンはサソリの尻尾の形をした触手を伸ばし、アーニャに向かって勢いよく放った。

 

「!!」

 

アーニャは思わず目を閉じ、襲ってくるであろう痛みに恐怖した。

しかし、いつまで経っても痛みはこなかった。アーニャは恐る恐る目を開くと、目の前には歯を食いしばるダミアンが立っていた。

 

「うっ……!」

「じ、じなんっ!!」

「ダミアンッ!!」

 

ダミアンの首筋に、触手の先端の針が突き刺さっていた。

アンノウンはそれを引き抜くと、ダミアンの目はうつろになり、その場に倒れてしまった。

 

「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

倒れるダミアンを見て、フリッドはアンノウンと守れなかった自分に対する怒りで叫び声を上げた。そして力を振り絞って立ち上がり、アンノウンに突進した。

 

「ハッ!!」

 

しかしその時、目の前にアギトが現れ、アンノウンを蹴り飛ばした。

 

「アギト!?」

「アギト……」

 

アンノウンはアギトとフリッドを交互に見た。

 

「チッ……」

 

舌打ちを打ち、自分が不利だと判断したのか、アンノウンは音もなく姿を消してしまった。

 

「アーニャちゃん!」

 

翔一は変身を解き、アーニャに駆け寄った。

翔一がアギト……それは衝撃的な事実だったが、今のフリッドにとってはそんなことはどうでもよかった。

すぐさま倒れたダミアンに駆け寄り、抱き上げた。

 

「ダミアン!しっかり!しっかりするんだ!」

 

ダミアンに呼びかけながら、心音と脈を図った。どちらも正常に動いていた。

そのことに安心しながら、フリッドは翔一、アーニャとともに病院へと急いだ。

 

(許さない……!許さんぞ、アンノウン……!!)

 

フリッドはアンノウンに対する怒りを胸に秘め、拳を握りしめるのだった……

 

 





久々のギルス回でした。フリッドには葦原涼と同じくらい不幸な目に遭ってもらおうかなって思ってます。

以下、フリッドの簡単なプロフィールなど

—―――――――――――――――――

フリッド・リード

職業:家庭教師(アルバイト)
能力:ギルスへの変身
年齢:32歳(メインキャラの中だと一番年上)
身長:195cm(メインキャラの中だと一番デカい)
体重:85kg
趣味・特技:バイク、キックボクシング
好きなもの:一途な愛情
嫌いなもの:不貞行為や二股をする軽い人間

作品内において、どのライダーの話が一番好きですか?期間は4月10日から4月17日まで。アンケート結果は後日作品内で発表します

  • アギト編(翔一+フォージャー一家)
  • G-3編(ユーリ+対策班、ノエル)
  • ギルス編(フリッド+ダミアン、フィオナ)
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